Side:璃音
赤毛のお姉さん――アミタさんが戦闘に介入した事で如何にかなるかと思ったんだけど、まさか更なるマテリアルが現れるとはね。
王様だけだったら何とかなるかも知れないけど、S級エルダーグリードに匹敵するマテリアルの子達が3人全員揃い踏みって言うのは、幾ら何で
もきつすぎるわ――私が熾天使の力を継いでいると言ってもね。
「璃音の力を持ってしてもダメなのか……マジで、何モンだマテリアルってのは?」
「分からないけど、只ならぬ力をも持ってるのは間違いないよ――アタシの中の熾天使が教えてくれてる……アレは危険な存在だってね。」
「マジか!?……ったく、熾天使様、様サマだな?――なら、期待の熾天使様としては、今回の事は絶対に見過ごす事は出来ねえよな?
徹底的にやってやるぜ!!」
徹底的に……もちろん私もその心算だよ洸君!!
非公式ではあるけど、此れだけの魔導師と戦う機会って言うのは滅多にあるもんじゃないから、私達のレベル上げに有効活用させて貰うわ!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE93
『A's portable~動き出す事態~』
とは言え、状況としては三つ巴に近い状態だから、迂闊に動くのも危険なんだよね?
赤毛の女の人は、マテリアルに攻撃してたから、取り敢えずは『敵の敵は味方』の考えで言うと敵じゃない……だから問題はピンク髪だわ。
どうにも今回の一件、彼女が大きく関わってるのは間違いない――となると、この状況で如何動くかが読めない。はやてちゃんとリインフォース
さんに仕掛けて来た時点で、味方ではないのは明らかなんだけどね。
「最悪の場合、敵の敵の敵って事になるんだよねあの人は……」
「いや、その言い方は分かり辛いだろ璃音……まぁ、この状況が簡単に動けるもんじゃねぇってのは否定しないけどな。
だが、膠着状態ってのは続くモンじゃねぇから、誰かが動かないとどうにもならないぜ璃音?――なら、俺達から仕掛けるしかねぇだろ?俺達
X.R.Cは、何時だってまず動いてからだったんだからな!」
「言われてみればその通りだね洸君!そんじゃまぁ、アタシ達らしく行きますか!!」
先手必勝!シルフィサイクロ………
――ガキィィン!!
「「!?」」
んな、身体が!?……此れは、バインド!!
一体誰が……?マテリアルの子達が動いた気配はないし、見れば赤毛の人も拘束されてるからこの人じゃないし、はやてちゃんとリインフォー
スさんにはこんな事をする理由がない……となると――
消去法で、やったのはアンタね其処のピンク!!
「せいか~~い♪
まぁ、彼方達が彼女達を如何にかしようとするのは分かるんだけど、其れは私の目的が果たされてからにしてほしいのよね~~ン?悪いけれ
ど、今此処で彼女達を失う訳には行かないの。」
はぁ?知らないわよそんな事!!てか、アンタの目的が何かは兎も角、マテリアルが存在してるだけで闇の欠片が次々と生み出されるから、ア
タシ達としては一刻も早く何とかしたいの。てか、しなくちゃいけないのよ!!
「大丈夫よ、私の目的がパーフェクトに果たされれば、万事全部OKで終わるから。」
「逆に失敗したら、私達の故郷どころかこの世界の人達にも迷惑がかかるでしょうキリエ!と言うか、現状既に大迷惑をかけていると言う事を自
覚しなさい、此のピンク!!」
「人様の迷惑になる事をしちゃいけねぇって、アンタの親は教えてくれなかったのかピンク。
俺は親に教えられただけじゃなくて、じっちゃんに徹底的に教え込まれたぜ?てか、マテリアルが目的だって時点で大分安心できねぇしな。」
「洸君の言う通りだよ。だからさっさとアタシ達を解放しなさいピンク。」
「そう言って解放するなら苦労は無いで璃音さん……頭がピンク、服は黄色――と言うか悪趣味な金に近いメタリックイエロー何て言う打っ飛ん
だ格好しとる奴に普通の会話なんか通用せぇへんて。
私もリインフォースも絶賛拘束されとるしな~~。」
「だが、10倍掛けとは言え、この私を完全に拘束するバインドの強さは見事だと言っておこう、正体不明のピンク色よ。」
「……揃いも揃ってピンクピンクって……少なくとも、翼みたいな武器背負ってる貴女にだけは言われたくないわ!
貴女だって髪の毛見事なピンクじゃない!!」
アタシは良いのよ、染めてるだけだしね。
って言うか、個性派揃いのSPiKAじゃ、此れ位の強烈なインパクト持ってないと他の子に喰われて自分のポジションを無くしちゃうのよ!
大体にして、アタシのピンク髪はスタイリストさんがアタシに合うように考えてくれたモノだから、貴女みたいな目に優しくないピンクとは違うの。
それと、アタシのはピンクじゃなくて正確には桜色って言うのよ。
序にシグナムさんは桃色ね。
「何かスッゴク釈然としないんだけど……取り敢えず目的だけは果たさせて貰うわ。
さて王様、ちょっと話があるんだけど聞いてくれない?」
「ふん、何用だピンク。
我には貴様と話す事等ない――故に早々に立ちされ塵芥が。貴様如き、王の前に立つ事が無礼であるぞ。」
うわぉ、はやてちゃんのマテリアル……面倒だから王様って呼ばせて貰うけど、王様ってばバッサリ行ったわね此れ。どこぞの金ピカ英雄王み
たいな物言いだけど、其れが様になってるわ。
だけど、此れはピンクにとっては痛いわよね?話すら出来ない可能性があるんだから。
でも、焦った様子はない……何か、切り札があるのかしら?
「……その話が貴女達の求める物――『SystemU-D』、アンブレイカブル・ダーク……『砕け得ぬ闇』に関する事だったとしても?」
「……何だと?」
「王、此処は詳しく聞いてみては如何でしょう?話を聞くだけならばタダですので。」
「彼女は私達の知らない事を知ってるみたいだから、話を聞く価値はあると思うよ王様――其れに、もしも私達にとって有益でない事だった時に
は、消してしまえばいいだけだし。」
砕け得ぬ闇ですってぇ!?
其れが何かは分からないけど、名前からして絶対に穏やかな物じゃないのは確かでしょ!!其れを如何するのかは知らないけど、そんな物が
現れたら絶対に良くない事が起こる!何としてでも此処で――
「そうは、させませんよキリエーーー!!ふんぬぅぅ……根性!熱血ーーー!!!!」
――バキィィィン!!
って、赤毛の人が気合でバインドぶち破ったぁ!?
アタシだって熾天使の力を使っても難儀してるのに、其れを気合と根性で吹き飛ばすなんて……そんな事が出来るのは志雄先輩だけだと思っ
たんだけど、他にも居た事に驚きよ!!
「……可成り強化した拘束術式だったんだけど、其れを力技でぶち破るって色々とおかしいわよアミタ!!
此れは、私達――引いては、私達の妹達にも効果のあるウィルスなのに、其れが効かないって、貴女本当にパパの子な訳!?」
「気合と根性が有れば何でもできる!!其れさえあれば、どんな事でも何とかなる!!だから此処で貴女を止めますキリエ!!」
「ったく、熱血馬鹿は厄介ね……此れじゃあオチオチお話しも出来ないわ。
悪いけど、場所を変えさせて貰うわ王様達――大事なお話は、第三者が居ない所で行うのが基本だからね?じゃあねぇ、転移!!!」
「な転移魔法?!!待ちなさいキリエ!……こうなったら全力で虱潰しに探すまでアクセラレーター!!」
――バシュン!!
……行っちゃった。
其れと同時に、バインドも効力がなくなっちゃったけど、ピンクは多分転移しただろうから、探すのは可成り困難だよね?……マテリアルの子達
とピンクの魔力の波長は覚えたから、あの子達が魔法を使ってくれれば場所は分かるけど、如何しようか洸君?
「……取り敢えず、志雄先輩達と合流して今後の方針を決めようぜ。
俺達が今此処で直ぐに動いても良いが、其れだとトンでもない事態に陥った時に対応が取れなくなるからな?此処は一度、作戦会議っての
が一番だろ?」
「だよね。はやてちゃんとリインフォースさんも其れで良いかな?」
「あぁ、是非にもない……今回の一件は、闇の欠片の時とは大分違うようだからな?」
「誰が如何動くか、役割分担を決めなあかんやろね……何よりも、王様達マテリアルが、前よりもずっと強なってるからな。」
ならその方向で。
リインフォースさんの言うように、今回の一件は前の闇の欠片事件よりも大規模な物みたいだからね――何よりも、闇の欠片とやらを狙ってる
ピンクの存在が危険極まりないわ。
名前からしてヤバそうな物に一体何の用があるのか……取り敢えず、彼女を捕まえて色々聞かないとならないわね。
――――――
Side:なのは
はやてちゃん達と合流してから聞かされた話はトンでもないモノだった……まさか、マテリアルが復活して、更にはマテリアルに用が有る人まで
現れたって言うんだからね――此れは、前回以上の事件なのは間違いないよ。
絶対に解決しなくちゃいけないんだけど……如何しましょうか志雄さん?
「チームを細分化するのが一番だろうな。
はやてとリインフォースはピンク髪の捜索――なんだったらヴォルケンリッターも連れてきていい。
なのはとフェイトは、マテリアルへの対処だ。ピンク髪がマテリアルの王とだけ話をして、他の2体のマテリアルは自由行動をしてる可能性もあ
る訳だしな。
そんで残るメンバーは、闇の欠片を手当たり次第にブッ飛ばすって事で良いだろ?――歪められた過去の幻影は、この世に存在して良いモ
ンじゃねぇからな――こんなモンで如何だなのは?」
「バッチリです!!流石は志雄さんですね!!」
「ガラじゃねぇが、組織のヘッドを張ってた身としちゃ、此れ位の事は出来てねぇとだぜ……最善の策をひねり出す事が出来なきゃ、抗争に勝つ
事は出来ねぇからな。
行くぞお前等!この街を、海鳴を守るためにもマテリアルの奴等+αを何とかすっぞ!!」
「「「「「「「「「「「おーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」」
はい!必ず何とかしましょう!!
マテリアルの子達は任せて下さい!――だから、闇の欠片は頼みましたよ志雄さん!
「はっ、任せときな!
過去の幻影にやられる程、俺達は間抜けじゃねぇからな!!」
「ですよね♪」
――コツン
志雄さん達ならきっと大丈夫。サムズアップして突き出した私の拳に、志雄さんもサムズアップした拳を合わせてくれたからね。
これ以上に安心できる事もないよ――其れじゃあ行こうか?マテリアルの子達を何とかしに!――どうやって復活したのかは知らないけど、もう
一度、倒させて貰うよ私のマテリアル――シュテル・ザ・デストラクター!!
――――――
Side:???
――バシュン!!
うわわ、此れは一体何!?って言うか空の真っただ中!?此れって落ちたらヤバくない!?
「そして絶賛落下中です……此のまま地面に激突したら、如何に格闘家として鍛えているとは言っても即死は免れないでしょう。間違いなくモザ
イク必須の状態になってしまいます。
――だから、如何しましょうか?」
「く、クリス、魔力制御!私とアインハルトさんを止めて!!」
『(`・ω・´)ゞ』
「ティオもクリスさんの援護を。」
『にゃあ~~』
……取り敢えず、落下は止まりましたが此処は一体?……と言うか、眼下の町並みには見覚えがあるんですが――此処って若しかしなくても
海鳴だよね?
「海鳴?……確か、貴女のお父様とお母さまの故郷でしたか?」
「パパにとっては第2の故郷ってやつみたいですけど……その海鳴で間違い無いと思いますよアインハルトさん――問題は、何で私達が此処
にいるのかって言う事ですよ。
コロナ達と何時も通りにトレーニングをしてただけなのに――」
でも、海鳴なら大丈夫だと思います。
パパとママのお友達が居ますし、確か今日なら、柊教導官と郁島教導官が海鳴に来ている筈ですから、きっと何とかなると思いますよアインハ
ルトさん!!
「あの方たちが居るのならば安心できますね――ですが、如何やらそんな悠長な事を言って居る事も出来ないようです。
強大な魔力反応が2つも此方に向かって来ている様ですから……」
「はい、そうみたいですね……」
だから、デバイスを起動してもしもの時に備えておきましょう――私とアインハルトさんの実力なら、そこそこの相手に後れを取る事はありません
から。
初っ端から気合い入れていくよクリス!一体何が起きたのか分からないけど、私は私のすべき事をする!――高幡ヴィヴィオ、行きます!!
To Be Continued… 
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