Side:志雄


ったく、思った以上に面倒な事が起きてるみてぇだなコイツは?
アースラに集まって情報交換をしたんだが、はやてが言うには『砕け得ぬ闇』とやらが、異世界の渡航者の手によって目覚めさせられて、そん
でもって、何を思ったかマテリアル達を攻撃して、その場から消え去ったって事だからな……

復活したマテリアル共は、テメェ本来の力を取り戻してて、姿を模したオリジナルとも互角にやり合える力があったのに、其れを一撃で倒すと言
う事を考えると、砕け得ぬ闇ってのはトンデモねぇ力を持ってるのは間違いねぇな。



「あぁ、実際アレはトンデモないモノだ。
 はやてのシュベルトクロイツに録画されていた映像をマリーに解析して貰ったんだが、結果は端的に言って、砕け得ぬ闇ことシステムU-Dの
 力は暴走したナハトヴァール……闇の書の闇に匹敵するか、若しかしたらそれ以上だ。」

「……まさか、其処までとは思わなかったぜ……」

「其れ、何て言うバグキャラなの……」



思わずなのはと一緒に突っ込んじまったが、其れもまた仕方ねぇな?
と言うか、闇の書事件に係わった奴なら、砕けぬ闇の力が闇の書の闇に匹敵するかそれ以上と言われたら驚く他ねぇからな……現実にアル
フは、その事実に驚愕してやがるからな。……フェイトの奴は、目を輝かせてやがるが。

だが、限りなく無敵に近い相手を倒すのは容易じゃねぇ……確りと作戦を立てねぇとな――下手したら、こっちが全滅って事にも成り兼ねねぇ
からな。

でもまぁ、取り敢えずは此処からそれぞれが如何動くかを考えようぜ?――何より、手を拱いて待ってるのは、俺のガラじゃねぇからよ。













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE98
『A's portable~新たな渡航者~』










Side:なのは


そんなこんなで、夫々が如何動く事が決まったよ。
基本的は闇の欠片を駆除しつつ、U-Dを見つけたら、その存在を最優先で確保する事――もしも、確保が極めて困難であった場合には無理
な交戦は避ける事。

私と志雄さんは謎の渡航者の捜索と確保、はやてちゃんとリインフォースさんは赤毛さんとピンクさんの捜索と確保もあるけど大体こんな所。
所でクロノ君、消えちゃったマテリアル達の子はどうなるんだろう?



「彼女達は、一時的に強大な攻撃を喰らった事で身体を構成する事が出来なくなり、素体の状態でディアーチェの魔導書の中で眠ってるそう
 だ――だから少なくとも悪さはしない筈だ。」

「そっか……シュテル達は消えちゃったと思ったけど、まだ存在してるんだね。」

其れを聞いて安心しました。って、王様の魔導書の中ってどう言うこと?
マテリアルって、闇の書の構成素体だから、はやてちゃんの夜天の魔導書の中に戻ったんじゃないの?



「其れが如何もそうじゃないらしいんよ?……リインフォース、説明頼むわ。」

「心得ました、我が主。
 此れは、私もついさっき思い出した事なんだが、王が持っていた魔導書は、単純に我が主の姿を模したから持っていたのではなく、アレは夜
 天の魔導書と対になる魔導書『紫天の魔導書』と言う物なんだ。」

「対になる魔導書……と言う事は、元々2つの魔導書であったと、そう言う事でしょうかリインフォースさん?」

「あぁ、その通りだよ、白き巫女の少女よ。
 夜天と紫天は、元々は別々に存在していたが、私を闇の書へと変えた者が、その時に紫天の力をも己がモノとしようとし、夜天と紫天を合わ
 せ、更に其処にナハトが加わって制御不能となり、夜天は闇の書となり、紫天は闇の書の構成素体の一部となり無限連環機構とリンクした
 と言う訳だ。
 私が闇の書であった時には、其れは眠っていたのだが、闇の書の私が死に、夜天としての私が蘇った事で、紫天は夜天から切り離された…
 …恐らくはそう言う事なのだと思う。」

「なんつーか、物凄く壮大な話っすね其れ……」

「アタシの中の熾天使が小さく感じられるほどだわ此れ……」



本当ですね。
でもそうなると、今のU-Dは、嘗てのリインフォースさんみたいに暴走してる状態なのかな?夜天の魔導書が闇の書になってたみたいに、紫
天の魔導書も何らかの理由でバグってて、そのせいでU-Dが王様達を攻撃したって言う感じかなぁ?



「可能性はあるでしょうね。――何れにしても、早急に何とかしないといけないわ。
 マテリアルの子達を撃破した直後にその場から離脱したと言うのは、目覚めたばかりでまだ力が充実していないからそれ以上の戦闘行為を
 避けたと取る事も出来るモノ。
 だとしたら、力が充実する前に何とかしないと……もしも力が100%の状態で暴れられたら、今度こそこの世界は滅亡してしまうわ。」

「そうですね明日香先輩!気合を入れて行きましょう!!」

「はい!気合を入れて行きましょう、空さん!!」

大事を成す前には、気合を入れろ!此れは基本ですから!って言うか、気合が入って無かったら、どんな事にも説得力はないし、攻撃に重み
だって生まれませんから!!



「……これ、間違いなく志雄先輩の教えだよね、洸先輩?」

「そりゃそうだろ祐騎……だが、今の状況なら間違ってるとは言えねぇ!」

「そーそー!まちがってないぞーー!
 どりょくだ、きあいだ、こんじょーだー!それがそろえば、どんな敵にだってまけない!って言うか、だれが相手でも僕達がかーつ!!」


「……アルフ、時々フェイトの奴を大物かもって思わねぇか?」

「……多分、気のせいだと思うさね……」

「にゃはは……フェイトちゃんはある意味で大物だと思いますよ?」

だって、こんな時だってぶれずに何時もの調子なんですから♪
フェイトちゃんは、確かにちょ~~~~っとお馬鹿でアホの子かも知れないけど、あの明るさとノリはチームには絶対に必要なムードメーカーで
すから♪
其れに、フェイトちゃんが言うと、何とかなるかもって思えるから。

其れじゃあ行きましょう!
誇張でも冗談でもなく、この世界の命運は私達の手にかかってますので、頑張って行きましょう!!


「「「「「「「「「「「おーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」」



もしもU-Dが闇の書の頃のリインフォースさんと同じ状態なら、倒すだけじゃなくて助けてあげないといけないしね。――うん、頑張って行こう!








――――――








Side:志雄


さてと、出撃して海鳴の上空を探索してる訳だが……また、妙な奴を見つけちまったなオイ?
アッシュブロンドとも言うべき髪に、ゲームなんかに出て来る暗黒騎士みてぇな服装に、手にしてる武器は俺のヴォーパルウェポン並みにデカ
い剣……如何考えても、前に会ったのとは別の渡航者の可能性が高いぜ。
一応確信しとくが、なのはの知り合いでもねぇだろ?



「私の知り合いに、あんな怖そうな武器を持ってる人いませんよ。」

「俺のヴォーパルウェポンは怖くねぇのか?」

「ヴォーパルウェポンは、確かに大きいですけど、無駄な装飾が一切ない大剣なので怖くないです。って言うか、志雄さんにピッタリですし。
 でも、あの剣は如何にも見た目が凶悪じゃないですか?色も黒いし、よく見るとリボルバー銃のシリンダーみたいのも付いてますし。」

「確かに、よく見りゃそんなモンも見えるな?」

って事は、アレはガンブレードみてぇなモンか?
もっとよく見りゃ、はやての魔導書みてぇなモンも持ってるみてぇだし……オイ、其処のお前。



「はい?って、高幡志雄ぉ!?其れに、高幡なのは教導官!?」

『志雄さんは変わってないけど、教導官小さい!』



ん?どっかで会ったか?少なくとも俺は、お前に会った記憶はねぇんだが……其れに高幡なのはとか、何を言っていやがる。コイツは高町な
のはだ。
人の名前を間違えるってのは、一番の無礼だって習わなかったか?



「あ……教導官が子供の頃だとそうなるんだ……」

「子供の頃?……どういう事ですか?」

「訳が分からねぇな?……其れと、お前の中から、お前とは違う気配も感じるぜ?――はやてみたいに融合騎と融合してやがるのか?」

まぁ、その辺も含めてじっくり聞きてぇから、出来れば一緒に来てくれねぇか?
一緒に来てくれねぇとなった場合にゃ、不本意だが俺としても強硬手段に出ざるを得ねぇんだ……悪いが、お前はソコソコ強そうだからそうなっ
ちまった場合は手加減できる保証がねぇ。

お前もそうだろなのは?



「ですね……このお兄さんは、可成り強そうなので、私も全力で行かないといけないかも知れません。」

「いぃ!?この2人の全力なんて冗談じゃないぜ!!
 だけど此処が俺の考えてる通りの世界だとしたら、あんまし係わるのは良くないから……すんません、諸事情により逃走させて貰います!」



なんか訳ありみてぇだが、諸事情なら仕方ねぇな……何て言うと思ったかオラァ!逃がすはずがねぇだろうが!!



――ガキィィィィィン!!!



「うわぁぁぁ!?見逃してくれたと思ったら突っ込んで来たぁ!?
 つーか、アンタの馬鹿力は昔からかよ!!エクリプスドライバーである俺が両手使って力負けするとか、アンタ本気で人間か!?否、其れは
 なのは教導官にも言える事だけどさ!!」

「俺もなのはも人間に決まってるだろうが!見て分かれ、馬鹿野郎。」

「私と志雄さんは、龍神の力を受け継いだだけの只の人間ですよ?」

「何それ初耳!ドラゴンの力を受け継いでる時点で普通に人間じゃねぇって!!」



なら俺となのはは、龍神の力を受け継いだ『龍人』て所だな。
そんな俺達を相手にしても逃げるか?……無駄な足掻きをしない方が良いと思うぜ俺は――確かにお前は、ソコソコ強いだろうが、其れでも
流石に俺となのはのコンビに勝つのは難しいだろうからな。



「だよなぁ……模擬戦の度にボッコボコにされてたし……じゃなくて、今は離脱させて貰うってね!!――銀十字!!」

『了解。シルバーバレット』



――ドドドドドドドドドドドド!!!



コイツは……射撃魔法みてぇなモンか?
弾数はなのはのアクセルシューターを遥かに凌駕してるが、物量攻撃で俺達を止められると思ってんなら大間違いだぜオイ?この程度の物量
なんざ、俺達の前には意味を成さねぇ!!
切り裂く!フレアスラッシュ!!



ディバインバスター!!



――ドゴォォォォォォォォォォン!!



俺のフレアスラッシュと、なのはのディバインバスターなら、面の制圧を狙った攻撃であっても粉砕できるからな。
中々の強さだが、クロスレンジでは俺に、ミドル~アウトレンジじゃなのはには敵わねぇだろ?――なら、大人しく一緒に来いや……って、居ね
ぇな?……さっきの弾幕に紛れて逃げやがったか。

だが、今の奴はミッドともベルカとも違う魔法陣を展開していやがった……其れに、アイツの言動から察するに、若しかして未来からの渡航者
ってのも否定できねぇな?



「そうですね?
 この間会った渡航者の子達も、若しかしたら未来から来たのかも知れません――あの緑の髪の子は、私の事を『ヴィヴィオさんのお母様』っ
 て言ってたから、少なくとも、私が自分の子を持ってる位の未来から来たんだと思います。」

「可能性は否定出来ねぇな。」

俺の方に現れたパツキンも、俺の事を『パパ』と呼びやがったからな。

ったく、マテリアルに闇の欠片、そんでもってU-Dと問題山積みな中で、未来からやってきた可能性の高い謎の渡航者か……此れが、全てU-
Dの力が引き起こした事かと考えると、頭が痛くなって来るぜ。

負ける心算は毛頭ねぇが、一体U-Dってのはどんな力を秘めてやがる――少なくとも、5S級XXXグリードと化した倉敷以上なのは間違いねぇ
だろうが、仮に未来にまで干渉する力があるとしたらとんでもない事この上ねぇな。

だが、其れでもやるしかねぇ――U-Dを捨て置いたら、マジで世界は無くなっちまうからな!!








――――――








Side:???


ふあぁぁ~~~……良く寝た~~~。って、目覚めちゃまずいわよね?だって私は既に死んでるんだから。
生き返った……と言うよりも、何らかの力が働いて、魔力で構成された身体を得たと言うのが正しいのかしらね……まさか、こんな形で再び現
世に現れる事が出来るとは思わなかったわ。

でも、此れはある意味で良い機会かも知れないわ。
ずっと私の偽物から無体な仕打ちをされていたあの子に、『母』としての愛情を教えてあげるのもまた一興ね……あの子には、絶対に母の愛
と言う物が必要ですもの。

何の因果か、こうして復活できたのだから、出来る事はすべてやらねばね。


ふふ、待っていなさいフェイト。
この身体は何れ消えてしまうのだろうから、その前に貴女と一度ちゃんと会っておきたいからね――












 To Be Continued…