Side:リインフォース


 「ディバインシューター…シュート!」
 「Divine Shooter.」

 「来たな〜!電刃衝!


 テスタロッサとアルフがこっちに現われてから数日、矢張りあの日はすずかの家でジュエルシードを巡っての戦いが有ったらしい。

 雷華から聞いた話では『優勢勝ち』だったようだが、なのはが納得出来る筈も無く、翌日から魔法やら何やらの特訓を始めたんだが…

 「改めて凄いな…」
 「えぇ、本当に。」

 始めてからホンの数日なのに、荒削りとは言え略完全に誘導弾をマスターするとは…
 成長速度の速さは勿論として、真に凄いのは持って生まれた魔力と空間認識能力の高さだな。
 特に空間認識能力の高さは『レアスキル』と称しても良いんじゃないか?

 「うむ、ナノハの能力には驚かされてばかりよ。誘導弾が雷華を完全に捕える日も遠くは無いな。」

 そうだな。
 しかし、こうして見るとなのははまるで『魔導師になる為に生まれてきた』様な存在だな。


 …まさかありえないな、何を考えているんだ私は。


 バスター!
 「Divine Buster.」

 光翼連斬…だぶるすら〜っしゅ!


 …さて、そろそろ止めるか。











  魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福11
 『温泉、ソレは極楽(パラダイス)










 「そこまで、そろそろ時間だ。」

 「あ、もう終わり?」
 「え〜〜もうちょっとやらせてよクロハネ〜!」

 「…今日は月村家とアリサと一緒に温泉に行く日だろう?そろそろ出かける準備をしないと間に合わない。
  それに、これ以上お前達が戦うと模擬戦が本気バトルになって道場が吹っ飛びそうだ。今も本気になりかけてたしな。

 「「う…ι」」

 やっぱり本気になりかけてたか…止めて正解だったな。
 「ほら、取り合えずシャワー浴びて汗を流して来い。それから出かける準備をしよう。」

 「「は〜い。」」
 「我もそうするとするか。」
 「では私も。」

 長くならないようにな。

 さて、軽く道場の掃除をして私も準備を……とは言っても着替えるだけだけが。
 …一応ユーノ用の『ペットキャリー』を用意しておくか。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 で、あっという間に時が過ぎて温泉に到着。
 独特の匂いがするな、此れが温泉特有の匂いか。

 「硫黄泉じゃないから其処まできつくないでしょ?」

 「そうだな。…ところでなのは達は何処に行ったんだ?」
 旅館に到着して荷物を運んでから姿が見えないんだが?

 「すずかちゃん達とちょっと出かけて来るって。ソレよりも、早速温泉入らない?」

 「良いな。温泉は初めてだから楽しみn「ミユキ〜、クロハネ!温泉入ろう〜〜!!」ら、雷華?」

 なのは達と出かけたんじゃなかったのか?

 「ん〜…王様と星奈んはナノハ達と一緒に出かけちゃったけど、僕は温泉に入りたかったから残った!」

 …そう言えば雷華は風呂が大好きだったな…となれば温泉の方に魅かれるのは当然か?

 「良いよ〜。雷華も一緒に入ろう。背中流しっこしようか?」
 「うん!」

 本当の姉妹のようだな。

 「でも、長女はリインね♪」
 「そ〜だ、長女はクロハネだ〜♪」

 …好きにしてくれ。
 今までは兎も角、正式に高町家の養子になって、戸籍上は私が『長女』扱いらしいからな…

 はぁ…普通は養子として迎えたのは『妹』扱いじゃないのか?
 尤も『姉』と呼ばれる事自体は悪い気分じゃないけどな。

 「なら良いじゃない♪行こうリイン姉さん。」

 「だな。行くとするか。雷華は浸かりすぎて逆上せないようにな?」

 「むむ、幾ら僕でも何度も同じ失敗はしないぞ〜!」

 ふふ、まぁこう言うのも悪くは無いな。








 ――――――








 Side:なのは


 ん〜〜!毎年来てるけど、やっぱり此処は空気が違うの。
 温泉も良いけど先ずは外の空気を感じないと。

 「ま、確かに空気は市街地とは違うわよね。」
 「雷華ちゃんは如何したの?」

 あ〜…雷華は『温泉に入りたい!』ってルナとお姉ちゃんのとこに行っちゃった。

 「雷華はお風呂が大好きですから、この温泉は魅力的でしょうね。」
 「まったく、だからと言って今入る事は無かろうが。」

 「にゃはは…でも雷華の気持ちも分かるの。私も始めてきたときはそうだったから。」



 「あ〜!アンタ等…まったく、この前は随分やってくれたね?」

 !!この声…この前の犬耳のお姉さん!?

 アタシは狼だ!!

 犬じゃなかったの!?何で此処に…

 「ちょっとなのは、誰よこの人?行き成り失礼じゃない?」

 アリサちゃん…いや、その気持ちは分かるけど、
 「この前すずかちゃんの家で発動したジュエルシードを封印しに行った時に出てきた人なの。
  あの時は雷華が倒したって言ってけど……一体なんですか?」

 「いんや、偶然見かけたからね?一応挨拶をね。この前は負けたけど次h「アルフどうかした?」…フェイト、ほらこの前の!」

 !!!!
 「貴女は!!」


 「あ、君は…」

 金色の女の子…どうして貴女達が此処に?

 「…此処にジュエルシードが有るかもしれないから。ソレを手に入れるために来た。」

 そうなんだ…
 「ジュエルシードが?だったら私達もソレを回収するよ。」

 絶対に集めきるから!

 「…君も大切な目的が有るんだね?でも私も退けないんだ。だからもし次に会ったら…貴女を倒す。」
 「ソレは私も同じ!次は負けないの!」

 負けられない…負けたくない!!

 「ふん、我等の前に立ち塞がるか塵芥共。良かろう、もしジュエルシードが発動した場で会ったならば相手をしてやろう。」
 「ナノハには私達が付いている事をお忘れなきよう…」


 「言うじゃないさ。けど……調子に乗ってると『ガブッ』っと行っちゃうからね?」

 !!それでも負けません!!

 「どんな手を使ってでもジュエルシードは私が集める。君が持ってる分も何れ貰いに行くから…」

 「ちょっと!勝手言ってんじゃないわよ!」
 「その、横槍はダメだよ?」

 アリサちゃん、すずかちゃん…うん、でも大丈夫。

 「良いよそれで。でも、1つだけ聞いて良いかな?」

 「…なに?」

 「貴女の名前を教えて?」

 「名前…?」

 「そう、名前。私は高町なのは。貴女は?」

 「………フェイト。フェイト・テスタロッサ。」


 フェイトちゃんか…


 「じゃあ、行くから。アルフが偶然貴女達を見つけただけだし。」

 うん、またね……………行っちゃった。


 「ったくなんなのよあいつ等!なのは、絶対に負けんじゃないわよ!

 「うん、分かってる。大丈夫だよアリサちゃん!」

 負けられないし、負けたくないんだ。


 でも、それ以上に、出来るなら友達になりたいな…








 ――――――








 Side:リインフォース


 「…成程、此処に来ていたのか。」
 「うん。ジュエルシードは渡さないし、何れ私達が持ってるのも貰いに来るって。」

 夜、夕食を食べ終えて今度は皆で温泉に入っている。

 なのはとの会話の内容は昼間――私が雷華、美由希と温泉に入っていたときの事だ。
 街中でテスタロッサと会ったらしい。(なのはにテスタロッサの詳細は伝えてない。)

 彼女が此処に来たと言う事は、十中八九ジュエルシードが此処に有るのだろう。
 如何したものかと正直悩むな…

 幾ら急成長してるとは言え、今のなのはがテスタロッサに勝つ事は『まだ』無理だ。
 良くて前回同様の相打ちと言ったところか。

 だからと言ってなのはとテスタロッサを戦わせない訳にも行かないと言う…う〜む、仕方ない。
 「なのは、ジュエルシードが発動したら出るつもりか?」

 「うん、勿論。」

 まぁそうだろうな。
 だが、此処は止めさせてもらうぞ?
 「…悪いが此処で発動した場合は、全部私に任せてくれないか?」

 え〜〜!なんでなんで!?

 「ふぅ…お前、最近の特訓で筋肉痛になってるんじゃないのか?」

 「!!」

 …図星か。
 今朝の鍛錬で少し動きがおかしいとは思ったが、当たりか。

 「そんな状態で出ても良い結果にはならないぞ?この温泉は筋肉疲労にも効くらしいから今はゆっくり休んでおけ。」

 「で、でも!」

 「リインの言うとおりよなのは。」

 美由希か。

 「お姉ちゃん!?」

 「頑張るのは良いけど、根の詰めすぎはダメ。休むべき時は休まないと特訓の効果も大して上がらないよ?
  大体『鍛錬はやった分だけ身になる!休むなんてもってのほかだ!!』ってのは恭ちゃんの自論だからなのはには当て嵌まらないと思うなぁ?」

 …なのはの無茶するスポ根気質は恭也(あのシスコン)が原因か!

 「で、でも!」

 「…なのは、私に任せるのは不安か?」
 少しズルイ言い方だが、こうでもしないとなのはは退きそうにない。

 「そ、そんな事無いよ!ルナなら大丈夫だと思うの!」
 「なら、任せてくれないか?……それに無理をしてお前が傷付くのは嫌なんだ。」

 此れは本心だ。
 なのはには傷付いて欲しくない……肉体的にも精神的にもな。

 「ルナ…うん、分かった。此処で発動したジュエルシードに関する一切はルナに一任するよ。お願いね?」

 勿論だ。
 っと、あと雷華達も休ませてやってくれ、模擬戦の相手やなにやらで疲れているだろうからな。

 「うん。それは私から言うよ。」
 「頼む。」

 そのままなのはは雷華達の方に………ふぅ…何とか上手く行った。
 感謝するぞ美由希?

 「なのは頑張りすぎるからね。其処が良いところでもあるんだけど、やっぱり無茶は見逃せないから。」

 確かに、見逃せるものではないからな。
 まぁ『負けたくないから』と無茶をするのも、なのはらしいとは思うが。

 「でも其れはリインもだよ?無茶だけはしないでね?」

 「あぁ、分かっている。」
 尤も『今の』テスタロッサとアルフの2人相手に負ける気は全く無い。


 此処に有るジュエルシード…出来るなら2つ以上が略同時に発動すると好ましいんだが、全ては運次第だな。








 ――――――








 Side:フェイト


 「一気に2つとは随分気前が良いじゃないか!何としてもあいつらよりも早く手に入れないとね!」

 そうだね。



 ジュエルシードの発動を感じ取ってアルフとリニスと一緒に夜空を翔ける。

 きっと昼間に会ったこの間の白い魔導師の子も来てる筈。
 絶対にこの2つは手に入れなきゃ!

 「…!?2つの反応が1箇所に?…しかも、此処から近い!」

 「リニス?」
 如何言う事?
 2つのジュエルシードを持った誰かが近くに居る…?



 「…意外と時間が掛かったな。夜は苦手なのか?」


 !!!
 誰?何処に居るの?


 「変な事を聞くな?目の前に居るじゃないか。」

 「!!貴女は…!?」


 突然聞こえた声。
 言われるがまま目の前を見る。

 「え…?」

 思わず目を奪われた。

 6枚の黒い翼に、夜空に同化してしまいそうな黒に身を包んだ女性。
 唯一、月の光を浴びた長い銀髪だけが夜空に溶けずに輝いてるその姿はまるで『月の女神』…


 夜空に舞う黒い羽が私に降り注ぐ……貴女は一体…?


 「さぁ誰だろうな?…時に探し物は此れかな?」

 「!!!」
 その人の右手には目的のもの…2つのジュエルシードが握られていた…

 まかさ私達が動くよりも早く2つのジュエルシードを封印したの?
 だとしたら相当の実力者…!


 でも、退く訳には行かない。
 2つのジュエルシード…必ず手に入れてみせる!!














  To Be Continued…