Side:志雄


マッタク持って、次から次へとウザってぇな……闇の欠片との戦いは、動きの素早い蠅を、蠅叩きもって追い回してるのと似たような気分になっ
て来るぜ……絶対に負けない相手だが、数が多くて面倒になって来るからな。
何よりもきついのが、テメェの闇の欠片と遭遇した時だ――幾ら偽物と分かっていても、自分自身を倒すってのは少し抵抗が有るからな。



「確かに、自分の闇の欠片と戦うって言うのは嫌ですよ、自分を攻撃してるみたいですから。
 だけど、今はそんな事が言ってられる状況でもありません――闇の欠片が拡散したら、どうなっちゃうのかなんて、想像も出来ません。と言う
 か、想像したくないです。」

「ま、そうだろうな。」

だからこそ、闇の欠片は全てぶっ倒さなきゃならねぇ!!
危険の芽ってのは、早い段階で潰しておいた方が有効だからな――早速現場に行くとしようぜ!!!



「はい!……って、如何やらそう簡単には行かないみたいです。」



なに?……んな、テメェは!!!



「お久しぶりですね、高町なのは、高幡志雄――今、再び会えた事を感謝します。」



『理』のマテルアルこと、シュテル・ザ・デストラクター!!!
闇の欠片が集まった以上、テメェとは何時か会うとは思ってたが、まさかこんな早くに会えるとは予想外だったぜ――態々そっちから出てきて
くれたんだからな!!
目的は、俺達――と言うよりも、なのはとの再戦て所だろうな?ま、なのはなら負ける事はねぇだろうな。













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE96
『A's portable~なのはvsシュテル~』










Side:なのは


まさか此処で、このタイミングで貴女が出て来るとは思わなかったよ。元気だった?って言うのは、ちょっとオカシイかな?えっと――確か、シュ
テルだったっけ?



「はい、私は『理のマテリアル』ことシュテル。
 闇の書の構成素体として、レヴィと、我等の王ディアーチェと共に再び蘇る事が出来ましたが、蘇ったのならば、貴女ともう一度戦いたいと思
 い、こうして参上しました。」

「良いよ?但し、攻撃は非殺傷設定でね?」

「……早速やる気かオイ。
 まぁ、止めろとは言わねぇし、非殺傷でやるってんなら問題ねぇだろうが、その勝負はタイマン勝負って事で良いんだな?――前の戦いの時
 は、俺も参加しちまったからな。」



あ……そう言えばそうですね?
ん~~~~……じゃあ、今回はタイマンで!志雄さんは、闇の欠片が現れたら、其れの討伐お願いします!シュテルとの戦いを邪魔されたくあ
りませんので!!



「そうですね、お願いできますかシオ?私もなのはとのタイマンを邪魔されたくありませんので。」

「……お前等、俺が相手だから良いが、女子がタイマンなんて言葉は使うもんじゃねぇからな?否、間違いなく俺のせいだってのは分かってる
 が、あんまりガラの良い言葉じゃねぇからな。
 と言うか、なのはだけじゃなくてシュテルもか……」



あはは……まぁ、シュテルは私が元になってるから、変な所で私のデータを受け継いでるのかも知れませんよ。



「その可能性は否定しきれませんね。
 其れは其れとして、前回の彼方達との戦いは、とても心滾る物でしたが、一対二と言う状況である事を別にしても力及びませんでした――で
 すが、私は貴女のコピーを越え、王の為に私は私の力、デストラクターとしての力を得ました。
 焼滅の力、受け止めて頂けますか?」

「いいよ、本気でやろう!!」

「そう言っていただけると思っていました――全力全壊、ですね?」

「勿論、全力全壊だよ!!」

私のコピーじゃなくて、本来の力を取り戻したシュテルとの戦いは、きっと前回よりも激しくなるんだろうけど、其れでもとってもワクワクしてるよ。
行くよシュテル!!私のBLAZEと、貴女の炎……どっちが熱いか勝負だよ!!








――――――








Side:志雄


さてと、なのはとシュテルのタイマンが始まったか……そんな訳だから、テメェ等はすっこんでろ、時坂、四宮、クロノの闇の欠片。タイマン勝負
に横槍入れるってのは、最低最悪の所業だからな。



「……だからって、俺等を1人で倒すって、志雄先輩半端ねぇ……」

「どんな腕力してんのさ……」

「……魔力ランクはCなのに、総合ランクはS……矢張り君は只者じゃないな志雄……」



ほっとけ馬鹿野郎。劣化コピーにやられてやる程、俺は間抜けじゃねぇんだよ。良いから大人しく消えとけ――



――ジュ!



って、完全に消える前に、真紅の直射砲が闇の欠片を焼き消しちまっただと?……今のは、シュテルの砲撃か?
なのはが避けた事で、偶然闇の欠片を攻撃する事になったんだろうが、この砲撃は、なのはのディバインバスターには威力で劣るが、炎の力
が加えられてて、触れるモノを燃やす性質があるみてぇだな?
この炎が、シュテルの本来の力って所か――若しかしたら、なのはが受け継いだBLAZE魂が、炎って形でシュテルの力になったのかもな。

威力で勝るなのはと、炎の力で攻撃力を底上げするシュテル……総じて戦えば五分五分ッて所か。
経験ではなのはの方が上だろうが、なのはをベースにしてる以上、シュテルもまた同じ位の経験値を得た状態だって言えるかも知れねぇし。



アクセルシューター!!

パイロシューター!!




実際に、戦いの方も互角みてぇだからな。
互いに誘導弾を発射して、相手を狙いつつ、相手の誘導弾を相殺するか……なのはとシュテルの空間把握能力と並列思考能力は、如何言う
構造してるのか聞きたくなる攻防だな此れは。
だが、此れは牽制に過ぎねぇ――此の2人の本分は、矢張り砲撃だからな!



「やるねシュテル……其れじゃあ此れは如何?ディバインバスター!!

「流石はなのは、良き実力です……ですが、砲撃ならば負けません――ブラストファイヤー!!



――ドガァァァァァァァァァァァァァァァン!!



っと、砲撃がかち合って相殺しただけで、なんつー衝撃波だ此れは……非殺傷とは言え、此れを真面に喰らったらバリアジャケットを纏ってて
もヤバいかも知れねぇ。
何時だったか、四宮の奴がなのはの事を『魔法少女じゃなくて、魔砲少女だよね』なんて言った事があったが、此れを見ると、あながち間違い
でもねぇ気がするぜ。
この砲撃を真面に喰らったら、俺もヤバいだろうからな。



「やるね、シュテル!!」

「貴女も、前よりも腕を上げましたねなのは――矢張り、戦いとはこうでなくては面白くありません。特に、タイマン勝負は。」

「そうだよね、タイマン勝負はこうじゃないとね!!」

「ですので、もっと楽しみましょう。ディザスターヒート!!

「異論はないよシュテル!ハイペリオンスマッシャー!!



――バガァァァァァァァァァァン!!



でもって、今度はシュテルの3連直射砲に対して、なのはは特大の直射砲か。
威力では圧倒的になのはの方が上だろうが、炎属性の3連直射砲なら互角に渡り合う事が出来たみてぇで、この勝負も互角か……となると、
勝負を決める為の一手は、あと一つしかねぇな。



「全力全壊!!」

『Starlight Breaker.』


「走れ明星、全てを焼き消す炎と変われ!」



――キュゴォォォォォォォォォォォォォォ………!



星をも砕く破壊力を持ち、放たれたが最後、相手を確実に沈黙させる超必殺技『集束砲』。
なのはが編み出した超必殺技だが、なのはをベースにしてるシュテルに、其れが使えねぇ道理はねぇ……現実に、なのはもシュテルも、トンで
もねぇ魔力を集束してるからな?……なんだ、その桜色の元気玉と、真紅の元気玉は……



スターライトォォォォォォォ……ブレイカァァァァァァァァァァァァ!!!

真・ルシフェリオォォォォォォォォォン……ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァ!!!



んでもって放たれた超必殺技は、完全に威力が拮抗してるみてぇだな?
砲撃がぶつかり合った場所が、ピクリとも動いてねぇし、途轍もねぇ力がぶつかり合った事で、火花放電まで起きてるからな……一歩間違った
ら、この力のぶつかり合いに呼応して、異世界への扉が開くんじゃねぇかって思う位だぜ。

だがなのは、此のまま引き分けで良いのか?
5年前に教えてやったよな?喧嘩をする以上は完全決着――引き分けや痛み分けなんてもんはねぇって。だからこのタイマン勝負、勝利をも
ぎ取って見せろや!!



「志雄さん……私は負けない!!負けられない――超・全力全壊ーーーーーー!!!

「なっ!此の土壇場で砲撃の威力が上がった!?
 く……押し返す事が出来ません………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



――バガァァァァァァァァァァァァァァン!



勝負ありだな。
最後の最後で、なのはのBLAZE魂が燃え上がって、シュテルの集束砲を上回ったか――全く持って、大した奴だぜ、お前さんはよ。



「にゃはは……志雄さんの激が無かったら負けてたかも知れません――タイマン勝負だったのに、最後は志雄さんに助けられちゃいました。」

「タイマン勝負でも、外部からの声援は有りだからな……其処が勝負の分かれ目だったみたいだなシュテル?」

「……如何やらその様ですね……貴方を模したマテリアルが居ないのが残念でなりませんよ志雄。
 貴方のマテリアルが存在していたのなら、私にも心強い声援があったのではないかと思いますので。」



……俺のマテリアルか……想像出来ねぇな。



「銀髪に褐色肌のワイルド系イケメンで、武器は身の丈以上の大剣。名前は『ブレイズ・オブ・ブレイカー』とか如何だろう?」

「炎の破壊者ですか……とても合っていますね。」



って、想像したのかお前等は!!……ったく、妙な所で息が合ってるなお前等は。
まあ、其れは良いとして、お前等の目的は一体なんだ?ただ蘇ったって言う訳でもないんだろう?――一体何を企んでいやがるんだ今回は?



「企んでいるとは失礼な――我等は我等の目的である、砕け得ぬ闇を手に入れる為に行動しているにすぎません。
 砕け得ぬ闇さえ手にすれば、目的は達成されるので、この地に留まる必要もなくなりますので、この地を去る事になるでしょう――何れにして
 も、目的が果たされれば、彼方達に面倒事が降りかかる事はなくなりますよ。」

「そうなんだ……でも、砕け得ぬ闇って、一体何なの?」

「さぁ?其れは、私にも王にも分かりません――ですが、其れは私達にとって大切な物だと言うのは分かります。
 ですから砕け得ぬ闇を手中に収めるまで、私は倒される訳には行きませんので、ここら辺で退散させていただきます…では、御機嫌よう。」



――ブシュゥゥゥゥ!!!



のわ!?……此れは、スモークか!!
視界が真っ白になっちまって何も見えやしねぇ……こうなると、スモークが晴れるまで大人しくしてるのが上策なんだが、スモークが晴れる頃に
は、シュテルは行方を晦ましてんだろうな絶対に。



「く……此れは、やられましたね志雄さん――!!」

「完全にカウンターだったからな……ま、視界が戻るのを待つしかねぇだろ。」

だが、こんな方法を使ってでも、アイツが此処から離脱したってのは、必ず意味がある筈だ――速攻で、シュテルを追うぞなのは!!



「了解です、志雄さん!!」



どうにも、嫌な胸騒ぎがするぜ……若しかしたら、海鳴どころか、この世界全体が滅び兼ねないトンデモナイ事態が起こるんじゃないのかとな。
俺の杞憂で済めば、其れに越したことはないんだが、コイツは俺の杞憂じゃ終わらないってのは、俺が良く分かってる。

砕け得ぬ闇……名前からしてヤバそうだからな……!!









 To Be Continued…