Side:ルナ


 「暑い…。そろそろ夏本番と言うところか…」

 6月も終わって、7月――日ごとに暑さが厳しくなってくる。
 夏もいよいよ本番と言うところか。


 ……そう言えば6月の初め頃に闇の書の起動を感知したが騎士達は大丈夫だろうか?
 この暑さで身体を壊してないと良いのだが…まぁ、大丈夫だろう。


 さて、今日は仕事は休みの日(私のシフトが無いだけで翠屋は営業中)。
 日曜日なので皆家に居るが…何をするか?


 ――コンコン…ガチャ


 「ルナ、居る?」

 「なのはか。あぁ、何か用か?」

 「あのね、お姉ちゃんが皆で買い物に行かないかって。」


 買い物?一体何を買うんだ?


 「ソレはね…夏用の装備だよ!」

 「夏用の…装備?」










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福27
 『夏用装備を入手せよ』










 夏用の装備…そんな物が売っていただろうか?
 夏用……あぁ、そう言う事か?

 「水着…か?」

 「正解。ルナ持って無いでしょ?星奈達も学校のスクール水着しか持ってないから、夏休み前にって。」


 確かに持っていないな。
 夏は海にも行くといっていたし…うん、必要だな。

 「分った、行くとしよう。」

 「うん!あ、浴衣も買う予定だから。」


 ソレは祭り用か。
 花火大会に盆踊りと、夏祭りも目白押しだったな。
 そうなると、今日は1日がかりでショッピングか。


 「そうなるの。午前中に水着買って、途中でお昼。で、午後に浴衣の予定だって。」

 「了解だ。直ぐに支度をするから待っていてくれ。」

 「うん!」


 さて、何を着ていこう?……此れで良いか。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 「此処か。」

 やってきたのは、以前に服を買ったデパート。
 夏本番!浴衣も水着も大特価!!か、成程。

 ショーウィンドウの中の色とりどりの浴衣と水着…此れだけ有ると目移りしてしまうな。
 正直、どんなものを買えば良いのやら…。

 まぁ、なのはと美由希に任せれば問題ないだろう。








 ――――――








 Side:なのは


 5階の水着特設コーナーで私は星奈達と、お姉ちゃんはルナと見て回る事に。
 子供用と大人用は、売り場が少し離れてるから仕方ないの。

 「じゃあ、先ずは好きに選んでみて?更衣室で試着も出来るから。」

 「先ずは私達のセンスを見ると言うところですか。」

 「ほう?ならば気を入れて選ばねばのう?」

 「よ〜し、格好良いの選んじゃお〜〜!」


 最初から私が選んでも良いけど、先ずは皆が好きに選ぶのが良いと思う。
 それで、どうしてもダメだったら私が選べば良いの。

 ルナは…多分お姉ちゃんに任せきりだと思うけど。

 皆真剣に選んでる。
 特に雷華は楽しそう。

 私は…うん、此れにしようかな。
 早速更衣室で…と。


 「ナノハ、選んで着替えたぞ〜?」

 「!早いね雷華。ちょっと待って、私ももう直ぐ…」

 んしょ…うん、完璧!
 出来たよ。


 「お、ナノハかわいい!」

 「雷華も格好良いよ。」

 水色のビキニ(子供用)…良いの選んだね。
 この縞模様は『虎柄』なのかな?


 「うん、虎柄。他に赤と黄色があったけど、水色と言えば僕の色!ソレにナノハのビキニ(子供用)だってピンク色、ピンクはナノハの色!」

 「にゃはは、そう言えばそうだね。」

 ソレを踏まえると、星奈は赤で、冥沙は紫かな?


 「出来ました…」

 「我も出来たぞ。」


 星奈と冥沙も………って、ちょっと待つの、何それ?


 「水着であろう?」

 「自分の魔力光をイメージしたのですが?」


 うん、ソレは見れば分るの、赤と紫だから。
 でもね…

 如何して競泳用なの!?

 「動きやすいからの。」

 「機能的ですから。」


 ダメなの〜〜〜!学校の水泳の授業じゃないの!海なの、遊びなの〜〜!!
 もっとお洒落に行かないと勿体無いの!!


 「そういうものなのか?」

 「モノなの。…2人のは私が選ぶから!」

 「はい、お任せいたしましょう。」


 2人とも可愛いんだから、競泳用なんかじゃ勿体無いよ。


 「そうですか。…ですが冥沙は兎も角、私を可愛いと言うのは自画自賛になるのでは?見た目の違い髪型だけですよ?

 「…そだね。」

 って、ソレは別に良いの!
 え〜と…星奈は此れで、冥沙は此れかな?
 うん、此れならきっと似合うはず!

 「はい、此れに着替えてみて?」

 「うむ…見た目は悪くない。」

 「ナノハのセンスならば期待も出来るでしょう。」


 えへへ、きっと気に入ってくれると思うの。
 ルナとお姉ちゃんは大丈夫かな?








 ――――――








 Side:ルナ


 「美由希…その、着替えたが…おかしくないか?」

 「あは、やっぱり良く似合ってるよリイン!銀髪と綺麗な肌には黒のビキニが映えるわね。」

 「そ、そうか?だが、此れは其の…少し大胆すぎないか?下着よりも布地が少ないぞ?」

 出来れば私も、お前が来ている様な『セパレートタイプ』が良いんだが…


 「私もソッチのほうが良いとも思ったんだけど、リインだとサイズが無いんだって。」

 「私とお前は殆ど同じ体格のはずだが?」

 ソレなのに私に合うのは無いのか?


 「身長とウェストは略同じだけど決定的に違うでしょ…が。」

 「其処か!?」

 「リインだとプロポーション的にビキニしか無いし…それでも一番大人しいの選んだんだよ?
  他のだと布地がもっと少なかったり、色が銀色とか白とか、金色もあったかなぁ?」


 ソレは凄まじいな…まぁ、確かに此れも悪いものではないか。
 着脱式のパレオも付いているし、水に入る時でなければ薄手の上着を羽織っていればいい。

 「それに、折角美由希が見立てて選んでくれたんだ、此れにしよう。」

 「じゃあ、買いだね。ところで、私の水着は如何?」

 「良く似合っていると思う。」

 美由希は派手ではないが美人だし、気立ても良いのに…ソレなのに彼氏が出来ないのは全部恭也(あのシスコン)のせいだな、うん。


 「ルナ、お姉ちゃん…うわ、2人とも凄いの。」

 「なのは。」

 「なのは、皆も買い終わったの?」


 そうみたいだな。
 皆夫々に袋を持っている。
 因みにどんな水着を?


 「私と雷華は子供用のビキニ。」

 「僕のは水色の虎柄で、ナノハはピンク色。」

 「私はナノハが選んでくれた赤のセパレートタイプですね。」

 「我のは紫のワンピースよ。胸元のリボンがな中々におしゃれぞ。」


 なんとまぁ、全員が自分の魔力光と同じ色の水着か。
 私もソレでそろえるべきだったかな?


 「有るよ、同じタイプの銀色。」

 「うん、此れでいい。」

 銀は流石にハードルが高すぎる。
 清算をしないとならないのだが、店員は……と、すいません。


 「はい、只今……!!!」


 男性店員か、如何した?


 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 「オイ…」

 「グハァ!!」


 ――パァン!


 破裂した!?
 い、いや鼻血か此れは!?


 「わ、我が人生に一片の悔い無し…!」

 「…ルナとお姉ちゃんが水着姿で揃うと破壊力が凄まじいの…」

 「言うなれば最上級能力を発動したオベリスクの如きですね。」


 攻撃力無限大?
 と言うか私と美由希のせいなのか!?


 「いや、誰のせいでも有るまい…主等2人が女として極上だっただけの話よ…」

 「ミユキもクロハネも凄いぞ〜。ぱちぱちぱち〜!」


 女性として極上か…ソレは素直に喜ぶべきなだろうが…

 「何もしていないのに完全KOしてしまうのは如何なんだろうな?」

 「え〜と…私達の魅力と色気が凄かったってことにしておこうか?」


 そう言う事にしておこう。
 …浴衣の購入時は大丈夫だろうな?



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 デパートの9階のレストラン街で昼食を済ませて午後は浴衣の購入か。
 美由希が選んだイタリアンレストランは中々に美味だったが、桃子には及ばないな。

 海鳴で人気上位の店との事だから桃子が凄すぎるんだろうが。


 さて、浴衣売り場は水着売り場と違って大人用と子供用が極めて近い場所で売っている。
 なので全員で見ているのだが…

 「矢張り目移りするな…」

 いかんせん種類が豊富すぎる。


 「お、この水色丈が短くて動きやすそう。うん、僕は此れにする!」

 「ミニスカートタイプだね。冥沙はこんなの如何かな?」

 「む、袖なしタイプか。う〜む、悪くないが此方の笹をあしらったのも味がある…迷うのう。」

 「ナノハ、此れは如何でしょう?星をあしらったデザインの色違いです。」


 なのは達も簡単には決められないか。
 美由希は如何する?


 「私はこの若草色のシンプルなやつかな。」

 「確かに落ち着いたデザインは美由希に似合うな。」

 さて、私は如何するか…ん?
 此れは…

 「黒地に三日月の模様…」

 まるで夜天に浮かぶ月……悪くない、否むしろ…


 「ルナ、それにするの?」

 「あぁ、凄く惹かれたんだ。この月の模様…お前が付けてくれた『ルナ』の名にピッタリだと思ってな。」

 「うん、そうかも。」


 此れもまた運命の出会い、か。
 あつらえたようなデザインだ、着るのが楽しみだな。

 さてと店員を、すまないが…


 「はい、只今…あ、貴女方はぁ!!」

 「お前は…!」

 午前中に水着売り場で鼻血を致死量レベルで噴出した……無事だったのか…


 「あぁ、神よ…!生まれて初めて心の底からあなたに感謝いたします!」


 い、祈り始めた!?
 いや、その、清算をお願いしたいのだが…


 「この1日の間に、まさかこのような女神達と2度も会うことができるなど何という奇跡!私はぁぁ…ぐほぁ!!」

 「ま、また鼻血噴出したの!」

 「おぉ…凄いぞ店員…。」

 「と言うかこやつの血液量はどうなっている?明らかに生成能力を超えている気がするが…

 「冥沙…ソレは聞いてはいけません。」


 まぁ、また復活するだろう…多分、きっと。

 「一応救急車を呼んだ方が良いか?」

 「う〜ん…多分大丈夫だと思う。それにほらなんか幸せそうだし?」

 「…それもそうか。」

 なら他の店員に清算を頼むとしよう。







 少しばかりハプニングがあったが良い買い物が出来た。
 偶にはこう言う日もあって良いな。

 お前達と出かけるのはとても楽しい。


 ソレに今日買ったものも…ふふ、海や夏祭りが待ち遠しいな。












  To Be Continued…