Side:美由希
もう直ぐ六課本部に到着する……相変わらずガジェット達が鬱陶しいけど、彼方達如きは私達の敵じゃないわよ?
精々くず鉄になって、くず鉄屋さんの収益の足しになると良いわよ。
「それ以前に、なのはとルナが8年間も行方をくらます原因になった貴方達を、私は絶対に許さないから…消え去れ、九頭龍閃!!!」
――バババババババババ!!
一瞬九斬!防御も回避も不能な技じゃあどうしようもないでしょ?
序に、私の技は魔力を殆ど使わないからAMFとやらも意味ないわよ?……尤もAMFキャンセラーのおかげで誰もAMFの影響は受けてないけどね。
「うわ…お姉ちゃん凄い!若しかしてまた腕上げた?」
「そりゃあ、8年の間に鍛錬を怠った事はないからね…それより、さっきのは倒したの?」
「欠片すら残らずな……最期の最期で人としての理性を取り戻して、アイツは逝ったよ…」
人として逝けたなら、ある意味では良かったね……ホントに最高評議会って言うのは人でなしの集団なのね。
そんな連中が六課本部を狙ってるなんて冗談じゃないわ!
直ぐに行くからね…無事で居て、ヴィヴィオ!!
魔法少女リリカルなのは~白夜と月の祝福~ 祝福100
『空より来たる葬送の閃光』
Side:ルナ
六課本部まではもう少し――既に目視できる距離にまで来ている。
如何やらサーク達の転送は間に合ったようだな……最高評議会のガジェット相手に大立ち回りをしている。
まぁ、サーク達と最高評議会のガジェットでは話にもならないか。
尤も問題はガジェットではなく、連中の主力となる人造魔導師と戦闘機人なんだが――まだ此方には其れ等は転送されてきていないのか?
ガジェットだけで十分と思っているのか、それとも別の理由があるのか……何にしても相手方の戦力がガジェットのみならば此れは好機だ。
「面倒な事になる前に一気に叩きのめすぞ。冥沙、一発大きいのを頼めるか?」
「愚問だな…我を誰だと思っているのだ?
我は闇統べる王!太陽が沈まぬ白夜故に生まれる闇を統べる存在ぞ!極大広域魔法など朝飯前よ!」
そうか…其れは実に頼りになる――頼むぞ!!
「任せておけ!紫天に集え我が鼓動!出でよ巨獣…ジャガーノート!!」
――ドドドドドドドド…バガァァァァァァァン!!
…お見事、どうやら広域魔法の腕も大分上げたみたいだな…8年前とはまるで強さが違う。
恐らくは、星奈と雷華とゆうりも相当な成長を遂げているのだろうな…
「ふははははは!無敵、無限、我こそが王よ!!」
「…冥沙、貴女はいい加減ナノハの臣下であるのか王であるのかどちらかに絞った方が良いのでは?」
「そう?だけど、王様が王様じゃなくなったら王様っぽくないよね?」
「え~~と…意味が分からないですよ?」
尤も、中身はあまり変わらないようだが…特に雷華は。
兎に角これで数は大幅に減った、六課本部に突撃して残存戦力と補充戦力を叩けばそれで終わりになる筈だ。
美由希、六課本部と連絡は取れたか?
「駄目。如何やら、あのガジェット達『通信ジャミング』の機能備えてるみたいで、遠隔通信が出来ないようにされてる。
其れが引っ切り無しに現れてるこの状況じゃ、先ず六課本部と連絡はつかないと見た方が良いわね。」
「……確かに通信妨害は有効な手段だとは思うんだけど、其れの搭載の前にガジェットの戦闘性能向上の方が先だと思う私はオカシイのかな星奈?」
「いえ、正常な判断だと思いますよ?まぁ、通信が繋がらなくとも、六課本部にはザフィーラとシャマルが残っていますので大丈夫でしょう。
加えてレジアス中将が、陸の実力派武装隊員の何人かを『万が一』に備えて六課に出向してくれているので戦力的には充分です。」
ならば、ガジェットに加えて人造魔導師が出て来ても問題はないだろうな。
それに、丁度ジェイル製のガジェットも転送されてきたみたいだし……一気に畳みかけよう!!
「ルナ、お姉ちゃん、雷華!最速最大の一撃で斬り込んで!
ルナ達が斬り込んだのを確認したら、星奈と冥沙とゆうりは私と一緒に全力の直射砲を一斉掃射!!!」
「了解だなのは!」
「状況判断は適格ね?任せなさい!」
「よっしゃ~~~!!8年ぶりのナノハからの指令!頑張っちゃうもんね!!!」
「心得ました…この一撃に魂を込めましょう。」
「ふ…ナノハの命を受けた我の前に敵は無いと知れ!」
「紫天の盟主にして白夜の騎士……頑張ります!!」
皆やる気十分だな……覇ぁぁぁぁぁぁぁ!!斬り込め、疾走居合!!!!
「此れに耐えられる?二刀流での…九頭龍閃!!」
「あ~っはっは!お前達なんて纏めて粉砕・玉砕・大喝采だ!喰らえ~~!爆裂閃光一文字切り~~~~!!!」
――ズッバァァァァァァァァァァァァァァ!!!
「吹き飛ばすよ…ハイペリオンスマッシャー!!!」
「焼き尽くせ明星…ディザスターヒート!!」
「闇に滅せよ…アロンダイトォ!!!」
「エターナル…セイバーーーー!!!」
――ドゴォォォン!!!!
よし、此れで相当吹き飛んだし、今の戦力ならば供給を上回る撃滅が出来る筈だ。
兎に角徹底的に、六課本部にガジェット達を近づけないようにするんだ!!
「ふぅん……結構足掻くね、ゴミのくせに…」
「!!……また現れたんだ……此れは何かな、私を本気で怒らせたいのかな最高評議会は…」
六課本部に到着した途端に人造魔導師!!……しかもコイツはなのはのコピーか!――――確かに性格がまるで違うな。
「悪いけど、この世界に高町なのはは1人しかいないんだよ……中身のない劣化コピーにはご退場願おうかな…?」
「はぁ?私がコピーとか、アンタ馬鹿?少しばかり私に似てるからって調子に乗らないでよゴミ屑の分際でさぁ!!!」
――ぶちぃ!!
「……少し頭冷やそうか?」
…なのはがキレたな…其れも盛大に…まぁ無理もないが…
「……役立たずが雁首を揃えてまぁ…纏めて闇に沈めてやるとするか…」
「己の劣化コピーが目の前に堂々と現れると言うのは、極めて腹立たしい事ではあるからな…」
なのはだけじゃなくて私のコピーまでか……ふふふ…本当に最高に最悪だよ最高評議会。
なのはの広域通信を聞いてこの2体を他の人造魔導師と一緒に転送してきたと言うのか?……そんなに私となのはに『自分殺し』をさせたいか!!
良いだろう、お前達の望み通りにしてやろうじゃないか。
生憎と、私もなのはも己以外の『自分』を認める気などさらさらない…保護された、何も知らないクローンと言うならば話は別になるがな。
だが、初めから戦闘用として人格を弄られ、そしてまるでゲーム感覚で人の命を手に掛けようとする奴等、例え自分と同じ姿であろうと容赦はしない。
「待てい…流石に無視は出来んぞ此れは…ルナのコピーは我が滅してくれる!!」
「ナノハのコピーは私が滅しましょう……敬愛する姉を愚弄するその行為…見過ごす事など出来ませんので。」
「冥沙、星奈……でも!!」
「デモもストもないわ!!ふざけた事をしよって塵芥が!!
我の姉を複製したと言うだけでも万死に値するが、何だこやつは……ナノハとルナとは似ても似つかん下郎が!
お前とルナを愚弄したとしか思えんこの愚行…こやつ等の罪は、100万回極刑に処しても足りぬわぁ!!」
此れは、相当に怒っているな……いや、ある意味で私達以上に怒るのは道理なのか?
もし此れが星奈や雷華のクローンが現れていたとしたら――――成程、確かに自分自身のクローンが出て来た以上に腹立たしいな。
ならばその怒りを、残らず発散してくれ2人とも。私達は六課本部の防衛に全力を注ぐ!!
「お任せを……さぁ、来なさい劣化コピー未満。所詮貴女はナノハの複製にもならないと言う事をその身を持って教えて差し上げましょう。」
「…マジでムカつくねアンタも……微妙に私に似てるのが余計に……良いよ、アンタも死んじゃえ!」
「来るが良い塵芥未満!貴様如きがルナの姿を模倣するなど一千万年早いと言う事を我が直々に教えてくれる!!」
「お前が私を?…面白い冗談だ!!」
私となのはの姿をしているとは言え、コピーであるならどんなに高く見積もってもS-~Sが良い所だろう…其れなら冥沙と星奈に負けはないな。
アイツ等はあの2人に任せるとして、私達は私達のすべき事を――六課本部を全力で護らねばな。
「さてと、ガジェットに加えて人造魔導師も出て来たが――行けるかなのは?」
「当然……この程度の相手なら、あと100人くらい増えても全然余裕かな。」
「其れはまた大きく出たな……だが、其れは事実だけれどな!!ディバイン…バスターーーーーーーーー!!」
『Divine Buster.』
さぁ、ガラクタになりたいガジェットと屍になりたい人造魔導師から掛かってくると良い。
此処から先は絶対に通さんぞ…通りたくば、月の祝福と白夜の聖王、白き騎士と剣聖の麗人を倒すんだな!!
――――――
Side:はやて
六課本部の方には王様達に向かって貰ったから大丈夫やろ?多分スカさんも、ある程度の戦力は向こうに送り込んでくれるやろうしね。
まぁ、私としては此処に現れたスカさん製ガジェットに突っ込み入れたいんやけどね……なんでガンダムやねん!!
確かに強そうやし実際最高評議会のガジェットより数段強いけど、普通此れを作るか?
…なのはちゃん曰く『いい人だけど思考パターンは間違いなく永久追放レベルのマッド』言うのは否定する事は出来へんねこれは。
「状況は如何やアインス?ナカジマ姉妹達と連絡は取れたか?」
『まだですはやて…と言うか、通信状況が悪すぎます。
私達くらいの距離ならば影響は有りませんが、遠距離通信は恐らく不可能でしょう…ナカジマ達との通信不能も通信状況の悪さが…』
やっぱり、通信状況は最悪か…なのはちゃんとも通信が繋がらんからね。
しゃーない、ナカジマ家の皆の事はあの子達を信じて通信が繋がるようになるのを待つしかないやろ。
シグナム、ヴィータ、レジアス中将は無事やな?
『問題ありません主はやて。』
『アタシとシグナムが護衛してんだから、大船に乗った心算で居ろって!何が来てもアイゼンでぶっ潰してやらぁ!!』
ふふ、頼もしいなぁ2人とも?流石は烈火の将と紅の鉄騎や。
シグナムとヴィータなら、確かにレジアス中将は心配ないやろね――あの2人の隙をついてレジアス中将を暗殺するのはまず不可能やしな。
こっちの防衛戦力は一切問題ない――その筈なのに…なんや、この胸騒ぎは?
まるで、カリムの予言は現実になる……回避する事など出来ないって言われているような感じは……
いや、そんな事はあらへん……あの予言が現実になるなんて!!そうならないために、私等は此処に居るんやからな!!
――――――
Side:キスティ
くくく…粘るわねアイツ等も…無駄な事なのに。
それにしても、よもや生きていたとはね…10年前に私に屈辱を味わわせてくれたあの忌々しい奴が…リインフォース・ルナとやらが…!
評議会の話を聞いて死んだとばかり思っていたけれど…冷静に考えればお前が簡単に死ぬ筈はないものねえ…?
だからこそ嬉しいわ…此れからお前をこの手で葬る事が出来るのだから…!!
お前は確かに強かったわ…だけどこれには耐えられるかしら?…衛星兵器『メメントモリ』。
まだ試作段階だから、使う事が出来るのはたったの1度の使い捨てだけれど、その威力は絶大――果たしてどこまで抵抗できるか見物だわ。
照準は機動六課本部と地上部隊本部――
「くくく…消えなさいゴミ共!!新たな神として世界に君臨する、この私からの光の裁きを受けてね!!」
――カチ…
――キィィィィィン……ドゴガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
あは、あははははははは!!消えろ!消えろ!!!消え去ってしまえ!!!
この私に盾突き歯向かうモノは塵すら残らず全て!!神の光を受けて、塵すら残らず消えてしまえばいいのよ!あはははははっはははは!!!!
――――――
No Side
其れはあまりにも突然過ぎた――前触れすらなかった。
圧倒的な数を相手に奮闘する、ルナとなのは達、そしてはやて達の頭上から――遥か宇宙から、それは文字通り『突然』降り注いだのだ。
「!!なんだ此れは!!」
「まさか…衛星砲…!!」
『『Protection.』
「空からやと!?…アカン!アインス、ツヴァイ、防御結界最大展開や!!」
『『了解!!』』
その衛星砲撃に対して即座に防御を展開するが、幾ら何でも相手が強大すぎるだろう。
キスティが言うには、この兵器は試作故に1度しか使えない――つまりはこの砲撃さえ防ぎきれば万事OKと言う事だ。
だが、コストを度外視した試作機故に、その攻撃にはリミッターも何も授けられてはいない……つまりは有り得ない程の高出力攻撃と言う事になる。
――ドガァァァァァァァァァァァァァァァン!!
その結果は言うまでもない。
難なくと言う訳ではないが、六課本部も地上本部も、防御を貫かれて衛生砲が直撃してしまった。
まぁ、防御壁を張ったおかげで、全壊や消滅は免れるだろう。
だが……
「馬鹿な…こんな事が……自らの戦力共々とは…!!」
地獄と言う場所が本当に存在しているとするならば、衛星砲撃を受けた六課本部と地上本部は正に地獄そのものだった。
傷つき、倒れる武装隊員――ルナやなのはですら重傷を負っている事を考えると、一般武装隊員には最悪死者も出ているかもしれない。
そしてそれ以上に……略崩壊してしまった六課本部と地上本部が、衛星砲撃の威力のすさまじさを物語っている。
聖王教会の予言騎士、カリム・グラシアの出した1つ目の予言の一節は、現実のものとなった。なってしまったのだ………
To Be Continued… 
|