Side:ルナ


 「約束を果たしに来た…お前を救いに来たぞ?」

 「…………」


 …此方の声は届かないか――反応が無い。
 エクザミアの暴走のせいで忘我の状態と言うところか?

 だが…

 「今、お前の苦しみを取り除いてやる。」

 「指切りして約束したからね……必ず助けるよ!」


 だから余り抵抗をしないで、今この時は大人しく倒されてくれ。
 それで、お前の苦しみも全て消えてなくなるんだからな。


 「……うぅ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 流石に、そう簡単には行かないだろうけれどね。










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福68
 『絶対防御?…温い!』










 凄まじい圧力だな…魔力の解放だけでこれか。
 此れは、出し惜しみ出来る相手じゃない――最初から全力で行かないと此方が落とされてしまうな?


 「その様ですね…尤も、加減をする心算など毛頭ありませんが。」

 「ゆーりを救うには全力全壊じゃないと無理だもん!」


 ふ、そうだな。
 まぁ、私とて加減をする心算など無い――全力でなければ止める事すら出来ないからな。

 なのはも初手から全力だろう?


 「勿論!出し惜しみは一切しないの!」

 「その通りだな。」

 なら、やろうか!


 「うん……破ぁぁぁぁぁぁ!!」

 「嗚ぉぉぉぉぉ…!!!」



 ――バチィ!!



 「聖王・高町なのは、行きます!」

 「祝福の月光、リインフォース・ルナ参る!」

 共に最強状態解放だ。
 うん、前よりも更に馴染んでいるな。

 なのはも目覚めたばかりの力なのに見事に制御している――大したものだ。
 …ん?ゆうり?


 ―――――!!」


 !!
 行き成り砲撃!?

 …私となのはの力の解放に呼応したのか…!
 凄まじい威力だな……さて、如何するか?

 ゆうりの絶対防御を破壊しない限り攻撃プログラムも意味が無いが――果たしてどうやって破壊する?

 クロスレンジで『バリアブレイク』の様な攻撃を仕掛けるのが一番有効なんだろうが…


 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「く…パンツァーシルト!!」

 この暴れ回る聞かん坊に近づくのは容易じゃないぞ…!
 バインドも、これじゃあ掛けた瞬間に破壊されて終りだろうに……

 何とか動きを止めることができれば、私とリインフォース、ザフィーラとアルフのクロスレンジで防御破壊まで行けると思うんだが…


 「そう言う事だったら…」

 「私等に任せとき!」


 なのはにはやて嬢?
 何か良い作戦があるのか?


 「うん、誘導弾と射撃魔法を駆使してゆうりの動きを制限するの。」

 「制限されれば、当然動きは鈍くなる。
  動きが鈍くなれば隙も出来る――やったらその隙を突いてクロスレンジ要員が全力特攻かければ行けるやろ?」


 拘束ではなく行動制限か?

 なのはと星奈、クロノ執務官の精密誘導弾と冥沙とはやて嬢の広域射撃を併用すれば――うん、行けるな。
 しかもこの場合の誘導弾は攻撃じゃなくて、あくまで『誘導と制御』が目的だから当てる必要もない。

 「この作戦を如何思う、執務官?」

 「現状では最も良い手だ。
  なら、はやてと冥沙の広域射撃で行動範囲を、僕となのはと星奈が誘導弾で行動そのものを制限する。
  ルナ、リインフォース、アルフ、ザフィーラはバリアブレイクを担当してくれ。
  シャマルは各種補助で、フェイトと雷華、アミティエとキリエはゆうりからの攻撃を捌くのが仕事だ。
  シグナム、ヴィータ、美由希の3人は隙あらばクロスレンジを仕掛けて、少しでもゆうりの防御を削ってくれ!」


 流石に役割分担を決めるのが早い、それに誰を何処に当てるかも的確だな。

 と、ゆっくり作戦会議もさせてはくれないか?…来るぞ!


 「ぐぅぅぅ……セイバー!!!」


 行き成り全方位への射撃魔法だと!?
 く…此処は頼むぞなのは、星奈!


 「うん!アクセルシューターバニシングシフト!」

 「お任せを…パイロシューターパニッシャーシフト…!」

 『『Lock On.』』

 「「シュートッ!」」

 「負けてられないな…スティンガー!」


 相変わらず見事な誘導弾だが…此れじゃあ足りない…!


 「やるぞ小鴉!」

 「任せとき王様!」

 「貫け…レギオン・オブ・ドゥームブリンガー!!」

 「切り裂け…バルムンク!」


 冥沙にはやて嬢!
 うん、良いコンビネーションだ。

 なのはと星奈、執務官の誘導弾で相殺出来なかった分を見事に撃ち落したか。


 「?……ヴェスパー!!」


 今度は砲撃か!


 「此処は任せろ……烈鋼牙!でぇぇりゃぁぁ!!」

 「ザフィーラ!!」

 此れを殴り返すか…!
 流石だな。

 だが、第2波が来るぞ!


 「ジャベリン!!」


 「此処は私達に…」

 「お任せ〜!!」

 「プラズマランサー!」

 「光翼連斬…ダブルスラ〜〜ッシュ!!」


 フェイトに雷華…良い判断だ!
 美由希、将、鉄騎!!


 「任せてって!斬!!」

 「抜かりは無い…紫電一閃!」

 「ブチとばせ…ラケーテンハンマー!!」


 よし…此れで少しは削れた筈だ……ってそれでも動くか!


 セイ…バァァァァァァァァ!!!

 「困った聞かん坊ちゃんね…けど、私の責任もあるから止めるわよ?…ラピッドファイア!!」

 「貴女を救うことが…きっと私達ギアーズの使命なんです!…バルカンレイド…ファイアー!」


 キリエにアミタ!
 良いタイミングで攻撃するじゃないか…此れなら行ける!


 「アクセルシューター!」

 「パイロシューター…!」


 それに皆が頑張っているんだ…退く事等出来るか!

 風神爪牙!

 私だって防御破壊以外にも出来る事は幾らでも有る。
 ならソレを果たさないと!



 「はぁぁぁぁ…ディバインバスター!!」

 『Divine Buster.』

 「ブラスト…ファイヤー!」

 『Blast Fire.』


 良い直射砲だ!
 執務官!!


 「ゆうりの動きが止まった……頼む!」

 「了解だ!」

 動きを止めるなど、戦いの場では命取り……だが、そのおかげで最大の好機到来だ。
 行くぞ、皆!


 「ウオォッ…滅牙ぁ!!どぃえりゃぁぁぁぁぁ!!」

 ブゥゥゥレイクゥゥゥゥ!!!

 シュバルツェヴィルクング!


 流石にこの面子だとクロスレンジは問題ないな。
 私達もやるぞ!


 『All right.My Master.Clear to go!』


 何時でもいけるか…なら全力でバリアを破壊する!


 『OK Master.』


 覇あぁぁぁぁぁぁ…!

 蒼嵐滅掌!!

 バリア破壊効果を付与した一撃だ…耐えられるか!?


 「うぅ…あぁぁぁぁ!!!!」

 「く…凄まじい、魔力の余波で此れか?…だが、負けない!此処で膝を折ったら、二度とお前を救う事など出来はしない!!」

 ブライト!!


 『All right.“Tran−S・A・M”Drive ignition!Break!!』

 「パルマ…フィオキーナァァァ!!!」

 略零距離からの砲撃…此れなら…!!



 ――ピキ…!



 「!?」

 「嗚ぉぉぉぉぉ……砕けろ!!」


 ――バリィィィン!!!


 …いったか!!

 スーパーアーマー状態解除だ…一気に行くぞ!!








 ――――――








 Side:なのは


 スーパーアーマー解除…確かにルナはそう言った!
 此れならこっちからの攻撃は効果が有るよねクロノ君!


 「あぁ…あの子の絶対防御が解けたなら行ける――畳み掛けよう!」

 「了解なの!」

 一気に決めて、ゆうりを助け出す…………!?

 な、何?!
 この濃密なまでの魔力は…!!



 『クロノ君!!』

 「エイミィ!!」

 「エイミィさん!!」


 如何したんですか?…それにこの魔力は…!!


 『観測地点で異常な魔力の高まりをキャッチ――…れ…みの…欠片…』

 「ノイズ…!」

 魔力のせいで通信障害が起きるなんて…!
 けど断片的に聞こえた部分から考えて――闇の欠片が現れたの…!



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴ…



 この魔力の強さは…間違いない!

 「皆気をつけて!…闇の欠片が来るの!!」



 「………」
 「「…………」」
 「「「……………」」」
 「「「「………………!!」」」」
 「「「「「…………………!!」」」」」



 「な、何だこの馬鹿げた数は…鬱陶しい事よ…!」

 「ホンマやなぁ…まぁ、叩き潰すだけやろ!」


 闇の欠片…凄い数。
 総数は恐らく80超の筈なの……けど、やられない!!

 クロノ君!!


 「あぁ…なのはを始めとした攻撃プログラム所持組とルナはゆうりに専念してくれ!
  僕と他のメンバーは闇の欠片を全力で排除する!!」

 「ありがとうクロノ君!!」

 「見事な手腕だな執務官殿…!」


 攻撃プログラムは、私以外だと星奈と雷華、そしてフェイトちゃんとシグナムさんとヴィータちゃんが持ってる。
 ルナは〆の一撃をお願いするね?


 「有りがたく拝命しよう…行こうか、なのは!!」

 「勿論!!」

 防御力が高かろうが何だろうが関係ないの!

 クロノ君達が欠片に対処してくれるから、私達が集中できる…



 此処からが貴女を救う物語の第2幕……行くよゆうり!!










  To Be Continued…