Side:レーシャ


戦技披露会での、ヴィヴィとミウラの試合は、1ラウンド目から牽制も様子見も無しの、文字通りの真正面からのぶつかり合いになって来たわね此れは!
柔と剛のぶつかり合いだけど、やっぱりヴィヴィとミウラは『かみ合う』わ――見てても、飽きないもの。

ヴィヴィの柔がミウラの剛を制すか、或はミウラの剛がヴィヴィの柔を折るか……どっちにしても、この戦いの決着が一撃による一瞬でつくのは間違いな
いから、コンマ1秒も目を離すことが出来ないわ。

何よりも――



「本番は此処からです、ヴィヴィオさん!!」

「受けて立ちます、ミウラさん!!」


――轟!!



現在リング上で対峙してるヴィヴィとミウラが、これ以上ない位にやる気十分だから、きっとこの試合は普通には終わらない。下手をしたらリングが完全に
吹っ飛ぶかもしれないからね?

尤も、そうなったらそうなった時で、何とかして下さいお母さん。



「その辺は任せとき。色々培ったコネとか何とかを使えば、会場の破損なんぞは、取るに足らん事やからな~~~……ま、私を信じてっていう所やな。」



で、何とかできるんですね……流石は歩くロストロギアの名は伊達じゃないわ。
加えて、お父さんがシールドウィングを展開して、更にかかし先生を3枚伏せたのが見えたから、此れなら会場が吹っ飛ぶ事はないから、いっその事リミ
ッター解除して、戦うのも一つの手なのかもしれないわ。












遊戯王5D's×リリカルなのはViVid  絆紡ぎし夜天の風 Rainbow103
『最強の豪打vs究極のカウンター!』











No Side


戦技披露会におけるエキシビジョンマッチのヴィヴィオvsミウラは、格闘ファンを中心に大きな盛り上がりを見せていた。



当然だろう。
此の試合は、ヴィヴィオからしたら、インターミドルでの敗北を清算するリベンジマッチに他ならないのだ――なれば、インターミドルファンが此処に詰めか
けて来るのは納得だ。

尤も、そのインターミドルファンの中にも、ミウラファンとヴィヴィオファンが入り混じっているので、双方に対する歓声は五分五分と言った所だろう。

だが、だからこそ試合は拮抗しているのだろう。



「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



ヴィヴィオもミウラも、互いに攻めてはいるが、ヒットした攻撃の何れもが、判定の足しにもならない程度の微妙なヒットであり、相手に大ダメージを与える
ほどのモノではないのである。
ともすれば、此のままの泥仕合でドローになるのかも知れないが、ヴィヴィオもミウラもそんな結末はマッタク持って望んでいない!!

そんな中で、先に仕掛けたのはミウラの方だった。
持ち前の超速一足飛びを使って、ヴィヴィオに肉薄すると、其のまま凶器の右足をヴィヴィオに炸裂!!
ミウラは稀代の重撃使いだけに、その本気の一撃は50mmの装甲版であってもスチロールの様に砕くことが出来る故に、其れを真面に喰らったらKO
は免れないが――



――カシィィィィン!



まるで流水のような滑らかな動きで、その重撃を受け流したヴィヴィオは無傷。そう、ガードするのではなくて受け流したのだ。
元々ヴィヴィオは見切りが使えるため、相手の攻撃はその殆どが『見えて』いると言って過言ではなく、だからこそ魔力を防御に全振りした『セイクリッド
ディフェンダー』での的確な防御が可能だった。
だがしかし、聖王と化して居た時ならばいざ知らず、今のヴィヴィオ自身の防御力は決して高くなく、セイクリッドディフェンダーの完全防御をも突き破る程
の攻撃を喰らった場合は、即KOされかねないのだ。

そこで、新たに身に付けたのが『見切り』を最大限に生かした、合気柔術の『捌き』だ。
相手の攻撃を円運動で受け流す事で、相手の攻撃の威力を完全に逃がしてしまう『柔』の防御である。(ガードは『剛』の防御である。)
此れならば、魔力は必要ないし、自分は円運動で動いているために、直線的な豪打を打ってきた相手に対して完全にカウンターを仕掛けることが出来る
のだ。


「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


実際にヴィヴィオも、ミウラの背後を取るとそこから猛烈なフリッカーの連射をカウンターで叩き込む!正に『カウンター・マシンガンパンチ』だ。
否、その拳打の速度は、最早一般的なフリッカーとはおよそ別物の速さの拳――言うなれば『ガトリングガン・フリッカー』とも言うべき代物である。

そして、如何にミウラが頑丈とは言え、こうも連射されては堪らない。
1発1発の威力は高くなくとも、秒間5発の拳打を受け続ければ、塵も積もれば山となるの如くにダメージが蓄積されて行き、今この場では倒されなくとも
後半にかけて、響くダメージとなってくるのだ。


「あぐ……」


その打撃を目一杯背に受けたミウラは、ダウンしそうになるが、今のヴィヴィオはそうは問屋が卸さない!!


「マダマダぁ!!雷鳴轟破投げぇ!!!


ダウンしかけたミウラを掴むと、其のまま強引に持ち上げてそのままリングに叩き付ける!
これでミウラは2度目のダウンとなり、ポイントではヴィヴィオが有利になったが――


――スッ!


叩き付けられたミウラは、ダウンカウントが入る前に立ち上がって復帰!
ダウン判定になったのは間違いないが、ダウンカウントが入らないのであれば、同じダウンでもヴィヴィオに入るポイントは可成り小さくなる――如何や
らミウラの打たれ強さと頑丈さは相当なものであるらしい。
若しかしたら、頑丈さだけならばなのはやヴィータとタメを張る事が出来るのかも知れない。


「1カウントも取れないなんて……こういう言い方はアレですけど、ホント呆れた頑丈さですねミウラさん?」

「僕も頑張りましたから。
 尤も、此処まで頑丈になるまでに、アインスさんに10回ほど殺されかけましたけど……って言うか、シャマル先生が居なかったら確実に死んでたんじゃ
 ないかな~って思いますよ。」

「うわ~~~……なら、その頑丈さも納得ですよ。って言うか、何やってんですかアインスさん……」


尤も、その頑丈さは如何やら文字通り命懸けで会得したモノであるようだが……まぁ、コーチの1人が、嘗て封印指定を受けていた魔導書の管制人格で
あるのだから、仕方ないのかも知れないが。



――カーン!



だが、此処からと言う所で第1ラウンドが終了。
傍目に見れば、2度のダウンを奪ったヴィヴィオの方が有利に見えるだろうが、恐るべき頑丈さを誇るミウラには、実は其処まで深刻なダメージになって
はおらず、このインターバルでほぼ回復するだろう。

其れは、客席で観戦している彼女達の友には分かっていた。


「ポイントではヴィヴィオが有利だけど……」

「ミウラには決定的なダメージが入ってないから、次のラウンドまでには略回復するわ――頑丈なだけじゃなくて、ミウラは回復力もハンパ無いからね。」

「次のラウンドは、打ち合いになりますね。」


特にレーシャはミウラと、アインハルトはヴィヴィオとガチでやり合った事があるから、その強さと言うモノを十二分に知っている故に、次のラウンドは荒れ
ると予測していた。



――カーン!



其の予想は的中し、第2ラウンドが始まると同時に、今度はヴィヴィオとミウラは正面から小細工無しでの打ち合いを展開していた。
手数ではヴィヴィオが、一撃の重さではミウラに分があるこの打ち合いは、文字通りの真っ向勝負!!ヴィヴィオの拳が、ミウラの蹴撃が、息つく暇もな
い位に交差する、ともすれば格闘ファン垂涎の攻防が展開されているのだ。

リング中央で、互いに決定打を欠きながらも、しかしプロ顔負けの乱打戦を展開するヴィヴィオとミウラに、観客は完全に釘付けになっていた。それこそ、
はやてから『永久禁止カード』指定を受けている稼津斗ですら、この攻防を見入ってたのだから。


だが、この乱打戦は、少しばかりミウラの方に分があったようだ。
手数では負けていても、威力に関してはミウラの方がヴィヴィオを圧倒的に上回る故に、やろうと思えば相手の攻撃ごと強引に蹴り飛ばす事は可能なの
である。



「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「しまったーーー!!」



打ち合いの中で生じた、僅かな隙を逃さずに、ミウラは必殺の蹴撃をヴィヴィオに叩き込んでダウン判定を獲得!これで、ポイント上は1ポイント返した状
態だ。1ポイント、されど1ポイント……判定になった場合には、この1ポイントが大きいのだ。



「流石はミウラさん、今のは効きました。」



しかしながら、ヴィヴィオは殆どダメージを受けずに即時復帰!!
実は、咄嗟にセイクリッドディフェンダーを展開して、受けるダメージを最小限に留めていたのだ――瞬時にその判断が出来たヴィヴィオの能力と言うの
は、途轍もなく高い物と言っても過言ではない筈だ。


「流石ですね、ヴィヴィオさん?」

「ミウラさんも凄いですよ?
 今の一撃は、セイクリッドディフェンダーの展開がコンマ5秒遅かったら確実にKOされていたでしょうから…やっぱり凄いですよ、ミウラさんは!」


それでも互いの顔に浮かぶのは笑み。
強敵との戦いが楽しくて仕方ない、武闘家特有の笑みがヴィヴィオとミウラの顔には浮かんでいたのだ。――ならば、トコトンまでやり合うしかない!!

其れを示すかのように、ヴィヴィオがダウン復帰した直後から、再び超高速の乱打戦が展開!!
ヴィヴィオの拳がミウラのガードに罅を入れれば、ミウラの重蹴撃がヴィヴィオの防御を少しずつ崩していくと言う一進一退の攻防!正に、珠玉の格闘戦
技と言うにふさわしい戦いだ!



――カーン



しかしここで、第2ラウンドが終了。
互いに決定打を欠いた戦いであった故に、決着が着かなかったのだろうが――



「多分次が最終ラウンドになると思うから……全力で行きます!!」


「きっと次がラスト……僕の持てる力の全てを出し切ります!!」



だからこそ、此の第3ラウンドがファイナルラウンドだと思っていた。
セコンドアウトから、第3ラウンドの開始が告げられると同時に、第2ラウンドを上回る程の乱打戦を展開し、互いに少しずつ、しかし確実に相手の体力を
削っていく。

その乱打戦の中で、先に仕掛けたのはミウラだ。
必殺の『抜剣』宜しく、一足飛びでヴィヴィオの懐に飛び込むと、其処から猛烈な蹴撃のコンボでヴィヴィオを攻め立てて行く。
無論、ヴィヴィオも只攻め込まれるだけでなく、セイクリッドディフェンダーを駆使して防御を固めて反撃の機会を待っている――カウンターヒッターは、一
撃でもカウンターを叩き込むことが出来れば、其れが勝利に直結するのだから。

尤も、其れを可能にしていたのは『絶対に逃げない』と言う、ヴィヴィオの心構えなのだが。



「はぁ!!」



そんなヴィヴィオに、突如として好機が訪れた。
ミウラが勝負を決めようとはなったハイキックを、スウェーバックで避けた事によって、ミウラには決定的な隙が、完全にボディががら空きな状態になった
のである。

当然ヴィヴィオは、其れを見逃さずに、ガラ空きのボディに必殺のカウンターを叩き込まんとするが――



「流星……轟龍!!」



其れこそがミウラの罠だった。
ミウラは敢えて大振りを外す事で、相手の反撃を誘い、逆に其処に超絶重い踵落としを叩き込んだのだ!!
人体でも最も固い部分の一つである踵での攻撃は、素人が見様見真似で使っても充分な破壊力がある。――だからこそ、ミウラレベルのハードヒッター
が使った場合の破壊力は計り知れない。



『だだだ、ダウーーーーーン!!!
 ミウラ・リナリディの強烈な踵落としが、高町ヴィヴィオの脳天に炸裂して、ヴィヴィオは強制ダウン!!――これは、カウントが必要なのか~~!?』



同時にその一撃は、ヴィヴィオにとって、致命傷となるような一撃であったようだ。
何故なら、ミウラの何時激を真面に喰らったヴィヴィオは、リングにうつ伏せになった状態で、ピクリとも動いていなかったのだから……













 To Be Continued… 








*登場カード補足