Side:ルナ
「ふぅ……此れで浄化完了だな。」
思ったよりも時間は掛からなかったな…まぁ、小さな欠片に過ぎないからか?
なんにせよ、事件の際に私に入り込んだナハトの欠片は此れで完全無害なモノになったわけだ。
明日辺り外に出してみよう。
無害なんだから出しても問題は無いだろうし。
「…そう言えばどんな姿になるんだろうか?」
流石に黒い蛇が絡まりあった姿、と言う事は無いと思うんだが…
と言うか、幾ら無害でもアレだけは止めて欲しい個人的に物凄く。
まあ、外に出すまでは一切分らないんだが…
明日取り出してみれば分る事だな。
さて、今日はもう寝るとしよう――そろそろ日付が変わってしまう。
それじゃあ、お休みブライトハート。
『Good night Master.』
さて、どんな姿で出てきてくれるのか…
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福56
『新生誕生…なのか?』
と、思っていた。
今朝目を覚ますまでは!!
「にゃ〜〜!そっち、そっち行ったのお姉ちゃん!」
「えぇ!?って、速!!ちょ、目視できないんだけど!」
「ルベライト!…外しましたか。」
「ぬえぇぇい、ちょこまかと!そちらに行ったぞキョウヤ!!」
「このぉ!く、ダメだ速過ぎる!」
只今大混乱真っ最中!!
本当なら朝食前に取り出して披露するつもりだったんだが、何故か勝手に出てきてしまった。
まったく、行き成りベッドの上に落ちてきて走り出すんだから驚いたぞ?
しかも、元がナハトだけに無駄に高スペックだしな……其処か、縛鎖!!…外したか…!
「捕まらないの…こうなったら、星奈!」
「心得ました。逃げ場の無い位に撃ち込みましょう、全力全壊を!!」
「ぬぉぉ!待たぬか2人とも!!」
「家を吹き飛ばす心算かお前達は!!」
少し落ち着けなのは、星奈!
「あらあら、なのはも星奈も元気一杯ね♪」
「子供は元気が一番だよ♪」
少しは慌ててくれ、万年新婚バカップル夫婦!
毎度毎度此の2人は本当に…
しかしすばしっこい…如何したものか…?
ん?そういえば雷華は如何した?
何時もなら真っ先に飛び出すところだが…
「……………」
「…雷華?」
目を瞑って何をしてるんだ?
「……見切った!!」
「「「「「「!?」」」」」」
何事だ?
「そこだぁぁ!雷刃流伍百九拾壱式・雷光プラズマ掌打ぁぁぁ!!」
――バッチィィィン!!
「…なんだ今の技名は?」
「多分、此の前行ったゲームセンターの格闘ゲームの影響だと思うの。」
矢張りか。
で、どうだ?仰々しい技名を叫んだ甲斐はあったか?
「もっちろん!完璧クリーンヒット!バッチリ捕まえたモンね〜〜♪」
「「「「「「お見事。」」」」」」
流石スピードでは他の追随を許さない雷華だな。
珍しく大人しかったのは、動きを見切るためだったのか…
さてと、一体どんな姿で出てきたんだ?
「…此れは…」
「うむ…此れは中々どうして…」
「可愛いものが出てきましたね。」
ホントにな。
……取り合えず黒蛇の塊じゃなくて良かった。
本当に良かった。
――――――
Side:なのは
で、雷華の活躍で捕まえたナハトヴァールの欠片――だったモノ。
ハッキリ言ってアレの欠片だったとは思えないほど可愛いのが出て来たの♪
「此れってキツネさん?」
「容姿は其れが一番近いのではないでしょうか?尻尾が2つだったり角が生えてたりと差異はありますが…」
うん、其れは分ってるけど、一番近いのはやっぱりキツネさんだよねぇ。
此の見た目って狙ってやったのルナ?
「いや、私がやったのは浄化だけだ――私自身取り出すまではどんな姿が分らなかったしな。
こんなに可愛いものになるとは思わなかったよ。」
「そうなんだ…」
じゃあ偶然此の姿になったのかな?
「或いは浸食を受ける前の防衛プログラムがこの様な姿であったか……あくまで推測ですが。」
「流石にそれは覚えていないな。ナハトが何時付けられたのかすら判らないんだから。」
…まぁ、判らないならしょうがないか。
でも、この子本当に…
「可愛いなぁ…♪」
「うむ、癒されるのう…」
「って言うか何時まで寝てるんだ〜?少し強すぎたかな?お〜〜い、きつねもどき〜〜?」(ツンツン)
雷華、その呼び方はちょっと…
「〜〜〜?」
あ、起きたかな?
「お、起きた!やっほ〜!!」
「(ビクゥ!!!)」
――シャキィィン!!
つ、角が伸びたの!
此れってもしかして…
「威嚇…してるみたいね?」
「まぁ、目が覚めて行き成り目の前に誰か居れば驚くだろうが…」
あはは…そうだよね。(汗)
あ〜ん、でも角伸ばして懸命に威嚇してる姿も可愛いの〜〜〜♪
「ですが、このままでは困りますね?」
「うむ、先程のように飛び回ることは無さそうだが此れでは何も出来ん。」
あ、うん…そうだね。
如何しようか?…簡単には行かないよねぇ?
「よし、俺に任せろ。」
「お兄ちゃん?」
「こう見えても動物を手懐けるのは得意なんだ、警戒心くらいスグに解いてみせる。」
そう言えば、お兄ちゃんはすずかちゃんの所のネコも結構手懐けてたっけ。
うん、じゃあ先ずはお兄ちゃんに任せるね。
「任せておけ。よ〜し、よし、怖くないぞ〜?」
「(ドビクゥ!!)」
――シャキィィン!…グサッ!!
「「「「「「「「あ。」」」」」」」」
角が思いっきり刺さったの…手に。
「ぬおぉぉぉぉぉ!!」
――バシュン!
あ、飛んで!ってルナ!
「うわ!何だ?私に隠れる場所なんて無いぞ!?」
ありゃりゃ…ルナに隠れようとしてるんだ。
って、アレ?ルナは平気なのかな?
「(!)」
「お前…大丈夫か?」
「(フンフン)」
「?」
「♪」(すりすり)
「わ、わ、何だ?如何した?」
…なんか物凄くルナに懐いてる?
何でかなぁ?
「あやつが浄化したからかの?」
「或いは世界は違えど元々は一緒だったものですから親近感が湧くのかもしれませんね。」
「取り合えず凄いぞるな〜♪ぱちぱちぱち〜〜♪」
「其れに引き換え恭ちゃんはダメダメだなぁ…」
にゃはは…仕方ないよお姉ちゃん、この子普通の動物とは違うもん。
手まで刺されて…お兄ちゃん、ご苦労様♪
「なのは…」
「でもさ、自信満々に出てって失敗すると物凄くかっこ悪いよね〜♪」
「グハアァ!!」
雷華其れはトドメなの…
「え〜と…お兄ちゃん生きてる?」
「…返事がありませんね…どうやら只の屍のようです。」
「放っておけ、どうせ3分もすれば蘇生するわ。カップラーメンかこやつは…」
カップラーメンて…うん、否定は出来ないけど。
で、如何ルナ?
その子は大丈夫?
「あぁ、すっかり懐かれてしまったよ。お前達にももう大丈夫なはずだ。」
「そうなの?え〜と…宜しくね?」
「♪」
ホントだ、全然警戒してない。
此れなら大丈夫だね。
「じゃあ、その子の名前決めようか?これから一緒に暮らすんだから名前は必要だよね?」
「うむ、確かに。呼び名がないと色々不便であるからな。」
と言う訳でその子の名前を募集しま〜す。
何か案が有る人〜〜?
「ドラゴンズロアー!」
「ギャラクシーフォックス。」
「白銀妖狐丸!」
雷華、ルナ、お姉ちゃん……ゴメン全部却下なの!
其れは大凡名前じゃないの!そもそも可愛くないの!!こんな可愛い子にそんな名前はダメなの〜〜!!!
「「「残念。」」」
マッタク…雷華は兎も角ルナとお姉ちゃんまでは予想外なの。
お父さんとお母さんは何か良いのない?
「う〜ん…ちょっと思いつかないかなぁ?」
「私もちょっと…ゴメンね?」
「うぅん、良いよ。」
そう簡単に思いつくものじゃないし。
冥沙と星奈は?
「う〜む…思いつくのだが、こう…ピンと来るものがないな。」
「それと、今しがた少し解析してみたのですが…その子はどうやら女の子のようですからね。」
「ふぇ?そうだったんだ!」
女の子なら余計に可愛い名前が良いの。
…因みに女の子って判って、星奈は考えた?
「勿論です。私が考えたこの子の名前は…
クリスティナ・ジュリア・キャサリン・カトリーヌ・フランソワ・アントワネット・ヴァネッサ・ダイヤモンド・ラピス・アテナ・
リリィ・ホワイト・ヒラリー・マリア・グリシーヌ・ミスティ・マリー・セーラ・エリザベス・セシリア・アナスタシア・カレン…」
「長!!」
ジュゲムジュゲムじゃないの!
そんな長い名前は言い辛くて仕方ないよ?
「残念…此れでもまだ半分も言っていないのですが…」
「星奈、何処まで行くの…?」
う〜ん…なんか良いの無いかなぁ?
私も思いつかないよぉ〜〜〜。
「なはと…」
「ルナ?」
「この子は元々ナハトヴァールの欠片だったんだ…なら、其処から平仮名で『なはと』は如何だろう?
考えてみれば如何に異常なプログラムだったとは言えナハトヴァールは個人を特定する名だ。
浄化して無害な存在になったとは言え、その名を私達が完全に奪って良い道理は無いさ。」
言われてみれば確かに。
でも、この子はそれで良いのかなぁ?
「♪」(ぺろぺろ)
「お?それで良いか…なはと?」
「〜〜〜♪」(すりすり)
にゃはは…其れで良いみたい。
じゃあ、この子の名前は『なはと』で良いかな?
「僕は賛成〜〜♪」
「良いも何も、そやつが其れを良しとしているなら、我等が何か言う事も有るまい?」
「気に入っているようですし良いでしょう。」
「まぁ、本人の気持ちが一番だしね。」
「中々良い名前なんじゃないかな?」
「なはとちゃん…あら、可愛い♪」
じゃあ決まりだね。
この子の名前は『なはと』なの♪
「だ、そうだ。良かったな、なはと。」
「♪」
――――――
Side:ルナ
「はぁ…本当に可愛いね、なはと。」
「本当にな。」
この姿を見ていると、元があの凶悪な異常防衛プログラムとは思えないくらいだ。
一日が終わり、今は夜のお風呂タイム。
美由希は何時も一緒だが、今日は新しい家族のなはとも一緒だ。
湯船に付ける訳にも行かないから洗面器にお湯を張ってだがな。
「それにしても、まさかあんなに油揚げが好きだとは思わなかったよ?」
「あぁ…完全に予想外だったな。見た目がキツネっぽいからか?」
まさかお昼の『稲荷寿司』に特攻して10個も食べるとは思わなかった…
と言うか、この身体で10個だと明らかに身体の容積超えて食べているよな…?
「た、確かに(汗)。でも、美味しそうに食べてたし良いんじゃないかな?」
「まぁ、良いか。」
それ以上に驚きなのは、即刻近所のお豆腐やさんに『1日20枚の油揚げ配達』を取り付けた士郎だけれどな?
あの人の人脈と人徳はどうなっているんだろうか?
「あ〜〜、其れは本気で謎。お父さんもお母さんもみょ〜に顔が効く部分があるからね…」
「…深く考えない方が良さそうだな…」
そうだな、そうしよう。
折角なはとの好物が毎日安定供給されるんだからそれで良しとしよう。
良かったな、なはと。
これから毎日お前の大好物の出来立てが届くぞ?
「♪〜〜♪」
「あはは、喜んでる♪」
「なはと自身は喋れないが、私達の言っている事は完全に理解しているな。」
可愛い上に賢いやつだ。
まぁ、浄化は大成功と言う所だな。
…お前はもう異常防衛プログラムなんかじゃない――私達の家族だ。
「此れから宜しくな、なはと。」
「なはと、宜しくね?」
「♪」(コクリ)
此れで『闇の書事件』は本当に終焉だ。
今度将達にも紹介しなくてはな。
さてと、そろそろ上がるか。
浸かりすぎるのも良くないしな。
「美由希、今日も髪を頼めるか?私はなはとをドライヤーかけるから。」
「勿論♪」
では頼む。
さ、上がるぞなはと。
「〜〜〜。」
ふふ、本当に巧く浄化出来て良かったよ。
To Be Continued… 