Side:なのは


『で、あるからして――現在の時空管理局における機動六課の有用性は最早疑う余地はないと思われる。
 此れだけの成果を上げている精鋭部隊に対し、管理局内で一定以上の権限を有する独立部隊とするのは当然ではないか?』


え〜〜っと、このお髭のオジサン…レジアスさんだっけ?物事を見る目を持った人だね。
機動六課の事を、ちゃんと評価してる――多少誇張評価も入ってるみたいだけど。

だけど、六課がレジアスさんの言う通りの成果を上げてる部隊だって言うのも事実――流石は機動六課の後見人を務めてるだけの事は有るよ。


「噂以上の豪傑だな彼は。
 見てみろ、彼の迫力に押されて他の連中は碌に異を唱える事も出来ないじゃないか……此れが役者の違いと言うやつかな?」

「だろうな……っと、骨がある奴もいるみたいだぞ?反論するらしい。」


『だが、逆にそれだけの部隊は脅威ともなりうる!
 権限を認めるなどとんでもない!反対に、枷を嵌めて此方で動かせるようにしておくべきだ!!』

『其れは、機動六課が管理局内での一大勢力となると、己の派閥に影響が出るからかな?
 ワシの記憶が確かであるなら、君は確か最高評議会の派閥に属して居る筈だったな?
 ワシに言わせれば、君の属する最高評議会こそ枷を嵌めて自由を奪い
――最終的には解体すべきモノだと思うが?
 正直最高評議会の行って来た事は、到底認められぬ非合法な事が多いようだからな?…管理局の健全運営の為にも解体を検討すべきだな。』

『何を世迷い事を……非合法な事など、最高評議会が何をしたと言うのだ?』

『ほう?其れをこの場で明らかにしても君は一向に構わないと?』

『ぐぬ…』



けど反論も実らなかったね……本当、ルナの言う通り役者が違いすぎるよ。
最高評議会の派閥の中で、ぬくぬくと漁夫の利を得てた人じゃ、管理局を真に思っていた人には敵う筈がないもの。

あ、陸の局員に化けたドゥーエさんも強烈にレジアスさんを援護射撃してる。
公開意見陳述会の会場では、取り敢えず最高評議会派閥が圧倒的劣勢になってるのは間違いないみたいだね。











魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福97
『トオルゲツヲツメハ』










今のところ、こっちも敵影は確認してないけど、サイバー上は如何かなクアットロ?


『ぐ…はぁはぁ…矢張りなのはお姉さまに呼び捨てにされるのは堪りませんわ……
 んん、サイバー上も今のところは一切問題ありませんわなのはお姉さま
――まぁ、矮小なウィルスが2、3匹来ましたけれど即刻駆除しましたわ。』


お見事……並のコンピューターウィルスじゃジェイルさん、ウーノさん、そしてクアットロさんのファイアーウォールを突破出来るとは思えないの。
仮に突破しても、その時は即刻大量のワクチンプログラムが投与されてウィルスは生き残る事なんて出来ないからね。

そうなるとサイバーワールドからの攻撃は略不可能と見て間違いないと思う。
となれば残された手段はこの会場を物理的に襲撃する事だけど、それもさせない――私達が此処を通さないから。

それに、物量にモノを言わせて私達の攻撃から逃れても、其の後にははやてちゃんが率いる最強の機動六課が待ち構えてる。
この2段構えなら私達が負けるなんて事は先ず無い筈――




――
なのに、私の胸からは不安が消えてくれない。

うぅん、私だけじゃない……きっとルナも同じ不安を感じてる――言い様のない、何かとんでもない事が起きるんじゃないかという不安を。


「漠然とした不安――怖いか?」

「ルナ…!!…怖いって言うか不気味かな?――正体が分からないって言うのが不気味極まりないよ。」

せめて正体が分かればこの不安もなくなるんだけどね…
でも大丈夫だよ、こんな得体の知れない不安如きで私は揺るがないから。


「ふん……お前が揺るぐはずがないだろう?
 お前とルナが居て、私まで一緒に居るんだ。どんな相手でも全て返り討ちは間違いない。」

「うん…そうだよね。」

ルナとサイファーが一緒なんだから、私達が負ける事なんてない。
何が来ても、誰が来ても……必ず返り討ちにする―――よし、大丈夫!余計な不安とはさようならだよ!

レイジングハート、バスターカノンモードをセットアップしてドラグーンとイージスを展開。
敵が来たら直ぐに対処できるようにしておいて。


『All right Master BusterCannon set up.』


此れで準備は万端。
ルナも月影を出しているし、サイファーもライオンハートを二刀流モードで直ぐ使えるようにしてる……一切の隙は無いね。

此処は絶対通さない……だけど、願わくば何も起きずに公開意見陳述会が終わってほしいと思うのは、きっと間違いじゃないよね…








――――――








Side:雷華


ん〜〜〜〜〜…ねぇ、へいと〜〜〜、僕物凄くひま〜〜……警備って言っても何も来ないじゃん…僕達居る意味ある?


「念には念をだよ雷華……この公開意見陳述会には最高評議会の息が掛かった局員も参加してるから、警備を強化してし過ぎる事は無いと思う。
 其れに、何かあったときには私達が戦闘の要になるんだから退屈でもお仕事だから我慢しなきゃ――それからへいとじゃなくてフェイト。」

「しょうがないじゃん、こういう性格なんだもん。あと、ふぇいとって如何しても言い辛いから『へいと』になっちゃうんだ。」

頑張って言えるようにしてるんだけど、むずかしいよ〜〜。
間に小さな文字が入ってなければ簡単なんだけど、『へ』と『ふぇ』は未だにうまく使い分けられないんだよね〜〜。

其れから、暇なのもそうだけど僕お腹減った〜〜!
ねぇ、へいと〜〜、お仕事はちゃんとするからお弁当に持ってきたおにぎり食べても良い?お腹ペコペコじゃいざという時に力でないよ〜〜!


「しょうがないなぁ……但し、誰にも見つからない様にこっそりね?」

「は〜〜い♪」

うんうん、へいとは話が分かるな〜〜♪流石は僕のオリジナルだ。

もぐもぐむぐむぐ…ん〜〜〜、やっぱり王様が作ってくれたおにぎりは最高だな〜〜♪
もぐもぐ、ゴックン!うん、ごちそうさまでした!此れでしばらくは大丈夫だ。

んで、お腹いっぱいになった所であらためてこうかいいいけんちんじゅつかいってのを見てみると……れじあすのおじちゃんに反論してるのってバカ?
何て言うか反論内容が日々撃滅でいみわからないぞ?


「『支離滅裂』だね……確かに、発言すればするほど墓穴を掘ってるかもね。
 レジアス中将は、陸のトップで真に管理局の事を考えてる人だから、自分の言う事に何処から突っ込まれても対処できるだけのモノがある。
 だけど中将に反論してる最高評議会傘下の局員には下地が無い――所詮は最高評議会の傘下で苦労を知らないから発言に中身が無い。」

「中身…僕でもなんとなくわかるかな〜〜?
 何て言うか、アイツ等の言ってることってさ、れじあすのおっちゃんの言ってることに対して、え〜と…そう、ほしんの為に反論してるみたいじゃん?
 本当に管理局やみっどちるだの事を考えてるとはおもえないんだよね〜〜。」

まぁ、僕的にはさいこーひょーぎかい=ナノハとるなを殺そうとした碌でもない奴だから滅殺は確定なんだけど。


……何だかこの場に居るさいこーひょーぎかいの連中に手加減なしの電撃かましたくなってきた……


「お、落ち着いてね!?そんな事したら、評議会に六課を潰す理由を与えちゃうから!!」

「だいじょーぶ…そんな事しないって。ただ、そんな事したくなるくらい僕はアイツ等の事が大っ嫌いなの!」

「…其れはまぁ、私もだけどね…」


へいとだって偽プレシアがあいつ等の所に居る事にそーとー頭に来てるもんね――できるだけ早く…


――カチャ…


ん?なんだ、今の音?
何か金属をいじるような音が―――あ、あのおばさんからだ。


「雷華、あの人がどうかした?」

「うん…何か、あのおばさんから金属をいじるような音が…」


――カチッ…


まただ…って言うか聞いた事があるぞこの音は?どこかで…え〜と……そうだ、あの音はぴすとるの撃鉄を上げる音!!
あのおばさん、まさかれじあすのおっちゃんを!!

そんな事させるか!うおりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!


――ドガァァアン!!


「く…イキナリ何をする!!」

「ウルサイ、お前こそ何する心算だ!ぴすとるの撃鉄なんて起こして!」

「「「「「!!!!!」」」」」


お〜〜〜、みんな驚いてる?
てか、おばさんも『何でわかった』って顔かな?

ふっふっふ、自慢じゃないけど僕の耳はねこ科の野生せーぶつ並に鋭いって言われてるんだ、撃鉄起こす音くらい聞き分けられるのさ!

へいと、このおばさんの服の中探って!絶対ぴすとるある筈だから。


「うん。失礼しますよ?」

「や、止めろ!こんな事をして只で済むと思っているのか!?」

「大人しくしなさい、見苦しいですよ――やましい事が無いのならば、大人しく身体検査を受ける事が出来る筈でしょう?」


ナイスだぞおーりす!
そうそう、おとなしくしろ〜!うしのめがいたい事がないなら慌てる必要なんてない筈だぞ〜〜!


「『後ろめたい』だよ雷華………ん?あった……此れを所持していた理由を聞かせていただけますね?」


やっぱり…僕の耳はたしかだった!
携帯に便利な小型銃…でりんじゃーだっけか?こんなもの使って何するつもりだったんだよ〜?


「し、知らない!私はこんなもの……お、お前達が私を嵌めようとして!!」

「往生際が悪いにも程がありますよ?…詳しい話は取調室でたっぷりと――


――ドガァァァァァァァァァァァン!!!!!


「「「!!!」」」


なんだよ今度は……爆発?
此れは若しかしてアレか?『爆破てろ』って言うやつなのか!?


――ドン!ドォン!!ドドドドォォォン!!!


更に色んな所で!!!
最初の爆発に驚いて、みんな避難を開始してるけど――やばいって、逃げ遅れたら閉じこめられちゃう!

「おーりす、れじあすのおっちゃんと脱出して!2人は閉じこめられたら自力で脱出手段がないから!!」

「…く…確かにそうですね…。先に避難すると言うのは些か気が引けますがそうさせていただきます。
 ですが、貴女達もどうか無事で…!」


大丈夫だって!
僕達なら、仮に閉じこめられても自力で脱出できるから――だから、君達は早く逃げて!


「えぇ……では、外で。」

「はい、外で…必ず。」







よし、2人とも脱出したな〜?
まぁ、2人が此処から出てった途端に避難路の入り口は瓦礫で塞がれちゃたけどね…王様達は大丈夫かな?

ううん、僕達と同じで此処に閉じ込められたって考えた方が良いよね?
ならやる事は1つ、邪魔な瓦礫を吹き飛ばしながら王様達と合流する!!いくぞへいと!


「うん…!」


先ずは外に出てふぉわーどの皆と合流しなきゃ。
この爆発はさいこーひょーぎかいがやったと思って多分間違ってない――こんにゃろう、絶対ブッ飛ばしてやるからな〜〜!!








――――――








Side:ルナ


「会場で爆発だと!?」

あらかじめ爆発物が仕掛けられていたって言うのか?
いや……局員に変装して潜り込んでるドゥーエからの報告だと、会場内に不審なモノは見つからないと言っていたが…


『やられましたわ…』

「如何したクアットロ?」

『完全に出し抜かれましたわ……私達がプログラムに干渉する前に、既にセキュリティシステムはウィルスが感染してたんですわ。
 それも発動までは分からない様に…セキュリティプログラムの一部に成りすましていたウィルスが…!!
 其れが発動し、セキュリティシステムと連動していた防災扉や防災シャッターのシステムを破壊して爆発を誘発したんですわ!
 ……く…気付けなかったとは、このクアットロ一生の不覚…!』



そんな方法で……ならば気付けないのも仕方ないさ、お前のせいじゃない。
起きてしまった事を悔やんでも仕方ない――破壊されたプログラムを元通りに構築しなおす事は可能か?可能ならば最短どれくらいで出来る?


『!!…構築しなおす事は可能ですわ――ですが、此処まで破壊されていると私とドクター、ウーノお姉さまが一緒になってやっても最低30分は…』

「20分でやってくれ。」

『其れは幾らなんでも無理ですわ!!』

「30分と言えば35分掛かる――20分の心算で25分なら上出来だ。」

『〜〜〜!!無茶言ってくれますわね……けど、上等ですわ…20分で上げてみせますわ!!!』


その意気だ、頼むぞ。

さてと、会場が爆破攻撃をされたとなると、こっちにもガジェットや人造魔導師が来るはずだ。
現れたら、只の1機も1人も残さずに叩きのめす……行けるな、なのは、サイファー?


「勿論……こんな事をして只では済まさせないよ!」

「いっそのこと勝負するか?私達3人の中で、誰が一番多くの敵を倒したかを。」


良いかもしれないが…数えるのが面倒なくらいの数が来たみたいだな。
如何少なく見積もっても100機は下らないか……ならば先ずは広域の空間攻撃で数を減らす――ブライト!!


『All right.Tran-S・A・M Standby.Drive ignition.』


――轟!!



来たれ白き闇。万物を飲み込み、塵すら残さず全てを無に帰せ。滅ぼせ…無界!!


『Die.』


此れで大幅に数は減らせたが……矢張りまだ湧いて来るか。
なのは、サイファー、各個撃破だ。此れだけの物量が相手では、3人で固まっているよりも散開した方が効率が良い。


「そうだね……だけど、気を付けてね――何が出て来るか分からないから。」

「何が出て来ても斬り伏せるだけだ……ポンコツの残骸と人造魔導師のなれの果てを大量に作って脳味噌共に己の愚かさを教えてやるさ。」


そうだな…其れが一番だ。
兎に角、可能な限り撃破する!私達の撃ち漏らしは六課に任せる心算で挑まないと、この物量には対処しきれないだろうがな。


「消えろ…ディバインバスター!!!」

『Divine Buster.』


それにしても何て言う数だ……なのはがはやて嬢に『AMFキャンセラー』のデータを渡していなかったら六課は終わっていたんじゃないか?
……美由希と将が物理的に斬り倒しそうな気はするが、それでも苦戦はするだろうしな…多分、きっと。

と、人造魔導師まで来たか…!

「目障りだ…消え去れぇ!!!」


――ドゴォォォォン!!


悪いがお前達に慈悲は無い……意志なき最高評議会の駒など、来る端から叩き潰して――


――ガキィィン!!


「……………」

「お前は…!!」

この間の寡黙な魔導師か!……また見える事になるとはな…。
だが、逆に好都合だ――この間は取り逃がしたが、今回はそうは行かない……此処でお前には沈んでもらう。


「……………」
――チャキ


「語るなら剣と拳で語れか?……異論はない。私としてもそちらの方が分かり易いのでな!!」

さて、始めようか寡黙な魔導師よ――己が存在を掛けた『死合』と言うモノをな!!
だが、私は負けん……お前の事は今ここで落とさせてもらう!!








――――――








Side:???


ふむ…公開意見陳述会の方は中々派手な事になっているようだねぇ?…喜ばしい事だ。
向こうが派手になればなるほど、私も動きやすい――と言うかそのおかげでここまで来れたのだからねぇ?

成程、此れが最高評議会の正体か……脳髄だけで生き続けるとは愚かにも程があるんじゃないかな?



まあ、何にせよ、君達には此処で死んでもらうとしようかな?
世界は何時までも君達のような老害が支配する物じゃあないからねぇ?……まぁ、精々欲に溺れた自らの欲望を悔いてくれたまえ。


――チャキ


『『『――――――!!』』』


「エクリプスドライバー専用の武器『ディバイダー』…その試作品だが、君達でその性能を試すとしよう。」

光栄に思いたまえ…君達如き老害が、新たな世界を作り出す力の実験体となれるのだからね。

「長年お疲れ様だ…君達はもう死んでも良いよ。」



――バガァァァアッァン!!



培養ポッドを一撃か…中々の性能だが、まだ改良の余地はありそうだね。

……培養ポッドから出されては生きる事は出来ないだろう?…その状態を生きていると称していいかは謎だけれどもね。

まぁ、此れで役立たずの老害は始末した――あとはエクリプスの有用性を示せば其れで良い。


その為にも精々頑張ってくれたまえよ、高町なのは、高町リインフォース・ルナ、サイファー…エクリプスドライバーたる者達よ…















 To Be Continued…