Side:なのは
4月、私達は4年生になりました。
皆一緒のクラスで、アリサちゃんとすずかちゃん、フェイトちゃんとはやてちゃんも一緒のクラス。
勿論ゆうりも小学生になって一緒のクラスなの――お父さんとお母さんは一体どんな裏工作をしたんだろう?
まぁソレは兎も角、海鳴も春真っ盛りで桜がとても綺麗な季節。
今日はアリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん達と家族総出でお花見なの。
皆でお花見は楽しいね♪
で、お花見の準備中なんだけど…
「ねぇルナ、春の新作衣装は『ゴスロリメイド服』と『ちょい悪風ロングスカート黒セーラー服』のどっちがいいかしら?」
「よし、どちらも拒否する!」
「あら?じゃあ仕方ないわね…この『ソニックフェイトちゃん銀バージョン』を…」
「是非とも黒セーラーでお願いします!!」
お母さん…(激汗)
えっと…色々ゴメンねルナ?
「抵抗しても徒労に終る……ダメだ、桃子にだけは如何有っても勝てる気がしない…」
「…お母さんだからね…」
流石は『高町家最強』は伊達じゃないの。
…取り合えず準備しようか?
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福72
『春は桜を愛でましょう』
で、持ち直したルナ、そして冥沙と一緒にお花見のお弁当作り。
今回のお弁当はお母さんから全面的に任されたからソレに応えなくちゃだね!
「ウム!どうせなら一緒になる連中も驚かせてやろうでは無いか!…よし、卵焼きは良い感じだな。」
「うわぁ、この卵焼き物凄く色が綺麗!どうやったの?」
「出汁巻き卵だが、甘味を砂糖ではなく蜂蜜にしたのだ。
蜂蜜は焦げやすいが、ソレに注意して焼くとこのように綺麗な黄色の卵焼きが出来上がるのだ。」
そうなんだ、冥沙は流石に料理の天才だね♪
ルナの方はどう?
「唐揚げも上手く仕上がった。」
あ、美味しそう!
白と茶色…味が違うのかな?
「少し凝ってみたんだ。
白い方は柚子胡椒を酒で溶いたものに浸けた鶏肉。
茶色の方はオイスターソース、紹興酒、ニンニク、鷹の爪を合わせた調味液に浸した鶏肉だ。味見してみるか?」
良いの?それじゃあお言葉に甘えて。
「うむ、では我も…」
………!!此れは!!
「「美味しい!!」」
美味しいよルナ!
お肉も柔らかくて、物凄く深い味わい!
此れは究極の唐揚げ!きっと皆喜ぶの!!
「本当か?ソレは良かった、一晩漬け込んだ甲斐も有ったよ。」
そう言えば昨日の夜、何か仕込んでたみたいだったけど此れだったんだ。
本当に美味しいの!
「他の煮物や、ポテトサラダも良い感じに仕上がっているな。
後はご飯物だが…如何だナノハよ?」
「バッチリ!これぞお弁当の定番メニュー!おにぎり完成なの!」
只のおにぎりじゃないよ?
ゆかりの混ぜご飯に、鮭ワカメ、高菜明太とバリエーションを豊富にしてみたの。
「此れは、彩りも見事だし美味しそうだな。」
「大きさも少し小さめで、此れならば種類の豊富さを楽しめるであろうな。」
「頑張ったの♪」
それじゃあ後は此れを重箱(人数多いからお弁当箱じゃ間に合わないから)に詰めてお弁当は完成だね。
その他の準備は大丈夫かな?
お姉ちゃん、首尾は如何でしょう?
「バッチリ!シートも飲み物の抜かりなし!後は出発するだけ。」
「OK!了解なの!」
お父さんとお兄ちゃんは先に場所取り。
良い場所が取れてると良いな♪
「それじゃあ、公園に向かって出発〜〜♪」
「「「「「「お〜〜〜♪」」」」」」
お天気も良いし、最高の花見日和だね♪
――――――
Side:ルナ
「はぁ…綺麗だな。此れが春の代名詞か…」
「桜は日本人の心とも言うべき花だからね。何て言うか…特別なのよ、桜って。」
分る気がするな。
実に素晴らしい、花見とは良い物だな。
皆で持ち寄ったお弁当も美味しいし♪
「こ、この出汁巻き卵は!!アカン…王様の腕には脱帽や…!」
「む…この銀鱈の漬け込み焼き…やるな小鴉…!」
…一部で料理対決が起きているみたいだがな。
「我が主も楽しんでいられるから良い。
皆で春の訪れを告げる花を愛でる……穏やかなことだな。」
「将――確かにそうだな。」
こんな平和で穏やかな日々がずっと続いて欲しい――心からそう思うよ。
まぁ、この平穏と平和を脅かすモノは全力で砕く心算だがな。
で、如何だ?楽しんでるか将よ?
「当然だ。
優しき主と、心を許せる仲間達と共に過ごす時間が楽しくない筈は無いだろう?」
「マッタクだな。…でだ、その手に持って居るのは何だ?」
「ん?酒だが……どうせなら一緒に如何かと思ってな。」
酒…ね。
去年の夏はエライ目に遭ったが、飲みすぎなければ大丈夫だろう。
それに、折角の友からの誘いを断るのは無礼だしな。
「それじゃあ少しだけ。」
「そう来ないとな。」
はて?将は酒好きだったかな?
それともはやて嬢と過ごす中で酒の味を知ったのか……まぁ、良いか。
「それじゃあ、この素晴らしい桜の下で仲間達と過ごせることを祝って。」
「あぁ、乾杯。」
……あぁ、美味いな。
成程、此れが真の酒の味か。
ん?如何したなのは?
「ルナ〜〜…アレを何とかして欲しいの…」
「アレ?」
果て…一体何が…
「あはははははは、愛してるぞ忍〜〜!!」
「ちっが〜〜う!違うぞ恭也!愛とはもっと情熱的に、高らかに叫ぶものだ!!」
……え〜と…何だこのカオス・ディメンジョン(混沌次元)は…
若しかして士朗と恭也は滅茶苦茶酔ってるのか!?
何と言うか…痛いな、色んな意味で。
つまり、私にアレを止めろと?
「うん…ちょっと恥ずかしいから…」
「よし、任せろ!」
士郎はともかく恭也は一撃で何とかできる。
…時になのは、止めろとの事だが――別に撃沈してしまっても構わないのだろう?
「寧ろ撃沈してなの。」
「了解だ!」
おい、恭也。
「ん?何だ、ルナか。」
「なんだとは失礼な奴だな。
……あまり騒ぐと、なのはが『兄妹の縁を切るの!』って言っていたぞ?」
「なのはぁぁぁぁ!!俺が悪かったぁぁ!!!」
よし、1人目。
続いては強敵だが…
「士郎、悪乗りも程々にしておいてくれ――割と本気で嫌がっているぞなのはは?」
「…其れはいけないね。イヤイヤ、少し酒に便乗して悪乗りが過ぎたかな?」
矢張り士郎は分ってやっていたのか。
まぁ、桃子と一緒に大人しく呑んで居れば良い。
さて、こんな所で如何だなのは?
「完璧♪」
「光栄だ。」
私も随分変わったものだな。
よもや呪われた魔導書の管制人格がこんな事になるとは……本当に、私は世界で最も幸福な魔導書だ。
時にプレシアは何をしているんだ?
なにやら桃子に熱心に聞いているみたいだが…
「お母さんに料理の事教わってるんだって。
プレシアさんもフェイトちゃんに自分の料理を食べさせたいみたいで♪」
「そう言う事か。」
桃子なら良い先生だしな。
プレシアも母親としてフェイトと良い関係を築いているみたいだな。
将、もう1杯もらえるかな?
「お前も中々行ける口か?まぁ、飲み過ぎない程度に楽しもう。」
「勿論だ。」
お、桜の花びらが器の中に…縁起が良さそうだな。
――コロン…
ん?…どうしたなのは?
「ん〜〜…ちょっと甘えたくなっちゃって。ルナの膝枕は最高だね♪」
「そう、なのか?自分では分らないがな。」
こんなもので良ければ幾らでも使ってくれ。
お前1人くらいだったら足が痺れることもないだろうし。
それにしても、本当に桜が綺麗だな。
淡い紅色…此れはなのはの色だな。
「にゃはは、そうだね。ちょっと嬉しいかな♪」
「春はなのはの季節という所か。」
だが、其れも良いだろう。
しかし、本当に心が和む。
家族と、仲間と只桜を楽しんで宴を開いているだけなのにな。
此れもきっとこの世界に来なければ一生体験する事はなかっただろうな。
来年も来れると良いな…いや、来年だけでなくそれから先もずっと…
「来れるよ…皆一緒だもん。」
「…そうだな。」
これからもきっと…な♪
――――――
Side:美由希
お花見の宴も竹縄なんだけど……此れは起こせないよねぇ?
「起こせないわ…マッタクなのはってば…」
「でも、なのはちゃん嬉しそう。ルナさんも。」
アリサちゃんとすずかちゃんの言う通りね。
なのはってばルナに膝枕されたまま寝ちゃってるし、ルナも寝ちゃってる。
しかも…
「冥沙とゆうりも同じような感じね。」
冥沙がゆうりを膝枕して、こっちも春の日差しに負けて眠ってる。
此れは、もう少しだけ起こさない方が良いかな?
「(コクリ)」
「なはともそう思う?……それじゃあ後20分だけ待ちましょうか?20分過ぎたら起こすって事で。」
「異論無しやで美由希さん。」
ありがとう。
でも…なんと言うか和む組み合わせよね。
皆安心しきってるし、嬉しそう。
取り合えず月並みだけど…皆、良い夢を♪
――サァァァァァァ…
!!そよ風で桜が!
それがなのはとルナに……はぁ、此れは一種の芸術だね。
桜の花びら舞う中で春の陽気に誘われた姉妹、絵になるわ。
こんなお花見も、きっとアリかもね。
To Be Continued… 