No Side


――キィィィィン……!


朝早く、ハイウェイを疾走する1台のDホイール。
操縦するDホイーラーの顔は、フルフェイスタイプのヘルメットで覆われている故に判別する事は出来ないが、同乗している男子と女子の存在が、このD
ホイーラーが誰であるのか、其れを示していた。


「ハーイ、到着!」

「ありがとうお姉ちゃん。」

「サンキュー。レーシャ姉。」


そう、このDホイーラーの正体はレーシャ。
6年の時が経ち、16歳となったレーシャは、16歳の誕生日を迎えた直後にDホイールの免許の取得に乗り出し、そして見事免許を取得したのだった。

で、最愛の妹と弟であるシュタームと遊陽も今年で8歳となり、嘗てレーシャが通っていたのと同じ学校に通っている。
毎日のように、シュタームと遊陽の2人を送り届けている事で、レーシャはこの学校におけるちょっとした有名人となっている(OGである事も関係している
のだが)のである。

そして余談だが、成長したレーシャは、何と言うかプレシアではなく、大人モードとして使用していたはやての姿に近い姿となっていた。
内包する遺伝子はプレシアであっても、生活環境で外見は変化するのだという事を、如実に表したと言っても過言ではないのかも知れない。


「それじゃあ、今日も頑張ってね2人とも。」

「「うん!」」


遊陽とシュタームを送り届けたレーシャは、其のまま自分が通うハイスクールへと向かう。――その姿に、魅入られた小学生(主に男子)が多数居るのだ
が、其れは今は無視しておこう。

何れにしても、此れが、6年を経たこの世界の日常の風景なのであった。









遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow114
『The Next Generation』










Side:レーシャ


あっと言う間の6年だったけど、この6年の間には色んな事があったわね。
私達がインターミドルデビューをした翌年には、フーカって言う子がナカジマ道場の門弟になって、でもってリンネとか言う奴が現れて……その年のインタ
ーミドルでミウラを倒したけど、ヴィヴィがフルボッコにしたわね。
その後に、道場にやって来たけど、これまたフーカとの一騎打ちで負けたからね……ぶっちゃけて言うと、あの脳足りん眼鏡コーチがリンネの才能を潰
してたとしか思えないわね。

『才能が全て』っていう考え方だったみたいだしね。
確かに才能は大事だけど、ヴィヴィみたいに努力で才能を上回る事は出来るし、才能の上に努力を上積みすれば、其れはきっと最強間違いなしだよ。
結果として、ナカジマ道場で腕を磨いたフーカが、リンネを上回った訳だから。

ま、その試合の結果で、フーカとリンネが(私は聞いただけだけど)、昔の関係に戻れたって言うのなら、悪い事じゃないわ。
そんな事があって、リンネもナカジマ道場に移籍してくれたから、ナカジマ道場の選手層も可也厚くなったから、チーム戦にも登録が出来るようになった
訳だからね。


他にも、アインがアンダー15の大会を総なめにしてワールドチャンピオンになり、挙げ句の果てにはジークが引退の年には、インターミドルの決勝戦で
其れまで無敗を守って来たジークを完全にKOして、新たなインターミドルの覇者となったしね。
で、以来アインは、インターミドルの覇者として君臨してる――そのせいで、私もヴィヴィもミウラも、決勝に駒を進めてるにも拘らず、優勝経験は0!!
アインの壁は、物凄く分厚いって実感させられたわ。
結局今年のインターミドルも、準決勝でアインに敗退。ミウラも、ヴィヴィに準決勝で敗退して、今年の決勝はヴィヴィとアインのライバル対決であり、何時
からか、インターミドルの黄金カードになってる組み合わせね。

まぁ、アインが2連覇を達成してから、ベスト4はチームナカジマが独占してるんだけどね。

そんな私も、6年前にデュエル・インターミドルを制してからと言う物、公式デュエルでは勝率9割超の成績で、デュエル・インターミドルの6連覇を達成!
16歳になって、Dホイールの免許も取ったから、今年こそはいよいよお父さんに『ライディングデュエル』で挑戦する事が出来る――公式デュエルで『チャ
ンピオン』への挑戦って言う形で!
もう、10年以上チャンピオンの座に君臨してるんだから、そろそろ世代交代の時期に来てるんじゃないかなぁ~~~って、勝手に思ってますし?

そんな私は現在何してるのかと言うと。

「Remunantoの効果で攻撃力が0になったキメラテック・オーバー・ドラゴンを、銀河眼の閃光龍で攻撃!『滅びのシャイニング・ストリーム』!!」


――ドゴォォォォォォォォォォン!!


「いってれぼ!?」
軽薄な金髪チャラ男:LP1500→0



告白してきたチャラ男をデュエルでコテンパンにして返り討ち。てか幾ら何でも弱すぎ――T&Hに来る小学生の方が遥かに強いとだけ言っておくわ。
デュエルで勝てばって思ったんだろうけど、生憎アンタと私じゃ、デュエルにおける年季が違うし、そもそもにしてネットにアップされてる『未来オーバー』
のデッキレシピを、そのまま使って私に勝てると思ってんの?
てかさ、アンタ先週はヴィヴィに、先々週はコロナに、更にその前の週はリオに告白して玉砕してなかったっけ?……幾ら何でも節操なさすぎじゃない?



「俺の心が叫ぶのさ……美女に愛を叫んで己の手の内に納めろと!」

サンダーレイジ!!

「みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「……高町にブッ飛ばされて、ティミルのゴーレムに踏みつぶされて、ウェズリーに燃やされて、今度は不動にデュエルで負けた上に雷直撃かよ……
 馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、此処まで来ると馬鹿もある意味で表彰もんじゃね?」

「見習いたくねーけどな、同じ男として。」



その気持ちは分かるわね。
マッタク、これに懲りて、自分の好みの女の子に手あたり次第告白するの止めなさいよ?そんな事ばっかりやってたら、何れ誰からも相手にされなくなっ
ちゃうんだからさ。

そんじゃまぁ、此れの相手も終わった事だし帰るわね?
って言うか、其れのせいでヴィヴィ達に先にナカジマ道場の方に行って貰って訳だから、あんまり待たせるのも悪いんで――だから、其れの処理宜しく。



「おー、任せとけ。保健室に放り込んどきゃ勝手に復活するだろうからな~。
 不動も、トレーニング頑張れよ~~。」

「うぃ~~っす、頑張って決まっす!」

さて、Dホイールを吹かして行きますか……あのチャラ男のせいで、10分も遅れちゃったからね!



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でもってナカジマ道場でのトレーニング……とは言っても、今はインターミドルの決勝戦を戦うアインとヴィヴィの最終調整が主になってて、私はヴィヴィ
の、ミウラはアインのスパーリング相手になってる。



「変身した俺と互角に戦うとは……腕を上げたな、アインス……!」

「ふふふ……何時までも負けている訳にもいかないのでね。」



……別のリング――と言うか特注製の専用リングで稼津斗師匠とアインスさんが人外バトル繰り広げてるのはこの際無視するけどね。
と言うか、お父さんが道場内にスターダストの『ヴィクティムサンクチュアリ』を疑似再現するバリア発生装置を設置してなかったら、此の2人の戦いの余
波で道場が吹っ飛んでるだろうからね……少しは自重してよ、無限バグと公式チート。

まぁ、其れは其れとして、アインとの決勝戦を前にヴィヴィは絶好調みたいね?
フリッカーの切れが物凄く良いし、アクセルスマッシュを放つタイミングも的確――『光速の世界』に居る私だから躱す事や捌く事が出来るけど、相当なレ
ベルの選手でも、このヴィヴィの攻撃を見切るのは難しいんじゃないかしら。

其れにヴィヴィには、この光速フリッカーと必殺のアクセルスマッシュ系の他に、カウンターの投げと一瞬で相手を放り投げる真空投げがあるから、攻撃
のバリエーションも豊富だしね。
尤も、其れを言ったらアインも稼津斗師匠の技の殆どを覚えて、そして自己流にアレンジを加えて使ってるから、打撃と魔法が主体とは言え、アインの攻
撃もまたバリエーションが豊富な訳なんだけどさ。

でも、そんな2人の戦いだからこそ、観客を魅了して、そして黄金カード何て呼ばれるようになったんだと思うわ。



「行くよレーシャ!」

「来い、ヴィヴィ!!」

レイジング……ストォォォォォォォォォォム!!

「おぉぉぉぉ……喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇえぇ!!!


――ドガァァァァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!


んで、スパーリングは私のオロチナギと、ヴィヴィのレイジングストームがかち合った所でタイムアップで……引き分けだった。
良い具合に仕上がってるじゃないヴィヴィ?全身に雷を纏って放つ、私の『MAXオロチナギ』に打ち負けないなんて、余程の威力のある攻撃じゃないと
出来ない事だよ?……この調子なら、今年こそアインに勝つ事が出来るんじゃない?



「如何かなぁ?アインハルトさんも、強くなってるから、其れは如何とも言えないよ。
 でも、アインハルトさんは今年が最後の大会だから、引退前に一度は公式戦で勝ちたいとは思うけどね……うぅん、絶対に勝つんだ!!」

「その意気よヴィヴィ♪」

アインは今年で19歳だから、今年が最後のインターミドルだからね。
3年前のジークvsアインの時みたいに、ヴィヴィが世代交代を成すのか、それともアインが絶対王者のままインターミドルを引退するのか――同門対決っ
て言う事もあって、あの時以上に盛り上がるのは間違いないでしょうね、今年の決勝戦は。



「はぁ、はぁ……流石です、アインハルトさん。」

「はぁ……はぁ……いえ、貴女もお見事でしたミウラさん……おかげで、最高の最終調整が出来ました。」



アインの方も絶好調みたいだからね。


因みに、特注リングで行われていた人外バトルは、稼津斗師匠が『覇王翔哮拳』を、アインスさんが『デアボリックエミッション』をぶっ放そうとした瞬間に
私の銀河眼の閃光龍と、コロナのゴライアスを乱入させて事前に攻撃を中断させました。
幾らお父さん製のバリア発生装置が有っても、チートとバグの最強攻撃が放たれたら耐える事は出来ないと思うからね。

で、師匠とアインスさんは、その後ノーヴェに滅茶苦茶説教されてましたとさ。








――――――








Side:ヴィヴィオ


そして訪れたインターミドルの決勝戦当日――すでに会場は大入り。
決勝戦をアインハルトさんと戦うのは、此れが2回目だから緊張はしないけど、まさか此処まで大入りになるとは思ってなかったよ……此れは、超満員札
止めって言う奴なのかな?



「かもな。
 だが、客に気圧されるなよ?お前はお前の戦いをやりゃあ良いんだ――アインハルトに一泡吹かせてやんな。」

「頑張るっすよ、ヴィヴィ!」



うん、頑張ってきますクロウさん、ウェンディ!



『レディース&ジェントルメン!!いよいよインターミドルも決勝戦だーーーーーー!盛り上がっていくぞーーーーー!!
 今年の決勝戦を戦うのは、ジークを倒して以来3連覇中のアインハルト・ストラトスと、その同門の高町ヴィヴィオのインターミドル黄金カードだーー!
 公式記録では、アインハルトの全勝だが、非公式の試合も含めれば戦績は五分との話もある!それだけに、此の決勝戦の行方は分からないーー!
 アインハルトがライバルを下して史上初の4連覇を達成するのか!それともヴィヴィオがアインハルトの牙城を崩して新たな王者となるのか!?
 インターミドル史上、最高にして最強の戦いの幕開けだーーーーーーーーーーーーー!!!!』




あはは……相変わらず煽るなぁMCさんは。
でも、そのお蔭で会場の熱気は最高ムードだし、私の方もギアが温まって来たから、最初からトップギアでアインハルトさんと戦う事が出来そうだよ。



「私にとっての最後のインターミドル……その最後の相手が貴女であった事を神に感謝しなければいけないかもしれません。
 私の武の道はマダマダ続きますが、インターミドルは此れが最後です――だから、最高の勝負をしましょうヴィヴィオさん。悔いが残らないように。」

「勿論ですアインハルトさん!――だから、御託は要りません!」

「でしょうね……アインハルト・ストラトス参ります!!」


『Round1、Fight!!』



アインハルト:LP30000
ヴィヴィオ:LP30000



アインハルトさんの最後のインターミドル……正直な事を言えば、勝てるかどうかは分からないけど、でもアインハルトさんが気持ちよくインターミドルの
舞台から去れるような戦いをしないとだね。
だから6年間のあの時の、私が『黒いバリアジャケット』を纏って挑んだ時以上に、私の思いを込めて行かせて貰います、アインハルトさん!!












 To Be Continued… 








*登場カード補足