No Side


無人世界カルナージ――現在レーシャ達が向かっている異世界合宿の目的地である緑豊かな辺境とも言える世界。
だがしかし、此処を真に無人世界と言う事は出来ないだろう、何故ならば一家族だけとは言え此処で暮らしている人が居るのだから。


其れを示すように、小高い丘には3階建ての家と、其れとは別に木造のロッジが夫々1つずつ存在している場所がある――この世界の住民の物だ。


「ねぇガリュー、私自分の才能がちょっと怖いかも。」

そんな世界で、特徴的な紫の髪を持つ少女は、傍らの石に座る己の使い魔――もとい召喚獣にそう語りかけていた。
実はこの少女、レーシャやヴィヴィオとは旧知の仲であり、また異世界合宿を行う面々が、その期間お世話になる家の一人娘だったりするのだ。

「何と言っても今回のおもてなしは過去最高峰!
 レイヤー建造物で組んだ訓練施設は、陸戦魔導師の練習に!!
 私とガリューの手作りアスレチックフィールドは、皆のフィジカルトレーニングに!!
 我が家の横に建築した宿泊ロッジも、内外ともに大幅にパワーア〜〜〜ップ!!設計私!
 掘ったら出て来た天然温泉だって、ノリノリで改造して癒しの空間に移行完了!なのはさんの故郷の温泉施設にだって負けないわ!!」

如何やらレーシャ達を迎えるのに、相当気合いを入れて準備をしたようだ。


「完璧!!
 もと六課の皆さんも、レーシャとヴィヴィオ達も、ドーンと我が家においでませーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

そしてこの少女の名は『ルーテシア・アルピーノ』と言い、かのJ.S事件の際に、半ば騙された形ではあるがJ.S側として参戦していたりもする。
尤も、事情が事情だけに重い罪には問われず、1年間の観察保護の末に、目を覚ました母と共にこの世界でノンビリゆったりと過ごしていた。

だがしかし、J.S時間の時は感情表現の起伏が無かった無口系少女がこんなにはっちゃけた性格になるとは、人間変われば変わるモノである。

尤もルーテシアの場合は、明朗快活天真爛漫な今の姿こそが本当の姿であったのかもしれないが……


「ルーテシア、スープの味見手伝って〜〜♪」

「は〜い、ママ♪」

取り敢えず、この無人世界唯一の住民であるアルピーノ親子は、今日も今日とて平穏無事に暮らしているようだ。









遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow13
『合宿の幕開け!異論は聞かぬ!』











Side:レーシャ


目的地のカルナージへは、首都から約4時間で、標準時差は7時間と結構な時差がある。
出発したのは朝だけど、その時差を考えると前後7時間な訳だから、到着するのは昼過ぎか或は真夜中のどっちか――多分昼過ぎだと思うけど。

って言うか、なのはさんとフェイトさんが態々夜中到着になる時間帯を出発時刻に選ぶとは考えられないし、其れは絶対に有り得ない。


だから到着時刻については大丈夫だと思うけど、流石に4時間もの長旅は暇を持て余して仕方ないのも事実なんだよねぇ。
と言うか、子供組で起きてるのは私とアインだけだし……アインは暇じゃないの?


「暇と言えば暇ですが、ですが艦内ではトレーニングも出来ませんし――目的地に到着するまでは、仕方ないかと思います。」

「いや、そうなんだけど――まぁ、何を言いたいかって言うと、流石に暇だから目的地に到着するまでゲームでもしない?
 デュエルは流石に無理だけど、移動中に暇になるのは目に見えてたからポータブルゲーム色々持って来たら、良ければ暇潰しにどうかな?」

中にはお母さんの故郷のゲームも混じってるから、モノによっては戸惑うかもしれないけど、知的ゲームのプレイは無駄にはならないよ?
この手のゲームはいわば戦略が重要になるから、此れをプレイする事で柔軟な思考が身に付いて、格闘技でもより的確な判断が出来る様に――


「是非一手お願いいたします。」

「喰いつき早!!」

思った以上の効果ってか、アインは本当に、其れこそ愚直なまでに武にうち込んでるんだね〜〜〜?いやはや改めて感心ですって。
其れじゃあドレにする、色々あるけれど……


「レーシャさんのお母様の故郷のゲームと言うのには興味があるのですが……」

「なら、将棋は如何かな?
 此れならルールは、ミッドにもあるチェスによく似てるからそんなに戸惑わずに出来ると思うよ?……まぁ、より奥は深いけどね?」

「望むところです!」


それじゃあ、ちょっと違うかもだけど対局もまた決闘と言えるから――いざショウギデュエルと行きましょう!!



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「実に有意義な時間でしたレーシャさん。」

「私も楽しかったよアイン♪
 て言うか、言っちゃ悪いけどアインは武道一筋の脳筋さんかと思ってたけど、思った以上に頭柔らかいね〜〜。」

「文武両道――覇王の拳は力だけでなく、知もまた磨けとの教えがありますので。」


成程ね、確かに文武両道は大事だわ。
お父さんもお母さんも、文武両道って言って差し支えないレベルだし、ぶっちゃけお父さんに至っては『果たして不得手ってあるの』って思うしね〜。

さて、此処が此れからの合宿の場所だよ。



「みんないらっしゃ〜〜い!」

「やっほ〜、久しぶりだねルー♪」

「ルーちゃん♪」

「ひさしぶり、ルールー!」

「うん、久しぶりだね、レーシャ、コロナ、ヴィヴィオ♪
 それと、直接会うのは初めてだよねリオ?」

「だね〜〜、此れまではモニター越しだったから。」


そっか、そう言えばルーとリオは今回が初めて直接会うんだっけ?
去年の合宿は、リオは故郷の家族の元に帰省する関係で不参加だから会ってなかったんだった。


「うん、モニターで見るよりもずっと可愛い♪ちょっと覗いて見える八重歯がまたキュートだね♪」

「えへへ、ほんと〜〜?」


でも、ルーとも直ぐに仲良くなれたみたいだし、良かった――と、ヴィヴィ。


「あ、うん!
 ルールー、此方メールでも話した……」

「アインハルト・ストラトスです。」

「貴女が……初めまして、ルーテシア・アルピーノです。
 此処の世界の住人で、ヴィヴィオ達の友達の14歳、宜しくねアインハルト♪」

「あ、はい此方こそ……」


こっちも問題なしっと。
そうだ、ルーは歴史とかに無茶苦茶詳しいから、後で古代ベルカの覇王の事とか色々聞いてみると良いよアイン、きっと得るモノがあるだろうから。


「其れはまた……その時は宜しくお願いいたします。」

「お任せあれ!」


そう言えばルー、エリオさんとキャロさんは?まだ到着して無いのかな?
あ、若しかしてルー、先に到着した2人に薪拾いとかお願いしてたりする?あの2人が私達より後に来るとは考え辛いんだけど?


「あはは、正解だよレーシャ。」

「こうして2人薪集めで〜す♪」


やっぱりね♪
エリオさんとキャロさんもお久しぶりです――ってか、エリオさん去年よりも更に背が高くなりましたよね?
六課時代は、今の私と大差なかったのにもうノーヴェと大差ないし、何て言うか大人になった気がしますよ?えぇ、其れも極上レベルのイケメンに。

まぁ、幾らイケメンになろうとも私のお父さんには絶対敵わないけどね!


だけど……キャロさんちょっと……


「何、レーシャ?」


――グワシ!


「へ?」

「キャロさん、絶対にエリオさんの事離しちゃダメですからね!?誰が何と言おうとダメですからね!?
 ぶっちゃけエリオさんみたいなタイプは無自覚にフラグ立てまくるタイプですから、確りと暫定彼女であるキャロさんが手綱を握っててください!!」

「う、うん分かったよ?」


「まぁ、大丈夫でしょ?エリキャロは半公式設定だから問題ないし。
 ――と、若干のメタ発言をしたところで、約一名ちびっ子が居るけど、実は私とキャロエリオは同い年ってね?」

「誰がちびっ子か〜〜〜〜!!!」


何でかこの3人が集まると自然とコントみたいになちゃうんだよね〜〜。
アイン、今し方来た2人が――


「エリオ・モンディアルです。」

「キャロ・ル・ルシエと、飛竜のフリードです♪」

「あ、アインハルト・ストラトスです、宜しくお願いします。」


こっちも問題なしだね♪
因みにこの2人はフェイトさんの家族だったりするんだよ〜〜?つまりヴィヴィを含めて、フェイトさんには3人の子供がいる事になる訳。
まぁ、ウチのお母さんも私を含めて3人の子持ちだけどね。

あり?そう言えば、もう1人姿の見えないのが………


――ガサッ……


「………………」

「!?」


あ、ガリューも出かけてたんだ――って、ちょっとまってアイン!!敵じゃないから、怪しい奴じゃないから!いや、見た目はめっちゃ怪しいけど!!


「あー!!ごめんなさいアインハルトさん、大丈夫です!!」

「あの子は……」

「あは、ゴメンね?
 この子はガリュー、私の召喚獣で大切な家族なんだ。」

「………」(ペコリ)

「し、失礼しました!!」


あはは、まぁコロナも最初見た時は驚いてたからね〜〜。
私とヴィヴィは、J.S事件の彼是でガリューの事は知ってたから其れほど驚かなかったけど。


さてと、なのはさん達はお昼前はトレーニングだけど、私達子供組は何処に遊びに行こうか?
何か考えてる、ノーヴェ?


「何って、そりゃ先ずは川遊びだろ?旦那とルールーも来るだろ?ツヴァイさんもこっちに来るでしょう?」

「勿論♪」

「ま、そっちの方が良いだろうな。」

「ハイです♪」


川遊びか〜〜〜♪確かに楽しいけど、其れだけじゃなく、アインの事も考えてだよね絶対に。
だってアインも誘ってるしね………って、稼津斗師匠、何ですかそのどこかで見た覚えのある『山吹色の胴着』は?


「ジーパンとジャケット濡らしたくないから着替えた。
 地球では最も有名な胴着だろうし、何よりも俺がリアルに超サ○ヤ人になれるから一切合切問題はない。寧ろ問題があっても全力で無視する!」


開き直った!?
あ〜〜〜……戦闘力に関してはお父さんとお母さんでも敵わないチートバグに彼是言うだけ無駄よね……


ま、稼津斗師匠の格好は兎も角として、先ずは水着に着替えてロッジ裏に集合!
シュタームと遊陽も、水着に着替えてお姉ちゃんたちと一緒に一杯遊ぼうね♪


「「は〜〜〜〜い♪」」

「「「「可愛い〜〜〜〜♪」」」」
「此れはまた素敵です……」


「レーシャ達だけじゃなく、アインハルトも速攻で不動家の双子にやられたみたいっすね……」

「見事なまでに溶けてるよなぁ……ドロドロだ、真夏日のチョコレートだろアレ?――マッタク子供は万物の宝とは良く言ったもんだぜ。」


だ〜〜って、本当に可愛いんだも〜〜ん!!あぁ、心底父さんとお母さんの子供で良かった〜〜〜〜♪








――――――








Side:アインハルト


レーシャさんの弟さんと妹さんは実に可愛くて……ではなく、合宿との事でしたがまさか初っ端から川遊びになるとは。
私としてはトレーニングをしたいので、大人組のトレーニングの方に参加したかったのですが……


「そう言うな、準備運動代わりと思って参加して来い。」

「そうだぜ?――其れに、あのチビ達の水遊びは、お前が思ってる以上にハードだからな?」


遊びなのにハード?――一体如何言う事なのでしょうか?
水中での動きは多くのエネルギーを使うと聞いた事はありますが……果たして陸上と比べて大きな差があるとは考え辛いと言うのが正直な所です。


「アインハルトさ〜〜ん!」

「アインもこっちおいでよ!冷たすぎなくて水が気持ちいいからさ♪」


とは言え、ヴィヴィオさんとレーシャさんが誘ってくださるのを無碍にするのも気が引けますし、水中での動きと言うのも初めてですからね?
アインハルト・ストラトス、ぜひ参加させていただきます!!





ですが、私はこの水遊びで知る事になりました。
ヴィヴィオさん達が、私がまるで思いつかなかった方法で己の力を高めていたのだと言う事に―――――――――
















 To Be Continued… 








*登場カード補足