Side:なのは
時は2月13日、明日はバレンタインデー。
クラスの皆も話題は其れで持ちきりなの。
「バレンタインデーねぇ…アタシ等って特別あげる人は居ないわよね。友チョコは兎も角として。」
「うむ、居らぬのう。と言うか今から『本命』は早すぎるであろうに…」
「居ないよねぇ…」
まぁ、ルナとお姉ちゃんには日頃の感謝の意味も籠めて渡すけし、星奈達にも勿論。
お父さんとお母さんにフェイトちゃん、はやてちゃん達にアースラの皆さん、それとアリサちゃんとすずかちゃんもだよね♪
「期待してるわよなのは〜。結構楽しみにしてるのよアンタのチョコレート。」
「楽しみにしてるねなのはちゃん♪」
にゃはは…それじゃあ期待には応えないとだね。
でも、今年は星奈達からもあるからそっちも期待しててね?
「へ〜〜?冥沙、アンタ料理できるんだ?」
「ふ、舐めるでないわ!我の料理の腕は、桃子の指導の下、日々進化中よ!
星奈も同様に上達しておるし、雷華は……まぁ、大雑把では有るがそれなりの腕前ではある。」
「僕頑張るから期待しててね!」
「うん、待ってるね雷華ちゃん♪」
此れは帰ったら、お家の台所使って早速だね。
「ですね。…時に恭也は如何するのです?」
「ん?あげるよ。あげないとお兄ちゃん泣いちゃうから。」
「…つくづく面倒な奴だなアイツは…」
ホントにね〜……忍さんから本命貰ってるからいいと思うんだけどなぁ…
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福60
『Happy Valentine♪』
Side:ルナ
「ルナはバレンタイン如何するの?」
「如何するも何もお前と同じさ、家族チョコと友チョコだけだよ。」
本命の異性も居ないしな。
これから空き時間利用して作るつもりだが…美由希も一緒にやるか?
「そうさせてもらおうかな、作る量結構あるからね。」
「では頑張るか。分らない所は桃子に聞けば大丈夫だろう?」
「大丈夫でしょ?お母さんは『世界最強のパティシエール』だから。」
確かに最強かもしれないな。
桃子の作るショートケーキとシュークリームの味は一度食べたら忘れる事が出来ないくらいだ。
うん、最強の助っ人が居るから何も怖いものは無い!
「委細同意!それじゃあ、なのは達が帰ってくる前に作りますか!」
「そうだな。……って、時に美由希今日は何でこんなに早く帰ってきてるんだ?」
早退でもしたのか?
「今日から3日間は学年末考査で半日授業だからお昼で終りなんだ。」
「成程、そういうことか。」
それなら桃子や士郎も何も言わない訳だ。
…で、恭也にはやるのか?
「一応義理をね。…って言うかあげないとガチで泣いちゃうからね恭ちゃん…」
「…娘から義理貰えなかった父親が泣くとは聞いた事があるが、妹からもらえなくて泣く兄と言うのは…」
「色々と終ってる♪」
そのレベルか…!(汗)
……さて、それじゃあ作るか。
午後の開店前に厨房を空けたほうが良いだろうしな。
「だね。家の台所は、なのは達が学校から帰ってきたら使うだろうから。」
「午後の開店は3時からだから2時間半は使える、それだけあれば充分だろう?」
「充分過ぎるよ、後片付けまでバッチリ出来るね。」
うん、材料はこの前の買出しで大量に購入してあるから大丈夫だ。
皆に喜んでもらえるように頑張ろう!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「これでヨシッと!あとは仕上げにアラザン散らして…」
「ホワイトの方はココアパウダー、ビターにはシュガーパウダーを……よし好い感じだ。」
桃子の助っ人が必要かとも思ったが、意外と巧く出来た。
私はトリュフで、美由希はカワイイ型抜きのチョコレートだな。
ビターとホワイトを2つずつ詰めて…美由希が入れるスペースを考えるとこんな感じか?
これで大丈夫かな?
「OK、このスペースに私のチョコレートを詰めて…ほらバッチリ!」
「あぁ、ピッタリ収まったな。」
私と美由希の合作チョコレート、箱詰め完了。
あとは綺麗にラッピングすれば出来上がりだな。
ラッピングのリボンは如何する?
「なのは達のは夫々の魔力光で良いんじゃない?」
「となると、ピンクと紫と水色と赤か――え〜と…うん、大丈夫だ4色ともあるな。」
魔力光は便利だな。
士郎のは……
「白で良いか。」
「名前とかけた洒落?」
「まぁ、否定はしない。」
と言うか他に思いつかないからいいだろう?
…よし、リボンも巧く結べた、ラッピングも完璧だ!
「「完成〜〜♪」」
記念のハイタッチだ!
なのは達が喜んでくれるといいな?
時に美由希、さっさとラッピングしてしまった其れは?
「此れはルナのだから中身は秘密、明日のお楽しみ♪」
「矢張りか。まぁ、私も美由希用に別に作ったからな。」
私のも明日のお楽しみだ♪
「(クイクイ)」
「ん?なはと?」
「(じ〜〜)」
大丈夫分ってるよ、ちゃんとお前の分も作ってあるから安心しろ。
「♪」
「可愛いねなはと。」
「本当にな。」
――――――
Side:なのは
学校から帰ってきたら即刻皆でチョコレート作り開始!
ルナはお店の方に出てるし、お姉ちゃんも今日は試験で半日だったからお店の方に居るはず。
お兄ちゃんはまだ帰ってきてないからバレンタインのプレゼント作るにはもってこいなの。
ルナとお姉ちゃんとお父さんのは4人で合作して…あとは夫々にね。
で、順調に作ってるんだけど…
「ねぇ、星奈は何をしてるのかなぁ?」
「うむ…溶かしたチョコレートを大きな塊に固めなおして…其れを彫刻しているようだの…」
「星奈んすごいぞ〜〜♪」
うん、凄いね。
確かに凄いね。
けど此れはお菓子作ってる光景なの!?
「超一流の菓子職人の作り上げる菓子の造形は芸術の域と聞いています……ならば私も負けられません。」
「何に対抗心燃やしてるの!?」
星奈は凝り性だからなぁ……まぁ、変な物にはならない筈だから良いか。
冥沙と雷華は出来た?
「うむ!見るがよい、我が作ったのは型抜きチョコよ。だが只の型抜きでは無いぞ?」
「如何言う……あ、横から見ると2色!」
「その通り!2つのチョコレートを重ねて型抜きしたのだ、イチゴチョコとミルクチョコのコントラストが綺麗であろう?」
うん、すっごく綺麗。
アラザンの飾りつけもいい感じ♪
雷華は?
「ん〜〜、僕は王様みたいに上手じゃないから普通に型で固めてチョコペンで絵を描いてみた!」
「チョコペンで……これってルナとお姉ちゃんとお父さん!」
デフォルメされてるけど良く似てるの、此れは喜んでもらえると思うの♪
「えっへん、僕頑張った!」
「うむ、良くやったな。で、ナノハはどんなものを作ったのだ?」
「私はトリュフチョコレート。刻んだドライフルーツを混ぜてみたの。」
「ほう、形は単純だが中々凝った作りだな。」
お母さんの娘だもん。
で、星奈は如何?
「出来ました。」
はや!もう彫刻できたの!?
「はい、固めて有ってもチョコレートは木よりも柔らかいので…此れが私のチョコレート『1/6スケール猫型チョコレート』です。」
「「「スゴッ!!」」」
これ本当にチョコレートなの!?
今にも動き出しそうなネコさんなの!!
「徹底的に見た目を追求してみました。これで箱の中の見た目も楽しくなるでしょう?」
「うん、其れはそうかも。」
「食べるのが勿体無いくらいの見事すぎる出来ではあるがな…」
「でも可愛いよ。さっすが星奈ん!」
「お褒めに預かり光栄です。」
にゃはは……まぁ一生懸命はいいことなの。
後はラッピングだけど…
「ルナは銀色でお姉ちゃんは若草色のリボンかな?」
「其れがいいでしょう。アリサは黄色ですずかは菫色がピッタリですね。」
「うむ。そうなると、士郎は一家の大黒柱であるから落ち着きのある黒が良かろう。」
「賛成〜〜!」
ホント、皆で一緒にやると楽しくてあっという間なの。
此れは明日が楽しみにだなぁ。
「ねー、ねーナノハ、ところで今作ったのと別の4つは何?」
「あぁ、其れは雷華達用の。」
だから中身は秘密だよ?
「まぁ当然であるな。我等も3人でお前用のを作ったからな。……ん?しかし我等は3人ぞ?…4つ目は?」
「其れはお兄ちゃん用の『義理チョコ』なの。」
「成程、そう言う事ですか。」
あげないとあげないで面倒なんだもん。
いい加減シスコン卒業して欲しいけど…無理なのかな?
「「「無理だ。」ですね。」だよ〜。」
「だよねぇ…」
はぁ、少し将来が思いやられるの……
――――――
Side:ルナ
で、翌日のバレンタイン当日。
午後の休憩時間を使って、バレンタインのお茶会だ。
アリサとすずかも来てくれて賑やかだな。
これから夫々にバレンタインのプレゼント、士郎には朝の内に渡したんだが、喜んでもらえてよかった。
さて、皆には如何かな?
「「「「「「「「ハッピーバレンタイン♪」」」」」」」」
飲み物がホットだから器を掲げるだけな。
ふぅ、寒い時期には温かいコーヒーが美味しい。
「さて、それじゃあ早速バレンタインのプレゼントだ。」
「先ずは皆に私とルナからね、ハイどうぞ♪」
気に入ってもらえると良いな。
「ありがとう、ルナ、お姉ちゃん♪」
「うむ、感謝。」
「ありがとうございます。」
「ありがとー!」
「ルナと美由希さんからも貰えるなんて、ちょっと感激ね。」
「凄く楽しみです。」
うん、如何やら喜んでくれたみたいだ。
「それじゃあ今度は、アタシとすずかからね。」
「昨日私の家で一緒に作ったんだ。」
2人の合作か。
へぇ…透明の入れ物で中身が見えるように――此れはチョコレートのカップケーキか。
「成程、こう言うのもアリだな。」
「チョコレートケーキとは意表を突かれたね。でもすっごくかわいく出来てるし美味しそう。」
うん、本当に見事だ。
…雷華、我慢できないなら別に食べてもいいぞ?
「ダメ!配り終えるまで我慢する!」
「そ、そうか…」
意外と我慢強いな。
さて、次は…
「うむ、我等とナノハからだ。」
「4人で作ったの♪」
4人でか。
私のは銀のリボンでラッピング……矢張り考える事は同じみたいだな。
ありがとう、此れは楽しみだ。
「なのはのは楽しみだけど、それ以上に今年は冥沙達のが興味あるのよね〜?」
「ふっふっふ、我等が作ったチョコレートを甘く見るなよ?いや、チョコだから甘いがの?
溢れるぞ美味さ、漲るぞポリフェノール、震えるほどチョコレェェェェェト!
開けて驚け、食して慄け、我等が味力の虜となるがいい!」
…なんだか良く分らないが兎に角凄い自信だな。
だが、その自信なら期待できるな。
さてと後は…製作者同士でだな。
美由希、ハッピーバレンタイン。
「ありがと♪ルナにもハッピーバレンタイン。」
「うん、ありがとう。」
皆もちゃんと用意しているみたいだな?
「それじゃあ此れは私から皆に1つずつなの♪」
「うむ、感謝。」
「では此れは私たち3人からナノハに。」
「はっぴーばれんたいーーん!」
「はい、すずか。」
「ありがとう。じゃあ私もアリサちゃんに。」
「ん、ありがとね♪」
バッチリ抜かりなく行き渡ったか。
それじゃあ、このチョコレートをお茶請けにお茶会続行だ。
「は〜〜い、ちょっと待って♪」
「桃子?」
如何した……それは、シュークリームか?
「正解。桃子さんから皆にバレンタインのプレゼント♪今日は『チョコレートシュークリーム』で〜す。」
「「「「「「「「おぉ〜〜〜〜」」」」」」」」
此れは予想外のサプライズだ。
ありがとう桃子、美味しく頂かせてもらう。
「どういたしまして♪」
最後の最後で最強のお菓子が出てきたな。
とても楽しいお茶会になりそうだ――バレンタインのお茶会、毎年恒例にしても良いかもしれないな。
因みに、恭也はお茶会が終ってから帰ってきたんだが…
「喜ぶべきか落ち込むべきか…」
なのはと美由希からデカデカと『義理』と書かれたチョコを貰って悩んでいたな。
もらえただけ幸運だろうに…喜んでおけ。
――――――
Side:なのは
バレンタインのお茶会はとっても楽しく終った。
チョコレート喜んでもらえてよかったの♪
さてと…レイジングハートにもプレゼントがあるの。
『It's Me?』
「うん。レイジングハートはチョコレート食べられないから…」
待機状態の紐を切って…
『Master?』
「この前お買い物に行った時に、露店で見つけたの。」
細い銀色のチェーン。
きっとレイジングハートにピッタリ合うの。
…うん、思ったとおりピッタリ!
良く似合ってるよ、レイジングハート!
『Thank you Master♪…But I not present.Sorry…』
「にゃはは、気にしなくていいよ。レイジングハートが一緒にいてくれるだけで、私は嬉しいから。」
だから、これからも一緒にね、レイジングハート♪
『All right.My Master.』
うん!
とっても良いバレンタインデーだったの♪
でもこの時、私は……うぅん、ルナも星奈も冥沙も雷華も…きっとフェイトちゃんとはやてちゃん、ヴィータちゃん達も予想なんてしてなかったの。
まさか1ヵ月後の3月に『闇の書事件』にも匹敵する大事件が起こるなんて事は…
To Be Continued… 