Side:なのは


 ……?
 なんか身体が揺さぶられているような…?

 「そろそろ起きろなのは。」

 う〜ん…誰なの?

 「起きないか…仕方ない。」

 何が?……うにゅ?何だろう此の浮遊感…

 「このまま連れて行くか…」









  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福3
 『服を買いに行こう』









「ってルナ!?」

 突然の浮遊感に目を開けると、目の前にルナ。
 わ、私ルナに『お姫様抱っこ』されてるの!?

 「あぁ、起きたか?おはよう。」
 「うん、おはよう…」

 じゃなくって!
 何で私はルナにお姫様抱っこされてるの〜〜!?

 「幾ら揺すろうが、声を掛けようがお前が起きないから強制的に連れて行くことにしたんだ。もう朝食が出来ている。」

 えぇ、もうそんな時間?
 日曜日だからって寝坊しちゃったよ〜。

 「皆、特に雷華はもう待ちきれないみたいだ。」

 雷華…じゃあ急がないと。
 でも、

 「ルナ、このままリビングまで連れて行ってもらって良いかな?」
 「勿論だ。断る理由は無い。」

 にゃはは〜、楽ちん♪
 最近はお父さんもこういうの中々やってくれないから、なんか良いかも。








 ――――――








 Side:リインフォース


 リビングでは全員が既に着席して私となのはを待っていた。

 ……恭也が物凄い顔で睨んでいたが、そんな顔をする位ならお前が起こしに行けば良かっただろうに…口には出さないが。

 「う〜クロハネもナノハも遅いよ〜!僕お腹減った〜!」
 「おはようございます、ナノハ。」
 「漸く起きたか。それを見ると、融合騎もといリインフォースに抱き上げられて吃驚して目が覚めたか?」

 「にゃはは、冥沙正解。うん、皆おはよう。」

 さて、もう降ろして良いだろう?
 それと雷華、お前だってさっき起きたばかりじゃなかったか?

 「な、クロハネばらすなよ〜!」

 「なのはに威張るなら、私と星奈とまでは行かなくても、せめて冥沙と同じ位に起きれなくては説得力は無い。」

 しかし、私と星奈も結構早い方だと思ったが、それよりも早く起きている桃子と士郎は何時に起きているのだろう?
 それ以前に、ちゃんと寝ているのだろうか此の夫婦は…

 それにしても…
 「何か言いたい事が有るのか、恭也?」

 歯を食いしばって目を血走らせて睨まれると流石に怖いぞ……幾ら私でも。

 「リインフォース…食事が終わったら俺と勝負してもらう!!」

 …は?

 「なのはをお姫様抱っこだと…!?兄である俺だってした事が無いのに!!
  何て羨ましい事を…!不純同姓交友など俺は認めん、断じて認めんぞ!!」

 …何を言っているんだろうか?
 だったら私が行く前に自分で起こしに行けばいいものを……それ以前に『不純同姓交友』って…
 取り合えず…


 ――なのは…
 ――受けてあげて。それでルナの力を見せてあげれば良いと思うの。


 念話で一応の確認を取ってみると、簡単に了承。


 ――分かった。…時になのは、力を見せろとの事だが…別に撃滅して構わないのだろう?
 ――寧ろ撃滅して構わないの♪


 主からの許しを得たならば問題ない。

 「分かった。その勝負受けよう。」
 「渡さん…なのはは絶対に渡さんぞぉぉぉ!!!」

 物凄い気迫だが、お前は私が『女』で有る事を忘れていないか?

 「やっぱりキョーヤってシスコンだよね。」
 「此処までくると最早病気です。ミユキとナノハも大変ですね。」
 「まぁ、軽くあしらってやれ。」

 「子供だなぁ恭ちゃんは…」
 「にゃはは〜…」

 何気に皆容赦が無いな。
 まぁ、私も負ける気など更々無いけれど。


 「その勝負は兎も角として食事にしましょう?冷めちゃうわよ?」

 流石、良いタイミングだ桃子。
 確かに冷めてしまっては勿体無い。

 「そうだな。それでは…」

 「「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」」」

 ふふ、いい物だなこういうのも。
 もし、消滅を選ばなかったらアノ世界でも……いや、やめておこう『今』の私には此処が生きるべき世界だ。

 食事後の勝負はさておき、こんな穏やかな雰囲気は初めてだ。
 それは私だけでなく、星奈たちも同様だろう。

 だが、だがしかしだ…

 「ルナ、好き嫌いはダメだよ?」
 「う…矢張りダメか…」

 この『納豆』に慣れるのは今しばらく時間が掛かりそうだ…








 ――――――








 Side:雷華


 食事が終わって一休みした僕達は、ナノハ&ミユキと一緒にショッピングにレッツゴー!!
 何でも僕達やクロハネの服を買うのが目的なんだって。

 僕と星奈んと王様は今はナノハの服を借りてるんだよね〜。
 星奈んはナノハとサイズが全く同じだから良いけど、僕には微妙に小さいし、王様には少し大きい。

 クロハネは上着無しの騎士服のまま。(靴はミユキの借りてるけどね)
 ミユキが服を貸してくれる予定だったんだけど入らなかったんだって…『胸』が。

 まぁ、そう言った理由で一路『ぶてぃっく』目指して前進中!
 格好良いのみつけちゃうもんね〜!!


 因みにクロハネとキョーヤの勝負だけど、勿論クロハネが勝ったよ〜♪
 はっはっは、小鴉ちんと融合してたとは言え、王様を倒したクロハネが、幾ら強いとは言え一般人に負けるはずが無い!
 実に見事だったなぁ、カウンターでの『ドラゴンスクリュー』でダウンさせて、起き上がろうとした所に突き刺さった『シャイニング・ウィザード』

 って、さっきから僕は一体誰に説明してるんだ?

 「メタな発言は程々にした方が良いですよ、雷華。」

 「メタな発言て何〜?」

 「深く考えるでない…いや、うぬの場合考えるだけ無駄か…」

 ?よくわかんないや。

 「はい、到着〜!」

 おぉ、ここが『ぶてぃっく』か〜。

 「お母さんからお金はたくさん預かってるから遠慮しないで買ってね?」

 うんうん、それじゃあ皆で元気に行ってみよ〜〜!!








 ――――――








 Side:冥沙


 店内にて、我等とミユキ&リインフォースは別行動。
 我等が買うべき『子供服』は売り場が違うとの事なので、仕方が無い。
 それにしてもだ、

 「我等の名前に関してもそうだが、矢張り奴はセンスが良いな。」

 試着室とか言う場所で、ナノハが選んでくれた服を着てみれば、成程確かに我にはピッタリのデザインだ。
 此れを見る限り、星奈と雷華の服もきっと似合っているのだろう。

 「着替えたが…どうであろう?」

 「わぁ、やっぱりよく似合ってるよ冥沙!」

 そうか?
 まぁ、うぬが選んだ服であるし、基より着るのは我だからな似合っているのは当然であろう?

 「相変わらずですね。ですが、確かに良く似合っていますよ冥沙。」
 「アハ♪王様格好良い!」

 お、うぬ等も着替え終わったか。
 よく似合っているではないか。

 「はい。こう言った知識には乏しいのでナノハに一任して正解でした。」

 確かにな。

 「格好良いのたくさん見つけてくれたし。特にこの十字架が入ってるの凄く気に入った。」

 「良かった〜、気に入ってもらえて。さ、精算してお姉ちゃん達の所行こう?」

 だな。
 さて、リインフォースの奴はどんな服を見繕ってもらったのやら…








 ――――――








 Side:リインフォース


 「おかしくないだろうか?」

 「すっごく似合ってるよ。やっぱりリインは下手に飾るよりも落ち着いた暗色系でシンプルに纏めた方が良いわね。」

 美由希に勧められるまま、渡された服に着替えたのだが…確かに悪くない。
 不思議な首周りの黒い長袖のシャツ(タートルネックと言うらしい)と落ち着いたベージュのズボン。
 身体の線が確り出るデザインは上着無しの戦闘装備や騎士服とそれほど差は無いので、違和感は感じない。

 「それにリインはスタイル良いんだから、身体の線は出した方が良いって。」

 そう言うものなのだろうか?良く分からないが、

 「折角選んでくれたんだ、此れを買うとしよう。」

 美由希の見立てなら間違いは無いはずだ。
 なんと言うか、なのはは基より、桃子も美由紀もセンスがとても良い。
 選んでくれた服を試着してみても、確かに悪くないものばかりだった。

 「了解。あ、すいませーん。お会計お願いしますー!」

 「は〜い、只今。」

 「此れ全部。あと、此れは着たまま行ってもいいですか?」

 「はい、結構ですよ。」

 「だって。」

 このままでいいのか、騎士服に着替える必要は無かったか。

 「あ、お姉ちゃん、ルナ、終わった?」

 なのは達か、そっちは終わったみたいだな。

 「うむ。ナノハが我等にピッタリの服を選んでくれたわ。」

 そうか。
 私の方も美由希が良い見立てをしてくれた。

 「だね。うん、ルナも凄く格好良い。流石お姉ちゃん!」
 「ふふ、当然♪」

 さて、会計も済んだし帰るとしようか。








 ――――――








 Side:星奈


 と言う訳で私達は帰路に着いたわけですが、


 「よぉ彼女、俺達と遊ばない〜?」
 「面白いとこ知ってんだよね俺達。退屈はさせないよ〜。」
 「そっちのちっちゃい子達も一緒に如何?」

 その途中で見知らぬ男に声を掛けられています。
 此れが俗に言う『ナンパ』と言うものでしょうか…

 「多分目当てはお姉ちゃんとルナだと思うけど…」

 確かにそうでしょうが、私達に熱烈な視線を送っているものも居ますが?

 「うえっと、其れは…「あ〜お前が『ろりこん』って奴か!!」ら、雷華!?」

 「成程うぬ等がか…」
 「冥沙も!?」

 あぁ、確か幼い少女が好みの方でしたか。

 「おいおい、お嬢ちゃんそれは偏見だぜ?君達みたいな可愛い子だからこそ声掛けるんだぜぇ?」

 可愛いとは…お褒めに預かり光栄ですが、些か気味が悪いですね。
 所謂下心は見え見えですし?

 「はぁ…はっきり言ってお断り。貴方達に付き合うような暇は無いのよ。」

 確かに。
 「ミユキの言うとおりです。私達は貴方方に付き合う気は毛頭有りませんが?」

 と言うか、さっさと帰りたいんですが?

 「そう言うなよ。楽しもうぜ〜。」

 男の1人がミユキに手を…!



 ――パシンッ



 「付き合う暇は無いって言ったでしょ?はっきり言うけど馬鹿は馬鹿でもツマラナイ馬鹿って疲れるのよ?
  貴方達、自分がどれだけ間抜けで滑稽に見えるか理解してる?」

 ですがそれを払いのけ、あまつさえ強烈な一言…流石はナノハの姉ですね。
 しかし、言われた方は急激に頭に血が上ったようですが?

 「此のアマ!人が優しく言ってりゃつけ上がるんじゃねぇ!!」

 激昂して今度は殴りかかってきましたが、ミユキならば…

 「てぇぇぇい!!」

 大丈夫ですよね矢張り。
 殴りかかってきたその手を掴んで、勢いのまま投げ飛ばす。
 今の技は『一本背負い』でしたか。

 「こ、此のヤロウ!!」

 別の1人が更に手を伸ばしますが、はっきり言って無駄ですよ?

 「そうはさせない。はぁぁぁぁ!!」

 向かってきた男は、今度はリインが投げ飛ばしました…『逆一本背負い』で。
 さて、残るはロリコンと思われる男だけですが…

 「へへ、ガキなら如何とでも…」

 矢張りきますか。
 狙いはナノハですか?ですがそうはさせませ…「えぇぇい!!」ってナノハ?

 以外にもナノハまでもが相手の勢いを利用して投げ飛ばしてしまうとは…

 「にゃはは…護身術。お父さんに教わったの。」

 成程そう言うことですか。
 まぁ、流石にナノハの一撃ではダメージは低かったようですが…

 「やってしまえ雷華。我等の盟主に手を出そうなどと万死に値するわ!」
 「りょ〜かい!」

 ですね。
 まぁ死なないように手加減はして下さいね?

 「分かってるって!喰らえ〜スーパー稲妻キィィィック!



 ――メッキャ〜〜!



 此れは又、吹き飛びました…凄い力ですね。

 「勿論。だって僕『力のマテリアル』だし。」

 だとしても手加減してあれでしょう?
 此処までの馬鹿力とは、正直驚きです。

 「えっへん♪」

 まぁ良いですけどね。



 数分後、此の一件を見ていた方が通報したらしく、撃退した男達はお巡りさんに連れて行かれました。
 私達は『正当防衛』と言うことでお咎めは無いようです。
 まぁ当然ですね。



 こうして、ハプニングは有ったものの、無事に買い物を済ませて帰宅。


 ですが、そんな私達に士郎からあの様な提案がされるとは思っても居ませんでした…
















  To Be Continued…