Side:なのは
1月1日――新しい年の始まり。
「それじゃあ、行こうか?」
私達は庭に集まってる。
ルナ、星奈、冥沙、雷華…そして美由希お姉ちゃん。
まだ夜明け前で少し寒いけど、此れくらいが良い時間だから。
「そうだな、良い時間だ。」
うん、じゃあ行こう!レイジングハート。
「ブライトハート。」
「ルシフェリオン。」
「ディアーチェクロイツ。」
「バルニフィカス!」
せ〜〜の!
「「「「「セットアップ!」」」」」
『『『『Standby ready.Set up.』』』』
変身完了♪
それじゃあ、行こう、『初日の出』を見に!
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福58
『続いて正月の一幕』
「おぉ〜〜…変身シーンて初めて見たけど、成程…皆カッコイイね♪」
「そうか?ありがとう。」
にゃはは、お姉ちゃんに褒められると照れるの♪
と、あんまりゆっくりしてたら陽が昇っちゃうの。
「お姉ちゃんはルナに連れて行ってもらってね?」
「ん、了解。てかルナじゃないと私は無理でしょ流石に。」
ん〜〜〜…雷華だったら行けると思うけど、安全性を言うならルナだね。
お願いね、ルナ?
「任せておけ。…失礼するぞ美由希。」
「きゃっ!え、あ…ルナ?」
「?…嫌だったか?」
「い、嫌じゃないけど…ごめん驚いた。」
「そうか…うん、行き成りすぎたな。」
…お姫様抱っこされれば当然の反応だと思うの。
ルナはナチュラルにあぁ言う事出来ちゃうんだよねぇ…しかも物凄く似合ってるし!
「似合っているのならば良いのでは?美人でカッコイイ姉…最高じゃないですか。」
「確かに。」
「うむ、言えておる。」
「るなはカッコイイし優しいぞ〜♪」
カッコイイお姉ちゃん…最高なの!
美由希お姉ちゃんもカッコイイ美人さんで…星奈達は可愛い妹…アレ?私恵まれてる?
…うん、思考が逸れ過ぎたの。
では気を取り直してレッツゴー♪
――フワリ…ヒュゥゥン!
「うわぁ…本当に飛んでる!」
「結構な高さだ、確り捕まっていてくれ。」
にゃはは、お姉ちゃんの反応が新鮮だなぁ。
レイジングハートに頼んで、お姉ちゃんにもバリアジャケット展開してもらったから寒くはない筈。
「お姉ちゃん、空を飛んだのどんな気分?」
「最高ね♪なのはが飛ぶのが好きになるのも分るな〜〜。」
其れは良かったの♪
はい、到着♪
海鳴公園の上空500m、初日の出の特等席で〜〜す。
やっぱり飛んでくると早いね。
「まぁ、空には遮蔽物や信号がありませんし、目的地へは直線最短距離で向かえますからね。」
「そうだね。……そろそろかな?」
「はい、もう間も無くです。」
空から見る初日の出なんて初めてなの。
どんな風に見えるんだろう…
「「「「「「わぁ…」」」」」」
それから2〜3分してお日様が顔を出した――ふわぁぁ…すっごく綺麗!
驚きの声しか出ないの……
「………見事なものよ。」
「すご…僕こんなの初めて見た…」
「付いて来て良かった…」
「あぁ…綺麗だな、とても…」
「はい……とても…」
きっとこの初日の出は忘れられないだろうな〜。
こんな綺麗な光景を見れたら、何か今年は良い事有りそうな気がする♪
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「「「「「「「「「あけましておめでとうございます。」」」」」」」」」
初日の出を拝んだ後は、今度はお父さんとお母さん、お兄ちゃんも加えて新年のご挨拶。
地上で初日の出を見に行ってたお父さん達は既に帰ってきてたの…空飛ぶよりも早く帰ってくるってお父さん達って一体…
「さて、今年も1年健康で過ごせるように頑張ろう。」
は〜〜い♪
ところでお父さん達は何処で初日の出見たの?
空飛んできた私達よりも早く帰ってきてたけど…
「あぁ、僕と桃子さんは近くの高台でね。
あそこなら歩いても2〜3分だろう?臨海公園から飛んでくるのと大差ない時間で戻ってこれるからね。」
「あ、そうだったんだ……ん?そうなるとお兄ちゃんは?」
「俺は2階のベランダからだ。其処からでも充分良く見える。」
…其れは早いに決まってるの。
て言うか其れは少し寂しくないかなぁ?
「ナノハの言う通りぞキョウヤ。シノブでも誘って臨海公園にでも行けばよかったではないか。
大体シノブの様な女性を恋人にしておきながら初日の出イベントに誘わないとは何を考えているのだ?」
「鈍感朴念仁気取りですか?…ダメですね。
鈍感朴念仁は顔も頭も性格も良くて、腕っ節も強くて人徳があって自作したバイクに乗ってカードで闘う人の特権です。」
「何で其処まで言われなきゃいけないんだ!?そして随分具体的だな星奈ぁ!!」
にゃはは…それじゃあ初詣行こうか?
「流さないでくれ、なのはぁぁ!!」
「だって流石にそれは無いよお兄ちゃん。
さっきエイミィさんからメール来てたんだけど、クロノ君だって初日の出イベントにエイミィさん誘ったみたいだよ?」
『アノ』クロノ君がだよ?
其れを踏まえるとお兄ちゃんは如何なのかな?かな?
「な…お、俺はあのクロスケに負けたというのかぁぁ!!」
「あはは〜、キョーヤは馬鹿だなぁ♪」
「雷華あぁ!お前にだけは馬鹿と言われたくないわぁ!!」
む…雷華は馬鹿じゃないの!!
素直で天真爛漫な、可愛い私の妹なの!!
「其れを馬鹿だ何て言うお兄ちゃんなんて…大嫌いなの!!」
『Divine Buster.』
――ドッゴォォォン!!
「なのはぁぁぁぁぁぁ!!!」(吐血)
ふんだ!
あと、レイジングハートご苦労様♪
『Don't worry.』
「…恭也、お前いい加減学べ…」
「無理だと思うな〜〜…恭ちゃんだし?」
ホントにお兄ちゃんは困ったさんなの。
…速攻で復活すると思うから、初詣行こうか?
「そうだねぇ、遅くなると人が更に増えるだろうからね。」
「それじゃあ、寒くなくして出かけましょうか♪」
は〜〜い♪
それじゃあ、コートやジャンパー着て『海鳴神社』にしゅっぱ〜〜つ♪
――――――
Side:ルナ
神社は凄い人の数だな。
此れでもまだ少ない方だと言うのだから驚きだが…
「その人込みの中で会えたと言うのは少し驚いた。」
「フェイトちゃんにはやてちゃん、アリサちゃんとすずかちゃんに、プレシアさん達と騎士さん全員集合は驚きなの。」
物凄い偶然だな。
加えて…
「「「「王様お姉ちゃん、あけましておめでと〜〜。」」」」
「うむ!あけましておめでとうだな。」
何時ぞやの小さな子たちも……なんか増殖していないか?
「時に青毛、その赤毛2人は誰だ?」
「のーう゛ぇとうぇんでぃ〜。妹〜〜〜。」
「なんと…妹が居ったのか!?」
「この前お母さんが連れてきた〜〜。」
「妹とは連れて来るものではないと思うぞ我は!?」
…あの子達も色々有るようだな。
と言うか、初対面の2人にも『王様お姉ちゃん』とは懐かれてるな冥沙よ…
「まぁ、不快では無いがの。…よし、うぬ等も我等と一緒に参るが良い!」
「「「「は〜〜い♪」」」」
はは、流石は冥沙だ。
あぁ言う光景は心が和む…そう思わないか、将よ?
「そうだな…この世界の平和を実感できる。」
「だろう?…で、お前は如何だリインフォース?巧く馴染めているか?」
最早別物だが矢張り同一存在故に気にはなるな。
「あぁ、何とか巧くな。我が主も色々気を使ってくださるから不自由はしていないよ。」
そうか…だが、主殿の事もいいが自分を大切にしろよ?
最後の夜天の光は祝福の風と共に有ってこそだからな。
「分っているよ…だが、その…色々悩む事も有るかも知れないから、その時は相談に乗ってもらって良いか?」
「構わない、それくらいはお安いご用だよ。」
何時でも来るといいさ。
と、話し込んでいる内にお参りの順番が来たみたいだな。
確か、お賽銭を入れた後で鐘を振って、それからお祈りするんだったな?
「そうだよ。神様に今年1年のお願いをするの♪」
「そうか。…お賽銭は此れくらいでいいのか?」
「500円…充分だと思うよ?普通は10〜100円位だし。」
そうか、じゃあ此れでいいな。
500円玉を投げ入れてと…
――ガランガラン…
――パンッパンッ!
柏手を打って静かに祈る…か。
…時間が許す限りなのは達と共に居られますように。
そして、願わくばこの世界の全ての人に、等しく祝福の風があらんことを…
よし、お祈りお終いだ。
「うん、それじゃあ戻ろうか?」
「そうですね、後ろの方の事もありますから。」
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さて、お参りを済ませて『御神籤』とやらをやってみる事になった。
占いの一種らしいが、他の参拝者もやっている。
皆で引いてみたんだが…
「私は吉か。…可もなく不可もなくという所だな。なのはは?」
「私も吉。『無理をしすぎないで適度に頑張りましょう』って。」
はは、言えているかもな。
将とプレシアは如何だ?
「私は中吉ね。『急かずに物事に当たれば失敗は無いだろう』ですって。」
「私は末吉だな。『己の信念を曲げずに生きよ』か…」
2人とも悪くは無いようだな。
ん?如何した恭也、震えて……大凶でも引いてしまったのか?
「大凶だと…それならまだ良かった…なんだ此れは……『超最凶』ってなんだぁぁ!!
おまけに『今年一年は恋愛以外はまるでダメなので覚悟しておけシスコン』って如何言う事だぁ!!
悪意しか感じないぞチクショーーーーーーーーーーーーーー!!」
…なんと言うかご愁傷様だな。
良い運を引き当てたテスタロッサ家や八神家とは大違いだな。
まぁ、高町家でも吉を引けなかったのはお前だけだけれどな。
「くそ〜〜!こんな運命など返り討ちにしてやる!絶対してやる!!」
「お〜〜、キョーヤが燃えてる〜〜。」
「「「「燃えてる〜〜♪」」」」
まぁ、頑張れ。
――――――
Side:冥沙
初詣が終れば、いよいよ新年の宴よ。
「うむ、美味い!流石は桃子であるな!」
モモコ特製の『お節料理』は絶品!
一部の出来合い物を遥かに凌駕して居るな!
特にこの『栗きんとん』と『黒豆』は甘すぎず素晴らしい味わいだ!
此れは是非とも教わらなくてはな!
「気合入ってるね冥沙。」
「王様ヤル気充分?」
「当然だ!」
此れだけの絶品料理のレシピを我が物としなくて何とする!
我の目標は何れモモコのレシピを全てマスターし、更に自分の中で昇華する事よ!
「あらあら、嬉しい事ね♪張り切って教えちゃおうかな?」
「うむ、よろしく頼む!」
…時に雷華よ、うぬが食べている其れは一体なんだ?
「え?お餅だよ?」
「でか過ぎるわ!!」
「ざっと見積もって1つで10人分の大きさですね。ちなみ巻いていある海苔は10枚超えてます。」
「にゃはは…雷華凄いなあ…」
「まぁ、雷華ですからね。」
「美味しそうに食べているから良いじゃないか。」
確かにの。
雷華が美味そうに食している様は見ているだけでも気持ちが温かくなるからの。
しかし、この勢いで食い尽くしたら餅が足らなくなるであろう?
大丈夫なのか?
「其れは大丈夫だよ。明日は『餅つき』をする予定だから。」
「そうか、それならば問題ないな。」
初めての体験ゆえ楽しめそうだ。
まぁ、いずれにしても…
「ナノハよ、今年1年…否、これから先も宜しくな?」
「うん!勿論なの♪」
ふむ…闇の残滓として生まれた我等は本当に良き主に巡り合えたものだ。
奇跡とも言えるこの絆をナノハが天寿を全うするその時まで護らねばな。
「む〜〜〜〜!?」
「雷華!」
「如何したの!!?」
「…餅を詰まらせたようですね…口に一杯詰めすぎるからですよ。」
ヤレヤレ…まったく。
だが、こんなのも在りであるな。
新たな1年、どうか無事に過ごせますように…であるな。
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して翌日!
――ペッたんペッたん
餅つきである。
つくのはシロウで、反すのはモモコか――実に息が合っているな。
我等はついた餅をまとめる係なのだが…
「何故にそう大きくなるのだ?鏡餅クラスではないか!」
「何でかね〜、僕がやると大きくなっちゃうんだよね〜。」
一度に沢山取りすぎだ虚け。
ナノハ、ルナ、ミユキは巧いな?
「此れくらいはね♪」
「コツさえ掴めば難しくもないさ。」
「大体のやりかたは分るからね〜。」
そうか。
で、星奈よ主は何をしておる?
「少しばかり…出来ました!!」
「なっ!?」
こ、此れは自由の女神像!?
「うわぁ…星奈凄い!」
「さっすが星奈ん!芸が細かい!」
「器用だとは思ってたんだが…」
「此れは予想外だなぁ…」
器用にも程があるわ!!
まぁ何だ、自分で成形した以上はちゃんと食せよ?
「心得ています。」
「なればよい。」
何にせよ穏やかなる世界よ。
我等はナノハの騎士として、この穏やかなる日々を護るだけだ。
初めて迎えたが年明けと言うのは、思ったよりも楽しいものだな。
来年、再来年…その先もずっとこういう年明けを迎えられる事を真に願わずぬは居れぬ。
「改めて今年も宜しくな、ナノハよ!」
「うん!」
うむ、新たな1年も色々と充実した年になりそうなことよ。
To Be Continued… 