Side:なのは


現れたガジェットは、ざっと見て100機は下らないね。
六課の皆が来たとして、最低でも1人頭5機――増援や人造魔導師も来ることかもしれない事を考えると1人頭10って考えた方が良いかな?


「だろうな…だが、最低撃破目標数が10など、私達には準備運動にもならない数だ。
 ルナとドゥーエも別の場所で戦闘状態に入っているだろうしな――いっそ公僕共が来る前に終わらせるのもいいかもな?」

「確かに…其れも面白そうだね!」

行くよ、レイジングハート!面倒くさいことになる前に、纏めて叩き落とす!


『All right Master.Bastar Cannon Mode set up.』


さぁ、おいで機械人形。
人々の平和を脅かす者は、星光の殲滅者こと、白夜の聖王・高町なのはが塵すら残さずに消し去ってあげるから!!

「来るよ、サイファー!!」

「ふん、くず鉄が…本物のスクラップにしてやろう!!」


ディバイィィィン……バスタァァァァァァァァァァァ!!!!!











魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福92
『Holiday Crisis』










先手必勝とはよく言ったものだね――今のバスターで結構な数を減らしたけど…やっぱり出て来るよね、うじゃうじゃと。
正直鬱陶しいなぁ……最高評議会はおバカさんなのかな?

ガジェットなんて私達の敵じゃないことくらいは分かりきってると思うんだけど、それなのにこれを主戦力として投入して来るの?
其れじゃあ戦力を磨り潰すだけだよ?

「無事に帰る事が出来たら、貴女の親玉さんにそう伝えてくれる?」

「貴様…気付いていたのか!?」


馬鹿にしないでほしいなぁ?こう見えても潜ってきた修羅場の数は半端じゃないんだよ?
ガジェットに紛れてガジェット以外の戦力が攻撃して来ることくらいは予想できなくてどうするの?…ねぇ、戦闘機人さん?


「貴様…!!」

「そんなに怖い顔しなくてもいいのに…只でさえ男の人にしか見えない顔なのに、そんなに怖い顔してたら誰も女性と思わないよ?」

「余計なお世話だ!!」


あ、火が点いちゃった…意外と単純さんなのかな?
けど、戦場で熱くなるのは命取り――貴女もそう思うでしょ、サイファー?


「全くだな。」

「!?」

「甘いな…戦闘機人とは言っても実戦経験の少なさまでは補えんようだな。」


うん、良いタイミングだよサイファー。
それで貴女は如何するの?隠れていないで出ておいでよ、桜色の髪の戦闘機人さん。


「私にまで気付いていたのか…!!」

「もっと殺気を巧く扱えるようになった方が良いね…いくら姿を隠しても、やる気満々の殺気がダダ漏れじゃあ奇襲をかける事は出来ないから。」

まぁ、私だから気づけたんだけどね。
ルナとサイファーにドゥーエさんも気付くだろうなぁ…それ以外だとミユキお姉ちゃんとシグナムさんくらいは気付けるかな?

何にしても貴女達の能力そのものは高いみたいだけど、戦闘経験は皆無で、正直相手にならないかな?


「舐めるな…見たところお前は遠距離攻撃型だろう?ならば懐にさえ入ってしまえば…」

「楽勝か?私を忘れるなよ三下…生憎と私はバリバリの近距離型でな。」

「「!!!」」


そう言う事。
まぁ、私もクロスレンジは出来るけど、サイファーほどじゃあないからね――それでも貴女達には負けないけど。

さて、如何するの?
見たところ、貴女達は2人とも高速型の近距離タイプだけど、私とサイファーのコンビは言うならばオールレンジで苦手な距離は無い。

「シュート!」

「クロウラー!!」


「「!!!」」


こんな風にね。
私はクロスレンジも戦える砲撃型、サイファーはロングレンジ攻撃も出来る近接格闘型。
更にもっと言っておくと、私もサイファーも本気を出せば貴女達の倍は速く動けるよ。

「予想が違った?取るに足らない雑魚を始末しようとしたら…」

「出てきたのは己の力が及ばない絶対的な力を持った者達だった……己の浅はかさと親玉の馬鹿さ加減を後悔するんだな。」


それじゃあ報いを受けてもらおうかな?
正直言って8年ぶりの都会の雑踏やら何やらを楽しんでたのを邪魔されたのは滅茶苦茶業腹なんだよね…

「だからさ…少し頭冷やそうか?

『Cool Your Head.』

「「ひっ…!!」」


あはは…何を怯えてるのかなぁ?
大丈夫だよ、命までは取らないから……ちょ〜〜〜っとだけ痛い思いをしてもらうだけだから――



「ちょっと…か……お前の『ちょっと』は高層ビルを粉砕していたような気がするんだがな?」

「大丈夫だよサイファー…本当にちょっと…一軒家が塵すら残らず吹っ飛ぶほどの一撃を喰らわせるだけだから♪
 それに戦闘機人なら、生身の人間よりも耐久力高いから多分大丈夫だよ?」

「…まぁ、敵対者に慈悲は必要ないか……ならば私も一緒にやろうか?
 お前から教わった、最強レベルの砲撃を使う機会と言うのも中々ないものでな。」


うん、良いと思うよ?
って、逃げないでね♪


『Restrict Lock.』


――バキィィン!!!



「な、此れは…!」

「バインド!?…それも、相当堅い……!」


其れはそうだよ、私の最強技を放つのに必要な時間を確保する為に編み出したバインドだからね……最低でも10秒は身動きが出来ない。
そして、其れだけの時間、相手の動きが止まれば充分!

「それから、1つ大事な事を教えておいてあげる。
 戦いに巻き込まれただけの非戦闘員には逃げる権利があるけど、自ら戦いを仕掛けた戦闘員には戦闘から逃げる権利は存在しないんだよ。」

「まぁ、そういう事だ……精々、再調整でもしてもらうんだな。」


貴女達の親玉さんに伝えておいてね?『月と星は、お前達に対しては滅びにしかなり得ない』……って。
それじゃあ、またね――貴女達が再び戦いの場に出てこれたらその時に会おうか…


「「ディバイン…バスターーーーーーーーー!!!」」

『Good bye.』


――ドガァァァァァァァァァァン!!



撃墜完了。
転移魔法が発動しかけてたけど、バスターが着弾する方が僅かに早かったから逃げたとしても無傷じゃないね。


「しかし改めて思うが、恐ろしい破壊力だな此れは……最高評議会がお前を恐れるのも頷ける。」

「ルナの一発はもっとすごいよ?」

「だろうな………だが、其れだけに味方ならば頼もしい限りだ。
 戦闘機人は落としたが、お前の予想通りくず鉄共がうじゃうじゃと湧いてきたな――全て落とすんだろう?」


勿論一機残らず全て落とすよ。
それで、落としたのから順次ジェイルさんの研究室に転送してね♪


「…アイツ、今度は何を作る心算なんだ?」

「さぁ?」

何だろうね?まぁ、其れは出来てのお楽しみって言う事にしよう?……来たよ!!








――――――








Side:ルナ


疾走居合い!

グラウンドセイバー!


数だけは凄いな…所詮はくず鉄予備軍だが。
なのは達の方には、最高評議会配下の戦闘機人が現れたようだが、なのはとサイファーの敵じゃあないだろう。

そろそろと言ったところかな?
六課の皆も、休日返上で出てきたし…


「ぬぃがすわぁん!はっはっは〜〜!わぁっはあっははは!!ジュェノスワイドクァッター!!」


色んな意味で何か凄い人が出て来てるしな……若本ボイスは化け物か?

この状況下においても…やるのかお前は?


「…………」

「無言……退く気はないと取るが、構わないな?」

「…………」


――チャ…


あくまで語る言葉は持たないか――良いだろう、相手になってやる。
ドゥーエ、見たとおりだ…コイツの相手は私がするから、お前はガジェットを頼む。


「OK、任されたわ。
 けど気を付けて…アンタが負けるとは思わないけど、そいつは今までに戦った人造魔導師とは『質』が違う感じがするわ。」

「だな…無駄口を叩かず、虚勢を張らないだけでも大違いだ。」

だからこそ、状況を見極めて退いてくれるかと思ったんだが…其処までではないか。
ふぅ…あまり時間はかけたくないから速攻で行く。

奇しくもお前も居合いを得意とするようだからな…私も最速の剣をもってそれに応えようじゃないか。


「……………!!」

絶刀!!

速い…だが、絶刀の斬撃は一瞬千斬、避け切る事は――――


――瞬



!?馬鹿な、絶刀の無限の剣閃を潜り抜けてきただと!?……こいつ…!!


――ガキィィン!!


剣だけの勝負だったら危なかったが…生憎と私は拳と蹴りでの格闘戦も得意でね…隙有だ!


――ガキィィ…!


…略零距離での膝蹴りを止めるか…だが、此れならば如何だ!?


――轟!!


「!!」


至近距離での蹴り上げには流石に意表を突かれるだろう?
そして、そうなると如何しても一瞬とは言え確実に動きが止まる…1秒にも満たない間だが、一瞬でも止まればそれで十分だ!

デッドリーレェェイブ!!


――ガガガガガガガガガ…キィィィン…ドゴォォォン!!!


9連撃からのディバインバスターだ…効いただろう?


「…………」

「と思ったのだが、呆れた打たれ強さだな。」

打撃の点をずらして、バスターは微妙に軌道からずれたのか?…器用なものだ。
だが、如何に点をずらしたと言ってもノーダメージではない筈だ…まだやるか?


「……………」


――シュウ…


「消えた…」

転移か……引き際を見極めたのか、或は…なんにせよ此れでガジェットに集中できる。


しかし…一体何者だったんだアイツは?
今までの人造魔導師とはまるで違う――あの動きは一流の武芸者のそれだ…そうでなくてはデッドリーレイブの点をずらす事など…

どうやら、最高評議会とやらも只の馬鹿の集まりでは無いようだな…








――――――








Side:はやて


折角の休日に襲撃掛けてきよってからに、このアホンダラどもがぁ!!
王様とオーリスさんとの折角の懇親会がぶっ飛んでもうたやないか!!

まぁ、私等よりも早く『星光の殲滅者』達が事態に対処してくれたから、市民への被害は0言うのは喜ばしい事やな。

少しばかり出遅れたけど、六課の皆も夫々が巧くやってるから問題ないやろ。




にしても…

「王様、此れ確定やない?」

「だな。アレだけ高威力の直射砲はルナを除けばナノハにしか撃つ事は出来ん。星奈はまた別格だがの。」


うん、やっぱそうやな。
或はこれはなのはちゃんからのメッセージなんやろか?

星光の殲滅者は、私と王様が此処に来たのを確認すると戦い方をがらりと変えたからなぁ?
バランス型で戦ってたのが、いきなり桜色の砲撃を主力にした砲撃型に早変わりやからね。

けどや、星光の殲滅者がなのはちゃんやとしてもや…


『Kill You!Die!!Destroy!!!』


アレがレイジングハートやとしたら、随分とバイオレンスな性格になっとるなぁ?
あ、またガジェットが落ちた……ドンだけやねんなのはちゃん。

てかなのはちゃんで此れやったらルナさんはどないなんねん!!


…アカン、考えるの止めとこ。


「此れで最後!決めるよサイファー!!!」

「全力全壊だったか?ならば乗らせてもらおう!!」


「「全力全壊!!」」


――キィィィン…


え゛?…ちょお待って、何放つ心算やねん!!
魔力が!魔力が集中しとるで!?いや、集中どころか集まりすぎや!!!


「「スターライト…ブレイカーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」

「超必殺技かますな〜〜〜!!!!」

アカン、間違いなく星光の殲滅者はなのはちゃんや。
こんだけの…元○玉も真っ青な究極・至極・最強・無敵の集束砲を放てるのはなのはちゃん以外には存在しない筈や。

一緒に居った子も放ってたけど、質が段違いや。

今の一発でガジェットは全壊…新たに現れる気配はないみたいやな…


「掃討完了…戻ろうか?」

「だな。」


!!ま、待って!待ってや、シュテル…否、なのはちゃん!!
アンタはなのはちゃんやろ?そうなんやろ!?


「……今はそれには答えらえれない…けど答えを知りたいなら此処に来て。」


――ピッ


「…ホテルのラウンジレストラン…」

「来るなら必ず貴女1人で来てね?
 もし、他の誰かが居たら、その時点で私と貴女の会談はなかったことになるから……まぁ、貴女ならそんな心配はいらないだろうけど。
 其れじゃあ指定の場所で待ってるよ『はやてちゃん』……またあとでね。」


――シュゥゥ


待って!……行ってもうたか。


「うむ…だが、此れで星光の殲滅者=ナノハで間違いないであろう。」

「略100%な。」

やけど難しいのはこれからや…私の行動次第では、なのはちゃん達は敵になる可能性がある。


やけど退かへんよ?
此処で退いたら全てがお終いになってまう気がするんや。


だから私はなのはちゃんと会う!
要求通り1人で行ったるわ!!10年ぶりに親友と本気の言葉のぶつけ合い言うのも悪ないしなぁ?



待っとれよなのはちゃん、ルナさん!
アンタ達を次元犯罪者にはせぇへんからね……絶対に!!!!





因みにそれとは別に、レリックを強奪しようした敵さんを、スバルとノーヴェが中心にして撃破したやと?
思った以上に成長してるんやね。


だったら尚の事この会談は失敗は許されへん……

ふぅ……ほなら、夜天の主、八神はやて――白夜の王と会談すべく、いざ出撃や!!














 To Be Continued…