Side:リインフォース


 家に戻った私達は、士郎から『話がある』と言われて、リビングに集まっている。
 しかし、一体何の話なのだろう?

 「さて、先ずはリインフォース、翠屋で働いてみないかい?」

 「唐突だな。」
 尤も断る理由は無いが…私に出来るだろか?

 「ルナがウェイトレスさん?」

 そっちなのか!?









  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福4
 『学校と喫茶店と…?』









 「なのは、私がウェイトレスは…「あら、そのつもりよ♪」桃子!?」

 本気か…?
 私にウェイトレスなんて出来るだろうか…?

 「大丈夫、ちゃんと教えてあげるから♪」

 こ、この圧力は…!
 「美由希…桃子の笑顔から何故か猛烈な圧力を感じるんだが…」

 「諦めてリイン。こうなったらお母さんは誰にも止められない…」

 其処までとは…覚悟を決めるか…

 「…お手柔らかに頼む…」
 こうとしか言いようは無いな…まぁ、私が翠屋で働くのは良いとして、


 「リインフォースの奴は翠屋でと言うことは我等には別の何かがあるのだなシロウ?」

 冥沙の言うとおりだ、この3人については如何するんだ士郎?

 「それも考えてあるよ。星奈、冥沙、雷華の3人はなのはと一緒に学校に通ってもらおうと思う。」

 「「「学校?」」」

 其れは…いや、確かに良いかも知れないな。
 私は兎も角、星奈達は外見はなのはと同じだから、学校に行っていてもおかしくない、と言うか行ってない方が問題だ。

 だがそうなると、

 「桃子、士郎、学校に通わせるとなると、え〜と…そう、確か『戸籍』と言うものが必要になるんじゃないのか?」

 「その辺は抜かり無いわ。戸籍の申請は終わって承認されてるから、後は聖祥の編入手続きが済めばOKよ。」
 「尤も手続きが済むのに3日ほど掛かるから、通うのは週の中ごろからだと思うけれどね。」

 恐るべき行動の早さだな。
 …?若しかして私の戸籍も?

 「勿論君の戸籍も申請して通っているよ。」

 本当に何者だろうかこの夫婦は…
 で、どうかしたか星奈?

 「いえ、戸籍取得と言う事はつまり私達は『高町家』の人間になるということですよね?」

 「まぁそうなる…んだろうな。」
 だが、それがどうかしたか?

 「…ナノハ、いえ姉さん?」
 にゃっ!?

 待て星奈…何故そうなる!?

 「新参者ですから『姉』よりも『妹』の方が妥当でしょう?」

 そう…なのか?ってなのは、何故に星奈を抱きしめる?

 「だって可愛いんだもん!」

 ……いや、そう言われても…

 「あ〜星奈んずるい!!僕もぎゅ〜ってして欲しい!!ダメ?ナノハお姉ちゃん?」

 な、雷華!?

 「ふにゃ〜ん雷華も可愛いの〜〜!」

 しっかりしろなのは!

 「うぬ、貴様等我を差し置くとはいい度胸だな…もう少し我をかまってはくれぬか姉上?」
 「にゃ〜ん、冥沙〜〜♪」

 冥沙まで…!その辺にしておけ、なのはのライフはもう0だ!!

 「妹が3人、妹が3人、妹が3人…」

 大丈夫かなのは!



 ――ちょいちょい



 ん?
 「美由希?」

 「リイン姉さん?」

 お前もか?
 それよりも、私のほうが『姉』なのか!?

 「姉か、それとも妹か…」

 恭也、お前は少し自重しろ!!

 「あらあら♪」

 桃子、頼むから止めてくれ…




 結局この混沌空間が沈静するのに1時間が掛かってしまった。
 取り敢えずは今までどおり名前で呼ぶという事で決着した。



 それにしても翠屋でウェイトレスか…やる以上は頑張らなくてはな。








 ――――――








 
――4日後


 Side:なのは



 「何か良い事でも有ったの?随分機嫌良いじゃない?」

 えへへ〜分かるかな〜?

 「誰が見ても分かるよ、なのはちゃん…」
 「で、何が有ったの?」

 「其れは未だ秘密なの♪」
 今言ったら驚きが半減しちゃうし。
 3人とも、アリサちゃんとすずかちゃんと仲良くなれると良いな〜。

 「は〜い皆席について。」

 あ、来た来た。
 どんな反応するかな〜。
 少なくとも星奈には驚くよね?

 「今日は転校生を紹介します。」

 「「「「「転校生!?」」」」」

 「そう。それも3人も!!」

 「「「「「3人!?」」」」」

 それにしてもどうやって3人とも私のクラスに編入させたんだろう?
 ……お父さんとお母さんはちょっと謎が多い気がするの…

 「じゃ、入ってきて。」


 「え?ちょ、アレって…」
 「なのはちゃんそっくり…」

 あ、予想通りの反応。
 アリサちゃんとすずかちゃん以外の皆も驚いてるみたい。

 「はいは〜い、気持ちは分かるけど皆静かにして〜。…うん、それじゃあ自己紹介してくれる?」

 先生流石なの…さて、皆どんな自己紹介かな〜?
 ……何となく予想は付くけど。

 「では先ずは我からだな。我が名は高町冥沙。世話になるぞ塵芥共。」

 うわ〜〜、流石に其れは無いよ冥沙…確かにクラス全員を飲み込んではいるけど。

 「じゃ、次は僕ね!僕は高町雷華!皆ヨロシク!!」

 り、リアル僕っ娘ですって!?

 アリサちゃん反応するとこは其処!?

 「高町星奈です、以後お見知りおきを…」

 星奈…もう少し感情を出そうよ?

 「そう言われましても、基よりこんな性格なので…」

 心を読まないで!?

 「なのは…」
 「なのはちゃん…」

 「あはは、あとでちゃんと説明するね?色々有るから『翠屋』で。」

 ルナの事も紹介しないといけないし。

 「その言い方だと、未だなんかあるのね?いいわ、放課後まで我慢して質問は当たり障りの無いものだけにさせてもらうから!」

 にゃはは、ありがとうアリサちゃん。

 で、其の後の席は私の隣が星奈、アリサちゃんの隣が雷華、すずかちゃんの隣が冥沙に決まったの。

 休み時間には皆が質問に来て、大変な事になったけど逆にそのおかげで馴染めたかな?


 うえ〜ん全然わかんないよアリサ〜〜〜!!!
 えぇい、何でこんな簡単な計算も分からないのよアンタはぁぁぁぁ!!!


 授業中雷華が悲鳴上げてたけど…

 「頭脳パラメーター0では仕方ありませんね。」

 星奈容赦ないの…








 ――――――








 Side:リインフォース


 「ありがとうございました。」

 桃子にみっちりと接客云々を教え込まれたおかげで、何とかウェイトレスをこなす事ができるようになった。
 尤も『笑顔』はもっと自然に出来るようにとの事だが…此ればかりは仕方ないな。

 「ふぅ…やっと一息か。」
 それにしても凄い人の数だった…こんなにも来客があるものなのか?
 注文を採り、注文の品を運び、レジで会計…目が回る忙しさとはこの事か。
 これだと1対多の戦闘の方が遥かに楽かもしれないな…

 「お疲れ様。」

 「桃子か…ウェイトレスと言うのは中々大変なモノなんだな…」

 「その内慣れるわ♪」

 矢張り慣れか…



 ――チリンチリ〜ン…



 ん、新しい客か。
 「いらっしゃいませ…あぁお前達か。」

 なのは達か、もうそんな時間になっていたのか。

 「おかえりなさい。アリサちゃん、すずかちゃんいらっしゃい♪」

 「「おじゃまします。」」

 2人はなのはの友人か。

 「お母さん、ルナ少し大丈夫?」
 「えぇ。一区切り付いたし、休憩してもらおうと思っていたから。」

 良いのか?

 「えぇ、暫くはお客さんも来ないから。奥の席で待ってて?飲み物とお菓子もってくから。」

 ならばお言葉に甘えるとしよう。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・



 「で、貴女も星奈達と同じで高町家の養子って訳?」

 「そうなる。」

 店の一番奥でなのはの友人――アリサとすずかに色々聞かれている。
 なのはに念話で聞いた所『魔法の事はある程度話してある』との事だったので私の事も簡単に話はした。

 「それにしても並行世界とか魔法とかドンだけファンタジーよ…」
 「でも、魔法が存在してるなんて驚きです。」

 まぁそうだろうな。

 「何だ、怖いのか?」
 「怖くないわよ!てかどうしてアンタはそんなに偉そうなの!?」

 「王様だからね♪」
 「王ですから。」

 まぁ、王だから…か?

 「分からないけど妙な説得力は有るの…」
 「確かにな。」

 「そ、それで良いのなのはちゃん、ルナさん!?」

 まぁ、あれが地だからな…気にするだけ無駄だ。
 其れに冥沙が悪いのは口だけだ、仲間に対しては意外なほどに厚情だぞ?

 「そうなんですか…」
 
 「にゃはは、実はとってもいい子なの♪」

 「五月蝿いわそこぉ!!」

 素直じゃないな。








 ――――――








 
――


 Side:なのは



 「雷華、浸かりすぎだよ〜。」

 「あはは〜…なのはや王様が一杯居る〜〜」

 皆でお風呂のあと、雷華が星奈に団扇で扇がれてるの。
 もう、幾らお風呂が気持ちよくったって逆上せるまで浸かっちゃダメだよ?

 「うぅ〜〜ん…だってだってお風呂って何度入っても気持ちいいんだもん!」

 それでも此れで3回目だよ?
 いい加減自分の限界を知ろうよ〜。

 「それが出来れば苦労はしませんね。」

 本当にもう…

 「はい、此れで終わり。」

 そんな事を言いながら冥沙の髪のドライヤー終了。

 「うむ、礼を言う。ならば今度は我がお前の髪を乾かしてやるとしようぞ。」
 「うん、お願い。」
 「任せておけ。」

 にゃはは〜なんか和むな〜。

 「どう、熱くない姉さん?」
 「熱くはない…美由希、その呼び方は…」
 「あはは…冗談よリイン。」

 お姉ちゃんとルナも仲良いし。

 お兄ちゃんは…

 「おのれリインフォース、なのはのみならず美由希までも…」

 もう1回ルナに頭冷やしてもらう必要がありそうなの…








 ――――――








 
――同刻・海鳴の一画


 Side:???



 く、此処にアレが飛び散ったのか。

 被害が出る前に封印しないと…!

 「絶対に全て封印しないと…この世界の人に迷惑が掛かる…」

 アレの力は強すぎる。
 もしも何らかの強い思念を受けたりしたら…!

 「放って置くことはできない…」

 アレは…ジュエルシードだけは…!!















  To Be Continued…