Side:ルナ
――ツンツン
?
何だ、何かに突かれている様だが…
――ペロペロ
「!?」
んな!?一体今のは…ってお前か、なはと。
早起きだな、もう目が覚めたのか?
「♪」
「そうか。…確かにそろそろ何時も起きている時間だな。おはよう、なはと。」
「〜〜♪」(すりすり)
はは、可愛いなお前は。
さてと、今日は12月31日――大晦日か。
流石に翠屋は休みだが、他にやる事があるんだったな。
とは言え毎朝の鍛錬は欠かせないけれど。
…美由希を起こしてきてくれるか、なはと?
「――♪」
頼んだぞ♪
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福57
『先ずは大晦日の一幕』
Side:なのは
大晦日なの。
今日は1年の締めくくりの大掃除と、お正月用品の買出しをする日。
お店は休みだけどそれなりに忙しい日。
忙しいのに…
「お兄ちゃんは何処に行ったの〜〜〜!!!」
「はぁ、如何やら忍に呼び出されたようですよ?『大掃除手伝って』と言う事で。」
忍さんに呼び出されたの?
う〜〜ん…確かに月村家はお屋敷大きいからノエルさんやファリンさんの手が有っても足りないのかなぁ?
それに、出かけたって事はお父さんとお母さんも了承したんだよね…う〜〜ん…
「なのは?」
「如何したの難しい顔して?」
「ルナ、お姉ちゃん…」
「「?」」
「取り合えず、お兄ちゃんは忍さんに徹底的にこき使われれば良いと思うの。」
「「確かに。」」
家に居ないんだったら、確り月村家で奉仕してくるべきなの。
さてと、それじゃあ私達は私達で役割分担決めないとね。
お母さんはお店、お父さんは道場をお掃除するから、家の掃除と買出しは私達で分担しないと。
「其れでしたら、私は買出しでも宜しいですかナノハ?」
「ほえ?良いけど…なんで?」
「…私が居ると掃除になりそうに無いので…」
「「「「「「「「「「「「「「「にゃ〜〜〜〜ん♪」」」」」」」」」」」」」」」×うじゃうじゃ
…納得。
確かにそれじゃあ掃除は出来ないよね……って言うか増殖してないかなぁ?
「外出すると何故か…如何にもなりませんね。」
若しかしたら海鳴のノラ猫って殆ど家に集まってるんじゃないのかな?
「否定は出来ぬ…まぁ、なはとの遊び相手にもなる故、悪くは無かろう。」
まぁね。
えと、そうなると買出しのもう1人は…
「私だろうな。荷物持ちは居た方が良いし、私も…な?」
「♪」(すりすり)
ホントになはとはルナに懐いてるなぁ♪
「にゃはは…そうだね。
それじゃあ買出しはルナと星奈にお願いするの。」
「お任せを。」
「任せておけ。」
お願いね。
じゃあ、私と冥沙と雷華はお姉ちゃんと一緒に家の大掃除!
「ふ、任せておけナノハよ。驚くほど綺麗にして見せてくれる!」
「ピッカピカにするぞ〜!家がキレイなのって、なんか気持ち良いもん♪」
「いい意気だね2人とも?そう言うやる気はお姉ちゃんは大好きだよ♪
それじゃあテレビに出てくる家みたいにピッカピカにしちゃおう♪」
お姉ちゃんも気合入ってる…全力全開の大掃除なの!
と、其れは良いとしてルナと星奈は買うもの分るの?
「あぁ、問題ない。桃子が机の上に『買い物リスト』を置いておいてくれた。」
「各種飾りにお供え…御節の材料と今日使う年越し蕎麦の材料ですね。」
「定番だね。メモがあるなら安心なの。」
「確かにな。それから元旦は営業しないからその分のなはとの油揚げを…」
「!!」(ガバッ!グググ…)
「!?な、如何したなはと!…ちょっと待て…引っ張るな!」
なはと?
も、若しかして『油揚げ』のワードに反応したの?
「ありえますね…あの子は油揚げ大好きですから…」
やっぱり。
「ちょ、なはと待て!待てったら……あぁ〜〜〜〜…」
――ズルズルズル…
る、ルナの左腕に引っ付いたまま引っ張ってちゃった…なはとドンだけ!?(汗)
「…元がアレですから力も中々…まぁ、取り合えず行ってまいりますね。」
「うん…気をつけてね?」
「はい。…では参りますよ?」
「「「「「「「「「「「「「「「にゃお〜〜〜〜ん♪」」」」」」」」」」」」」」」×もっさり
…ネコも付いて行っちゃった…良いのかなぁ?
「まぁ、大丈夫であろう?あのネコ共は聡明だ、店に入る場合は離れて待っているはずだ……なはとは引っ付いたままだろうが…」
「あ〜〜〜なはとは確かにルナから離れそうに無いかも。」
昨日もお仕事中、ずっと頭に張り付いてたからね。
うん、仲良しなのは良い事だから無問題なの。
さてと、それじゃあ…
「お姉ちゃん、号令お願いします。」
「了解。では…各員戦闘配備!此れより高町家大掃除を開始します!
先ずは自分の部屋から!其れが済み次第リビングや浴室の掃除に移ります!
新年を気持ちよく迎えられるように頑張るよ!」
「「「おーーー!」」」
さぁって、気合入れてお掃除なの!
――――――
Side:ルナ
「まさかなはとに引っ張られる事になるとは思わなかったよ…」
「えぇ、私も驚いています。」
引っ張るなはとに『油揚げは無くならないから大丈夫だ』と説得して何とかデパートに到着。
見た目からは想像もできない力だな…矢張り元が元だけにハイスペックなんだな…
さて、ソレはソレとして買い物を済ませてしまおう。
「買うものは多いのでカゴよりもカートの方がいいでしょう。」
「そうだな、どうせならベビーカートにしてなはとには其処に乗ってもらうとしよう。」
「良い考えですね。」
お前もソレで良いか、なはと?
「(コクリ)」
「良い子だ。」
「♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
さて、粗方買ったかな?
「蒲鉾、伊達巻、昆布巻き、錦卵、栗金団、黒豆、田作り、こはだの粟漬けに小鯛の笹漬け…出来合い物は此れくらいでしょう。」
「膾用の大根や蓮根も買ったし…後は鏡餅と蕎麦、それから蕎麦にのせる天婦羅の材料だな。」
桃子お手製の年越し天婦羅蕎麦…楽しみだ♪
あぁ、なはとは特製の『きつね蕎麦』だけれどな。
「あ、星奈とルナ!」
「あら、奇遇ね。」
「ん?…フェイトとプレシアか。」
「確かに奇遇ですね…御2人も大晦日と正月の買出しですか?」
まぁ、そうだろうけれど。
ん?アルフとリニスは如何した?
「2人に追い出されたわ。『親子で買い物を楽しんで来い』って。」
「なんか、気を使われちゃった…かな?」
「はは、2人の優しさだろう?」
親子水入らずで買い物をするって言うのも良いんじゃないのか?
「えぇ、そうね。こうして自分の娘と買い物が出来るなんて思って居なかったもの。」
「私も母さんと一緒に買い物が出来るなんて思ってなかった…だから、凄く嬉しいんだ。」
「ソレは何よりです。」
マッタクだな。
「あれ〜〜星奈ちゃんとルナさん、それにフェイトちゃんとプレシアさんやないの♪」
「あ、はやて!」
「貴女も…一家総出で買い物ですか、夜天の主。」
「せや。皆一緒にな♪」
今度は八神家の皆か。
ふふ、充実しているようだな将よ?
「あぁ、平穏を楽しんでいる。
何より、主が笑顔で居られる…騎士としてこれほど嬉しい事は無い。」
「そうか…それは良かったよ。」
「時に…お前は如何なのだ?入り込んだナハトの欠片とやらは…」
あぁ…それならこの子だ。
「「「「「は?」」」」」
「私の中に入り込んだナハトを浄化したら、こんなに可愛いものになってしまった。
名前は平仮名で『なはと』だ。…なはと、皆さんにご挨拶だ。」
「〜〜」(ペコリ)
「こ、これが…」
「あの凶悪な…」
「ナハトだったってのかよ…」
「でも、可愛いわよ〜♪」
まぁ、そう言う反応だろうな。
ん?どうした、フェイトとはやて…
「「か、可愛い♪」」
「いや〜〜ん可愛すぎるわ此れ〜〜!もっふもふやん♪」
「ず、ズルイよはやて!私にも触らせて!」
…此れは予想以上の大人気か?
なはとが嫌がっていないから良いか…
とは言え未だ買い物は全部終っていないからな、そろそろ行くぞなはと。
「♪」
「は〜〜言う事聞いとる…」
「お利口さんだね。」
「なはと自身は話せないが、私達の言う事は完璧に理解しているからな。」
さてと…買い物を続けるか。
では、お前達も気をつけて…良いお年を。
「良いお年を。」
「うん、ほなな。」
「又ね。」
買い物先でこう言うのも良いな。
…時にザフィーラは何処に居るんだ?
若しかして犬扱いで外なのか?
……だとしたらネコまみれになって居ないと良いが…
「まぁ、守護獣ならネコに張り付かれても大丈夫でしょう。私が平気なんですから。」
「うん、ソレは物凄い説得力だな。」
言われてみれば確かに大丈夫かもしれないな。
――――――
Side:なのは
よし、床のワックス掛け完了!
冥沙、お風呂は?
「ふ、抜かりない。カビ菌と湯垢の一欠けらも残さずに取り除いてやったわ!」
「さっすが!雷華、ガラス拭きは?」
「ふっふっふ…完全完璧!ガラスが有るのか無いのか分からないくらいに磨き上げた!」
ソレは凄いね♪
「棚の拭き掃除も終了!玄関の箒掛けも終ったよ。」
「お姉ちゃんもお疲れ様なの。」
何処を見ても埃一つ無い――此れは完璧なお掃除なの。
うん、大掃除完了だね♪
「よっしゃ〜〜!流石は僕達!家の中がピカピカ光ってるもん!」
「まぁ、我等の手に掛かればこの程度は造作も無い。」
だよね。
皆一生懸命お掃除したもん。
…まぁ、お兄ちゃんの部屋掃除してる時にベッドの下から『検閲により削除』な雑誌が出てきたのには吃驚したけど…
って言うか忍さんが居るのに何で!?
取り合えず全部、バスターで滅ぼしたのは当然!
今度忍さんに言いつけてやるの…
「ただいま〜。」
「買出し終了しました。」
あ、ルナ、星奈おかえり〜〜。
うわっ、一杯買ったね…
「思った以上に量が有りましたね…」
「なはとにも運ぶのを手伝ってもらったんだ。」
「そうなんだ…お疲れ様。なはともね♪」
「〜〜♪」
って、なんか、お蕎麦の量多くないかなぁ?
「うむ、明らかに9人前では無いな?」
「取り合えず、なはとの分を入れて17人前だ。」
「17人前?…え〜と、お父さんと恭ちゃんは2人前食べるし、雷華は4人前は普通だから…うん、いい量だと思うよ?」
た、確かにお父さんとお兄ちゃんと雷華の事を考えるとその量でいいかも。(汗)
ところで星奈は何を持ってるの?
「あぁ、此れですか?デパートで買い物をしたら『年末福引会』の福引券を貰いまして…」
「やってみたら2等が当たったんだ。」
「ソレは凄いの!」
2等賞って…賞品はなんだったのかなぁ?
「『海鳴健康ランド』の招待券ですね。6名までの。
年が明けたら、時間を都合してこのメンバーで行くとしましょう。」
「ソレがいいね。
お父さんとお母さんはきっと辞退するし、恭ちゃんは最初から除外だし♪」
う〜〜ん…ソレで良いのかな?
「良いのではないか?桃子達は我等だけで行かせてくれるだろうよ。」
「ソレにキョーヤが居ると他のお客さんに迷惑かけそうだし♪」
あ〜〜〜…一切否定できないの。
じゃあ、夜にでも話してみよう。
折角当たったんだから行かなきゃ損なの。
まぁ、結果は言わずもがな。
私とルナ、冥沙、星奈、雷華とお姉ちゃんの6人で行く事は決定されたの。
お兄ちゃん…頑張って。
――――――
Side:ルナ
「(すぅすぅ…)」
「(すやすや)」
「(ぐぅぐぅ…)」
「Zzz…」
「〜〜」(Zzz…)
やれやれ、皆もなはとも寝てしまったか。
大掃除を張り切ったみたいだし、星奈は買出しで頑張ったから無理も無いか。
年末恒例だという歌合戦を見ながら年越し蕎麦を食べていたが…流石に限界だったな。
もう直ぐ日付が変わって新年になる頃だから起きていろと言う方が無理か。
「で、何時まで石化してるんだ恭也は?」
「一緒に海鳴健康ランド行けないのが相当堪えてるなぁ…大丈夫恭ちゃん?」
「…………」
ダメっぽいな――放っておこう。
ソレに引き換え、なのは達の寝顔は可愛い。
こう言うのを『天使の寝顔』と言うんだろうな。
「子供の寝顔は可愛いものよ?」
「見るだけで癒されるからね。」
「「確かに。」」
子供の寝顔を見ると疲れも吹き飛ぶと聞いた事があるが本当だな。
肉体的には兎も角、精神の疲れは一気に吹き飛んでしまいそうだ。
「ルナ…」
「なのは?」
「寝言…かな?」
寝言…だとしたら私が夢に出てきたのか?
どんな夢を見ているのだろうな…
「…ルナ、来年も…よろしく…ね?」
「なのは…」
言われなくてもその心算だ。
白夜の魔導書と、その管制融合騎『リインフォース・ルナ』は如何なる時でもお前と共にある。
お前が主で居る限りソレは変わらない。
来年も、再来年も…その先もずっとな。
それに…
「私の方こそ宜しくな。」
「…うん…」(すぅすぅ…)
そろそろ年が明ける。
生まれてこの方、新しい年を迎えるなんて初めての経験だな。
新しい年、新しい1年はどんなモノになるのだろう?
ふふ、楽しみだな♪
To Be Continued… 