Side:はやて


 「シャマル、場所分った?」

 「え〜と…はい、分りました!海鳴中央公園に結界が発生してます。」


 検索開始から1分…流石やねシャマル♪
 それにしても闇の欠片とか言うのだけでも厄介やのに結界とはなぁ…

 クロノ君も色々急がしそうやったから現地入りにはもう少し時間掛かるはずやしね。
 まぁ、それはでは私等で頑張ろうな?


 「はい、我が主。
  将にヴィータ、ザフィーラは闇の欠片を殲滅してくれています…私達は結界のほうに集中しましょう。」


 そやな。
 けどなリインフォース…


 「何でしょうか?」

 「あんな?出来ればルナさんがなのはちゃん呼び捨てにしてるみたいに私のこと名前で呼んでくれへん?」

 「えぇ!?」


 …そないに驚かなくてもえぇやん…










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福63
 『記憶と現実と闇と…』










 やってリインフォースだけやん私の事名前で呼ばないの。
 シグナムやって『主はやて』て名前呼んでくれるんよ?
 だからリインフォースにも名前で呼んで欲しいんやけど……ダメ?(上目使い)


 「いえ、しかしその…あう…あの…」

 「…私のこと名前で呼ぶの嫌?」

 「〜〜〜〜///!!……わ、分りました……は、はやて…此れでいいですか…///?」


 いや〜〜ん、名前呼ぶだけでそんなに赤くなって可愛いなぁ〜♪
 良えよ、ホンマは敬語も無しって言いたい所やけど其れはシグナムもそうやからな。

 うん、ほな気分新たに現場に向かおか♪


 「はやて…少し緊張感を持ってください……クロノ執務官が言うには…!」

 「うん、仕事前のリラックスは此処までや。」

 クロノ君が言うには結界発生地点でなのはちゃんとルナさん、王様達の反応が消えたらしい――有ろう事か美由希さんも巻き込んで。
 更に同地点で正体不明の反応を2つと、巨大な魔力を観測した言うてたからね。


 …む、見えた!
 あれが結界やな?


 「間違い無いわはやてちゃん。クロノ君から貰った座標軸ともピッタリ一致してるもの。」

 「そか……突入するで!リインフォース、突入のための風穴打ち開けたって!」

 「お任せ下さい我があ……はやて!はぁぁぁぁ…ナイトメアハウル!」


 ――ガァァン!!


 お見事、流石はリインフォースや!
 突っ込むで!!


 「「はい!」」


 で、突入〜……ってリインフォースが開けた風穴あっという間に塞がってしもた…随分強固な結界やね…
 さて、何があるんや?……ん?アレは……

 「此れって王様が持ってる魔導書やない?」

 『夜天の魔導書』の色違いみたいな魔導書…確か『紫天の書』言ってたような…
 其れが何で此処に?大体持ち主の王様は何処や?


 「結界内には私達以外の人は居ないみたい…それに闇の欠片って言うのも居ないみたいね…」


 う〜〜んどう言う事やろ?
 リインフォースは何か分らへん?


 「私も良く……!!はやて!!」

 「へ、リインフォース?」


 ドナイしたの?行き成り王様の本弾き飛ばして…


 「申し訳ありませんはやて。ですが其れからとてつもなく強大な魔力が…!」


 巨大な魔力て………



 ――ポウ…



 !!
 な、行き成り浮かび上がった!?
 それに……うん、確かに凄い力を感じる…
 けど、なんやろう?強い力と一緒に寂しさと悲しみも感じる……


 『………』

 「あ、待って何処行くんや!」


 ――パシュン!



 あ…消えてもうた…
 一体何が…


 『はやて、聞こえるか?クロノだ。』

 「クロノ君!えっと、観測地点に来たんやけど……王様の魔導書が有るだけで他には何も無かったよ?」

 其の魔導書も行き成り浮き上がって消えてもうたしね…


 『冥沙の魔導書が?……結界は?』

 「魔導書が消えるのと同時に解除されたみたいや。……何が起きてるん?」

 『未だ余りにも情報が少ないからハッキリした事は…ただ、エイミィが得られた情報の解析を済ませている。
  現状の確認と把握をしたい、一度守護騎士達と共にアースラまで来て欲しい。』


 「ん、了解や。」



 と言う訳で、アースラに行くで。
 皆に…


 「将には伝え終わりました。」

 「ヴィータちゃんとザフィーラにも伝えたわ♪」

 「おぉ、流石に仕事早いな♪」

 お見事や。
 …其れとリインフォース、シグナムの事も名前で呼んであげなアカンよ?


 「……善処します。」

 「ん、よろしい。」

 ほな、アースラに直行や。



 にしても…なのはちゃん達は一体何処に行ってもうたんや?

 まさか紫天の書に取り込まれて?……無いとも言い切れへんね。
 もしそうやったとしたら、早いとこ何とかせなアカン――エイミィさんの解析結果に期待やな。








 ――――――








 Side:ルナ


 よもや、まさかこの目で己の終焉の様を見ることに成るとはな…
 この時は…そうだ、戦乱期ゆえに『敵を滅せよ』と言う当時の主の願いに突き動かされた形で暴走して…

 そして全てが終わったんだったな…


 「ルナ…大丈夫?」

 「あぁ、大丈夫だ――消せない過去だが、重荷にせず、だが忘れることも無く受け入れて今を生きる事が大事…だろ?」

 「そうだね。……でも如何して行き成りこんな事が…」


 …あくまで推測なんだが、私達は『紫天の書』に取り込まれたんじゃないか?
 取り込んだ者の記憶を再生する能力は暴走した夜天の魔導書でも起きていた――同系統の魔導書なら同じ機能が有ってもオカシクは無い。

 恐らくさっきの閃光が私達を取り込むためのものだったんだろう。


 「待て待て、だとしたら今、我が持っているこの魔導書は何だ?偽者だとでも言うのか?」

 「いや、其れもまた本物だ。この手の魔導書は、現実世界と精神世界に夫々存在できる。
  私達を取り込んだ紫天の書は現実世界に存在し、取り込まれたお前には精神世界の紫天の書があるという訳さ。」

 「…ややこしいの…」


 あぁ、本当にな。

 それにしても……何と言うか恐ろしいな暴走した私…あ、戦艦10隻落ちた…
 こんなに無双してた記憶は無いんだがなぁ………ん?


 ――ガシャン…ガシャン…ギチギチ…


 「うわ!何こいつ等!」

 「等身大の…人形、かな?」

 「ん〜〜余り趣味が良いとは言えないわね〜?」


 此れは、古代ベルカの戦闘用魔導兵器だな。
 偽プレシアが使っていた傀儡兵の原型みたいなものさ――此方の方が純粋戦闘用だから遥かに性能は上だがな。

 それでも然程強い相手では無いが、徒党を組んで行動するから数で圧されると少し厄介だ。
 だが、何故此処に?
 少なくともこの場にこいつ等が戦う相手は居ないはずだが…


 『ターゲット確認…抹消開始。』
 『抹消。』
 『『抹消。』』
 『『『抹消。』』』
 『『『『抹消。』』』』



 !!!まさか…私達か!!

 「狙いは私達だ!来るぞ!!」

 「そんな!!…レイジングハート、お姉ちゃんにバリアジャケット!」

 『All right.Barrier Jacket Standby.Set up.』

 「おぉ、お正月以来のバリアジャケットだね。ありがとう、なのは、レイジングハート。」

 「どういたしましてなの♪」

 『Don't worry.』


 うん、見事だなのは。
 それから…美由希、此れを!


 「これって月影……良いの?」

 「こいつ等はさっきの欠片の傀儡兵と違って無手でどうにかなる相手じゃない。
  何時も使ってるのとは少々勝手が違うだろうが――使えるだろ?」

 「大丈夫。刀剣類なら獲物選ばないから!」


 なら安心だな。
 其れから君達も手伝ってくれ、戦力は多いほうが良い。


 「はい、勿論です!良いですねキリエ?」

 「はぁ…分ってるわよ。私がこの世界に来た影響かもしれないしね此れも……やった事位の責任は取らないとね。
  折角エルトリアを復興させる手段を見つけたと思ったのに…此れは帰ったら博士からお説教よね〜〜…」

 「私だって博士の教えを破って貴女を追ってきましたから――私も一緒に怒られますよ。」

 「……馬鹿。でも、ありがとアミタ。それじゃ、この変なのを取り合えず倒しちゃいましょう!」


 あぁ、やるぞ!
 なはと、私から離れるなよ?
 あと、もし可能だったらさっきみたいなバインドを頼む。


 「(コクリ)」


 良い子だ。

 さてと…

 「道を開けろ魔導人形達よ!邪魔立てするなら容赦はしないぞ!」

 『『『『『抹消、抹消、抹消…』』』』』


 聞かないか…ならば吹き飛ばす!


 「ルナ、星奈!」

 「えぇ、一発食らわせましょう!」

 「手加減不要でな!」


 吹き飛べ…!


 「「「ディバインバスター!!」」」

 『『『Divine Buster.』』』


 一撃葬滅!
 お前達如き魔導人形で私達を止められると思ってか?
 この場は圧し通る!!








 ――――――








 Side:クロノ


 「以上が分かっている事だ。
  海鳴に現れた皆の幻影は、闇の書の残滓に反応した冥沙の魔導書が造り出した偽者で『闇の欠片』。
  そして、なのは達の反応が消えた地点に現れた2つの正体不明の渡航者……その直後のなのは達の反応消失。
  これらは恐らく全てが1本で繋がっていると見て間違いないと思う。」

 「まぁ、そうやろな…観測地点の結界内に残ってた王様の魔導書に消えたなのはちゃん達。
  此れだけ揃ってたら全部が別口の事件とは到底思えへんよ。」


 君もそう考えたかはやて。
 そうなんだ、全てが1本としか思えないこの状況…逆に其れが厄介でもあるんだが…


 「如何言う事でしょうか?」

 「全てが1本だとすると正体不明の渡航者の目的が分らないんだ。
  と、言うよりも少なくとも渡航者の1人はまるで最初から『今日アノ場所をなのは達が通る』事を知っていたとしか思えない。」

 其れ位に抜群のタイミングで現れているんだ、観測結果だとね。
 其れこそ最初から『なのは達に用が有った』んじゃないかと思えるくらいに。


 「一体如何言う事なのかしら?冥沙ちゃんの魔導書も突然消えちゃったし…」

 「それにアノ魔導書からは途轍もない魔力を感じた……何も起こらないといいんだが…」


 其れは望み薄かもしれないな。
 起きて欲しくない厄介事ほど如何言う訳か起きてしまうのが世の常だ。



 ――ビーッ、ビーッ!!



 …ほらな。
 非常信号か…

 「如何したエイミィ!」

 『クロノ君、観測地点で強大な魔力反応をキャッチ!場所は――海鳴臨海公園から2kmの海上、映像出すね!』

 「頼む!!」


 ………此れは!!
 冥沙の魔導書…?…いや、周囲の魔力が形を変えている?
 エイミィ、アレから観測できる魔力は?


 『んとね…うそ…魔力ランクAAA+!あ、ううん、ドンドン上がってる!
  S-、S+……だ、SSを突破!未だ上昇が止まらないよ!…SS+…と、SSS!SSS+……
だめ観測不能!!』

 「馬鹿な…!!」

 暫定EXランクの魔力だなんて…!!
 こんな事が……!!


 「それだけやない!クロノ君、アレ見て!!」

 「な!!!」

 馬鹿な…!魔導書の周囲に魔力が集まって…姿が変わった!?
 此れは…女の子?……一体どうなっているんだ…?








 ――――――








 Side:なのは


 うん、数は多いけど全然対した事無い。
 プレシアさんの偽者が作った傀儡兵よりも幾分強いけど、こんなの何て事無いの!

 「一気に行くよレイジングハート!」

 『All right.Divine Buster Extension……Drive!』

 「シュート!!!!」


 「全てを無に帰せ…滅ぼせ、無界!!」

 『Kill Enemy…Die!』


 ルナの広域攻撃と私の直射砲で一網打尽!
 あっという間に殲滅なの!


 って、アレ?何時の間にか景色が変わってる?
 さっきとは違って緑が溢れてるこの場所は…


 「アミタ、此れって…!」

 「えぇ、エルトリアです。其れも元気だった頃の!」


 アミタさんとキリエさんの記憶の再生?
 取り込んだ人の記憶をランダムに再生するのかなぁ?

 う〜〜ん……



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…



 !!!魔力反応!?
 其れも凄く強い!!…此れは…



 「…………」


 へ?女の子…なの?
 ううん、それだけじゃなくてこの子は……夢で見た!!


 「コヤツは夢に出てきた…!」

 「正にそのものですね。」

 「お〜〜良く似てるぞ〜〜♪」

 「この子は一体…」


 皆も…!夢の内容だけじゃなくて出てきた子も同じだったなんて…此れはもう偶然じゃないの。
 一体どうなってるの…?



 「………此処に辿り着いたんですね…」

 「あ…」

 喋った…まぁ、当然だよね。
 …貴女のお名前は何て言うの?

 私は高町なのは、みんなは『なのは』って呼んでくれるの。


 「名前…そんなものは持ってません…」


 ほえ?名前無いの!?


 「私個人を特定する名はありません……でも何時の頃からか付いた名前ならばあります。」

 「じゃあ、其れを教えて貰って良いかな?」

 「……呪われた闇の書の構成素体が一基……
  ですが多くの人は私をこう呼びました……アンブレイカブルダーク…『砕け得ぬ闇』、と…」


 !!そんな、この子が砕け得ぬ闇?

 まさか……けど、取り合えず話を聞かせて欲しいの。
 何で私達を取り込んだのかとかも…


 「はい、全てお話します……何故貴女達を取り込んだのかも含めて全て…」


 うん、お願いするの。
 貴女の知る限りでいいから、何が起きてるのか正確に教えて!!


 如何やら相当に面倒な事態かも知れないの……


 「取り合えず聞いてみようなのは?」

 「其処から何か思いつくかもしれないからな。」


 お姉ちゃん、ルナ…うん、分ってるの。
 それじゃあ聞かせて?何でこんな事になってるの、何が起きてるのか…貴女の知っていることを全部!


 「はい…全部話します…私の知っている事を…」



 …さて、少しでも何か分かると良いの…












  To Be Continued…