Side:レーシャ
第1ラウンド終了時のインターバルではライフが回復しないアインと、インターバルでの回復が出来たヴィヴィのライフは殆ど差がないから、第2ラウンド
が事実上の最終ラウンドになるのは間違いないわね。
実力伯仲の2人だけに、結果を予測する事は出来ないんだけど、達人である稼津斗師匠からしたら、どっちが勝つと思う?
「其れは、俺にも分からないな。
一撃の重さではアインハルトに分があるから、豪打が直撃すればアインハルトだろうが、ヴィヴィオは徹底的にカウンターを磨いて来たから、カウンタ
ーが良い感じに入ればヴィヴィオの勝ちもありうる。
だから、どっちが勝つとは一概に言い切れないんだよ。」
「あ、師匠でもそうなんだ。」
という事は、この第2ラウンドは、きっと物凄い戦いになるのは間違いないわ。
何よりも、覇王と聖王が対峙している以上、この戦いが凡戦になるなんて言う事自体があり得ない――目指せ、年間ベストバウトよ!
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow116
『This is gonna be a match to remember』
ヴィヴィオ:LP19000
アインハルト:LP20000
No Side
状況だけ見るならば第2ラウンドであるが、きっと此れが事実上のファイナルラウンドだと言うのは誰よりもヴィヴィオが思っている事だろう。
大きな理由として、第2ラウンド終了時のインターバルからはチャンピオンも回復できるので、第2ラウンドをガードで固めて逃げ切れば、ライフを大きく
回復できるんからだ。
尤も、アインハルトがそんな事をしない事など分かり切っている。
真正面から自分と向き合ってくれる筈だから、自身もこのラウンドに持てる力の全てを注ぎ込んでアインハルトを超えると考えているからこそのファイ
ナルラウンドと言う意識なのだ。
「……行きますよ、アインハルトさん!」
「受けて立ちます、ヴィヴィオさん!」
そして、このラウンドがファイナルラウンドと言う意識をもって居るのはアインハルトとて同じだ。
ヴィヴィオの友として、ライバルとして、そしてインターミドルのチャンピオンとして、第2ラウンドを防御に徹して守り切ってのライフ回復等と言う、王者ら
しからぬ戦い方をする心算は毛頭ない。
ヴィヴィオが真正面から打って来るなら、自分もまた真正面から応えるだけ――それが、ハードヒッターの正しい応え方だと思っているから。
「覇ぁ!!」
「せい!!」
双方共に、このラウンドが最後と思っているから、第2ラウンド開始後は初手からトップギアでぶつかり合う。
2人とも同時に踏み込むと、リングのほぼ中央で、ヴィヴィオの肘とアインハルトの拳がかち合い、その衝撃で互いに仰け反るも、すぐさま体勢を立て
直して、今度はアインハルトの踵落としとヴィヴィオのアッパーが交錯!
互いに掠った程度なのでライフに影響はないが、此処から第1ラウンド以上に凄まじいインファイトでの打ち合いが開始される。
ヴィヴィオもアインハルトも、攻撃と防御を同時に行う、攻防一体の戦い方で、互いに決定打を与えずに只管に拳を、蹴りを、肘を、膝を繰り出し、そし
てガードする。
其処には、互いに一歩も退かずに、目の前の相手を全力で倒すと言う思いのみが存在しているかのようだ。
『これはーーーー!何と言う凄まじい打ち合いだーーー!!
何と言う凄まじい迫力!手に汗握る緊張感!!これぞ格闘の真骨頂!!否が応でも会場の熱気は急上昇の上げ幅天井知らず状態の大熱戦!
テレビ観戦して居る人達は、今直ぐ管理局ロビーに集合して、超高品質8Kヴィジョンで此の臨場感を体感して欲しいとすら思ってしまう戦いだー!
管理局のエース・オブ・エースを母親に持つヴィヴィオ!アインハルトのインターミドル最終戦の相手は、間違いなく最高の相手だぞーーーー!!』
その熱線に、会場も大盛り上がり。
割れんばかりのアインハルトコールと、ヴィヴィオコールが沸き起こって、会場は爆発寸前と言っても過言ではないだろう。
だが、そんな事は戦う2人にとっては関係ない。
何方が勝つのか、何方が強いのか、其れを決めるために激しい打ち合いを繰り返す――が、此処で先に動いたのはヴィヴィオだった。
「貰った!!」
「しまっ……!」
打ち合いの中で、アインハルトが放って来たストレートに対して、カウンターでの真空投げを繰り出して空中に放り投げる。
そして、其処に追撃すべく自らもジャンプするが、そう簡単にやられるアインハルトではない。
「そう簡単には行きません!!」
「へ?」
――ドゴォォォォォォォン!!!
追撃してきたヴィヴィオに対して、強烈な打ち下ろし式のナックルを繰り出し、自身を追ってきたヴィヴィオを文字通り地面に叩き落して大ダメージを叩
きこむ事に成功したのだ。
ヴィヴィオ:LP19000→14000
「(カウンターのカウンターは、流石に効いたなぁ……やっぱり凄いよアインハルトさんは。)
今のは効きました、アインハルトさん。聖王化で防御が底上げされている上に、咄嗟にセイクリッドディフェンダーも使ったって言うのに5000ポイント
も削られちゃいましたからね……見事な豪打ですね。」
「矢張り咄嗟にディフェンダーを使いましたか……手応えの割にダメージが少なかったので、そうではないかと思いましたが。
ですが、私は稼津斗師匠から『鎧通し』を教えて貰っています――まだ不完全ですが、それでも防御の上からある程度のダメージを与える事は可能
なんですよヴィヴィオさん。」
「鎧通しとは、また怖い技を使いますねアインハルトさん?……不完全だったのは、私にとっては幸運でした――だから今度は、バッチリ決めさせても
らいますよ、アインハルトさん!!」
――フッ
しかし、アインハルトの着地と同時にヴィヴィオが消えた。否、目にも映らない高速移動でアインハルトの背後を取り、再び真空投げで放り投げる。
そして今度は格闘での追撃をするのではなく……
「レイジングストーム!!」
魔法攻撃で追撃!
射撃系の攻撃ならば、旋衝破で打ち返す事の出来るアインハルトとは言っても、嵐のような魔力の流れを受け流して打ち返す事は土台無理がある。
結果、ガードしてダメージを軽減したとは言え、ライフを大きく削られる事になった。
アインハルト:LP20000→15000
「お見事ですヴィヴィオさん……それでこそヴィヴィオさんです。私が絶対に負けたくないと思った、最高の好敵手です!」
「其れは私もですよアインハルトさん……此の試合、私は絶対に勝ちたい!勝って、アインハルトさんからチャンピオンを引き継ぎたいです!!」
其処からは、今度は互いにノーガードの殴り合い!
ヴィヴィオは聖王化による防御の上昇とセイクリッドディフェンダーでダメージを最小限に抑え、アインハルトは持ち前の打たれ強さが覇王化で強化さ
れている事で、矢張り被弾の割にダメージは大きくない。
「飛燕三連脚!」
「サマーソルトシェル!!」
ヴィヴィオ:LP14000→(色々削られて)5400
アインハルト:LP15000→(やはり色々削られて)5700
それでも、ノーガードで戦って居る以上、被弾を避ける事は出来ないので、ヴィヴィオもアインハルトも、その攻撃の激しさに比例するように、凄まじい
勢いでライフが減少し、あっという間にライフは4桁に!
しかしそんな事は関係ないとばかりに、互いに打つ!打って打って打ちまくる!!
此れだけ打ち合っているにもかかわらず、クラッシュエミュレートが発生していないという事が、互いの防御の凄さを物語って居るとも言えるだろう。
だが、互いにノーガードでの打ち合いの中で、今度はアインハルトの方から動いた。
「!?」
「行きます!」
ヴィヴィオのフリッカーをスウェーバックで躱した次の瞬間に――
「覇王……断空拳!!」
――ドッゴォォォォォォォォォォォン!!
覇王流の最大奥義である断空拳が炸裂!!
ヴィヴィオ:LP5400→100
如何に聖王化で防御を引き上げた上でセイクリッドディフェンダーを使ったとは言っても、鎧通しの効果を持った断空拳の威力を殺しきる事は不可能。
寧ろライフが100ポイント残っただけでも御の字だ。
だがしかし、転んで只で起きるヴィヴィオではない。
其れ以前に、ヴィヴィオは本来はカウンターヒッター……つまり、相手が強力な攻撃をして来た時ほど、その進化を発揮すると言っても過言ではない!
「効きましたが……此れはお釣り分です!!アクセルスマッシュ……クアドラプル!!」
――バキ!ガス!!ドガ!!!ドガァァァァン!!
アインハルト:LP5700→4500→3100→1600→200
大ダメージを受けながらも4連続のカウンターをブチかまして、アインハルトのライフを残り200まで削り取って見せたのだ。
『凄い!凄いぞアインハルト!!そしてヴィヴィオ!!
彼是6年間インターミドルの実況をやっているが、此れだけの戦いは3年前のジークvsアインハルト以来だーーーー!!
だが、互いにライフは風前の灯火!最後は如何なる攻防が行われ、そしてどんな決着を見るのかーーーーー!!!』
これで、ヴィヴィオとアインハルトは共に、一撃が必殺になるライフとなった。
となれば、此れまでの様な打ち合いは出来ないが……そうであるにも拘らずヴィヴィオとアインハルトの顔には笑みが浮かんでいた――其れは、格
闘家が、最高の相手と戦っている時にのみ浮かべる事が出来る笑み。
ヴィヴィオもアインハルトも、この戦いは十二分に堪能してたのだ――だからこそ、最後となるであろう次の一撃に己の全ての力を注ぎ込む!!
「きっと次が最後ですね……なら、最後は派手に力比べと行きませんかアインハルトさん?」
「異論はありません……最後は、派手に行きましょうヴィヴィオさん。」
――轟!!
言うが早いか、2人は魔力を高め、アインハルトの周囲にはエメラルドグリーンの魔力が逆巻き、ヴィヴィオの周囲には虹色の魔力が逆巻く。
此れだけで、最後の一撃のぶつかり合いは凄まじい物になると言うのは言うまでもない。
「行きますよアインハルトさん!!ディバイン……バスターァァァァァァァァァァァ!!!」
「受けて立ちますヴィヴィオさん!覇王翔哮拳ーーーーーーーーーーーーー!!!」
最後の一撃として放ったのは、ヴィヴィオはなのは直伝のディバインバスターで、アインハルトは稼津斗直伝の覇王翔哮拳!
持てる力の全てを注ぎ込んだ2つの砲撃は、リングのほぼ中央でかち合い、其のまま押し合いを開始したが、何方も一歩も退かない好勝負である。
正に意地と意地のぶつかり合い!
技の威力が互角である以上、後は何方の気持ちが強いか、其れが勝負の分かれ目だろう――普通ならば。
「覇ぁ!!」
だが此処で、アインハルトが更なる力を発動した事で、その拮抗は破れた。
新たな力を発動したアインハルトの肌は浅黒く染まり、頭髪は真っ赤に染まっている……そう、アインハルトは『殺意の波動』に目覚めたのである!!
だがしかし、其の力に飲み込まれる事なく、凶暴な力を完全に制御している様だ。
その証拠に、瞳は紅く染まっても理性は失っていないのだから。
稼津斗から、『内に殺意の波動』を内包している事を聞かされた後に、其の力を忌避する事無く、其れもまた己だと割り切って修行を続けて来た事で、
稼津斗ですら手間取った『殺意の波動』を自在に操り、其の力のみを引き出す事に成功していたのだアインハルトは。
そして、そうであるのならばヴィヴィオにとっては何とも有り難くない――アインハルトは、聖王化した自分を上回っていたのだから。
「その力まで使いこなしてたとは……お見事です。」
「可成り手こずりましたが……ですが、これで終わりです!!」
――ゴォォォォォォォォォォォォォォォ
覇王化+殺意の波動の覇王翔哮拳は、ヴィヴィオのディバインバスターを押し返し、そして呑み込みヴィヴィオに直撃する。
如何に、聖王化+セイクリッドディフェンダーで防御が究極的に高まったとは言え、残りライフが100ポイントで此れを喰らっては堪らないだろう。
「あぁぁぁあーーーーーーー!!!」
ヴィヴィオ:LP100→0
覇王翔哮拳が直撃してヴィヴィオのライフは0に!
この瞬間に、アインハルトがチャンピオンのままインターミドルを引退する事が確定した訳だが、この戦いは何方が勝ってもオカシクないと誰もが思うだ
けの物であったのは間違いないだろう。
ただ少しだけ、アインハルトの方がヴィヴィオよりも上だった……其れだけだったのだから。
「負けちゃいました……やっぱり、アインハルトさんは強いですね。」
「殺意の波動の制御が出来て居なかったら、負けていました――やはり、貴女は最高の友ですヴィヴィオさん。」
試合が終われば、互いの健闘を称えての握手――これぞ好敵手同士の戦いの結果と言えよう。
そして、此の試合は年間ベストバウトに選出され、更にアインハルトは前人未到のインターミドル4連覇+チャンピオンのまま引退の偉業を成し遂げて
暫し時の人となるのであった。
――――――
Side:レーシャ
此れは……なんとも燃えるバトルを魅せてくれたじゃないの?
勝ったのはアインだけど、今の試合は何方が勝ってもオカシクなかったわ――アインが勝った事で、チャンピオンに挑むのは容易じゃないって言う事
が示されたけどね。
だけど、それを見ても私は揺るがない。――其れ位じゃないと、相手にならないでしょう、お父さん?
「………」(コクリ)
こっちを見て頷いたって言う事は、つまりそう言う事だよね――受けて貰うよ、私の挑戦を!!
インターミドルは、アインが最強のまま引退しちゃったけど、デュエルはそうは行かない――何よりも、10年以上チャンピオンを務めて来たんだから、そ
ろそろ世代交代の時期だよお父さん!!
この6年の間に、私だって強くなったからね――お父さんのスターダストを、私の銀河眼が粉砕するよ!!
例え親子であっても、デュエルは手加減なしの全力全壊!!その上で、お父さんを超えないと意味は無いからね――勝たせて貰うよお父さん!!!
そして、勝つ事が、私にデュエルを教えてくれたお父さんへの最高の恩返しになるんだろうからね!
To Be Continued… 
*登場カード補足
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