Side:なのは
「うむ…良く眠って居るのぉ?」
「アレだけの力を放出したのですから、まぁ当然でしょう。」
「でもさ、なんか『やりとげたぞ〜』って顔してるよね?嬉しそう♪」
だよね。
ホントにルナは満足そうな顔で寝てる。
全力全開でやり遂げたんだから当然だよね。
「アレ?そういえばはやてちゃん達は?」
決戦終ってから見てないよ?
「小鴉は海鳴の病院だ。まぁ騎士どもが一緒に居るから心配は要らぬだろう?」
「其れもそうだね♪」
ルナが言うにははやてちゃんも『疲れてるだけ』らしいから問題ない。
其れに騎士さん達が一緒なら心配無いね。
…行ってみようか?
「小鴉のところにか?…まぁ良いかもしれんな。」
でしょ?行ってみよう♪
「賛成〜〜!小鴉ちんの事も気になるしね。」
じゃあ、行こう♪
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福54
『新たなる始まりの日』
Side:シグナム
全てが終わり、管理局の航行艦を経て病院に戻ってきたわけだが…主は大丈夫だろうか?
戦闘が終った直後に突然倒れたが…
「心配ない。目覚めて直ぐに大儀をなされた故、今は疲れて眠っていらっしゃるだけだ。
書の侵食も止まり、何れは足も自由に動かせるようになるだろう。」
「そうか…」
ならば良かったな。
ふぅ、主はやてがお目覚めになったら、此れまでの独断をちゃんと謝罪せねばな。
心優しい主の事だからキツイ咎めはないだろうが、此れは……けじめだな。
――コンコンッ
ん?
「あの、高町なのはです。入ってもいいですか?」
「あ、ああ構わん入ってくれ。」
高町か。
他の3人とテスタロッサも一緒か…如何した?
「なに、其処の小鴉が心配になって見に来ただけよ……ふむ、問題ないようだな?」
「一時的な疲労といったところですね。」
要は見舞いか。
ならば断る理由も無い、主の傍に居てやってくれ。
先刻は互いに探りあいで純粋な見舞いとは行かなかっただろうからな――まぁ私達のせいだが。
「そうさせてもらいます。あの…其れでリインフォースさんはお加減如何ですか?」
「あぁ、悪く無い。私自身に侵食がなくなったからな。」
相当に良好だな。
ナハトヴァールの侵食が無いならば、お前は大丈夫なのだろう?
「あぁ、私は大丈夫だ。だが…」
「何か問題があるのか?」
「私が一時的に取り込んだ彼女は大丈夫だろうか?
恐らくは彼女が私への侵食を止めて破損プログラムを治してくれたんだろうが、彼女自身がナハトの侵食を受けた可能性がある。」
なんだと!?
アイツが…ルナがナハトに侵食されていると言うのか!?
「そんな…ルナが!?」
「うそ!るなが侵食されるなんて!!僕そんなのやだ!!」
「あくまで可能性だ。だが、其れは0とは言い切れない。」
確かにな……ナハトの侵食は異常だ。
それこそ、主と私達を最後の糧とするくらいだからな。
しかし、其れがアイツに有るとなると…
「心配には及ばない。」
「「「「「ルナ!?」」」」」
お前…もう起きて良いのか?
「1時間も寝ていたんだ、戦闘は無理でも普通に動く分には問題ないくらいには回復したさ。」
「す、凄まじい回復力だなルナよ…。此れもなのはの影響か?」
確かに凄まじいな。
あれだけの魔力行使をしたにも拘らず1時間の睡眠で回復するとは…
で、心配無いとは如何いうことだ?
「そのままの意味だよ将。確かにナハトを完全に切り離す際、書の内部でナハトと一戦交えて少なからず入り込まれた。
だが、壊れた防衛プログラムよりも私の方が強い――逆に制して、今は浄化の真っ最中だ。
浄化が終ったら外に出す心算だけれどな。」
「そ、そうか…」
アレを支配するとはトンでもない奴だ。
いや、或いはお前が私の考えている通りの存在ならば難しくも無いか…
「だからリインフォース、お前は何も心配せずに生きろ。心優しき最後の夜天の主たるこの子と一緒にな。」
「!!……あぁ、そうだな…」
ふぅ…どうやら間違いないようだな。
「高町、すまないが少しルナを借りても良いか?2人で話したい事があるのだ。」
「ほえ?別にいいですよ?良いよね、ルナ?」
「あぁ、構わないぞ?」
「と言う訳でどうぞ。でも出来るだけ早く返してくださいね?」
分っている。
本当にちょっと話をするだけだ。
「手間をかけるが付いてきてくれ…」
「わかった…では、少し出かけてくるよなのは。」
「はい、いってらっしゃい♪」
良い関係のようだな。
…では、海鳴臨海公園にするか。
今の時間、あそこなら人もいないはずだからな――良いか?
「任せるよ将。」
「では行くか…」
――――――
Side:ルナ
それで、話とは何だ将?
態々雪の降る夜にこんなところまで来たんだ…大事な話なんだろう?
「そうなんだが…如何切り出したものかと思ってな…」
「如何もこうも、私に聞く事があるんじゃないのか?」
そう思ったんだが…
「あぁ……ふぅ…単刀直入に聞く。ルナ、お前は『夜天の魔導書の管制人格』だな?」
「…気付いていたのか?」
それとも復活して思い出したのか?
「あの緑の髪の魔導師の女性を襲撃したあとで思い出したのだ、我等の管制人格のことをな。
お前はあまりにも似すぎている……否、似ているどころか其のものだ。
其れに思い至った時にお前が『闇の書の意志』なのではないかと思ってな。
其れを前提にすれば、成程魔力蒐集を止めようとしていたのにも納得が行く。
お前はすべてを知っていたからこそ、私達の蒐集活動を止めようとしていたんだろう?」
リンディ提督襲撃の後でか…正解だ将。
「其処まで分かっているなら隠す必要も無いな――確かに私は夜天の魔導書の管制人格だった。
但し、今日と言う日に自らを消滅させた世界の、だがな。」
「!?何…其れは如何言う事だ!?」
並行世界だよ将。
私はこの世界とは又別の世界の海鳴から此処に飛ばされたんだ。
「並行世界…!いや、其れよりも自分を消しただと?」
「私が元いた世界で、私は新たなナハトの構築と暴走を恐れて自分を消去した…した筈だった。
が、気付けばこの世界に居て、なのはの持つ『白夜の魔導書』の管制融合騎となっていた。」
「そんな事が…」
信じられないだろうが事実なんだ。
夜天の魔導書の管制融合騎としての私は死に、新たに白夜の魔導書の管制融合騎として生まれ変わったのかもしれないな。
「そうか……。ん?だがそうなるとアイツは…リインフォースは如何なる?
侵食が無くなったと言っていたが、矢張り自分を消してしまうのか?」
「其れは無い。ナハトの侵食は完全に止めたし、プログラムも切り離した。
おまけにワクチンプログラムまで打ち込んだんだ、ナハトを再構築してしまう危険は無い。」
私に入り込んだ僅かなナハトの欠片も直に無害な存在となるからな。
一時的に魔導師としての力は全て失うが其れも時間と共に回復する。
一番侵食が酷かった融合機能こそ戻らないが、それでもアイツが消える理由は何処にも無いだろう?
「そう…だな。アイツは、もう苦しまなくて良いんだな…」
「そう言う事だ。」
祝福の名を送られた者が、幸福を得られなくていい筈がない。
お前達との幸せは、私が自ら手放したものだ……アイツには其れを目一杯満喫して欲しい。
「無論そう出来るように私も力を尽くす。
だが、お前は良いのか?お前とて主はやてとの幸せな日常は欲しかった物のはずだろう?」
「まぁ否定はしないさ。
確かに彼女との幸せな日常は何よりも望んだ事だったが、其れを受けるのは私じゃなくこの世界のリインフォースだ。
其れに、私が欲しかった幸せはなのは達が与えてくれた…私は其れで満足だよ。」
何よりもこの身は『白夜の魔導書の管制人格』であり、今の私はなのはの騎士だ。
『月の祝福』は白き魔導師が其の歩みを続けられるよう、祝福の追い風を送り続けるさ。
「そうか…しかし、如何したものだろうな?」
「何がだ?」
「私の知る限り、私とリインフォースは最も長く一緒に居た。
故にアイツと私は切っても切れない友なのだが……いや、まだるっこしいのは性に合わんな。」
将?
「ルナ、お前の事は分った。其の上で敢えて言おう、お前が良ければだが、私と友になってくれないか?」
!…うれしい事を言ってくれるじゃないか。
断る理由の方が無いよ、将。
「私でよければ喜んで。」
だが、私と友達になると言う事は同時になのはと星奈と冥沙と雷華も付いて来るからな?
そして多分フェイトも付いてくるだろうし、将来的には美由希も来るな。
「賑やかになりそうだな。まぁ、高町達は主はやての友だ、ならば私達の友でもある。
ふふ、人との絆が繋がると言うのは思った以上に良いものだな?」
「だろう?此れからもっともっと絆は繋がって行く。」
未来に向かってずっとな。
「未来、か……そんなものを歩む事が出来る日が来るとは思わなかったな。
改めて礼を言うぞルナ、アイツを、我等を救ってくれてありがとう。」
私1人の力じゃない、皆の協力があってこそさ。
其れに今宵は聖夜、全ての人に等しく祝福と奇跡が起きる日だ――勿論お前達にもな。
「何れにせよ、もう危険な呪われた魔導書はこの世に存在しない。
お前達も、今まで出来なかった『自分のやりたい事』をやってみると良い、世界が色付くぞ?」
「其れも良いかもしれん――本当に私達は良き主と良き友に会えたな。」
そうだな。
……さて、そろそろ戻ろう。
あまり寒空の下にいて風邪でもひいたら大変だし、皆も心配する。
「そうするか。…改めて宜しくなルナよ。」
「あぁ、此方こそな、将。」
ふふ、この世界の将とも友達になれた。
本当に全てが上手く行った――めでたしめでたしだな。
…それにしても寒い!
うぅ、全員分のホットコーヒーでも買っていくか…
――――――
――翌日
Side:なのは
「あれ?皆も?」
「うむ、枕元に。」
「私もですね。」
「僕にも来てた。」
「私にまで…プレゼントは昨日直接桃子から貰った筈だが…?」
だよねぇ?
其れに態々別途で枕元に置くのもおかしいし……
「あ、分った!きっとサンタさんだ!!サンタさんが来たんだよ!」
「そんな馬鹿な事が…無いとも言い切れんの…いや、だがしかし…」
ちょっと信じられないよねぇ…
う〜〜ん…?
「なら、クリスマスの奇跡と言う事にしよう。」
「成程、其れが良いですね。」
い、良いのかな?
…いっか♪
頑張った私達への御褒美って事にしておくの♪
って思ったんだけど、レイジングハートが記録してた映像見て吃驚!
「おぉ〜〜本物だ〜〜!」
「よもや実在しているとは…」
「此れは驚きですね…」
本当に存在してたんだサンタクロースさん…
にゃはは…最後の最後で一番吃驚したの。
うん、本当に今まで味わった事のないクリスマスだったの。
来年も、再来年も其の後もずっと皆でクリスマスを出来るといいね。
今回みたいな大変な戦いは無しで。(汗)
「はは、あのレベルの戦いは早々起きないさ。
大丈夫、きっとこれからも楽しいクリスマスを迎える事ができる…其れを望む限り、な。」
「うん!」
そうだね♪
学校はもう冬休みに入ってるからお休みで時間は一日あるの。
さて、今日は何をしようかなぁ…?
うん、朝ごはんを食べてから決めよう♪
さぁ、新しい一日が始まるの!
To Be Continued… 