Side:はやて


 …戻ってきた、現実世界に!
 シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ……皆居る!良かったぁ…!


 「お〜〜〜い、小鴉ち〜〜ん♪」


 あは、雷華ちゃんも居たんか?
 あないに両手振って可愛いなぁ♪

 それに雷華ちゃんだけやなくてなのはちゃんにフェイトちゃん、王様に星奈ちゃんも。
 それから…


 「…(ニコ)」


 リインフォースそっくりのお姉さん。
 なんやろ、物凄く優しい笑顔や……安心できる言うのかな?

 っと、呆けたらアカンな、私のやることをせな。
 王様達がいるなら百人力や、絶対やり遂げてみせる!
 その為にも!

 「夜天の光に祝福を!リインフォース…ユニゾン・イン!!」


 ――キュイィィィン…!


 あぁ…分る、リインフォースと私が1つになる…力が漲るわ。
 せやけど何も怖い感じはせぇへん、リインフォースの温かさを感じる。


 『さぁ行きましょう、我が主。


 せやね…『夜天の祝福』今此処に参上や!










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福53
 『永劫の闇が終る刻』










 Side:ルナ


 「はやてちゃん…」

 「夜天の王として目覚めたか小鴉…良くやったわ!」


 あぁ、此れで彼女は大丈夫だ。
 今この時1度だけの融合も安定している、あれならばナハトの侵食も直に消えるな。


 「お?赤毛なんか嬉しそう♪」

 「嬉しいでしょう?助からないと思っていた主が無事なのですから。」

 「そうだよね…皆戻ってこれてよかったよね。」


 そうだな。
 さて…彼女達のところに行こう、何時までも感動の再会に浸っている訳にも行かないようだからな…


 ――ズズ…


 「うむ…暴走まで間も無くと言うところだの…」

 「あぁ。だが、あれを消し去るには暴走が始まらないとどうしようもない部分がある、難儀だがな。」

 コアの消滅は暴走体が現れないと出来ないからな。
 まぁ、私達なら出来るさ。


 「だよね…はやてちゃん!」

 「なのはちゃん、王様…ただいま、皆…」


 あぁ、おかえり。
 良く頑張ったね、夜天の主よ。

 矢張り夜天の王には、この子が一番相応しいな。
 本当に、貴女が夜天の魔導書の主であって良かった。


 「すまない、水を注してしまうんだが。」

 「クロノ君!」
 「クロノ!」
 「くろの!」
 「執務官殿ですか…」
 「うむ、矢張りうぬが来るか。」


 クロノ執務官、其れにアルフとユーノもか。

 「いや、暴走までの時間を考えると良いタイミングだ。」

 ジュエルシードの時と言い、中々良いタイミングで来てくれる。


 「なら良かった。
  ……時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ、時間が無いので手短に状況を把握したい。
  海上に見える黒い澱み…あれは闇の書の闇で後数分もしないうちに暴走する…間違いないか?」

 「うん。自動防衛プログラムナハトヴァールの成れの果てや。」

 『暴走が始まれば、ナハトは周辺の物質を侵食しながら喰らい続け、臨界点が訪れなければこの星くらいは飲み込んでしまう…

 「「「!!!」」」

 「おのれ、其処までか…!」

 「闇の書の闇は思った以上に深いのですね…」


 あぁ、嘗て私が内包していた闇よりも大きいな此れは。
 星1つで済めば寧ろ僥倖と言うレベルか……これも本来は蒐集される事のなかった魔力を得た影響か…

 「だが執務官、停止プランはあるんだろう?」

 「あぁ、用意してある。後は此方に任せて……と言いたいが正直言って戦力は多い方が良い。」


 だろうな。


 「はやてと騎士達は書の呪いを撃ち砕く為、なのはとルナ達はこの世界を護る為に…力を貸して欲してくれるか?」

 「愚問だな執務官、私達が首を横に振ると思うのか?」

 断る理由の方がない。
 そうだろう?


 「うん!勿論協力するよクロノ君!」

 「私もやる。」

 「やるに決まってんじゃん!世界無くなったら皆と楽しく遊べなくなっちゃうもん!」

 「闇の書の闇…座興のフィナーレとしては申し分ない。精々派手に滅してくれるわ!」

 「灰は灰に、塵は塵に、闇は闇に…ですね。」


 な?
 お前達は如何だ、騎士達よ。
 まぁ、お前達も聞くまでも無いだろうが…


 「我等も是非…宜しいですか主はやて?」

 「勿論や。夜天の主の務めとして、此れは終わらせなアカンからね。」


 なら決まりだ。
 それじゃあ命令を…執務官殿?


 「協力感謝する。…では此れよりオペレーション『カースドブレイク』を開始する。各員抜かり無くやってくれ!」

 「「「「「「「「「「「『おーーーーーー!』」」」」」」」」」」」


 さぁ、決着をつけよう!








 ――――――








 No Side


 クロノから作戦の概要を聞いた一行は、澱みの周囲に陣取って時を待つ。
 夫々が適当な石柱の上に立ち目的を見つめる。

 ルナとなのは、星奈達も、フェイト、はやてと共に取り分け大きな石柱の上に。

 「先ず、皆の攻撃で展開された多重障壁を破壊。」

 「その後で本体にダメージを与えてコアを露出。」

 「そして、ユーノ君達の長距離転送で軌道上のアースラ前に運ぶ!」

 再度作戦を確認して行く。
 なのはがレイジングハートを空に向け、作戦の続きをアースラに。








 「でもって、アルカンシェルで砲撃!消滅!!」

 通信は繋がっているので地上の音声もアースラには届く。
 なのはの言葉を繋げる感じで、エイミィが作戦のラストを言う。

 リンディも其れに頷き、終焉の為に動く。

 「アルカンシェル、チャージ開始!」

 「「はい!!」」

 アースラの方でも準備は着々進んでいるようだ。
 優秀なクルーが揃うアースラ故に隙は無く、最後の一撃の仕損じも無いだろう。








 再び地上。


 「そや、シャマルー!」

 暴走まであと少しというところで、はやてがシャマルを呼ぶ。
 決戦前にコンディションを最高状態にする為だろう。

 「あ、は〜い!皆さんの治療ですね?」

 シャマルも自分が呼ばれた時点で其れを理解している。
 直前まで戦闘を行っていた6人は全員が少なからず手傷を負っている。
 特に闇の書の闇とガチバトルを行っていたなのは、書の内部でナハトと交戦していたルナの傷は酷い。
 傷の痛みは気合で耐えるとは言っても限界があるし、今から戦う相手に消耗状態で挑むのは宜しくない。

 「クラールヴィント、本領発揮よ。」

 『Ja. 』

 「風よ、癒しの恵みを運んで…」

 すぐさまシャマルが最高レベルの治癒&回復効果を持った『癒しの風』を使い、全員の傷を治して体力を回復する。

 「傷が…」

 「凄い…!」

 しかも、身体の傷を治すだけでなく破損したバリアジャケットや騎士服までも修復して行く。
 高密度の魔力体である防護服まで修復するとは相当な治癒能力だろう。

 癒しの光が消える頃には全員が完全回復。
 何処を怪我し、防護服の何処が壊れたのかまるで分らないレベルだ。

 「うむ、見事なものよ。」

 「ありがとうございます。」

 「ふふ、湖の騎士・シャマルと風のリング・クラールヴィント、癒しと補助が本領です♪」

 コンディションは最高状態。
 此れで一切の不安要素は無くなった。









 「コアの露出まではアタシ達がサポートだ。全力で抑えるよ!」

 「うん!」

 「あぁ…!」

 事態は進む。
 淀みから溢れる魔力が強くなり黒い力があふれ出す。
 其れは紛れも無く暴走へのカウントダウン。

 アルフ、ユーノ、ザフィーラは先発隊として淀みを囲みこむように陣形を組み待機する。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 ――ズルリ…ズズ…



 淀みからは何本もの触手が出現して蠢き、君の悪さを醸し出している。
 同時に力が膨れ上がり、黒い魔力がドーム状に盛り上がってきた。


 「始まる…」

 クロノの呟きと同時に、ドームから黒い光が放たれる。
 暴走開始の合図だ。

 「夜天の魔導書を闇の書と呼ばせた異常な防衛プログラム、ナハトヴァールの侵食暴走体――闇の書の…闇。」


 ドーム状の魔力が割れ、その中から圧倒的な質量を持ったモノが現れる。

 其れは一体なんと形容すべきだろう?
 一見すれば生物なのだが、身体の表面は石とも金属取れる硬質物体で出来ているように見える。
 巨体を支える足は巨大草食獣を思わせるが、その数は3対6本。
 頭部も魚ともトカゲともつかない不気味さで、見ようによっては人の顔にすら見える。
 更にその背に生えた6枚の巨大な翼は、さながら金属で作り上げた生物の翼。
 竜の頭のような浮遊物体も見て取れる。

 極め付けはその背中そのもの。
 巨大な金属リングを頂いた塔の様な物が聳え立ち、その両脇からはこれまた巨大な人の腕が2本。
 そしてその当の前には人間の女性の上半身が生えている。


 騎士達が蒐集した魔力を喰らったナハトが暴走し制御不能になった闇そのものというべき存在が其処に居た。

 『Guaaaaaaaaaaaaa!!』

 地の底から響くような不気味な唸り声を上げ、全てを喰らいつくさんと行動を開始。
 其れは同時に戦闘開始の合図でもある。

 「行かせない!捕らえて断ち切れ、戒めの檻!ケージングサークル!」

 「チェーンバインド!!」

 ユーノとアルフが先制として、フィールドタイプのバインドとチェーンバインドで動きを制御する。
 この巨体を縛るのは難しいが、全能力を拘束に使えば出来ない事ではない。

 勿論闇の書の闇も其れを外そうと、もがき蠢く。

 「させん…縛れ、鋼の軛!」

 其処にザフィーラが追撃の一撃。
 無数の杭が突き刺さり、巨体の動きを制御する。

 だが、余りにも巨大すぎる。
 自分の拘束を無理やり引き千切り、更には触手や浮遊物体から黒い魔力砲を放ち攻撃する。

 正に手当たり次第の攻撃はアタッカーであるなのは達にも向かうが、そんな鈍い攻撃は当たらない。
 簡単に散会し、攻撃に移る。

 その指示を出すのは参謀格のシャマルだ。


 「先陣突破!なのはちゃん、星奈ちゃん、ヴィータちゃん…お願い!」

 「おうよ!あわせろよ、高町なのはに高町星奈……!」

 指示を受けた3人は目標に向かって飛ぶ。
 あわせろと言ったヴィータは少し照れて居るようだ。

 「…うん!」

 「はい、参りましょう。」

 なのはと星奈も其れに笑って答える。
 陣形はヴィータが前衛でなのはと星奈が後衛という各々の戦闘スタイルを一番生かせる状態。

 「やるぞアイゼン!」
 『Gigant.』

 ヴィータもアイゼンを変形させカートリッジをロード。
 手加減など無用だ。

 なのはと星奈はそのヴィータの一撃を最大に生かせるように動く。

 アクセルシューターバニシングシフト!

 パイロシューターパニッシャーシフト!


 『『Lock……On.』』

「「シューーーートッ!!」」

 触手から放たれた黒い砲撃など避けるまでもないと簡単な魔力障壁で防ぎ互いに12発、計24発の誘導弾が放たれる。
 桜色と真紅の魔力弾は流星群の如く降り注ぎ、1枚目の障壁を破壊し一時的に触手を沈黙させる。
 邪魔者を処理した2人はヴィータに微笑みかけてそのまま離脱。

 見事なお膳立てをされてはヴィータとてしくじれない。

 「ぶっ潰す!!轟天、爆!砕!!」

 『Explosion.』

 ギガント…シュラァァァァァァァク!!!

 一撃の破壊力ならばヴォルケンリッター最強の鉄槌の一撃は2枚目の障壁をいとも簡単に粉砕。

 「シグナム、フェイトちゃん、雷華ちゃん!!」

 休まずにシャマルが指示を飛ばす。
 次はクロスレンジ特化の3人だ。

 「行くぞ、雷華、テスタロッサ。」

 「はい、シグナム。」

 「任せろよブシドー!へいと!」

 「うん!」

 「「フルドライブ!!」」

 全力攻撃に備え、雷華とフェイトはフルドライブ発動!
 速度特化のソニックとスプライトとは違う、パワーと瞬間加速強化の『ブレイズフォーム』と『ブリッツフォーム』。
 マントが白くなり、バルディッシュは『ザンバーフォーム』、バルニフィカスは『ブレイバーフォーム』の大剣状態に!

 そして一発かますのは勿論雷華だ。

 「もう復活したのかよ…じゃますんなこのウニョウニョめ!喰らえ雷刃流六千四百七拾参式・爆裂閃光一文字切りーー!」

 動き始めた触手に対して一閃!
 完全に乗りと勢いでつけた技名ではあるがその威力は凄まじく、触手は全て一刀両断!
 視界が開け、攻撃の邪魔は何もなくなった。

 「なんと言う馬鹿力…負けられんな、レヴァンティン!」

 『Ja. Bogenform.』

 その見事な一撃に感心し、カートリッジを2つロードしてシグナムはレヴァンティンを弓形に変形。
 同時にフェイトと雷華も各々陣取る。

 翔けよ、隼!
 『Sturmfalken!』

 貫け…雷刃!!
 『Jet Zamber.』

 必さ〜〜〜つ!!
 『Genocide Slash!』

 そして放たれた3つの攻撃。
 シグナムのシュツルムファルケンは魔力矢が炎の隼となり第三の障壁を貫く。

 雷華とフェイトの魔力斬撃は最後の障壁の破壊に留まらず本体そのものにも多大なダメージを与える!
 そのダメージは相当に大きく、巨体が地に伏せる。

 「やった!?」

 思わずアルフは叫ぶが、相手は永劫の呪い、そう簡単には行かない。

 『Gylalalalalalalala!!!』

 呻き声を上げながら上昇し、砲撃を放ちながら新たな障壁を展開せんとする。


 「見苦しいな…もう、眠れ…」

 『Die.』

 其れを止めたのはルナ。
 本体の前に現れ月影を神速抜刀から一閃。

 その刃そのものは本体には届いていないように見える。
 だが…

 絶刀(ゼット)

 ルナが月影を鞘に収めた瞬間!!


 ――バババババババババババ!!


 本体周辺の空間が滅茶苦茶に切り裂かれ障壁が消滅。
 ルナはたった一回の一閃で、全ての障壁を文字通り切り裂いたのだ。

 更に!

 「うぉぉぉぉ…でりゃぁぁぁぁぁ!!!」

 上空からザフィーラが強襲し、巨大な本体を殴りつけ再び地に叩き落す!
 凄まじいまでのパワーだ。


 「はやてちゃん、冥沙ちゃん!」

 再び地に落ちたのは絶好の好機!
 更なる一撃を担うは2人の王だ。


 「ほな、行こか王様♪」

 「うむ…闇総べる王と夜天の王、我等の王たるこの身の力、存分に披露してやるとしようぞ!」

 金と紫の剣十字を掲げ、2人の王は邪悪な呪いに裁きを下す。

 「彼方より来たれ宿木の枝…」
 『銀月の槍となりて撃ち貫け…

 「地獄より来たれ禍の塔、冥獄の剣となりて撃ち滅ぼせ…!」


 「石化の槍…『ミストルティン!!』」

 「朽ち果てろ…フェイルケイン!」

 空に白と紫の魔力級が8個ずつ現れ、それら全てが魔力の槍と剣になって闇の書の闇を穿つ!
 はやてが放った白い槍が突き刺さった部分は石化して固まり、冥沙の放った紫の剣が刺さった場所は腐食し崩れ落ちて行く。

 普通なら此れで終わる。
 だが闇の書の闇は其処からも再生する。
 正に無限再生だが、其れを止める切り札はクロノが握っている。

 「ふぅ…行くぞデュランダル!」

 『OK Boss.』

 氷結槍デュランダル。
 嘗て闇の書の永久凍結封印を目的に作り出された対闇の書の切り札だ。

 凍てつけぇ!!!!!

 『Eternal Coffin.』

 普段の冷静な姿からは想像もできないような裂帛の気合と共に放たれた究極の冷気。
 それは闇の書の闇に直撃し、更に直撃での兆波を周囲に展開したビットが反射し更に凍りつかせていく。

 攻撃が終る頃には闇の書の闇のみならず結界内の海全てが凍りつく凄まじさだ。

 「頼むぞ皆!!」

 動きは此れで完全に止めた。
 残るはコアの露出!

 其れを行うは6人の少女。


 『Starlight Breaker.』

 「全力全壊!スターライトォォ………!」


 『Luciferion Breaker.』

 「走れ明星、全てを焼き消す炎と変われ!真・ルシフェリォォォン…!」


 『Plasma Zamber.』

 「雷光一閃!プラズマ…ザンバー!!」


 『Thunder Sword.』

 「一撃必さ〜〜つ!エターナルサンダーソード…」


 「冥獄へ送ってくれる!轟け終末の鐘、ハルマゲドン…」


 『我が主…

 「分てる・・・。ゴメンな、お休みな…!響け終焉の笛、ラグナロク!」


 なのは、星奈、冥沙、雷華、フェイト、はやて全員が全ての力を集結。
 桜色と真紅の魔力が集束し、金と蒼の雷鳴が空を裂き、白と紫の力が終幕を告げんと集う。

 「「「「「「ブレイカーーーー!!!」」」」」」

 放たれるは一切の手加減なしの一撃。
 全力全壊の正に『超必殺技』。

 6つの極大攻撃は混ざり合って虹色となり闇の書の闇を撃ち貫く。

 『Gaaaaaaaaaaa!!!』

 しかし、驚いた事に、この一撃で凍結から復帰した闇はこの砲撃にすら抵抗する。
 自らも砲撃を放ち押し返そうとしているのだ。


 「まさかこんな状態で…余り抵抗されたらなのは達も危ない!」

 抵抗が長く続けばなのは達の攻撃も終ってしまう。
 そうなったらコアの露出は不可能になってしまうのだ。

 「皆!もっともっと!!」

 それでも少女達は諦めず、カートリッジシステムがあるものは残るカートリッジ全てをロードし、冥沙とはやては更に魔力を搾り出す。

 だが押し切れない。
 押し返されては居ないが押し切れない。
 このままでは……だが、止めを用意していたのはこの6人だけではない。

 このチーム最強の存在。
 絶対無敵の究極ジョーカー……ルナだ。


 「永劫の呪いに終焉の時を。星よ集え、不浄を焼き消す焔となれ…」

 ルナもまた魔力を極限まで集束し、巨大な魔力球を作り出していた。
 其れこそこの場の魔力を全て集束したかのごとく。

 「貫け極光!」

 『Starlight Breaker.』

 シューティングスターライトブレイカー!!!

 その一撃が放たれなのは達の攻撃と融合しその威力を爆増させる。
 新たに加わった一撃のおかげで、闇の書の闇の抵抗を貫き、遂に本体を破壊し始める。

 「………」

 そして此処からはシャマルの仕事。
 破壊される本体からコアを探し出し…

 「!捕まえ…た!!」

 捕らえる。

 「転送開始!」

 「目標、軌道上!!」


 すかさずユーノとアルフが超長距離転送でコアを軌道上のアースラ前に転送!








 「コアの転送を確認!」

 「転送されながら生体部品を修復……は、速い!!」

 軌道上のアースラでも転送を確認。
 目標到達までは僅かだ。

 「バレル展開、ファイアリングロックシステム起動。」

 それでもリンディは慌てず、指示を飛ばしアルカンシェル発射に備える。

 「防衛プログラムコア…来ます!!」

 エイミィの伝達と同時にコアが転送完了!


 転送中に無理やり再生した生体部品は最早見るに堪えない醜悪さとなっている。
 あらゆる生物の身体が入り混じった只の肉隗、生物とすら呼ぶ事はできないだろう。

 或いはこの醜悪さは歴代の書の持ち主の歪んだ欲望の表れなのかもしれない。
 何れにせよ、此れが作戦の最後の一手だ。

 「アルカンシェル…発射!」

 止めとなる一撃。
 アースラから放たれた一筋の閃光。

 全てを消滅させる断罪の光だ。
 其れは闇の書の闇を撃ち………



 ――シュゥゥゥゥ…



 一瞬の閃光の後何もなくなっていた。
 爆発の余韻である閃光を残しては…


 「……隔離空間内の物体消滅……再生の兆候…ありません!!」

 エイミィの解析結果報告と同時にアースラ内部が歓声に包まれる。
 再生の予兆なしと言う事は完全に消滅したのだ。

 「ふぅ…準警戒態勢を維持、周辺宙域の観測を続けて。」

 「了解!!」

 リンディも安心しながらも警戒態勢維持を命令。
 だが、すぐさまそれも解除されるだろう。








 ――――――








 Side:なのは


 凄い光…夜なのに空が凄く明るいよ…


 「うむ…アレだと結界の外の連中にも見えたであろうな…くく、少しばかり話題になるかも知れんなぁ?」

 「『聖夜に起きた謎の発光現象』って?」

 確かにそうかも。
 でも、巧く行ったのかな……?


 「心配ないさ、巧く行った。闇の書の闇の力は欠片も感じられない。」

 「ルナ…うん、ルナが言うなら安心だね。」


 「…分った。対象は完全に消滅、作戦成功だ!」


 クロノ君!うん、大成功!!皆のおかげだね!!


 「うん!皆で頑張ったからね!」

 「我等の結束…絆が闇の書の呪いを超えたと言う事でしょう…」

 「あ〜っはっは!イエ〜〜イ!凄くて強くてカッコイイ!やっぱ僕達最強!!」


 そうだね…あれ?はやてちゃんは?



 「?我が主、今融合を解かれては…」


 あ、あの人がリインフォースさん…し、侵食が無いとますますルナとの見分けがつかないの(汗)
 でもなんではやてちゃんはユニゾンを…


 ――グラ…


 !!はやてちゃん!


 「我が主!!」


 リインフォースさんお見事!!
 なんで…はやてちゃん…!


 「心配するななのは…彼女は無事だ。」

 「ルナ?」

 「闇の侵食から解放されて、休む間も無くアレだけの力を使ったんだ……そりゃあ疲れるだろう。眠っているだけだ。」


 そ、そうなの?良かったぁ…


 「まぁ、かく言う私もなんだがな…」


 へ?ルナ!?


 「流石に最後の一撃はやりすぎた…周辺の魔力だけじゃなくて私自身の魔力も全部使ってしまった…もうスッカラカンだ…」

 「えぇ!?幾らなんでも無茶しすぎなの!!」

 「あぁ、自分でもそう思う。アレは余ほどの事が無い限りは封印だな…」


 当然なの!!
 て言うか大丈夫なの!?


 「いや、もう無理だ…済まない…少し寝る…」


 ――ドサ


 ルナ!…はぁ私の方が小さいのに支えてるんじゃはやてちゃんのとこと反対なの。

 けど、ルナの最後の一撃のおかげで作戦は成功したんだよね……うん、お疲れ様。
 そうじゃなくても一番頑張ったのはきっとルナだから…だから今は…

 「お休みなさい…ルナ。」

 ゆっくり休んでね…














  To Be Continued…