Side:ルナ


 ゆうりを助け出して、そして現れたエクザミアの暴走体なんだが…

 「此れは又、如何ともしがたい物が出てきたな…」

 大きさはナハトヴァール暴走体と同じくらいだが、これは何と言うか肉隗?
 そうとしか言いようが無い外見だ――


 「なんかタコの足っぽいのが生えてる。」

 「え〜と、猿の頭と腕…かなぁ?」

 「蜘蛛の頭と足も生えておるぞ…」

 「アレは鷹の頭部と翼でしょうか…?」


 おまけにソレから色んな動物の身体の一部が生えているから、気持ち悪い事この上ない。
 何であんな外見になってしまったんだ、ゆうり?


 「え〜と…何故でしょうか?私にも分らないです。」

 「矢張り分らないか…」

 まぁ、仕方ないか。
 ……取り合えず滅するとしようか――正直あまり見て居たくは無いからな。










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福70
 『A's Last Battle!!』










 だが、見た目は兎も角としても戦闘能力は相当に高いはずだ。
 動きは速くは無いだろうが、防御力と攻撃力は振り切れてると見るべきだな……さて、如何攻めようかなのは?


 「うん……問題はナハトヴァールみたいな多重障壁があるかどうかだよね?
  ソレの有無によって攻め方は変わってくると思うの。」

 「確かに――エネミースキャンで分らないのか?」

 アレは中々便利な代物のはずだが?


 「あ、使ってなかったの!!レイジングハート!」

 『All right.Enemy Scan.』


 忘れていただけか…まぁ、最近は使う事も無かったからな。
 で、如何だ?何か分ったか?


 「うん……アレにはナハトヴァールみたいな多重障壁は無いの。
  けどその代わりにとても強固な1枚の障壁で身体を覆ってるみたい。」

 「数ではなく質と言う事か?……ふん、塵芥にしては考えているようだな。」

 「ですが、その足掻きも我等の前では所詮悪足掻きであると教えて差し上げましょう。」


 星奈…ふふ、そうだな――精々教えてやるとしようか、自分が一体誰に喧嘩を売ったのかを。
 そもそも相手が誰かとか、色々考える事自体が私達には合わないな。

 「立塞がる敵は砕くのみ、だな?」

 「だね……全力で行くだけなの!!」

 「その意気!流石は私の妹!」


 美由希も気合充分か、頼りにしているぞ?


 「任せて、剣の腕なら負けないから。」

 「だろうな。」



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴ…



 む、魔力が――来るか!


 『Wryyyyyyyyyyyyyyyyy!!!』



 此れは…!覚醒の咆哮だけでこの圧力か…!!
 確かにナハトヴァールに匹敵するかもしれないが――それだけだ。

 ん?如何した、はやて嬢、リインフォース?


 「待って下さいはやて、幾らなんでも危険すぎます!!」

 「大丈夫や、事前に計算してきたから5分くらいなら危険も無い。
  それに、無茶する時はお互い様、私等は一心同体やろリインフォース?」

 「ソレは………分りました…ですが此れが最初で最後ですよ?」

 「うん、分こてるよ。」


 はて、一体何の話なのか?


 「ほな行くで!…ユニゾン!」

 「イン!!」


 !?ユニゾンだと?
 馬鹿な、融合機能は失われて居る筈――…!!ま、まさか!!


 「融合完了…融合率98%――此れは!!」

 「矢張り逆融合…!!」

 何て無茶を……一歩間違えばはやて嬢は消滅だぞ!?
 いや、計算したと言っていたし大丈夫なのか?……此れも何より信頼のなせる業か…大したものだ。


 だが、此れで私達の敗北は万に一つも無くなった。
 一騎果敢に攻める!なのは、最終突撃命令を頼む!


 「うん!此れが最後!全力全壊、手加減無しで行こう!」

 「「「「「「「「「「「「おーーーー!」」」」」」」」」」」」


 さぁ、来るぞ!!
 先ずは砲撃か…


 「その様な攻撃など通さん!烈鋼牙ぁ!でぇぇりゃぁぁぁ!!!」


 流石はザフィーラ……その防御力は頼りになるな。
 と、今度は雷撃と炎熱砲?


 成程な、夫々の動物の部位が異なる攻撃をして来ると言う訳か。
 蜘蛛は炎熱砲、鷹は雷撃、猿は重力球、人っぽいのは純粋魔法射撃、タコの足は近づく者への近接攻撃か――

 夫々の部位破壊をしていくのがセオリーだろうが、

 「ゆうり、アレにナハトヴァールの様な再生機能はあるのか?」

 「いえ、無限連環機構と無限再生プログラムは違いますので、傷の修復はしても破壊された部分の即時再生はしません。
  只、結局の所エクザミアのコアそのものを破壊しない限り、時間が経てば再活動はするでしょうが…」


 瞬間再生は無いと言うところか。
 うん、だがソレならば総攻撃をかければコアの露出と破壊は容易そうだな。


 『ほな、先ずはあれの動き止めなアカンね?シャマル、ザフィーラ!

 「はい、任せてください!それじゃあ…少し大人しくしていてね?戒めの糸!

 「御意に……縛れ、鋼の軛!!

 「拘束なら僕の十八番だ、ストラグルバインド!


 ――ギチィィィィ!!

 ――バシュゥゥゥ!!


 ――バキィィィン!!


 なんとまぁ、逆融合状態で外に指示を出すとは……融合状態の制御だけでも相当な筈だが、大したものだ本当に。
 だが、この行動制御は大きいぞ、シャマルにザフィーラ、ソレにクロノ執務官の3重拘束はそう簡単には解けはしない。
 絶好の好機、此処で決める!


 「りょ〜〜かい〜〜!!よっしゃ〜!!ぶった切る!」

 「先陣突破、行きます!!」


 光翼連斬!!

 『Duble Slash.』


 疾風迅雷!

 『Sprite Zamber.』


 雷華にフェイト、相変わらず素早い。
 一撃で鷹の部分を両断撃破と来たか。


 『Gyaaaaaaaaaaaaaa!!!』


 反撃の炎熱砲!!
 だが、此方にも炎熱の操り手は居る――ソレもお前よりも強いのがな!


 「其の程度の炎は…」

 「我等の前には通じぬと知れ!」


 頼むぞ、星奈、将!


 「ディザスターヒート!

 『Disaster Heat.』


 飛竜一閃!!


 ――ゴォォォォ!……ジュゥゥゥ…


 この2人の炎の前には無限連環機構の炎と言えど掻き消されるだけか。
 此れで残る部位は3つ!


 「へっ、デカイ図体だけで全然弱ぇじゃねぇか!お前なんざアイゼンの汚れにもならねぇ!!」

 「貴方は私の中の闇……今此処で消し去ります!」


 「ゆうり、ヴィータちゃん――お願い!!」


 「おうよ、任せとけ!!うおらぁぁぁ、ぶっとべぇぇぇえぇぇ!!!」

 『Schwalbefliegen Claymore.』


 エンシェント…マトリクス!!


 ――ドゴォォォォン!!


 重力波も何のそのか…流石はヴィータ。
 ゆうりも単純に技の『破壊力』だけなら、私達の中で1番かもしれないね。

 猿も粉砕、残りは2つ!!


 「タコは美味しいと思うんだけど、此れはあんまりいただけないかなぁ?」

 「うむ、たこ焼きにしても不味そうだしの。」


 「美由希に冥沙…」

 いや、確かに不味そうだが…そういう問題か?


 『Abaaaaaaaaaaa!!』

 「!!」

 あの足、伸びるのか?意外と厄介な代物だが…


 「小賢しいわ下郎が、王を前に頭が高い!!跪け、ヘルムブレイカー!!

 「そう言う事だから、大人しくしてね?風雅一閃!!

 「(♪)」


 ――ズバァ!バシュ!!ドッゴォォォン!!


 冥沙と美由希が足を切り捨てて、なはとがトドメに角ビーム?
 と言うか未だ巨大化したままだったのかお前…


 「(?)」

 「いや、別に良いけれどな?」

 可愛いし。


 さて、此れで残るは1つ。
 人の様な部位だが、此処は私達だななのは。


 「うん!最後の部位破壊なの!」

 「精々派手に決めようか!」


 『Wryyyyyyyyyyyyyyy!!!』


 来たな、無差別射撃!


 『リインフォース、なのはちゃんとルナさんの為に道を開けんで!

 「了解です、はやて。」


 「はやて嬢?」

 「リインフォースさん!!」



 『2人とも私等にも見せ場頂戴な?ほな行くで……刃以て血に染めよ…

 「穿て…」

 「『ブラッディダガー!』」


 ――ガガガガガガガガガ!!!


 全弾完全相殺!…凄いな、此処まで逆融合を制御するか…!


 『やけど、そろそろ限界やね…

 「ソレはそうでしょう…ユニゾンアウト!」

 「はぁ〜〜…しんど…」


 マッタク…だが、今の一撃のおかげで此方の攻撃がストレートに通る!


 ディバイィィィィン…バスターァァァァァ!!!

 『『Divine Buster.』』


 砕けろ…!



 ……僅かに残ったか、だが!!

 「美由希、月影を!」

 「は〜い、ご返却!!」


 残った分は切り捨てる!潔く逝け…

 絶刀…!

 『Die.』


 ――バババババババ!!



 よし、全部位破壊!!
 残るは本体のみ…アミタ、キリエ!!


 「はいは〜い。それじゃ、馬鹿な不始末のケジメをつけましょうか?」

 「私も一緒にやります。無限の運命、私達で終らせましょう!」

 「OK!行くわよ…スラッシュ・レイブ・インパクト!!」

 エンド・オブ・デスティニー!!


 「S…R…Iーーーー!!」

 「シュゥゥトォ…エンドォォォ!!!」



 超高速の連続切りから、キリエは極大魔力球、アミタは全方位からの魔力弾攻撃か!!
 しかもこの洗練された攻撃は……きっと姉妹で鍛えてきたんだろうな。



 ――ドガァァァァン!!



 全てが的確に入った――此れなら!!


 「!!まだです!!」

 「何だと!?」

 此れだけ受けて未だ止まらないのか?
 しかも此れは…!!


 『Shaaaaaaaaaaaaaa!!』


 傷ついた肉隗が弾け飛んで、中から炎の人型が…!
 男性と女性…安定しない外見は雌雄両体と言う所か?

 恐らくはこれがコア……真のラストボスか。


 『……Ka!!』

 「!…此れは結界!!」

 「わ、私とルナ以外は結界の外に…!」


 分断されたか……だが、此れで私達を攻略できる心算なのか?
 だとしたら――お前は私達を舐めすぎだ、エクザミアの闇よ!








 ――――――








 Side:なのは


 エクザミアの最終形態。
 私とルナだけを結界内に閉じ込めて、先ずは排除する心算なのかな?

 でも甘いよ?
 貴方は自ら最悪の選択をしてしまったの!
 私とルナのコンビは最強って自負してる、暴走体の最終形態なんかには負けないんだから!

 「白夜の聖王・高町なのは!」

 「月の祝福、リインフォース・ルナ…」

 「「誰に戦いを挑んだか、其の身に刻み込むと良い!!」」

 『Shalalaallalalalaalala!!』


 来た、魔力弾!
 でも、この程度は敵じゃないの!!


 『Accel Shooter.』


 有動制御も甘いし、動きも単純。
 此れなら相殺は訳ないし、ルナがクロスレンジを挑む充分な隙になる。


 「裂!!」

 『GAaaaaaaaa!』


 へ?ルナの抜刀を止めた?
 ソレにさっきは女の人だったのに今度は男の人?


 …もしかして!!

 「レイジングハート!」

 『All right.Divine Shooter.』


 単発の誘導弾で…!!


 『!!!!』


 …やっぱり!今度は女の人になった――ルナ!!


 「あぁ、如何やら女性型はロングレンジ、男性型はクロスレンジの形態のようだ。
  完璧な戦闘スタイル変更だが、相手が異なるタイプの2人ならソレは完璧足り得ない。」

 「絶えず、前衛後衛のコンビネーションで攻めれば、ガス欠を起こす!」

 そうと分れば…!!

 「アクセルシューターバニシングシフト!」

 『Lock On.』

 「シューーーーートッ!!」

 先ずは牽制の一発!
 うん、当然女性型になるよね?……でもソレは間違い!


 「覇ぁ!!!」

 『!?』


 其の隙にルナの体術と剣術のクロスレンジが入るの!
 そして、ソレに対処しようとすれば…!


 『!!!』


 私の誘導弾が降り注ぐ!
 魔力弾は幾らでも中空に設置できるから弾切れの心配は無いの!


 「おぉぉぉぉ…トランザム!!」

 『OK“Tran−S・A・M”』


 ルナのトランザム!
 此れはもう対処しきれないよね?


 『!!――!!――Wryaaaaaaaaaaa!!!』

 「そんな破れかぶれの攻撃なんて当たらないの!!捕まえた!」

 『Restrict Lock.』


 「捕らえろ、縛鎖!」

 『Lock Bind.』



 ――ガキィィィン!!



 『!??????!!!!!』



 私とルナの全力バインドは簡単には外せないよ?
 攻撃を予測して女性型になったみたいだけど……この攻撃には無意味なの!


 私とルナの最強合体攻撃――エターナルミーティア。
 此れで終らせる!!

 「全力全壊!!」

 「一撃必殺!!」



 N&L超広域殲滅コンビネーション、エターナルミーティア!!



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



 じゃあね、バイバイ…









 「「Jack Pod.」」








 ――ドガバァァァァァ!!ドガガガガガガガガ!!バオォォォォン!!!!


 爆発四散……結界が消えたって言う事はやったかな?


 「多分な。」


 「お〜〜い!ナノハ〜〜、ルナ〜〜!!」

 「雷華!」

 ソレに皆!
 大丈夫、私達は無事だよ!
 エクザミアのコアも吹き飛ばした……と思うの。


 「何ゆえそんな曖昧な言い方なのだ?」

 「ん〜〜…結界が解けただけで確証が無いからかな?」

 消滅を誰か確認してくれてるといいんだけど…



 『はいは〜い、皆無事ですか〜〜?アースラのエイミィです!
  観測地点の異常魔力の消滅を確認したよ〜〜!無限連環機構のコアの反応も消滅、復活の兆し無し!
  エクザミア……完全消滅だね、お疲れ様〜〜!!』


 エイミィさん!
 そっか、本当にコアを砕けたんだ…!


 「まぁ、私とお前の全力コンビネーションに耐えられる相手など早々居ないだろう?」

 「ルナ――ソレもそうだね。」

 「なのはちゃんとルナさんドンだけやねん…」

 「はやて、なのはとルナの戦闘力には突っ込むだけ無駄だよ…」


 ソレは酷いよフェイトちゃん!……否定できないのが悲しいけど。
 でも此れで、


 「はい、もう大丈夫です。
  私とエクザミアは切り離されましたし、エクザミアは消えました……全部終りです。」

 「ゆうり……うん!終ったんだね!!」

 思えばキリエさんと会ってから、戦って、オリヴィエさんの力を受け継いで、色々だったけど、此れで一件落着なの。


 それじゃあ、戻ろうか――アースラに!













  To Be Continued…