Side:はやて
うおりゃぁぁぁぁぁ!道を開けんかいガジェット共!夜天の冥王のお通りや!!頭が高い、控えおろう〜〜〜!!
「バルムンク………10連発や!!!」
――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
更に追撃の……クラウソラス!!!
――ドッガァァァァァン!!!
よっしゃ、道が開けた!!一気にゆりかご突入や!!
「はやて!?」
「八神総司令、何故ここに!?」
「此処にこなアカン思たんや……動力炉の破壊の方はドナイな感じや?」
「結構堅いけど、アタシとクイントなら問題ねぇ。
1発でダメなら10発、10発でダメなら100発、100発でダメなら1000発打ん殴ってぶっ壊すだけだぜ!!」
「時折ガジェットが現れますが、そちらも対処できるので問題はありません。」
みたいやな?………時に、なのはちゃんは3つの通路の内どこを通って行ったんや?私はなのはちゃんの所に行かなアカンのやけど…
「なのはなら向かって左側の通路に入ってった……行くんだろ、はやて?」
「行かなアカンからね……此れは私となのはちゃんの運命みたいなもんやから、この手で決着を付けなアカンのや…」
「そっか……なら何も言わね〜!だけど、アイツと一緒に絶対帰って来いよ?其れだけは約束だぜ?」
うん、約束や!ありがとうヴィータ……ほな行ってくる!
待っててやなのはちゃん、直ぐに行くからな?なのはちゃんだけにはやらせへん……私等でお父さんの事、眠らせてあげような!
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福109
『剣士と祝福と聖王と冥王』
Side:美由希
随分な距離を進んだわよね……そろそろ玉座に着いて良い頃だけど……ん?あの扉かな……って!
「此れは突っ込み待ちなの?てかボケか本気かの判断が付きかねるんだけど…」
巨大な扉に掛けられた『聖王の玉座』のルームプレート……若しかして馬鹿にされてる?それ以前に喧嘩売ってる?実は考えなしの馬鹿の所業!?
一気に力が抜けた気がするわ……でも、多分此処が玉座なのは間違いないでしょうね――他に枝分かれした道も見当たらないし。
なによりもなのはが『玉座はこっち』って言いきった以上、其れは絶対だわ――オリヴィエの記憶を略完全に受け継いでいるらしいからね。
「この先にヴィヴィオが……」
ヴィヴィオがオリヴィエのクローンだと言うなら、間違いなくこの扉の先に居る……絶対に居るわ…ヴィヴィオの気配を感じるモノ。
待っててねヴィヴィオ、直ぐにママが助けてあげるから!
――ギィ…
扉を開けると……居た!部屋の奥の大きな椅子……玉座に腰掛けてるヴィヴィオが!
ヴィヴィオ!聞こえる?助けに来たよ!!
「ふえ……ママ?」
「うん……ママだよ……貴女を助けに来たよヴィヴィオ……」
今そこから解放してあげるから待っててね?そんな玉座なんて、一刀のもとに斬り捨ててあげるから。
「駄目……逃げてママ!……此れは罠……ママを誘き出して殺すための罠……だから逃げてぇぇ!!!」
「ヴィヴィオ!?」
罠って……確かに私を誘き出すための罠って言うのは分かるけど、どんな罠だろうと私には通じないから大丈夫だよ?ほら、落ち着いて……ね?
「違う……違うの!そうじゃないの……この罠は……違うの…!!」
違うって……如何言う事なの?
教えてヴィヴィオ!一体何がどう違うの?
貴女がゆりかごの鍵であると同時に、私達をゆりかご内に誘き寄せるための人質だって言う事は重々理解して居るわ……其れを知った上で来たのよ?
なのに何で……一体何があるって言うの?
『其れは私がお答えしましょうかね〜〜〜〜』
「!!」
この声は……まさかクアットロ!?如何して貴女が…!!
『クアットロ〜〜?……あ〜〜〜、私をベースにして作られた戦闘機人の4番ちゃんの事かしら?
そこまで似てる?そんな事は如何でも良いんですけどね〜〜〜……まぁ其れは其れとして、貴女の疑問に答えてあげるわ剣士さん。
まず、その子を玉座に固定してる拘束ベルトは此方でパスワードを入れない限り解除できない…下手に引き千切ろうとしたらBomよ。』
爆発!!……そんな事が起きたらヴィヴィオの両手足は吹っ飛んでしまうわ……!
この……ヴィヴィオを解放しなさい!ゆりかごは起動したんだから、これ以上ヴィヴィオを拘束する理由は無いでしょう!?
『残念〜〜〜♪其れがそうも行かないのよねぇ?
聖王陛下はゆりかごを起動するための鍵であると同時に、ゆりかごの玉座の守護者でもあるのよぉ?
だから返す訳にはいかない……って言いたいんだけどぉ、聖王陛下の拘束は今解いてあげるわよぉ……貴女を殺させるためにね。』
「!!ヴィヴィオに私を殺させるですって!?」
『聖王陛下はゆりかご起動の鍵であると同時に、ゆりかごの守護者……あらゆる外敵を排除する――例えそれが嘗て友であった者であってもねぇ。
うふふふふ……さぁ、御目覚めの時間ですよ聖王陛下?ゆりかご内に侵入して来た薄汚い賊を始末いたしませんとねぇ?』
――ヴォン……
アレは……レリック!!まさかアレをヴィヴィオに!!……そんな事させるもんですか!!
ヴィヴィオの拘束は解けなくても、レリックを破壊する事は出来る――そんな危険物は斬り捨てさせて貰うわ!
『あはははは!!無理無理無理〜〜〜!このレリックは特別な処置を施して対象との融合が完了するまで物理的にも魔法的にも破壊は出来ない。
諦めて聖王陛下覚醒の時を待ちなさい?そして、愛する娘と精々殺し合うと良いわ!!あははははははははは!!!!』
――バリィィィィィ!!!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ヴィヴィオ!!!」
トンでもない外道が待ち受けていたモノね……ヴィヴィオと殺し合いなんて冗談じゃないわ。
だけど、ヴィヴィオを助け出すには戦うしかない……覚悟、決めないとね…
――シュゥゥゥ……
「ママ……」
レリックと融合完了か……大人の姿になって、まるで聖王状態のなのはそのものだわ……力も物凄く強くなってる――私の数倍はあるわね。
真面に戦ったら勝つ確率は物凄く低いだろうけど――力だけじゃ決まらないわよ?
「お願い……逃げてママ…!
身体が言う事を聞かないの……此処に入り込んだ敵を排除しろって……このままじゃ、私はママを殺しちゃう……だから逃げてぇ!!」
「逃げないよ……玉座の入り口は閉じられてるしね。
何より、此処で逃げたら貴女を助ける事は出来ない……ヴィヴィオを見捨てて自分だけ逃げるなんて真っ平ごめんだわ。」
それに、そう簡単にはやられないから安心して……どんな手を使っても貴女を助ける――その為に来たんだから。
だから、おいでヴィヴィオ……貴女の恐怖も、制御できない身体の破壊衝動も全部受け止めてあげるから!大丈夫、私を信じて?
「ママ……うん…ごめんなさい……絶対に死なないでね?」
「勿論よ……小太刀二刀御神流、高町美由希――推して参る!!」
――瞬……ガキィィン!!!
く……重いけど……聖王状態のなのはと比べればまだ弱い……とは言っても長期戦は禁物ね。
出来るだけ早くヴィヴィオの身体のコントロールを奪ってる、さっきの外道を見つけ出して始末しないと……!
――――――
Side:ルナ
この感じ……聖王だがなのはじゃないな?攫われたあの子か……と言う事は美由希は玉座に着いたと言う事だろうな。
恐らくは戦闘状態になってるだろうが、美由希の『巧さ』ならやられる事はないだろう――どの道、あっちは美由希に任せるしかないんだが。
「で、今度はお前が私の相手か?」
「ん〜〜?別にそう言う訳じゃないよ?アタシは此処で待機を言い渡されただけだし……つか、アンタ水要る?凄い見た目になってるよ?」
「だろうな、散々ぱら出て来た奴を斬り殺して来たからな……まぁ、殆どがアグナスとやらの手下だったが……」
「あぁ…あの顎助の相手した訳かこっちのルートだと……ぶち殺した?」
無論だ……って、お前はそんな事を悠長に聞いていて良いのか?
お前からしたら、私はゆりかごに侵入してきた敵だろう?排除するなりなんなりしなくても良いのかな?
「べっつに〜〜?
てかアタシはアタシの能力が使える場があればそれで良かっただけだし、陛下の誘拐だってアタシの能力が使えるからやっただけだもん。
最大限ぶっちゃけて言うと、アタシはあの婆の手駒にはなってないんだよね〜〜?
アイツがアタシの能力強化以外の何かをしようとしてるのは分かったから、能力強化された隙にディープダイバーで離脱したんだよ。
あぁ、勿論身代りにアタシによく似た人造魔導師を置いて来たけどね〜〜……まぁ、アイツ等は元々意思なんてあって無いようなモンだし。
つーかさ、こんなの全然楽しくないよ……誘拐だってアタシの能力は最大限に生かせたけど……なんつーかやった後は気分悪かった。
アンタとメガネの攻撃すら避けて離脱出来たけど……陛下はずっと泣いてたんだよね……だから楽しくなくなった。何でか分からないけど。」
コイツは……まさか、そんな事を思っていたとは意外だ。
ヴィヴィオをまんまと捕まえた時のお前は、実に『してやったり』と言う感じで楽しそうだったからな……だが、其れならどうする?
「ん?決まってんじゃん、あの婆をぶち殺しに行く。
……どうせアタシの事も、トーレやセッテと同様に手駒に出来たと思ってんだろうから、精々驚かせてやる心算。
実を言うとさ、突入した誰かが此処に来るのを待ってたんだよねアタシは……どうせならそいつと一緒に行った方がインパクトあると思うしね〜?」
「確かにインパクトはあるだろうな。」
成程…コイツは単純に善悪の判断が付いていないだけだったのか――子供と同じだな。
自分が楽しい事をやりたいが、やった時は楽しくても自分以外も楽しくないと気分が悪い……ヴィヴィオが泣いて居るのは良い気分じゃなかったか。
良いだろう……だが、婆とはキスティの事だと思うが、アイツはゆりかごには居ないだろう?
別の場所…最高評議会の本部とやらに居るんじゃないのか?
「そっちに居るのはアイツのコピー。
向こうに居るとやられる危険があるけど、こっちなら安全だからって向こうには自分のコピー置いてやがんの……せこいよね?」
「せこいと言うか呆れるしかないよ……あくまで保身が最優先とはアイツらしいがな。」
だが、其れなら其れで都合が良いか。
例え完全なコピーが向こうに居るとしてもフェイトなら負ける事は先ず無いし、雷華とサイファーも一緒に居るから大丈夫だろう。
こっちに居る本物には私が引導を渡してやるさ――10年前は桃子との約束も有ったから生かしておいたが、今度はそうは行かん。
大人しく刑に服しているなら兎も角、評議会の誘いに乗って再び外道に堕ちた奴には反省や更生など望むべくもない――10年越しの後始末だ。
「では一緒に行こうか?……お前、名前は?」
「セイン。『6番目』って意味らしいけど、何か響きが良いから気に入ってるんだよね〜〜♪アンタは?」
「高町リインフォース・ルナ。ルナで良い。」
「ルナか〜〜〜〜……で最初の質問だけど、水要る?」
後で貰う……返り血だらけのこの姿の方が、インパクトがあるだろう?――其れに、また血を浴びる事になりそうだしな。
「うげ……失敗した実験体じゃんコイツ……あ〜〜〜…アタシの離反は予想してた?それともルナを始末するための刺客か?」
「どっちでもいいさ……コイツを倒さねば進めないと言うなら、斬り捨てて撃ち抜いて行くだけだ。」
一歩間違えば私となのはも、サイファーも同じになっていたかもしれない故に同情はするが、それとこれとは別問題でな。
せめて苦しまぬように、終わらせてやる……そしてお前の無念も奴に届けてやるさ――行くぞ!!
――――――
Side:なのは
ヴィヴィオちゃん……聖王の力に覚醒したんだね――私よりは弱いけど、其れでも並の魔導師よりはずっと強い。
だけど、相手がお姉ちゃんならきっと大丈夫…!!
其れよりも問題は、私の方……
「つ、強すぎるよリオンさん……」
「…………………」
まさか、聖王化して漸く互角だなんて……ルナが倒しきれなかったって言うのも納得かな?
其れに元々がクロスレンジを得意としていただけあって間合いの詰め方が凄く巧い――幾ら距離を離しても直ぐに詰められちゃう。
私だってクロスレンジが出来ない訳じゃないけど、そっちに特化した人には全然敵わないよ……
何とか間合いを離しても、精々誘導弾を撃つのが精一杯じゃ明らかに分が悪すぎるよ――これじゃあバスターすら撃つ事が出来ない。
大体ドラグーンまで展開しての多角射撃を避けてクロスレンジに持ってくるって、ドレだけ凄いのリオンさん!?
こうなったら此処は相討ち覚悟で…!!
「……………」
「クロススマッシャー!!!」
『Crosssmasher.』
――バガァァァァァン!!
巧く行った!カウンターでのクロススマッシャーには流石に対処しきれなかったみたいだね。
この好機を逃す手は無い!一気に畳みかける……ディバインバスターーーーーー!!!!
『Divine Buster.』
「………………」
「!!」
そんな!とっさに体勢を立て直して、バスターを躱した!?これじゃあ、今度はこっちが動けない……!!!
イージスの展開も――だめ、間に合わない!!
「その王手待った〜〜〜〜!クラウソラス!!!」
――ドッゴォォォォォォン!!
!!……この攻撃は………はやてちゃん!!
「危なかったなぁ、なのはちゃん?助けに来たで!
なんぼなのはちゃんかて、お父さんの相手を1人でするのは案外しんどかったみたいやなぁ?」
「相性的に最悪って言うのも有るけど、それ以上にリオンさんは――お父さんは強いよ。
このまま1人で戦ってたら正直に言ってジリ貧確定だったけど、2人なら戦術の幅が広がるからきっと行けると思う。」
「なんや『きっと』なんてなのはちゃんらしくないなぁ?
『きっと』やなくて『絶対に』やろ?此れは私等の使命や……絶対にやり遂げなアカン事――そうやろ?」
そうだね……うん、私とはやてちゃんなら絶対に行けるね。
行こうはやてちゃん、終わりにするんだ――今度こそ本当に!!
To Be Continued… 
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