Side:レーシャ
デュエルインターミドルの準決勝は2日後なんだけど、そのタイミングを狙ったかのように、管理局の戦技披露会がやって来たわ――まさかと思うけど、お
母さん、裏で手回ししてないよね?
「してないと思うか?」
「うん、思わない。」
「どがーん!言いきられると流石にショックやけど、手を回して戦技披露会を、デュエルインターミドルのベスト4のデュエル前に持って来たんは確かやで。
此処に持って来れば、レーシャとコロナも戦技披露会を見る事が出来るし、応援する事だって出来るやろ?」
「まぁ、そうだけどね。」
だけど、お母さんのその判断は間違ってないと思うかな?――ヴィヴィとミウラの戦いを見逃す事なんて絶対に出来ないからね!!
何よりもミウラとの戦いは、ヴィヴィにとってはリベンジマッチになる訳だから、絶対に負ける事は出来ないからね…なら、徹底的に喰らい付けヴィヴィ!
確かにミウラは、類稀な豪打の使い手だけど、ヴィヴィのカウンターなら其れを超える事が出来る筈だからね!!
遊戯王5D's×リリカルなのはViVid 絆紡ぎし夜天の風 Rainbow102
『戦技披露会:究極の柔と剛』
さてと、スピードと動体視力ならヴィヴィに、パワーと頑丈さならミウラに分があるこの戦い――恐らく総じて戦えば略五分と五分になるのは間違いない。
でもって、ヴィヴィとミウラの戦いもまた、私とミウラの戦い同様にスピードvsパワーの構図。
違うのは、私もミウラも自分から攻める『ファイタータイプ』なのに対して、ヴィヴィはカウンター主体の『ディフェンダータイプ』って所。ヴィヴィは『打たせず
に勝つ』タイプだからね。
時に『打たせずに勝つ』って、何処かで聞いた事がある言葉なんだけど、何処でしたっけお母さん?
「プロボクサーのモハメド・アリやろ?蝶の様に舞い、蜂の様に刺すってやつや。
尤も、ヴィヴィオの場合は『燕の様に舞い、隼の様に狩る』って所やけどな?」
「或は、ハーピィ・レディの様に舞い、青眼の白龍の様に打ち砕くでも良いかもしれないな。」
「……時々お父さんのセンスが分からない時があります。いや、言わんとしてる事は分かるんだけど、ヴィヴィって攻撃力3000レベルに強いかなぁ?」
「カウンター限定で攻撃力3000だ。」
「あ、其れなら納得。」
「流石は遊星、的確だな。」
あ、師匠!セコンドに付いたんじゃなかったんだ?………てか、何持ってんですか?
「観戦用のビールと焼き鳥。観戦する時は此れに限る。
まぁ、其れは良いとして、カウンター限定の攻撃力3000の評価は間違いじゃない。実際に、今のインターミドルの出場選手の中で、ヴィヴィオ以上に的
確なカウンターを決められる選手など居ないからな。」
「ヴィヴィのカウンターは其処までレベルが高いんだ……」
「あぁ、至極高い。
もっと言うなら、この戦技披露会の為に、俺が新しいカウンターを教えてやったし、ノーヴェの奴も新兵器を授けたみたいだから、おそらくインターミドル
の時とは比べ物にならない程にヴィヴィオは強くなってるさ。
尤も、守護騎士達に鍛えられたミウラもまた、インターミドルの時とは別人かも知れないがな。」
って事は、インターミドルの時とは比べ物にならないバトルが展開されるって事よね?……其れだけで燃えて来るわ!!
ヴィヴィはリベンジを、ミウラはナカジマジム移籍前の、八神道場として最後の試合になるからどっちも勝ちたいのは同じな訳だしね――此れはどっちか
だけを応援する事なんて出来ないわ!!
月並みだけど、どっちも頑張れ!!
「両者前へ!!」
「「…………!!」」
んで、リング中央で視線をぶつけ合うヴィヴィとミウラ……ぶっちゃけて言うと、大凡十代女子の出せる闘気じゃねーわ此れ……其れだけ本気って言う
事なのかもしれないけどね。
「試合開始!!」
そして始まった試合。
ヴィヴィとミウラの戦いは、ヤッパリ私の予想通りに『力と速さ』のぶつかり合いになった……果敢に攻めるミウラに対して、ヴィヴィはあくまでもガードを固
め、一瞬の隙を狙った一撃必殺技のカウンターで流れを引き寄せる心算だね。
だけど、ミウラの豪打はガードしても、ガードポイントにダメージを残す位に凄まじいから、長引くとガードの上から削り倒される危険があるんだけど――
――フッ……
――グワン!!ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
って、なに今の!?
ミウラの蹴りを、ヴィヴィが回転しながら躱して、其のまま攻撃の威力を利用した投げで、リングに叩き付けた!?――ように見えたんだけど、師匠!!
「大体合ってる。
より正確に言うなら、ミウラの蹴りを、自ら回転する円運動で躱して1回転すると同時にミウラの胸倉をつかんで、ミウラ自身の蹴りの勢いと、ヴィヴィオ
自身の回転のエネルギーを利用して投げたって所だ。」
「凄い……若しかして、此れが師匠の教えた新たなカウンター?」
「正解。相手の攻撃の力を利用して投げ飛ばす、柔の奥義『真空投げ』だ。
単純な威力で言うなら打撃でのカウンターの方が強いが、投げのカウンターは、打撃と違って1カ所ではなく、身体を大きく打ち付けるためにダメージの
割にスタミナが奪われるんだ。
特に、カウンターで投げられると、受け身も取り辛いからな。」
うわ、それ凄く怖い。
って言っても、ミウラも天性の頑丈さがあるから、投げのダメージは有ってないようなものだし、スタミナだって抜群にあるから、投げのカウンターだけじゃ
決定打にはならないでしょうね。
まぁ、その為にノーヴェの新兵器があるんだろうけどさ。
でも、ヴィヴィに秘密兵器があるって言う事は、ミウラにだって当然秘密兵器があるって考えるのが普通だよね?……それを考えたら余計に楽しくなって
来るじゃない!!
んで、今更なんだけど……良いのか此れは?
『イネガ~~♪』
「「ねが~~~~~♪」」
「えぇんとちゃう?遊陽とシュタームは楽しそうやし、バーサーカーもご満悦やしな。」
「いっその事、私のジャンク・バーサーカーはベビーシッターとか、保育士の資格取った方が良いんじゃないかな?冗談抜きの割とマジな話としてさ。」
『ネガ?』
まぁ、遊陽とシュタームとバーサーカーが良いなら何も言わないけどね。
何にしても、此の試合は、インターミドルの時以上の物になるのは間違いない――だから、互いに全力でやっちゃいなさい、ヴィヴィ!ミウラ!!
――――――
Side:ミウラ
まさか、投げでのカウンターをしてくるなんて…カウンターは打撃だけだって言う先入観を完全に突かれた感じだね――カウンター投げのレベルも高いし。
まぁ、僕の頑丈さはザフィーラさんが太鼓判を捺してくれるくらいだから、カウンター投げ位じゃダメージにはならないんだけど、カウンターの2択って言うの
は、攻める側からしたら嫌な事この上ないかな……反撃の一手が読めない訳だし。
でも、だからって退く気はない!!
ヴィヴィオさんがカウンターを誇るなら、僕はそのカウンターすら砕いて相手を倒すだけですから!!僕は僕のパワーを信じて戦うだけです!!
其れに、如何にカウンターで投げられようと、絶えず攻撃を仕掛けていれば、必ず僕に流れが傾く時が来る……その時からが僕のターンですから!!!
デヤァアァッァァァアッァァ!!!!
――パァン!!!
「へ?」
い、今の衝撃は!?
決して大きなダメージじゃないけど、僕の意識の外から放たれた今の一撃は、一体……ヴィヴィオさんが放った攻撃なのは間違い無いんだけど―――
「フッ!」
「!!!!」
――パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパァン!!!
此れは、フリッカージャブ!!
斜に構えた状態で、打ち手を振り子運動させながら放つ、出所と軌道が読めない超高速の打撃!!――只でさえ読み辛いこの攻撃に、ヴィヴィオさんの
天性の当て勘が有れば、其れは必中の打撃に他ならない!!
凄く厄介だけど、逆に言うなら、僕との戦いの為にヴィヴィオさんは鍛えて来てくれたんだ……なら、僕だって出し惜しみは無しです!!
――スカ
って、渾身の回し蹴りが回避された!?……此れは拙いかも……
「アクセルスマッシュW!!!」
――バキィィィ!!ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
「あが!!」
な、何て言う超速の2連撃……正直言って、速過ぎて一発にしか見えなかった。
レーシャさんとはまるで違うけど、ヴィヴィオさんもどちらかと言えばスピードの格闘家だから、見えない2連撃くらいは、やろうと思えば出来るのは道理!
勿論、其れは僕にとっては有り難くないし、笑える状況じゃないんだけど……だけど、やっぱりヴィヴィオさんとの戦いは楽しい!!楽しすぎて、笑みが浮
かぶのを抑えきれない!!
「これで終わりじゃないですよね、ミウラさん?」
「勿論……本番は此処からですよ、ヴィヴィオさん!!」
其れはヴィヴィオさんも同じみたいだ……なら本番は此処からですヴィヴィオさん!!互いに出し惜しみなしで、本気でやりましょう!!!
「全力全壊で?」
「全力全開で!!」
「なら、応えますよミウラさん!!と言うか、全力全壊はママの専売特許であると同時に、私が受け継ぐものだから、文字通り全力全壊で行きますよ!」
何となく『全開』が『全壊』になってるような気がするんだけれど…気にしたらきっと負けですねウン。――何にしても、僕の本気をぶつけるのみです!!
行きますよ、ヴィヴィオさん!!!
To Be Continued… 
*登場カード補足
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