Side:冥沙
ナノハとルナがMIAだと…!!
く…アノ2人が負けたというのか!!……生きては居るだろうが…信じられん…!
いや、それ以上に…!
「モモコ、確りせい!!」
「そんな…なのはが…」
無理も無かろうな……自分の娘が安否不明と聞いて取り乱さぬ母親は居らぬ。
シロウも落ち着いた様子を見せているが、内心は穏やかではなかろう…
「ふざけるな……ふざけるなよ!!MIAだと!!そんな事が受け入れられるか!!
ちゃんと調べたのかクロノ!!見落としは無いのか!!!」
「くまなく探した!シグナムやヴィータにも頼んで……けど、見つかったのはルナの腕だけだと言ったじゃないか!!」
「納得…出来るかぁぁ!!」
――バキィィ!!
キョウヤ…!!
えぇい、少し落ち着かぬか!!気持ちは分るが興奮しすぎだ!!
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福77
『動き始めるその世界』
オイ、大丈夫かクロノ?
うぬ…腫れてしまっているではないか…!
「大丈夫だ…僕は殴られても仕方ない事をしたんだ…。
なのは達に渡った任務書はダミーだった…局員をターゲットにしたテロ…ソレに気付けなかった。
ソレが結果として2人をMIA判定させるに至った…全て僕の責任だ…」
「あぁ、そうだお前の責任だ!なのはにもしもの事が有ってみろ…俺がお前を…!!」
「恭ちゃん、もう止めて!!!」
ミユキ?
「何で…何でクロノ君の辛さを分ってあげないの!?
クロノ君だって辛いんだよ?2人を任務に向かわせてしまった事が!気付けなかった事が!
私だってなのはとルナが居なくなったのは辛いよ……でも、クロノ君だって好きで2人を行方不明にした訳じゃないんだよ!?
少しは…少しは分ってあげなよクロノ君のことも…!!」
「美由希…だが!!」
「…少し落ち着きなさい恭也。」
「…父さん。」
「シロウ…」
矢張り父親だな、こう言う状況においては誰よりも頼りになるモノだ。
とは言え、空気が重く悪いのは変わらぬが…
「2人とも行方不明というだけで、死んだ訳じゃない…なら僕達はなのはとルナの生存を信じて待つべきじゃないのかな?」
「そんな…けど、MIAは事実上の死亡通告と同じだって…!!」
「……いえ、ナノハとルナは生きていますよ。」
「うむ、間違いなく生きて居るから安心せい。」
「…どう言う事だ?」
貴様があまりにもヒートアップしているんで話すタイミングが無かったのだが……ナノハは生きておる。
何故ならば、我等がこうして存在しているのだからな。
「「「「「?」」」」」
ふむ、クロノでも分らぬか?
ならば教えてやろう、もしもナノハが死んでしまったならば我等の存在もまた消える。
我等はナノハの持つ『白夜の魔導書』の守護騎士であるが故にな。
「もしもナノハが死しているなら、主を失った書は、次なる主が現れるまで眠りにつき全ての機能を停止します。
そうなった場合、全ての機能が停止するわけですから当然、私達守護騎士もまた書に封印された状態になり存在できません。」
「同じように、ルナさんが死んでしまってもです。
管制融合騎の死は=魔導書の崩壊なので、矢張り私達は存在できなくなります。」
「だから、僕達がけんざいって事はナノハとルナは取り敢えず生きてるってこと。」
理解できたか?
まぁ、それでも『死んでいないだけ』であるし、或いは瀕死状態かも知れぬ。
だが、クロノが言うにはその任務の地は極寒。
なれば、そのような場所に放り出されたら生きては居まい?
ましてルナは片腕を失った状態……傷口から凍傷にかかって即刻お陀仏であろうよ。
にも拘らず我等が未だ存在していると言う事は、管理局が探す前に他の誰かが2人を保護し治療を施している可能性が高い。
「確かに…その可能性は0じゃない。
いや、君達の話を聞いた後なら、その可能性は極めて高いか…!
しかしそうなると一体誰が…?現場には転移魔法の跡すらなかったのに…」
「知らぬ…だが――少なくともナノハとルナに敵対心がある奴ではなかろうよ。」
もし敵対者が現れたのならば、即刻消しに掛かっているであろうからな。
「…なのはが…ルナが…無事…?」
「はい…生きていますよ…必ず。」
我等の存在がナノハ生存の証しよ。
まぁ、行方不明であるが故、心配するなとは言えぬが、生きているならあやつ等は必ず戻ってくる。
無論我等も探すがの。
「そうよね…なのははきっと…」
「モモコ!?……えっと…気を失った?」
「張っていた気が、なのは達が生きてると知って緩んだんだろうね。
桃子さんは僕が……それとクロノ君、その頬は冷やした方が良い、執務官が顔を晴らしてなんて部下に面目も立たないだろう?」
「お父さん、もう遅い。直属の部下が此処に居ます。」
「美由希、お前クロノの直属だったのか!?」
「うん。」
そういえばそんな事を言っておったな?
いや、逆に都合が良いか……クロノよ、ナノハとルナを含めてだが、我等は今は『嘱託』扱いであったな?
「あぁ、そうだが?」
「ふむ…では我等を正式に局員とする事は出来るか?
出来るならばなるべく速く頼む。そして可能ならばお前かリンディ、或いはレティの直属が良い。
嘱託よりも正局員の方が、なのは達の捜索も出来るであろうからな。」
「ソレは此方としても願っても無い事だが…良いのか?」
ふん、良いも悪いも無いわ。
如何に我等の存在が、ナノハとルナの生存の証しと言えど、アノ2人が行方不明である事に変わりは無い。
なれば、我等が直々に捜索に乗り出そうと言うのだ。
それに我等ならば、うぬ等よりも白夜に近いゆえ良く分るかも知れぬからな。
「そう言う事なら…分った、艦長とレティ提督に掛け合ってみる。」
「お願いしますね…ナノハとルナ…何よりこの高町家のためにも。」
「頼むぞくろの〜〜。」
「お願いします!!」
「(!!)」
「ナァ〜〜〜ゴ。」
なはととナゴまでもか(汗)
まぁ、それだけアノ2人の存在は大きいと言う事だな。
だから安心せいキョウヤ。
我等が居る限りはナノハは無事、必ず見つけてみせる…うぬは頼れる兄として待っていてやれ。
「…分った…」
コレにて取り敢えずはだな。
だが、それから何の成果も上がらずに数年が経つ等は、この場の誰も思って居なかったであろうな…
――――――
Side:レティ
「待った?」
「いえ、まだ時間前よ。」
まぁ、ゆっくり出来ないけれどね。
なのはさんとルナさんの件――取り敢えず分ったわよリンディ。
「やっぱり…」
「えぇ、ダミーの任務を作り出したのは最高評議会の可能性が極めて高いわね。
あくまで状況証拠だけだから断定は出来ないけど、限りなく黒に近いグレーと考えていた方が良いと思うわ。」
「でも、だとしたら何で…彼等だって管理局の人手不足は知っているはずよね?
こう言っては何だけど、なのはさんとルナさんなら2人で並の局員1万人分は下らないわよ?」
或いはその力を恐れたのかも知れないわ。
圧倒的過ぎるなのはさんとルナさんの力が自分達の手に余る物だったら厄介…そう考えたのかもしれない。
「成程……でもそうなると…」
「えぇ…なのはさんとルナさんからの増援要求は意図的に無視されていた可能性を否定できないわ。
貴女が気付かなかったら、不慮の事故として闇から闇に葬られていたでしょうね…」
まぁ、何れにせよ…
――パチンッ
「ぐえ!!」
「油断も隙も無いけれどね?…お疲れ様シャマル。」
「いえ、コレくらいなら造作もありませんので♪」
「…大人しくしてもらおう。」
ザフィーラも見事ね。
矢張り私達を監視してたのね?…最高評議会の子飼いの部下さん?
「…………」
「黙して語らず?…以外に頭は良いわね?」
そうみたいね…けど、『最恐』と噂される私の前には愚の骨頂よ?
嫌でも知ってる事を話してもらうから…
「DEATHレティ…久しぶりに見たわ…ご愁傷様…」
さて…キリキリ吐いてもらいましょうか…(黒笑)
――――――
Side:???
ど、どういうことだ此れは?
偶々通りかかりで聞いた、リンディとレティの話…最高評議会が管理局の嘱託を襲撃しただと?
しかも高町なのはと高町リインフォース・ルナと言えば局内でも噂の嘱託魔導師だった筈。
ワシ自身が目を通した感じでも彼女達の力は管理局にとって有益な物の筈…ソレを何故?
…どうやら最高評議会はワシが思っていた派閥では無いらしい…!
と、なればこうしては居れん!
「む?どぅお〜〜したレジアスィ…ぬあぁにを慌てている〜?」
「血相を変えて如何した?」
「おぉ、良いタイミングだフレディにゼスト!」
火急の任務をお前達に頼みたい。
「火急の?構わんが…」
「内容は先日MIA判定された嘱託魔導師、高町なのはと高町リインフォース・ルナの捜索だ。
あくまでも極秘裏に頼む……この一件、どうやら最高評議会が裏で手を引いている可能性が濃い…!」
「ぬわぁんだとぅお!?どぅむぁって居られるはずがないどぅらるをぉ!
高町なのはファン倶楽部会員番号1番ぬぉ、このフレディ・ルガールぐぁ、彼女を探さずにいられるくわぁ!?」
…そういえばお前はあの子に随分入れ込んでいたな(汗)
「そう言う事ならば引き受けた…早速フレディと…ナカジマとアルピーノも連れて調査に向かおう。
だが…良いのかレジアス?最高評議会はお前が…」
「ワシは管理局の人手不足を解消し、円滑に運営を行いたかっただけだ。
ソレのピースとして極上の2人を討つようなことする派閥に…ワシは用は無い!」
「ふ、ソレを聞いて安心したぞ……まぁ、成果が上がるかは別としてやれるだけやってみよう。」
頼む!!
「むわぁ〜って居ろ、マイエンジェルぬぁのはぁ〜〜!必ずぅ見つけてやるからぬぁ!!」
……うむ、まぁ暴走して要らん戦闘は無しで頼むぞ?
いや、言うだけ無駄だな…アイツは戦闘狂な部分があるからな…
何にせよ…頼むぞゼスト!
「あぁ…頼まれた!」
――――――
Side:なのは
「?」
……此処は…何処なの?
私は確か機械兵の自爆攻撃に巻き込まれて…
「目が覚めましたか?」
「え?」
…誰?
紫の髪に金の瞳のお姉さん……此処は病院ですか?
「いえ、病院ではありませんよ?
貴女達を治療していると言う点では、病院と大差は無いかもしれないけれど…」
治療…?
…!ルナ、ルナは!?一緒に戦っていたはずだけど!!
「少し落ち着いて…」
「けど!!」
――ズキン!!
「!!!」
あぐ…凄い痛み…なんで…
「零距離からの自爆攻撃を受ければ、如何に強固な防護服を纏っていたとは言え無事では済まない。
幸い、その防御力のおかげで全治半年程で済みましたが…下手をしたら死んでいてもおかしくは無いんですよ?」
「そんなに酷かったの…?」
「寧ろ此処まで持っていたのが奇跡かと。」
そんなに……けどルナの事はやっぱり心配なの!
何処にいるの?無事なの!?
「それら全てをこれからお話します。
とは言え、私は全てを知る者では無いので、直接ドクターから聞くのが良いかと。
取り合えず、立てますか?」
「大丈夫……わひゃぁ!?」
「…ダメですね。では車椅子を用意しますので…」
あう…ゴメンナサイ。
あ、ところで名前…お姉さんは何て言う名前なんですか?
「ウーノ…そう呼ばれています。」
「ウーノさん…良い名前ですね♪」
「ソレはどうも…さ、準備が出来ましたので…失礼します。」
うにゃ!?
あう〜〜持ち上げられて車椅子…一言欲しかったの…
「善処します…では…」
ウーノさんに連れられて目的地に向かって……何処と無く近未来っぽい感じのする施設内なの。
うぅん、それ以上にこの人は何者なんだろう?
私を助けて、それにルナも助けたらしいけど…けどこの人達は局員じゃない。
私とルナは……一体誰に助け出されたんだろう…
To Be Continued… 