Side:ルナ
凡そ1000年ぶりか……よもや、もう1度ゆりかごと対峙する事になるとは思わなかったよ――あの時は相討ちだったが、今度はそうは行かないな。
今度は相討ち決着ではダメだ、此れを落とした上で私も生きて戻らねば意味は無い……何よりも私が死んだらなのははきっと悲しむだろうから。
「こんのガジェット共……んもう、もう少し近づきたいってのに邪魔しないでよ!!」
「いや、普通に邪魔すんだろ…敵なんだから。」
「分かってますけど、何て言うか……こう、もっさりまっさり来られると言いたくなりません?
あぁ…こんな事なら事前にシャーリーとマリーさんに頼んで、輸送用ヘリに『ガトリングガン』と『アサルトライフル』を装備してもらうんでした!!」
「え〜と…気持ちは分かるけど少し落ち着いてねアルト?」
うん、少し落ち着いてくれ。
だが、確かにこのガジェットの数ではこれ以上高度を上げてゆりかごに近付く事は不可能だな。
ヘリのスピードを全開にして突っ込んでも、ゆりかごに到着する前にガジェットに阻まれてゲームオーバーとなりかねないか…
となると、此処でヘリを降りてガジェットを撃破しながらゆりかごに突入するより他に方法はないが――勿論行けるよな?
「勿論だよルナ……あんな鉄くずなんて、ウォーミングアップ代わりにもならないよ。」
「まぁ、極論言うなら、進路上の奴だけ倒せばいいんでしょ?……だったら楽勝よ。」
「はっ、めんどくせーのは性に合わねぇ……邪魔しに来る奴は何であろうとぶっ叩いて沈めるだけだ。」
「若いわねぇ……だけど、だからこそ頼りになるわ。――ここから仕掛けましょう、このメンバーならガジェット相手でも無傷でゆりかごに到着できるわ。」
なら決まりだな――アルト、ハッチを解放してくれ。
「了解!!……皆さん、御武運を!!」
あぁ、大丈夫だ……必ず勝って、全員生きて帰還するさ―――――其れじゃあ行くぞ!!
魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福103
『Tracking Tresure Down』
やれやれ、実際外に出てみるとガジェットの数は本当に凄まじいモノだな?
ゆりかご周辺だけで此れならば、一体地上にはドレだけのガジェットが送り込まれているのか……しかも向こうには人造魔導師も来て居る筈だ。
個々の能力ならば、私達の方が上だが、私やなのはは兎も角、六課のフォワード陣や地上部隊の武装隊はスタミナの限界がある。
長引けば長引くだけ此方が不利になるのは明白だ……まぁ、そうなる前に終わらせればいいだけの話だけれどな。
「ルナ、先ずは私とルナの『アレ』で道を確保した方が良いと思うんだけど、如何かな?」
「奇遇だななのは、私も其れを提案しようと思っていたところだ。」
ゆりかご内部での戦闘は如何足掻いても回避できるモノじゃない……なら、出来るだけ魔力や体力は温存しておいた方が良いのは道理だ。
まぁ、アレとて消費の軽い技ではないが、私となのはならば消費魔力はあまり気にならないからな……殆ど魔力無限状態だし。
「なら久しぶりに一発大きいの行こうか?」
「Not so bad Nanoha…Things're really beginning to heat up.Let's rock.」
ラストステージへの突入に相応しく、精々派手に決めようじゃないか――白夜の聖王と月の祝福の全力全壊で弩派手にな。
「異議なし!N&L超広域殲滅コンビネーション!」
「エターナルミ―ティア…!」
『『Blast them.』』
撃ち貫け……!!
――キィィィン……バガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
「10年ぶりに見たけど、相変わらず派手な技だね〜〜……いや、あの時よりも更に派手になって威力も増してるかな?」
「私とルナは、あの頃とは比べ物にならないほど強くなってるんだから、更に派手で高威力になるのは当然だよお姉ちゃん。」
そう言う事さ―――さて、殲滅したが直ぐに第2陣が来るはずだ。面倒な増援が来る前に一気に突入するぞ!!
と言う訳でクイントさん、手を。
「手?」
「ウィングロードを走っていくよりも、私が貴女の手を引いて飛んで行った方が遥かに速い。
其れに、言い方は悪いがウィングロードが如何に便利だろうとも、空を舞う自由さに及ばない事は分かるだろう?…此方の方が速くて確実なんだ。」
「……其れもそうね。それじゃあお願いするわルナさん。」
任せておけ。
だが確り捕まっていろよ?私の本気速度はフェイトのソニックや雷華のスプライトに匹敵するからな?
って、ヴィータ!何でお前までくっついてるんだ?
「いっそのことトランザム発動したお前と、聖王&A.C.S発動したなのはにアタシ等がくっついてった方が速いだろ?
美由希はなのはの方だから、そうなるとアタシは馬力とかがずっと上のお前の方にくっついて行った方が良いって事だ。」
「成程…確かにその通りだな。」
確かに其方の方が更に速いし、なのはも聖王化+A.C.Sのスピードならトランザム状態の私に付いて来る事も出来るからな…ブライト!
『All right.Tran−S・A・M!』
「レイジングハート!!」
『A.C.S Standby,Drive ignition.』
なのはも準備万端か――行くぞ!!
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で、ゆりかご内部に到着と。
途中でガジェットの第2陣が来たが、バリアを纏ってそのまま高速飛行を敢行してたら吹き飛ばしてしまったな――A.C.Sを展開したなのはは言うに及ばずだ。
さてと……前はあくまで戦っただけだから分からなかったが、内部は意外と近代的と言うか未来的な構造になっているんだな。
其れとも此処が動力炉だから近代的な造りになってるだけなのか…
「取り敢えず、一歩間違えれば只の怪しい研究所の内部でしかない見た目ではあるか…」
「私達が住んでるジェイルさんのアジトにも言える事だけどね。」
良いんだよジェイルはアレで――正義のマッドサイエンティストなんだから、居住地が普通じゃないのが普通なんだ。矛盾してるがな。
しかし、突入した先が動力炉と言うのは些か都合が良い気もするが、此れは此れで好都合だから良しとしておくか。
さて、役割分担だが――
「クイントさんとヴィータが動力炉の破壊、美由希はヴィヴィオの奪還――なのはは…」
「うん…『彼』はきっと此処に居るから……今度こそ永久の眠りにね…」
そうか……だが、私の前に現れた時には私がその任を負う、其れ位は容赦して貰うぞ?
「うん…その時はお願い…眠らせてあげて。」
任せておけ。
まぁ、彼が現れた時には相手をするとして、私はゆりかご内に積まれてるガジェットなんかを破壊する。
地下の方からもドンドン出て来るだろうが、ゆりかごからの増援がなくなれば市街地防衛隊の負担は半分になるしな。
「それにしても、此れはまたお約束な展開だね?
突入した先は動力炉で、動力炉破壊以外の任を負った者が3人で、動力炉からの道も3つ……1人1つずつで行き先は不明ってさ…。」
「不明じゃないよ……ゆりかごの内部構造が変わってないなら、真ん中の道がゆりかごの玉座に繋がってる――ヴィヴィオちゃんは其処に居る。」
成程、オリヴィエの記憶からある程度の内部構造は分かる訳か……そうなると真ん中の道は美由希で決まりだが、私達は如何する?
「此処は自分の利き手と同じ方に行こうか?私は向かって左側、ルナは向かって右側の道で。」
「まぁ、異議はないな。」
では、此処は頼むぞヴィータ、クイントさん!必ず動力炉を破壊してくれ。
「おうよ!この鉄槌の騎士にぶっ壊せねぇものなんてねぇ!!」
「任せておいて、インターミドル優勝の肩書は伊達じゃないから……貴女達も気を付けて。」
「「はい!」」
無論だ……!
そして、動力炉で皆と別れて通路を進むこと数分……前方に何やら明かりが見えて来たな。
如何やら先に何か開けた空間があるようだが―――
「……此れは闘技場?……コロシアムか?」
通路が終わった先には確かに開けた空間が存在していたが……此れはまるで古代の闘技場だな。
或は古代ベルカ時代には、此処で兵隊の訓練か、捕虜達同士の殺し合いをさせていたのかもしれないな……この場所には血の匂いが染みついている。
「で……お前が私のダンスパートナーで良いのかな?」
「如何にも。」
「ふぅ……名を聞いても?」
「此れは失礼…レディに対して名を名乗らぬなど無礼千万。My name is……Agnus.」
アグナスか……マッタク持って不満だな――私の相手がお前の様なブ男とはな。
どうせ戦うなら可憐な美女か、端正な美男子の方がやる気も出ると言うモノだ……お前の様な尻顎のブス男では、まるでやる気が起きないな。
「……口の減らないこ、こ、こ、小娘だ!…貴様は、し、し、し、死刑にしてやる!!」
「どんな理屈だ其れは?減らず口を叩いただけで、し。し、し、死刑なのか?」
「な、な、な、舐めるな!!…こ、こ、こ、殺してやるぅ!!!」
――バリィィィ!!
……なんとまぁ、お前は人でなくなった存在だったのか。
若しかして評議会の科学者か?……歪んだ探求心を抑えきれずに、自分自身を実験台にしたのか――歪み切ってるな、正気じゃない。
エクリプスではないようだが、何らかのウィルスか寄生生物を自身に馴染ませたと言うところだろうな。
だが、その姿はお世辞にもカッコいいとは言えないと思うぞ私は?……いや、世の女性ならば9割は受け付けないだろうな生理的に。
「白い蠅人間…」
「蠅ではない!此れは私が研究の末に辿り着いた力!これはそう……天使の力だ!!」
天使…ね、大凡そうは見えないがな。
仮に天使だとしても、お前は魔道に堕ちた堕天使だろうに……まぁ良い、
「相手が誰であろうと、立ち塞がるならば斬り捨てるのみだ。――其れに、天使様と戦える機会など滅多にあるモノではないからな。」
だが、精々覚悟しておけよアグナス?
お前が天使を名乗ると言うならば、私はその対局に居る闇の存在――圧倒的な破壊の力を有した襲撃者……敢えて言おう、私は悪魔だ!
――バチィィィ!!
「!?あ、あ、あ、悪魔だと!!…貴様も姿を!!!」
「姿を変えるのが己の専売特許だと思うなよ?髪と眼の色だけだが、私も自身の力を完全開放することで姿を変える事が出来る。
そして、この状態の私は魔導師ランクで言うなら測定不能のEXランクらしい――ジェイルが言うにはEXSSS++との事だがな。」
さて、始めようか?
私の前に敵として現れたのならば、覚悟は出来ているんだろう?…天使だと言うなら天界に送り返してやる!
――――――
Side:雷華
作戦開始と同時に、僕達はしゃまるの『たびのかがみ』でさいこーひょーぎかいの本拠地に到着〜〜!
なんだけど、何か辛気臭い場所〜〜……びみょ〜〜にかび臭いぞ?
「日の当たらない地下施設じゃカビも発生するって……大凡人の住む環境じゃないと思うんだけどなぁ…」
「最高評議会のトップは肉体を捨て、欲にまみれた脳味噌だ――生活環境など大した問題じゃないんだろうよ。」
む〜〜〜…脳味噌だけだからって日々の快適さを忘れちゃダメだと思うぞ僕は。
大体何で脳味噌だけで生きてるのさ?おかしーじゃん!絶対オカシイ!頭が悪いって評判の僕でもオカシイ事くらい分かるぞ〜〜?
「特殊な処理を施して培養ポッドの中で生きているんだ……悍ましい事だがな。
だが、あのクズが己を新たな評議会のリーダーと名乗ったのを考えると、腐れ脳味噌共はあのクズに殺されている可能性は否定できないけれどな。」
何だよ其れ!!マジでむっかつくな、あのおばさん!!!
元々大っ嫌いだったけど、さいはーの言う事を聞いて、更にアイツの事嫌いになった――見つけたら、へいとと一緒に撃滅してやるもんね〜〜!!
「その意気だよ雷華……只、キスティの所に行く前に準備運動が必要なみたいだけどね。」
「犬や狼をベースに、バイオコントロールをしたんだろうな――マッタク持って虫唾の走る連中だ…」
…マジでムカつくしそいつ等。
…ゴメンね、君達に罪はないけど……だけど君達を元に戻してあげる事は出来ないんだ――だから…ゴメンね。
「バルニフィカス!」
『Yes sir.』
ひっさ〜〜〜つ!雷刃封殺爆滅剣〜〜〜〜!!!
――ドッガァァァァン!!!
君達の無念は、僕が必ずアイツに届けて…叩き込んでやるから!!――だからもう眠ってよ……
――シュゥゥゥ…
「消えたか……」
「雷華、凄いね。」
ん〜〜〜、あのわんこ達を助けたいって思ったら自然とできたんだよね〜〜〜〜…細かい所をどうやったか覚えてないし。
だけどさ、此れで先に進めるよね?
「まぁ、確かに先には進めるな……」
「今の戦闘も私達出番なかったし……雷華の強さの上限がなくなってるのかな?」
むむ、僕の強さの上限なんて存在しないぞ〜〜〜〜?
王様と星奈んが言ってたけど、限界なんて持たない方が良いんだって……だったら僕にも限界は無い!限界超えての全力全壊だ!
「流石はなのはの妹分だな……味方であるならば頼もしいなお前は。」
「限界は存在せずか――確かにその通りだね!……行こう、雷華、サイファー…母さんの名を語った不届き者の粛清に!!」
よっしゃ〜〜〜〜!!制裁上等全力全壊〜〜〜!!
「粛清か…その提案には乗らせてもらうぞ!」
へいととさいはーもやる気十分だな!
だったら僕達に負けはない!誰が来ても返り討ちにして地獄送りだ!!
――――――
Side:なのは
通路を通って辿り着いたのはアースラの模擬戦室みたいな場所――そうだ、古代ベルカの時代には此処で捕虜を選別していたんだ…
オリヴィエの記憶があるから大抵の事は分かるんだけど…
「貴方が出て来たとなると厄介だね…」
私の目の前に居るのは、フードを目深に被った男の人。
そのフードのせいで顔の判別は難しいけど、姿を変えても私には分かる―――久しぶりだね『お父さん』。
「…………」
「答えてすらくれないんだ……少し悲しいかな。」
だけど、先ずは貴方を砕きます!―――それが、私の役目だから!!
To Be Continued… 
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