Side:レーシャ


アインにとっては最後のインターミドル、その決勝戦での相手がヴィヴィって言うのは、これ以上はない位の相手でしょうね。
クラウスの記憶を継承してるアインと、オリヴィエの遺伝子を継いでるヴィヴィの戦いは、時空を超えた最強の対決と言っても過言じゃない――ううん、実
際に、それ以外の何物でもないわ。

何よりも、アインとヴィヴィのガチンコは、6年前の――ヴィヴィが漆黒のバリアジャケットを纏って、アインに挑んで以来だから、物凄く楽しみだわ。

アインが無敗のままインターミドルを引退するのか、それともヴィヴィが土壇場で王座を奪取するのか……本気で、この戦いは目が離せないわね!!!

格闘スタイルこそ違うけど、アインとヴィヴィの実力差は殆ど無いと言って良い位に、良い感じに拮抗してるから、この戦いは簡単には終わらないわよ。



「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




リング上で繰り広げらえる激しい攻防――正に、インターミドルの決勝戦に相応しい戦いだわ。――其れこそ、玄人目にもどっちが勝つか予測不能よ。
まだ第1ラウンドだけど、アインとヴィヴィのこの戦いが、今年の年間ベストバウトに選ばれるのは間違いないわ……それ程までに、激しい戦いなんだか
らね――だからこそ、どっちも頑張れ!











遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow115
『因縁の戦い―聖王vs覇王』










ヴィヴィオ:LP30000
アインハルト:LP30000



Side:ヴィヴィオ


く……やっぱりアインハルトさんは強い。
私のフリッカーを物ともせずに、前に前に出て来るって言うのは、攻撃する側からしたら、嫌な事この上ないんだけど、其れがアインハルトさんのスタイル
だから、牽制しながらカウンターの機会を待つのが最上策だね!



「真っ向から……受けて立ちます、ヴィヴィオさん!!」

「パワーなら兎も角、回避とスピードなら私に分があります!ついて来れますかアインハルトさん?」

「ならば限界まで、私も己の速度と力を上げて行きます!私の持てる力の全てを解放して、貴女を倒します!!」


――轟!!



む……アインハルトさんの雰囲気が変わった――この感じは、3年前にジークさんと決勝戦で戦った時に覚醒した『覇王』のモード!
ギリギリまで追い込まれた時にしか発動しなかったのに、今は自分の意思で発動した……完全に覇王の力をコントロールする事に成功したんだ!ヤッ
パリ凄いなぁ、アインハルトさんは。

でも、私だって負けてません!!破ッ!!


――バチィ!


「……ッ!ヴィヴィオさん、服の色が…!其れに、其の力はまさか……オリヴィエの?」

「その通りです。
 アインハルトさんがクラウスの記憶を受け継いでる事で、覇王の力を使えるのなら、オリヴィエの遺伝子を直に継いでる私が、聖王の力を使う事だって
 理論上は可能ですから……潜在能力を完全に引き出すのは簡単じゃありませんでしたけど。」

「ですが、その末にその力を引き出し、この場で其れを解放した……つまり――」

「準備運動は終わりです!」

アインハルトさんの最後のインターミドル、私が勝ってもアインハルトさんが勝っても、どっちでも笑って『良い試合だった』って言えるような最高の試合を
して見せる……うぅん、するんだ!

聖王解放時の、この黒いバリアジャケットは、6年間の時と同じ、全力で覚悟の現れ――受け止めて下さい、アインハルトさん!








――――――








No Side


互いに、己の潜在能力を解放したヴィヴィオとアインハルトの2人は、互いに一足飛びで詰められる間合いを維持しながら、構えて機を窺う。
ヴィヴィオは虹色の、アインハルトはエメラルドグリーンの闘気を纏い、戦闘力は少なくとも通常時の数倍に引き上げられているのは間違いなさそうだ。


「疾ッ!」

「覇!」


そして、同時に地面を蹴って間合いを詰め、ヴィヴィオのエルボーとアインハルトの拳がリングの中央でかち合う。
破壊力は略互角だったらしく、互いにかち合った衝撃で弾かれるが、其処から体勢を立て直して今度は乱打戦が展開!目にも留まらぬ拳と蹴りによる
格闘の芸術とも言える攻防が繰り広げられる。


『何とー!高町ヴィヴィオに、アインハルト・ストラトス、互いに力を解放したかと思ったら、此れまで以上の激しいバトルが大展開だーーー!
 しかもヴィヴィオは、フリッカー主体の牽制打撃ではなく、豪打のアインハルトと真正面からガチでやり合っている!
 稀代のカウンターヒッターは、牽制以外でも自ら攻撃を行うインファイトをも身に付けたと言うのか!?だとしたら、此れは面白い事になりそうだー!』



更に、MCさんの言うように、今のヴィヴィオは、本来のカウンタースタイルではなく、アインハルトと真っ向からの殴り合いをしているインファイトスタイル。
6年前の時の様な、ノーヴェからの言い付け破りではない――聖王の力を解放したヴィヴィオは、弱点だった非力さとセイクリッドディフェンダー頼みの防
御の弱さが完全に克服された状態なのだ。
言うなれば、この状態のヴィヴィオは、嘗てゆりかご内部でなのはと死闘を演じた『聖王ヴィヴィオ』に近い能力であるのだ――尤も、その凄まじい力を
得るための代償は、決して安くはないが。


『…っと、此れは如何言う事だ?
 ダメージエミュレートが発生していないにも拘らず、ヴィヴィオのライフが減っているぞ~~?』



ヴィヴィオ:LP30000→15000


そう、ヴィヴィオの聖王モードは、アインハルトの覇王モードとは違い、圧倒的な力を得る代わりに自身の体力を大きく消耗してしまうのだ――DSAAルー
ルに於いては、ライフ値が半減するのである。
普通に考えれば、耐久力とパワーを得る代わりに体力半減と言うのは、費用対効果が若干釣り合わないと感じるだろう。

だが、ヴィヴィオに限ってはそうではない。


「せいや!!」

「!!」


――バババババババババババ!!!


ガンガンと正面から打ち合っていたヴィヴィオとアインハルトだが、突如ヴィヴィオが戦闘スタイルを本来のカウンターに戻し、豪打から速射のフリッカー
に変えて来たのだ。
そして、此れが聖王モードのヴィヴィオの強みでもある。
聖王を解放したヴィヴィオは、殴り合い上等のインファイトも、本来のスタイルであるカウンターも、その両方を自在に使い分ける事が出来るのだ。
加えて、本来のカウンターはノーヴェから徹底的に鍛えられているのは勿論の事、インファイトに関しても稼津斗から空手をメインに徹底的に鍛えてもら
ったので、インファイトのレベルも可成りの物だ。

文字通り血のにじむような努力の末に、身に付けた力だけに、其れは実に強力。
インファイトとカウンターを自在に切り替えられると言うのは、相手にとっては……特にアインハルトの様な生粋のインファイターにとっては厄介な事この
上ないのだから。

考えて欲しい、カウンター型の相手が行き成り打って出て来たり、逆にインファイターが牽制メインでカウンターを狙ってきたら戸惑わないモノだろうか?

答えは否だ。

事前に戦闘スタイルの変更を知っていたのならば兎も角として、実戦でいきなりそれをやられたら、幾ら何でも面食らうと言う物だ。
其れは、ジークを倒してディフェンディングチャンピオンとなったアインハルトであっても変わらない――ヴィヴィオの行き成りのスタイルチェンジに虚を突
かれ、一瞬ではあるが完全に無防備な姿を曝してしまう。

其れは本当に一瞬であり、並の格闘家では何も出来ないだろうが、格闘を始めてから10年間、徹底的にカウンターを磨いて来たヴィヴィオにとっては、
この上ない好機に他ならない!


アクセルスマッシュ……クアドラプル!!!


――バキ!ベキ!!バコ!!!ドガァァァァ!!!!


僅かに出来たその隙を見逃さずに、4連発のアクセルスマッシュをカウンターでブチかます!



アインハルト:LP30000→20000



そして、其のカウンターは4発全てが的確に入り、アインハルトのライフを大きく減らす事となった。
1万ポイントの減少と言う事は、1発当たりのダメージ量は2500ポイント……決して小さなダメージでなかったのは間違いない事だろう。



『入ったーーー!!
 ファーストダメージは高町ヴィヴィオが、アインハルトに1万ポイントと言う凄い数値で叩き込んだーーー!!
 だがしかし、此れだけのカウンターを受けても、チャンピオンのアインハルトはダウンしない!否、後退したものの、全く持って健全そのものだーー!』


しかし、大ダメージが入ったにもかかわらず、アインハルトは僅かに後退しただけで、ダウンはおろか体勢を崩す事もなかった。
単純なタフさだけでは、今の攻撃を耐える事は出来ないだろう――つまり、アインハルトには生来のタフさ以外の『何か』が備わっているのである。



「今の一撃、堪能させていただきました……実に素晴らしい攻撃でした。」

「呆れた頑丈さ……って言うか、此れを喰らって平然としてるって、アインハルトさんの身体ってどうなってるんですか!?」

「さぁ、どうなっているのでしょうか?自分でも分かりません。」


しかし、其れが何であるのかは、アインハルト本人にも分からない事であるらしい。
何れにしても、アインハルトをKOするのは簡単ではないのだろう……このアインハルトは、最悪の場合残りライフが1ポイントで踏みとどまって戦う事が
出来るのだから。

尤も、ヴィヴィオならば、最強のカウンターでその1ポイントを0に出来るのかも知れないが、何れにしても其れは簡単な事でないのは間違いない筈だ。
ならば、此処から――


――カーン!


と言う所で、第1ラウンド終了のゴング――決着は、第2ラウンド以降に持ち越される事になった。
だがしかし、次の第2ラウンドは、ヴィヴィオもアインハルトも最初から全力でぶつかるのは間違いない……故に、次のラウンドこそが事実上の最終ラウ
ンドと言っても過言ではないだろう。


「勝負は、次のラウンドまで持ち越しですね……」

「でも、次のラウンドで決めますよ?」

「勿論、私もその心算です。」


ヴィヴィオもアインハルトも、闘気を抑えぬままにインターバルの為にリングを降りる……次の第2ラウンドが第1ラウンド以上に荒れるのは、如何やら決
定事項である様だ。








――――――








Side:ヴィヴィオ


まさか、アクセルスマッシュクアドラプルを真面に喰らってもダウンしないだなんて、アインハルトさんの頑丈さは本気でトンでもないよ。
思った以上に、手強いけど……だからと言って、負ける心算は毛頭ないけどね。


「まぁ、一筋縄でいく相手じゃねぇだろあいつは、何たって最強のチャンピオンなんだからよ――其れは其れとして、インターバルでも聖王モードは解除し
 ねぇのかヴィヴィオ?」

「一度聖王モードを解放したら、インターバルも其れを維持するのがベストなんですよクロウさん。」

聖王モードを解放してると、インターバルでの回復も小さくなるんですけど、一度解除してもう一度解放したら、またライフが半減するから、聖王モードを
維持した状態でインターバルを過ごした方が得なんです。――結果として、ライフは増える訳ですからね。



「成程な……でもまぁ、其れなら確かに聖王状態でインターバルを過ごすのが吉だな。
 チャンピオンは、第1ラウンドで受けたダメージはインターバルでは回復しないって言う制限があるから、お前が少しでも回復すればライフポイントの差
 は、殆どなくなるからな……次のラウンド、思いっきりブチかましてやれ!!」

「はい!勿論、その心算です!!」

私の持てる力の全てを、次のラウンドでアインハルトさんにぶつけてきます!!


「ラウンド2!両者、リングに!!」


ヴィヴィオ:LP15000→19000
アインハルト:LP20000


運命の第2ラウンド……行きますよ、アインハルトさん!!











 To Be Continued… 








*登場カード補足