Side:ルナ
どうも皆さん、リインフォース・ルナです。
此度正式に高町家の養子となり『高町リインフォース・ルナ』となりました。
とっくに養子縁組&戸籍登録が出来ているものと思っていたが、登録名と立ち位置で悩んでいたとは…
と言うか、戸籍上は私が『長女』なんだな…まぁ、予想はしていたけどね。
ソレはさておき、本日は6月4日――はやて嬢の誕生日だ。
が…今日は単純にはやて嬢の誕生日と言うだけじゃない。
「ほな、準備良いな?そろそろ始めるで!」
今日この場所で、新たな命が生まれるんだ。
そう、『祝福の風』の名を持った新たな命が…
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福73
『生誕、祝福の新風』
場所はアースラ。
その技術研究室に私達は集まっている。
『知ってるから』と言う理由でアリサとすずかが居るのは、まぁご愛嬌だな。
彼女達も興味は有ったみたいだから別に悪い事じゃないか。
「好奇心は成長に大きな役割を果たすからね。
此れを見たすずかちゃんとアリサちゃんが、将来物凄い事するかもよ?」
「否定できないなソレは。」
と言うか物凄くナチュラルに居るな美由希よ…まぁ、砕け得ぬ闇事件以降完全にこっち関係者だから問題ないが。
でだ、新しく生まれる子のこの名前はどうなるんだ?
「リインフォースや。リインフォース・ツヴァイ、アインスの提案でそうなったんや。」
「アインス?」
「私の事だ。
新しく生まれるこの子がツヴァイなら、私はアインスと言うのが妥当だろう?」
まぁ…そうか?
1番目と2番目――本人が良さそうだから口出しは野暮だな。
尤も、私とて新たに生まれる魔導の器に『祝福の風』を受け継がせて欲しいと願ったからな。
融合機能を失ったアインスが、『リインフォース』の名を新たな融合騎に継いで欲しいと思うのも道理か…矢張り似たもの同士だな私達は。
「でもこれでリインフォースが3人?
ルナにクロハネに……その子は何て呼ぼうかな?」
「普通にツヴァイと呼べばよかろうが。」
「つあい?」
「流石は雷華、予想通りです。」
本当にな。
と言うかせめて大きい方はアインスと呼んでやれ…
「あいんす?」
「どうしても平仮名発音になっちゃうんだね雷華は…」
「何故でしょうか…」
「なんでかな?……私も『へいと』になっちゃうし…」
「謎よね…私の事は普通に『アリサ』って呼べるし、ルナも『ルナ』って呼べるのに…」
「謎だな。」
其れが雷華と言えば其れまでなんだが。
とりあえず、明確な呼び分けができるのは良かったよ。
私もリインフォースなのに、お前を『リインフォース』と呼ぶのは、些か違和感があったからね。
でだ…新たな融合騎はどうやって誕生させるんだ?
恐らくは私の治療に使った『次世代融合デバイス』と言うのを使うんだろうが…
「うん、素体はもう出来てるから後はリンカーコアを入れてあげればOK。
はやてさんとアインスさんのリンカーコアから採取した魔力を合成してつくったリンカーコアをね♪」
「疑似リンカーコアと言うところか。
其れを組み込めば――大きさは兎も角、見た目は人間らしくなるんだな?今の状態だと殆どマネキンだ…」
「なはは…うん、ソレは大丈夫。
はやてさんとアインスさんの両方に似た容姿になるんじゃないかな?」
2人のリンカーコア情報を持っているからか。
なんと言うか、はやて嬢とアインスの子供みたいだな。
「言えてるかも。
確かにはやてちゃんとアインスさんの子供みたいだね♪」
「せやなぁ……と言う事は私はアインスの嫁やろうか?」
「な!?ちょ、ちょっと違うのではないでしょうかはやて!?」
別に違わないだろう?
そもそも、私達魔導書は書の主とは一心同体のようなものじゃないか。
無論仕えるに値する相手かどうかは有るだろうが……少なくとも今の我等の主は最高だろう?
だったら別に嫁でも旦那でもOKだろう、問題ない!
「い、良いのだろうかそれで?」
「マッタク問題ない。
と言うか魔導書ならば己が生涯仕えると決めた主の事を愛せ、そして護りぬけ――其れが我等魔導書の本分だ。」
「!!…それもそうだな。」
そう言う事だ。
お前もはやて嬢の事は大事に思っているんだろう?…なら良いじゃないか。
私だってなのはの事は大事だし、大好きだしな。ホント可愛いななのはは♪
「にゃはは…改めて言われると照れるの…」
「まぁ愛されてるんやからえぇやろ?……ほな、ソロソロお願いできますかマリーさん?」
と、そうだな。
いよいよ誕生するのか…祝福を継ぐ者が。
「OK、それじゃあ行くよ?
疑似リンカーコア出力安定、融合騎素体状態良好……疑似リンカーコア融合!」
――カッ!!
!!これは…凄い光だな。
だが、分る――融合騎素体に新たな命が宿ろうとしている事が。
「疑似リンカーコア適合率100%……融合完了!……うん、成功!」
光が治まって……おやおや、此れは又なんとも可愛い子が生まれたものだな。
「ツヴァイ…!」
「この子が、祝福を継ぐ者…」
全体的な雰囲気はアインスが基本だが目元やら何やらにははやて嬢の雰囲気が見て取れるな。
……私が元に居た世界でもきっとこの子は生まれているんだろうな。
「ふあぁぁ……まだ眠いですぅ…」
「うわぁぁ…何此れゴッツ可愛い!…おはようツヴァイ、私が貴女のマスターの八神はやてや♪」
「ふぇ?……貴女が…初めまして、マイスターはやて…リインフォース・ツヴァイです。」
本当に可愛い子になったものだ。
…って、何をしているなはと?
「(ふんふん)」
「ふぇ?」
「♪」(すりすり)
「きゃはは、くすぐったいですぅ♪」
え〜と…此れは、もしかしてなはとに気に入られたのか?
大きさも大差ないが…しかし此れは…
「か、可愛いの!!レイジングハート、動画記録!」
『All right.My Master.』
見事だなのは!
ブライトも録画しているな?
『Yes!』
よし!こんな可愛いものを見逃せはしないからな!
だが、そのへんにしておけなはと。
今日はその子の誕生の日だ、はやて嬢達と触れ合わせてやるのが先決だ。
「(こくり)」
「よしよし、良い子だ。」
さてと、ツヴァイと八神家の顔合わせだが…
「アインス…私のお姉ちゃんですね?」
「あぁ…宜しくなツヴァイ。」
「はいです!そしてそちらが…」
「ヴォルケンリッターが将、シグナムだ。宜しくなツヴァイ。」
「シャマルです。これから宜しくねツヴァイちゃん♪」
「ヴィータだ。まぁ、仲良くやろうぜ?」
「盾の守護獣ザフィーラ…宜しく頼む。」
スムーズに出来たみたいだな。
ふふ、新たな祝福の風か――きっとあの子もこれからはやて嬢の支えとなるんだろうな。
改めて誕生おめでとうツヴァイ。
お前が歩む道に、祝福の風が吹く事を祈っているよ♪
――――――
Side:なのは
アインスさんの後継機…うぅん、妹のツヴァイちゃんが無事に生まれてよかったの。
はやてちゃんもアインスさんも嬉しそうだったなぁ。
「はぁ…少し浸かりすぎちゃったかな?ベランダで涼もうっと。」
家に戻って、今は夜。
少しお風呂に浸かりすぎちゃったから、外に出てクールダウンしようかな。
ん?…ルナ。
「あぁ、なのはか。如何した?」
「ちょっとお風呂に浸かりすぎちゃったから涼みに。ルナはどうしたの?」
「いや、あまりにも星が綺麗だったからな――空を見たくなったんだ。」
確かに凄い星空。
空気が澄んでても此処まで見れるのは珍しいの。
「……あの子は、ツヴァイは――私が居た世界でもちゃんと誕生したのだろうか?」
「ルナ?」
「私は自分を消す際に、新たな魔導の器の誕生を願い、その子に祝福の名を継いでくれるように願った。
其れを己の目で見る事は出来なかったが、この世界であの子の誕生を見て…ちょっとな。」
「大丈夫だよ…きっと誕生してる。」
其れがルナの最後の願いだったんでしょ?
だったら、その世界のはやてちゃんだって、きっと其れを果たしてくるよ。
祝福の風は、止む事無く、きっと祝福を運んでいると思うの。
「そう、だな。
ふふ、お前が言うと物凄く説得力が有るよ――本当に、私は良き主と巡り会えたものだ。」
ソレは私もだよ?
ルナと、星奈と冥沙と雷華と……皆と出会えて本当に良かったの♪
ねぇ、ルナ――ずっと一緒に居ようね?
「あぁ、勿論だ……お前の命が尽きるその時まで、我等はお前と共に有る――どんな時でも、必ずな。」
「うん、ありがとう♪」
大好きだよ、ルナ。
「あぁ、私もお前のことが大好きだよ、なのは。」
――キラリ
流れ星!
にゃはは、速過ぎてお願いは無理だったね。
でも、流れ星が見れるなんてなんか良いことありそうなの。
「そうだな。…さて、ソロソロ中に入ろう。6月とは言え、夜はまだ少しばかり気温も低い…風邪を引いたら大変だ。」
「うん、充分涼めたからね……じゃあ、お休みなさい。」
「あぁ、お休み…よい夢を。」
ルナもね。
――キラリン
あ、又流れ星!
にゃはは、きっと明日も良い日になる気がするの♪
To Be Continued… 