Side:リインフォース


 「ふぅ、此れでよし。」
 開店準備完了。
 週末は客が多いから特に念入りに準備をしておかないとな。

 「ご苦労様。相変わらず凄いなリインは。」

 士郎か。
 やるからには手を抜けないんだ。

 「成程ね。所で、桃子さんが呼んでいたよ?」

 桃子が?……まさか…
 「士郎、桃子は『ナニ』を持っていた?

 物凄く嫌な予感がする。
 何と言うか、この執事服のとき以上の嫌な予感が…

 「え〜と…『黒セーラー服』『茶ブレザー』『白学ランだったかな?」

 矢張りか!!と言うかそれは接客用の服か!?

 「そうじゃなければ上着と腰マント無しの戦闘装備でとも言ってたかなぁ?最近の桃子さんは楽しそうだなぁ…」

 士郎〜〜!頼むから止めてくれ〜〜〜!!!











  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福9
 『それぞれの邂逅』










 Side:なのは


 「「おじゃましま〜す!」」
 「失礼します。」
 「上がらせてもらうぞ。」

 「おじゃまします、と。」


 今日は星奈達と一緒にすずかちゃんの家に遊びに来てる。
 お兄ちゃんも、忍さんに会いに一緒に。

 「ようこそ、なのはさん、星奈さん、冥沙さん、雷華さん。すずかお嬢様とアリサさんがお待ちですよ。」

 出迎えてくれたのはメイドのファリンさんと、

 「待ってたわよ、恭也。」

 お兄ちゃんの恋人さんの忍さん。

 何て言うか、お兄ちゃんと忍さんはラブラブなの。
 このままだと忍さんを『お姉ちゃん』て呼ぶ日が来るのかな?

 「ナノハのお姉ちゃん?つまり何時かは僕達のお姉ちゃん?」

 如何なのお兄ちゃん?

 「う…いや、それは未だ先と言うか…」
 「あら?私は可愛い妹が4人も増えるなら大歓迎よ♪」
 「し、忍!?」

 あ〜…やっぱりこういうことに関しては忍さんの方が一枚上手なの。


 「さぁ、玄関ではなんですし、中へどうぞ。」

 いつ何時でもファリンさんはクールなの。




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 「で、如何なのよジュエルシードとやらの収集状況は?」

 「ペース的には悪くないかと。」
 「難を言うならば、発動してからでないと感知出来んと言う点だな。如何にも対応が後手後手になってしまう。」


 ファリンさんに案内されて、私達はテラスでお茶会の真っ最中。
 そんな中で、話題は私達が関わってる『ジュエルシード』について。

 アリサちゃんとすずかちゃんが直接的に出来る事は無いけど、それでも2人とも出来る事はしてくれるって言う。
 私は良い友達を持ったの♪

 「ねぇ、星奈ちゃん、暑くない?」

 「はい?私は大丈夫ですが?」

 すずかちゃんが心配するのは当然だよね。
 だって星奈の身体には…


 「「「にゃ〜〜〜ん♪」」」×沢山


 すずかちゃんの家の猫略全てがへばりついてるの…

 「星奈ん凄〜〜い!」
 「何故、私が此処まで懐かれるのか謎ですが…」

 「う〜ん…星奈は物静かだから猫も安心できるのかなぁ?」
 頭の上で眠ってる子も居るし。

 「くく、ユーノよ、貴様は星奈に感謝すべきだな?あやつがおらなんだら、貴様、猫共に玩具にされていたぞ?」
 「うん、帰ったらお礼言っとくよ…」


 危なかったねユーノ君♪


 「あの、流石にその様に動かれると髪が乱れるのですが…」
 「にゃお〜ん?
 「『にゃお〜ん?』ではなくてですね?」


 にゃはは、星奈頑張ってね…








 ――――――








 Side:リインフォース


 「…最初から此れを出してくれれば、私は別に拒否はしなかったぞ?」

 仕事が一区切りつき、ちょっとした小休止。
 今日は美由希も手伝ってくれた。

 「う〜ん…お母さんはリインの反応楽しんでる部分があるから。でも、良く似合ってるよその矢絣袴。」

 結局、最初セーラー服その他は冗談で、桃子の真の目的はこの袴だった訳か。
 確かに私の反応を楽しんでいる部分は有るな…悪意は全く無いみたいだが。

 しかし、変な服の最後には良い服が控えてる、一応は私に似合う物を選んでいるんだろうな。

 「で、今日は午前中だけで何人のお客さんに携帯番号聞かれたの?」

 「…14人。しかもその内10人が女性だった…」

 「うわぁ…

 何故だ?一応女なのだがな、私は…

 「う〜ん、執事姿も袴姿も、確かに同性が惚れるくらい格好良いのは認めるけど、その結果は予想外。」

 絶対に番号など教えないけどな。



 ――ヒィィィィン…



 …!ジュエルシードか。
 いや、1つはそうだが他の3つの魔力反応……此れは魔導師と使い魔か?

 「?何かリインやなのはと同じような気配がする。」

 「分かるのか美由希?」

 「何となくだけど。此れってジュエルシードなの?数は…えっと多分3つ?」

 3つ…美由希が感じ取ったのは魔導師の気配か。
 この辺は剣術で培った感覚の鋭さなのだろうな。

 「いや、美由希が感じ取った3つは『魔導師と使い魔』だ。ジュエルシードは…なのは達のすぐ近くだな。
  魔導師達の気配も2つはそっちに向かっているが…星奈達が一緒だから恐らくは大丈夫だ。」

 魔導師はテスタロッサ、使い魔の1つはアルフで間違いないだろう。
 残るもう1つの使い魔は…一体誰だ?こっちに向かっているようだが…

 「こっち?翠屋に?」

 「そうみたいだな……来たみたいだぞ?」



 ――ちりんちり〜ん



 「…猫か。」

 「出会い頭に何を言うんですか、貴女は…」

 「?猫を素体にした使い魔じゃないのか?」

 「…堂々とそんな事言って良いのですか?」

 「他に客は居ないし、店の人間は魔法の事は知っているから大丈夫だ。」
 と言うか、桃子も士郎も美由希もこの程度では動じないぞ?
 寧ろ受け入れる。至極普通に受け入れる、間違いない。

 その証拠に、美由紀はもうレジに立っているしな。


 「はぁ…そう言うことなら良いのですが。つかぬ事を聞きますが貴女も魔導師でしょうか?」

 「いや、私はどちらかと言えば騎士だな。古代ベルカのな。」

 「!!!古代ベルカの騎士ですか?そんな、お会いできて光栄です。」

 律儀な人…?人?使い魔だな。
 「と言っても私は異端だ。ミッド式も使うしな。…と、それで?」

 「はい?」

 いや、此処でティータイムか否かを聞いているのだが?

 「あ、はい。お菓子を買いに来たんです。なんと言うかこの店の方角から『途轍もないオーラ』を感じたもので。」

 それは間違いなく桃子のパティシエとしての職人魂だな。
 使い魔に感知可能とは、ドレ位だ桃子…

 「それで何かお薦めは有りますか?出来れば最高の物を買って行きたいので。」

 自分の主人にか?主人思いだな。
 さて、お勧めか…ドレもお勧めだが、その中で一番と言えば矢張り、
 「シュークリームだな。寧ろこのシュークリームを食さずに翠屋は語れないぞ?」

 桃子の菓子は全てが美味だが、一番を上げろと言われたら此れは外せない。

 「シュークリームもお勧めだけど、今なら季節限定のイチゴタルトもお勧めかな?」

 む、流石だな美由希。
 私が定番の一品を薦める中で、更に限定品を持ち出すとは。

 「どちらも魅力的ですね。…では、シュークリームとイチゴタルトを3つずつ頂けますか。」

 両方か、まぁ今の時期ならこの2つで間違いは無い。

 「イチゴタルトとシュークリームを3つずつで1050円になります♪」

 「では此れで。」

 「1100円お預かりします。50円のお返しに成ります。ありがとうございました♪」

 流石に見事だ。
 接客に関してはマダマダ学ぶ所が多いな。

 「いい店を見つけました。機会があればまた寄らせてもらいますね♪」

 これからもご贔屓に〜…と。


 さて、なのは達は大丈夫かな?
 …まぁ、数の上でも絶対的に有利だから問題は無いな。



 時に今のは一体誰の使い魔だったのだろう?








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 Side:雷華


 「おぉ、でっかい…」
 「にゃはは…大きいの…」
 「『大きくなりたい』って願いに呼応したのかな?いや、それは成長ってことで『巨大化』では無いと思うんだけど…」

 じゅえるしーどの反応を感じて僕とナノハとゆーのんはその反応の場所に。
 王様と星奈んは万が一に備えてすずかとありさのとこに残ってもらってる。

 で、到着したけどこれって…

 「に”ゃお〜〜ん?」

 超巨大なにゃんこ!
 こんなのに抱きつかれたら星奈んつぶれちゃう!

 でも珍しいから一応『写メ』に残しておこう。

 「と、取り合えず封印しなきゃね…」

 「ん?そだね。でも無害そうだかららくしょーだよね。」
 てか多分この巨大ネコ位は、魔法が使えないミユキでも普通に倒せると思う。

 「ジュエルシード封印!」
 「sealing. receipt.」

 よっしゃ〜封印完了!
 流石ナノハ!…ん?何だろこの気配?

 真っ直ぐこっちに向かって……!!!うそ、何で!?
 「ナノハ伏せて!!」

 「え?にゃぁぁぁ!?」

 慌てて離脱した僕とナノハが居た場所に突き刺さった射撃魔法。
 間違いない、此れは…

 「行き成り何するんだよオリジナル!!」

 僕が叫んだ先には、僕のオリジナルが居た。








 ――――――








 Side:???


 「…やるね。」
 ジュエルシードの反応を追ってやってきた場所に居たのは白い魔導師と蒼い魔導師。
 この子達も私と同様にジュエルシードを集めてるんだ…

 それにしても、あの蒼い子…どうして私と同じ姿をしているんだろう?
 …如何でも良いか。

 封印をしたみたいだけど、そのジュエルシードは貰って行くから。
 「アルフ、行ける?」

 「当然!てかリニスに任されたんだからしくじれないって!」

 だね。
 どうあってもそれは貰う…母さんが必要としてるものだから………力尽くでも奪う!!

 「フォトンランサー!」
 貴女達に恨みは無いけど…目的は達成させてもらうから!!








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 Side:なのは


 雷華と一緒にジュエルシードの封印に来て、封印をした直後に現われた女の子。
 私は一瞬目を奪われたの。

 容姿は雷華そっくりだけど、雷華とはまた違う金色の髪と赤い瞳。
 とても綺麗だけど、何処か悲しそうな瞳…

 ねぇ、如何して貴女はそんな目そして居るの?
 何故此れを集めているの?

 「言う必要は無い。言っても意味が無いから。」

 「そんな事無いよ!言わなきゃ分からないよ?」

 この子から私に向けられているのは明らかな『拒絶』。
 雷華もそれは感じ取ってるはずなの。

 「…話すことなんて無いから。貴女が持ってる其れを渡してくれれば手荒な真似はしない。」

 「此れって…ジュエルシードのこと?」

 頷いた…そうなんだ。

 「誰が渡すか!僕達はジュエルシードを封印してるんだ!苦労して集めたのを渡せるかい!」

 ら、雷華!?

 「大体、行き成り攻撃してくるなんて酷いぞ!僕が反応できてなかったらナノハが大怪我してたじゃないか!」

 あ……言われてみればそうだね。

 「其れに、封印した所を狙うなんてせこいぞ!」

 み、身も蓋も無いの…

 でも、雷華の言うとおり、皆で集めたジュエルシードを渡す事は出来ないの!

 「そう…なら仕方ないね。力尽くでも奪う!フォトンランサー!」

 !問答無用?だったら…
 「バスター!」

 私だって本気になるの!

 「雷華、あの犬耳のお姉さんをお願い。」
 「よっしゃ〜!任せてよナノハ!」

 私の初めての対魔導師戦。
 きっと今はあの子の方が強いと思う…けど負けないの!!

















  To Be Continued…