Side:雷華


 う〜…オリジナルの奴、行き成り襲い掛かってきて〜〜!
 大体、オリジナルはナノハと仲良いんじゃなかったのかよ〜!!

 「そもそも、お前使い魔だろ〜!ちゃんとご主人様に『じょ〜しき』ってものを教えろよ!
  お前達みたいのを、え〜っと……そう『ご〜と〜』って言うんだぞ!」

 「知らないよそんな事!邪魔すんなら容赦しないよ、この『偽フェイト』!」

 「かっち〜ん!誰が『にせへいと』やねん、このアホ犬!!」

 オリジナルが何で襲ってきたのか気になるけど、とりあえずこのアホ犬…絶対泣かす!
 さぁ覚悟しろ〜!!











  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福10
 『痛み分?優勢勝ち?』










 Side:金色の少女


 うん、蒼い方は任せて大丈夫だね。
 アルフがそうそう負けるとは思えないし。

 それにしても…


 「バスター!」

 この白い子、凄い魔力の大きさ……当たったら一溜まりも無いよ。
 当たったらだけどね…

 「幾ら強力な攻撃でも、当たらないと意味は無い。」

 「!!」

 間違いない、この子は素人。
 大きいだけの攻撃じゃ私には当たらない。

 この距離…貰った!


 ――ガキン!


 ……え?

 「その武器じゃ攻撃が丸見え…見切られたら意味は無いよ?」

 デバイスで受け流された…?

 「凄いスピードだけど、お父さんと比べれば見切れない速度じゃないの!レイジングハート!」
 「All right.」


 く…反撃が鋭い。
 「バルディッシュ!」
 「Yes sir.」

 なんとかかわして距離を取ったけど、もう少し反応が遅かったら逆に私がやられてた…素人じゃないの?

 「今度はこっちの番!ディバイン…バスター!!」

 うぅん、やっぱり魔法は素人同然。
 その攻撃は当たらないのに…今度こそ!

 「ハァ!!」

 「見えてるの!!」


 ――ガッ…グワン!


 また防がれた…!しかも今度はカウンターの投げまで…!

 読み違えてた…この子は魔法は素人だけど『自分の身を護る事』に関しては一流なんだ…!
 でも、それなら其れでやりようは有る!!








 ――――――








 Side:なのは


 強い…!それに速い…!
 見切れなくは無いけど、それでも凄いスピード。

 お父さんに護身術を習ってなかったら最初の一撃で終わってたの…

 でも如何しよう…?
 あのスピードじゃディバインバスターは当たらないし、護身術だけじゃきっと大したダメージには…

 「No problem,my master.」
 「レイジングハート?」
 問題ないって言っても、私達のほうが不利だよ?
 雷華は犬耳のお姉さんと交戦中だし、冥沙と星奈はすずかちゃん達の護衛で動けないし。
 其れがなくても、星奈はネコまみれで動けないの。

 「I have a method.」

 どんな?

 「Counter Divine buster.」

 カウンターのディバインバスター!?
 あの子が接近戦を仕掛けてきたところに撃ち込むの?…確かにそれなら当たるかもしれないけどそんな近距離で撃てるかな?

 「I can be shot.Trust me, my master.」

 レイジングハート…うん、そうだね!
 自分の相棒は信じるものだよね!

 うん、それなら!!
 「白夜の魔導書!」

 白夜の魔導書を使えば出来る!
 牽制の為の1発を魔導書にチャージしておけば!

 「行くよ、レイジングハート!」
 「All right.」

 さぁ、勝負だよ!








 ――――――








 No Side


 夫々、如何するかを決めた2人の魔法少女。

 先に動いたのは金色の少女だ。

 「フォトンランサー!」
 「Photon lancer  Full auto fire.」

 小型の槍のような誘導弾を放ち、なのはを牽制する。


 非常に厄介な攻撃だが、なのはもやることは変わらない。

 「エクストラバスター!」

 白夜の魔導書にチャージした1発で其れを迎え撃つ。


 誘導弾と砲撃魔法がぶつかり粉塵が巻き上がる。

 ここぞとばかりに金色の少女がなのはに襲い掛かるが、其れこそがなのはが待っていた瞬間だ。


 ――ガキンッ


 横薙ぎの一撃をレイジングハートを使って防ぐ。
 だが、その先端は金色の少女に向けられている。

 「!!!」

 「ディバイン…バスタァァァ!!」


 至近距離で放たれた一撃。

 流石に略ゼロ距離で放たれた一撃を避ける事は出来ず、桜色の砲撃は少女を飲み込む。


 「It's a direct hit.」

 「えぇっと…大丈夫かな?」

 「Don't worry. 」

 この攻撃の威力は凄まじく、金色の少女は気を失ったようだ。

 が、実は金色の少女も隠し球を放っていた。


 「!!Caution. Emergency.」

 「え?」

 「 It comes.Homing bullet. 」

 「えぇぇぇ!?」

 そう、なのはに接近する前に放たれていた誘導弾は死角からも襲うように放たれていたのだ。
 レイジングハートがその存在を感知するも、少しばかり遅かった。


 ――ガガガガァァン!!


 4発の誘導弾がクリーンヒット。

 バリアジャケットのおかげで怪我は無さそうだが、その衝撃になのはも気を失ってしまった。


 「…It's a …direct hit?」


 2人の魔法少女の初戦は…両者KOの幕切れだった。








 ――――――








 Side:雷華


 「うおりゃ〜!超電磁バインド…十文字切り〜〜!!

 此れで終りだ、このアホ犬!!

 「そんな…!うあぁぁ…フェイトォォォォォ!!」

 へへ〜んだ!パワー極限、誰にも負けないモンね〜!!


 ――ズガァアァン!!


 お?この爆音はナノハのほうも終わったのかな?
 つ〜かなんでオリジナルは襲ってきたんだ?

 ん?もしかしてナノハとオリジナルは元々は敵同士だった?
 それで、戦って、殴り合って、全力全壊の果てに友情が芽生えたのか?

 おぉ、凄いぞナノハ!
 其れこそ、王道だ!!



 今行くぞナノハ〜!


 って…アレ?ナノハも伸びてる?
 …まさかのだぶるけ〜お〜ってやつか?

 「…でもまぁナノハが相打ちでも僕はアホ犬倒したから、僕達の勝ちだよね?」

 この状態ならじゅえるしーどは誰も奪えないだろうし。

 「I think so.」

 あ、れいじんぐはーとは大丈夫だったんだ。
 まぁ、取り合えずナノハを王様達の所に連れてかないとね。

 「It's so.…!!Caution. Emergency.It approaches at a high speed.…It comes.」

 へ?何か来んの?
 む…この気配は!!

 「フェイト、アルフ!!」

 ネコ?
 まさか星奈んに引かれてきたのか!?

 「…あ、あら?フェイトが2人?」

 お前もかよ!!
 「だ・れ・がフェイトやねん!!僕は僕だ高町雷華だ!!」

 人の名前を間違えちゃいけませんてモモコが言ってたぞ!!

 「そ、それは失礼しました。あの、つかぬ事を聞きますがこの2人は貴女が?」

 「ん?赤毛のアホ犬はそうだけどオリジ…金色の方はナノハだぞ?だぶるけ〜お〜だったみたいだけど。」

 「な、何故こんな事を?」

 「む、そいつ等が先に襲ってきたんだぞ!ナノハが何言っても聞かなかったし。僕達のは正当防衛だ!
  大体、行き成り襲ってきてじゅえるし〜どを渡せなんて滅茶苦茶だぞ!ナノハとクロハネと僕達で苦労して集めてるのに!」

 「貴女達もジュエルシードを…?何の目的で?」

 決まってんじゃん、21個全部封印するためだって。
 放置しとくと危険だってゆーのが言ってたし。

 「封印…ですか。それは此方に非がありましたね…この子達の教育係として謝罪いたします。」

 分かれば良いんだ。
 てかさ君達もじゅえるしーど集めてるの?

 「はい…その、私のマスターが必要としてるので。この子…フェイトもその為に。」

 うぅん…必要なのか。
 「でもダメだ!何があろうと渡せないよ!」

 「でしょうね。失礼をしました、状況を見るにこの子達の負けでしょう。そちらにはまだ戦力がありそうですからね。」

 「うん、あと王様と星奈んとクロハネ…は来れるかどうか分からないけど、少なくとも僕を含めて3人居る!」

 「ふぅ…私1人で最大4人の相手は無理ですね。今回は此処で引かせてもらいますが宜しいですね?」

 別に良いよ〜。多分ナノハが起きててもそうしたと思うし。
 でも、次に襲ってきた時には容赦しないからな!!

 「肝に銘じておきましょう。ですがそれは此方も同じ事、次にジュエルシードがある場所で出会ったならばその時は力ずくでも此方が回収させてもらいます。」

 む、その言葉、僕達への挑戦と受け取った!
 良いぞ、僕達だって負けないからな!!


 って、行っちゃった。
 もう、人の話はちゃんと聞かないとダメなんだぞ!!


 「う、うぅ〜ん…」

 お、ナノハ、目が覚めた?

 「…雷華…?…!!あの金色の子は!?」

 「ん?きょーいくがかりって人が来てアホ犬ともども連れてった。じゅえるしーどは無事だよ?」

 「そうなんだ…私ダメだったね…」

 ナノハ?

 「やったと思って油断しちゃった…マダマダだね。」

 「そんな事無い!ナノハは頑張ったんだ!それにナノハはだぶるけ〜お〜でも僕はアホ犬倒したから1勝1分で僕達の勝ちだ!
  じゅえるしーども封印したし、にゃんこも無事だったからあいつとの戦いの結果なんておまけだって!!」

 「雷華…うん、そうだね…」

 むぅ…納得してないな此れは…それなら!!

 「ナノハ、帰ったら特訓しよう!」

 「ふぇ!?」

 「シローが護身術の先生で魔法の先生はクロハネと星奈んで模擬戦の相手が僕と王様!悔しいなら悩むよりも、一杯特訓して強くなるしかない!!」

 「雷華…うん、そうだね。悩むよりも…だよね?」

 あったり前じゃん。
 うじうじ悩むより、好きな事やって、撃ち抜いてぶった切って楽しくすらっしゅする方が全然全く面白格好良いし。

 「くすっ♪そうだね…みんなのとこに戻ろうか?」

 「勿論…あれ?そう言えばゆーのは?」
 何処に行った〜?

 「こ、此処だよ〜…助けて…」

 「ユーノ君!?」

 おぉ、ネコに食われかけてた…ゴメンゆーの、完全に忘れてた。








 ――――――








 Side:ネコの使い魔


 ふぅ、お菓子を買って一段落、フェイトとアルフを労おうかと思ってたんですがまさかこんな事になるなんて…。
 この地にあそこまでの魔導師が居る事を考えていなかった私のミスですね…。

 若しかしてあのお店に居たベルカの騎士も彼女達の仲間…?
 だとしたら相当に苦しい状況ですね…。

 あの騎士の力はどんなに低く見積もってもオーバーSは確実でしょうし、さっきのフェイトにそっくりな子もニアSは確実。
 フェイトと相打ったと言う白い魔導師の子もAA+はありそうでしたし…正直私が出ても不利は変わりありませんね…

 「うぅん…」
 「くぁぁ…」

 「フェイト、アルフ、目が覚めましたか?」

 「「…リニス?」」

 「ご苦労様でした。それとごめんなさい、あれほどの魔導師が居るとは思いませんでした。」

 「…そっかダメだったんだ…ジュエルシードは手に入れられなかった…」
 「くっそ〜あの偽フェイト…一体何者なんだよ!!」

 それは分かりません…ですが侮れません。
 それにあの蒼い子の言う事が本当だとすれば、高い力を持った魔導師が後3人も居るとのことですので…

 「げ?マジか?3対5じゃ分が悪いって…」

 「でも止まれないよアルフ。ジュエルシードは何としても集めなきゃダメだから…母さんの為に、アリシアの為に!!」

 フェイト…貴女は未だアリシアの事を大切に思ってるんですね…。
 本当は会った事も無い『姉』の事を…


 ですが、ジュエルシードを持ってしてもアリシアが生き返る保証は何処にもありません。


 そんな事はマスターも分かってるはずなのに何故フェイトにジュエルシードを集めさせてるのです?
 それに、真実を知って一番傷つくのは他でも無いフェイトなんですよ?

 なのに、何故アリシアが望んだ『妹』にこんな酷な事をさせるんですか?



 貴女の真の目的はなんなんですか?教えてくださいプレシア…

















  To Be Continued…