Side:雷華
最近の僕は休みの日には、殆どこの『海鳴大学病院』に来てる。
目的はぷれしあのお見舞い。
ナノハ達も一緒に来れる時は来るんだけど、翠屋のおてつだいが有るから何時もは無理。
まぁ、仕方ないよね。
「あら、雷華ちゃん今日も?」
「こんにちは、石田せんせー!ぷれしあは元気?」
「えぇ、健康状態には問題ないわ。リハビリも頑張ってるみたい。」
「そっか♪」
良く来る『青い髪の女の子』って、僕も有名みたいだね。
この『石田せんせー』ともすっかり仲良しだし。流石は僕、えっへん!
でも、問題無しならよかった。
僕はへいとじゃないけど、それでもぷれしあには元気になってほしいもんね。
「来たよ、ぷれしあ〜!」
「あら、いらっしゃい。」
うん、元気そうだ!
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福25
『雷刃のGood Day!』
っと…病院ではおっきな声は出しちゃダメだった!
気をつけなきゃ。
「此処は個室だからそれほど問題ではないわ。まぁ、出さないにこした事は無いけれどね。」
「うん、気をつける。」
人の迷惑になる事はしちゃいけませんてモモコも言ってたからな。
ところで元気?身体動く?
「少しずつだけれど回復しているわ。此れなら夏本番までには車椅子を卒業できるかもしれないわね。」
「お〜!凄いぞぷれしあ!」
『ふだんのどりょく』って奴だな!
でも無理はダメだぞ?無理して怪我したらへいとが悲しむからな?
「ふふ、分ってるわ。あの子と親子として過ごすためにも無理せず完全回復を目指さないと。」
「頑張れ!っと…忘れるとこだった。ハイ此れ。」
翠屋からの『お見舞い」と、へいとからのビデオレターの最新版。
へいとはナノハとは別に、ぷれしあにもビデオ送ってくるからちゃんと届けなきゃ。
「何時もありがとうね。翠屋の人達にも何れ直接お礼を言いに行かないとね。」
「『元気になったら何時でも来てください』って。モモコとシローからのれんこん。」
「…『伝言』かしら?」
そうそれ。
「なら、尚の事、完全復調させなくてはね。それと、此れをお願いしてもいいかしら?」
「へいとへの返事だな?だいじょーぶ、僕にお任せあれ!」
へいとだってぷれしあからのお手紙は楽しみにしてるはずだもん。
くろのが優先的に、ぷれしあからの手紙はへいとに届けてるって言ってたし。
「そう…本当に、色々な人達に感謝だわ。………ふぅ。」
「どした?」
「いえ、少しね……考えても仕方ないけれど時々思うのよ。あの子――アリシアは私を恨んでないかしら?ってね。」
え?何で何で!?
何でそんな事考えるんだよ〜!?
「結局、私が騙されなければあの子は死ぬ事は無かったわ。
それに仕事が忙しい事を理由に禄に構ってあげる事も出来なかった…後悔かしらね?」
「う〜〜…でもありしあはきっとぷれしあの事を恨んでなんて居ないと思う。
だって、ありしあが死んじゃって頭がおかしくなっちゃうくらい大切だったんだろ〜?
そんなに大切に思われてたんだから、恨むなんてありえない!僕が保障する、ちり紙つきだ!」
「『折り紙つき』ね?」
そうとも言う!
「それに、ありしあの時は出来なかった事は、今度はへいとにしてあげればいーんだよ。
ぷれしあがちゃんとへいとのおかーさんやれないと、そっちの方がありしあは怒ると思う。」
うん、良いこと言った!
凄く良いこと言ったぞ僕!
「そう、ね。フェイトの母親として……ふふ、頑張らなくてはね。」
「うん、頑張れ!」
さてと、そろそろ帰ろうかな。
渡すものは渡したし、ぷれしあの元気も確認できたし。
それにあんまり長居するのもよくないもんね。
「じゃあ僕は此れで帰る!又来るぞぷれしあ〜!」
「えぇ、楽しみにしているわ。」
――――――
Side:プレシア
不思議なものね…今こうして生きているというのも。
16年前のあの日から止まってしまった私の時間が動き出しているのを実感できるわ。
「フェイトの母として…ね。」
其れこそが私のすべき事。
あの子はとても辛い思いをしてきたのだから――ふふ、思い切り甘えさせて、我侭をさせてあげないとね。
「それにしても…」
この病院に通院している車椅子の女の子。
何度か見たことがあるけれど、あの子が持っているアレは間違いなく…
「第一級封印指定ロストロギア――闇の書…」
見たところ起動はしていないようだし、管理局の監視も無いようだけれど…
「無視はできないわね…」
あの子が邪悪な意思で書の完成を望むことは無いとは思うけれど、あの子自身が危険にさらされていることに変わりは無い。
一度、直接話をしてみようかしら…?
「プレシアさん、時間ですよ?」
あら?もうそんな時間?
「えぇ、分ったわ。宜しくね?」
「はい、頑張りましょう。」
いずれにしても、先ずはこの身体を元に戻さなくてはね。
楽ではないけれど、リハビリを頑張りましょうか。
――――――
Side:雷華
ぷれしあが元気そうで良かった〜。
りはびりも頑張ってるみたいだし、これならへいとが戻ってくるまでには完全復活だ!
取り合えず、ぷれしあからへいとへのお手紙はあとでナノハのと一緒に送るとして…
「適当にお散歩でもしようかな?良い天気だし。」
王様も天気が良いとお散歩してるしね。
よし、そうと決まればジュースでも買ってお散歩にれっつご〜だ!
たしか入り口のところに自動販売機が有った筈!
ん?
石田せんせー?
それから…
「小鴉ちん?」
こんなとこで何してんだろ?
あれ?小鴉ちんて魔法使わないと立つ事もできないんだっけか?
闇の書は起動してないのかな?
僕に酷い事しようとした緑のおばさんもムッツリ狼も居ないぞ〜?
ま、どうなろうともナノハもへいとも僕が護る。
蒐集なんてさせないもんね!
――ガシャガシャガシャ!
「あれ、3本も出てきたぞ?」
故障かな、僕は3本も要らないぞ?
って言うか『飲み過ぎちゃいけません』てモモコから言われてるし。
う〜ん……そうだ!!
「石田せんせー!」
「あら、雷華ちゃん。お見舞いは終わったの?」
「うん!で、ジュース買ったら3本も出てきたから1本あげる。」
「あらあら…ありがとう。故障かな?後で業者に連絡しないとね…」」
それが良いと思う。
で、
「はい、君にも。」
「へ?」
「僕1本で良いし。あ、それともジュース嫌い?」
「いや、嫌いやあらへんけど…」
だったら良いじゃん♪
僕からのぷれぜんとだ。
「何のやねん?ん、でもまぁ、それならありがたく貰っておこかな。」
「うん、遠慮は要らない!」
どうせ、1本分しかお金払ってないし。
うん、なんか得した気分!
「じゃ、僕はこれで。バイバイ石田せんせー。」
「はい、またね。」
「ジュースご馳走様。機会があればまたな?」
うん!
小鴉ちんもまったね〜〜!
さぁて、楽しくお散歩しようか♪
――――――
Side:車椅子の少女
行ってもうた。
てか『小鴉ちん』て、あの子もしかして王様の知り合いかなんかかなぁ?
石田先生、あの子のこと知ってはるんですか?
「高町雷華ちゃん。翠屋って喫茶店のところの子。良くお見舞いに来るのよ。」
「知り合いが入院してはるんですか?」
「ん〜〜〜、詳しくは言えないけどね。」
まぁ、患者の個人情報やから仕方ないか。
せやけど翠屋て、やっぱし王様の知り合い…いんや『姉妹』かなぁ?――似てへんけど。
――ギシ…
ん?今本が…動いたような?
「如何したの?」
「いえ、何でも…」
気のせいやな。
幾らケッタイな本言うても、勝手に動く事なんて無いやろうからね。
多分な。
To Be Continued… 