Side:ルナ


 「も、物凄い人の数だな…この間の夏祭りよりも凄いんじゃないか?」

 「にゃはは、結構大きな花火大会だからね。」


 いや、其れにしたって海鳴臨海公園を全て覆い尽くしそうな勢いじゃないか。
 そんなに凄いものなのか『花火大会』と言うのは?


 「夏の外せない風物詩。見た目にも綺麗だし。」

 「其れを見る目的でか…そう言えば屋台も食べ物ばかりで夏祭りの時のような遊び系は無いな。」

 花火を観覧する為にそういう物は外してあるのか。
 ん?そうなると先に大量に食べ物を購入したのは…


 「まぁ、花火の途中で買いに行かなくても良い様にじゃないか?」


 矢張りそうか。
 さて、凄い人だかりだが何処で見たものか…










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福33
 『夏は花火を楽しもう』










 だが、何処で見るか以前に…

 「どうするんだ其れ?」

 「如何したものでしょう?」

 「何度見ても凄い光景だな此れは…」

 「「「「「「「「「「にゃ〜〜〜〜〜〜♪」」」」」」」」」」


 星奈にくっついてきたノラ猫軍団…(汗)
 最近は大人しいと思っていたら此れだ。


 「如何もこうも連れ歩くしか無いじゃん。星奈んにくっついてきたのは剥がせないし?」

 「其れしかあるまいな…」


 矢張りそうだろうな……まぁ、害は無いから良いか。
 しかし、何処もかしこも人だらけだ。
 これじゃあ落ち着いて見れる場所を探すだけでも一苦労だな…


 「だよねぇ…大分埋まっちゃってるから皆で見れる場所ってなるt「あ、おーさまおねーちゃん。」にゃ?」

 「む、うぬは…!」


 …誰だこの子は?
 冥沙、知り合いなのか?


 「うむ、散歩に出かけると良く会う小娘よ。何だ、今日は1人か?何時も一緒に居るオレンジの髪のはどうした?」

 「え?」(キョロキョロ)


 連れが居るのか?
 いや、まさか、若しかして…


 「アレ?」

 「まさか、はぐれてしまったのか…?」

 「……う…え……びえぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 や、やっぱりはぐれてしまったのか…所謂『迷子』なのだな?
 どうする?この人ごみの中を捨て置く事はできないだろう?
 いや、人ごみでなくとも放置する気は無いが…


 「勿論お友達を探すのが良いの。けど…何処にいるか分らないし…」

 「容姿だけではこの中から探すのは至難の業ですね。」

 「僕となのはで広域エリアサーチをかけても効率が良いとは言いがたいな。」


 確かに。
 さて如何したものか……ん?

 「スマナイが、友達と一緒だったと言うなら一緒に花火を見る場所なんかは決めていないのか?」

 「ふぇ?」


 いや、だからその友達と一緒に何処で花火を見ようとかは決めて居なかったのか?


 「あ…『秘密の場所』…」

 「「「「「「「秘密の場所?」」」」」」」


 何処だろうか其れは?
 いや、其処がそうなら取り合えず其処に行ってみればいいんじゃないか?


 「確かにの。…うむ、我等も共に行ってやろう。もしも其処におらなかった場合は改めて探せばよい。……其れでも良いかナノハよ?」

 「良いよ。困ってる子は放っておけないの。皆で行こうね?」

 「うん…」


 では行こうか『秘密の場所』に。
 しかし、随分懐かれているな冥沙は…


 「そうですね。ですが悪い事では無いでしょう。」

 「まぁ、確かに。……って増えてるぞ?」(驚)

 「おや?」
 「「「「「「「「「「にゃ〜〜〜〜〜ご♪」」」」」」」」」」×凄く沢山


 …この子達も一緒に連れてくか…
 その秘密の場所と言うところに居ると良いんだがな…



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 「あ、きたわねばかすばる。」

 「てぃあ〜〜、よかった〜〜〜!」


 着いたのは公園の一画の小高い場所。
 余り目立たない場所だな…成程確かに『秘密の場所』だ。


 「おーさまおねーちゃんもいっしょ〜?」

 「いっしょ〜。おねーちゃんのおねーちゃんたちもいっしょ。」


 で、その場所にお友達は居た訳だ。
 良かったな会えて。


 「うん。おねーちゃんたちのおかげ。ありがとー。」
 「ありがとー。」

 「どういたしまして♪」

 「だが、うぬ等をここに置いていくのは少々不安だ。帰りに青髪がまた迷子になるとも限らんからな。」

 「なら、私達もここで見ればいいよね?」

 「うむ、その通りだミユキ。」


 良いんじゃないか?
 他に人も居ないし、少し高い場所だから良く見えるだろう?

 …ご一緒しても良いかな小さな天使達よ?


 「いいよ〜。」
 「みんないっしょ〜♪」

 「それじゃあ遠慮無く♪」



 ――ひゅ〜〜〜〜……ドンッ



 お?始まったみたいだな……成程、此れは素晴らしいな。
 夜空に咲く大輪の花か…


 「マダマダ此れからだよリイン?」

 「今のは開始を告げる1発に過ぎないの。」


 そうなのか?
 と言う事は、これから此れが沢山夜空に?……其れは楽しみだ♪








 ――――――








 Side:なのは


 ――ドンッ!ドドドドン!ドッッッドッド…パラパラパラ…


 「「「「おぉ〜〜〜…」」」」


 にゃはは、ルナも星奈も冥沙も雷華も皆花火に見入ってる。
 きっと初めてだろうから新鮮だよね♪


 「凄いなこれは…一体どうやっているんだ?」

 「よもや魔法ではあるまい?」


 え〜っとね…


 「『玉』って呼ばれる紙製の球体に『星』って呼ばれる火薬をつめて打ち上げてるんだよ。
  玉の大きさがそのまま花火の大きさになってて、中につめる火薬の並べ方で…」



 ――ドォォン…



 「今の『土星』みたいな形も出来るって言う訳。」

 「「「「ほ〜〜〜〜…」」」」
 「「へ〜〜〜〜。」」
 「凄い技術だな。」


 流石はお姉ちゃん。
 ルナ達も小さな子達も感心してるの。


 「様々な色があるようですがあれは…?」

 「あ、アレは火薬に含まれる元素で変わるって聞いたことがあるの。」

 リチウムが深紅色、ナトリウムが黄色、カリウムが淡紫色、カルシウムが橙赤色、ストロンチウムが深赤色、
 バリウムが黄緑色、銅が青緑色、ホウ素が黄緑色でリンが淡青色だったかな?


 「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 「ほえ?どしたの?」

 「「「「「何でそんな詳細に知っているんだ?」」のだ?」ですか?」の?」
 「ナノハ「「おねーちゃん、すごーい!」」」



 え?理科の時間に先生がお話してくれたよね?
 少なくとも星奈と冥沙と雷華は聞いてるはずだよ?


 「そう言えばそんな事を言っていた気もしますが…」
 「一々覚えているはずが無かろうが…」
 「其れ何時の話だっけ?」

 「相変わらずなのはは自分の得意分野だと凄いなぁ。お姉ちゃん吃驚…
 「まぁ『特化型』の方がなのはらしくていいじゃないか。」
 「だからこそ突き詰められると恐ろしい部分があるんだけどな…。砲撃とか集束砲とか…


 にゃはは…まぁね。


 「「た〜〜〜まや〜〜」」


 うんうん、この子達も楽しそう。
 今年の花火も綺麗なの。


 「そう言えば、さっきから気になっていたんだが『たまや』『かぎや』と言うのは?」

 「僕も少し気になっていたんだ。意味があるのかな?」

 「え〜と……お姉ちゃん宜しく♪」

 「マル投げしたね…良いけど。え〜っとね『玉屋』と『鍵屋』は元々江戸時代にあった花火業者の2大看板。
  玉屋自体は文化7年――1810年に鍵屋から暖簾分けして両国広小路吉川町に店を構えたのが始まりね。
  ま、其れはさておいて、この2大看板が両国の川開きの際に両国橋を挟んで上流を玉屋、下流を鍵屋が受け持ってたの。
  業者としては鍵屋のほうが古いんだけど、花火の人気は玉屋の方が上だったみたい。
  その川開きの際に上流側で上がった花火に『玉や』、下流側で上がったのに『鍵や』の声を上げてたのが始まり。
  今では単純に花火が上がった際の掛け声として使われているけどね。」

 「成程な……お前も存外凄いな美由希…」


 だよね〜♪


 「しかし本当に見事なものだ。こうも美しく、そして平和に夜空が明るくなると言う事が有るなんてな…」

 「ルナ?」

 「いや、私の知っている限りだと夜空が明るくなるなんて言うのは戦火の炎で照らされたときだけだったんだ。
  だがこの世界では平和の中で、誰もが楽しぬ事ができる光で空が照らされている…其れが嬉しいんだ。」

 「そっか…うん、そうだね。」

 ルナが言うと凄く説得力があるの。
 うん、ならこの花火を楽しもう?
 もうすぐフィナーレだから。


 「フィナーレ?」

 「花火大会の最後、夜空を照らし尽くす閃光の乱舞が始まるから♪」



 ――ドン!ドンッ!パパパパパパパパパパパパ、ドッドドパッパッパドドド!!



 始まった!
 大会のフィナーレ、大小沢山の尺玉の乱舞!


 「これは…凄い…!」

 「うむ、見事であるな…」

 「お〜〜!夜なのに明るいぞ〜〜!」
 「「あかるいぞ〜〜!」」



 ――ドドン、ドパパパパ、ド〜ン!ド〜ン!ドドド〜〜ン!!



 「凄いな…ミッドに持って帰りたいくらいだ。」

 「素晴らしいとしか言いようがありません。」

 「楽しんでね?此れも夏の風物詩だから。」


 皆一様にフィナーレの花火を眺めてるの。
 ね、凄いでしょ?


 「あぁ、本当に凄い。ほんの一瞬で消えてしまうのに…其れなのにこんなにも美しい…」

 「一瞬だからだよ。だからきっと心に残るんだと思うの。」

 「…そうなのかも知れないな。」



 ――ドン!ド〜〜〜ン!!



 フィナーレの最後を飾る特大玉が2発……うん、終わったね。


 「ふわ〜〜凄かった〜〜!」

 「うむ、時間が怒涛のように過ぎていたな。」


 楽しめた?でも、此れで終わりじゃないよ?


 「「「「「?」」」」」


 お楽しみは、まだあるから♪








 ――――――








 Side:ルナ


 「成程、此れもまた素朴でいいものだな?」

 「でしょ?」


 花火大会の会場を後にして、私達がやってきたのは河原。
 其処でなのはが取り出したのは『手持ち花火』…簡単に楽しめるものだった。
 その手提には此れが入っていたのか。


 「うん、花火大会の後に皆でやろうと思って。」

 「花火の楽しみ方は多種多様か。」



 「いっくぞ〜王様〜〜!」
 「「いくぞ〜〜〜♪」」

 「ぬお!やめんか馬鹿者!ねずみ花火を投げる奴があるか!!」


 「参ります…3,2,1ファイアー!」

 「…誘導弾で『ロケット花火』に点火するのはどうかと思うんだが…」

 「流石に其れはどうかと思うなぁ…」



 ……うん、向こうには何も言うまい。
 普通ならば危険なんだろうが、星奈達だとまるで問題ないのが怖いな…
 まぁ、美由希がついているから大丈夫だろう。


 「お姉ちゃんが一緒なら大丈夫だと思うの。…次は此れをやろうか?」

 「これは…線香花火?」

 今までやっていたのと比べると大分小型だが…やってみるか。



 ――シュゥゥゥゥ……パチッパチッパチッ…



 此れはまた…派手じゃないし儚いが、

 「綺麗だな…」

 「花火の〆はやっぱり此れなの。」


 最後は心静かに…か。



 ――パチ、パチ……パチ…ちち…………ぽとり…



 「あ…」

 「終わっちゃったね…」


 あぁ…だが、何と言うかとても優しい気持ちになれる花火だな。


 「今度、また皆でやろうね。花火。」

 「ふふ、そうだな。」

 今度は桃子や士郎も一緒にだな。



 さて、あの子達を送っていくとしよう。



 花火大会――また来年も来れると良いな。















  To Be Continued…