Side:はやて


私とリインフォースの前に現れたピンクのお姉さん……見た目は兎も角、実力は可成りなモンなのは間違い無さそうやで――それこそ、全力を
持ってすれば、なのはちゃんとも互角に戦う事が出来るやろうからね。
確かに、其れだけの力が有れば、私から夜天の魔導書を奪って、自分の目的を果たす事だって出来たのかも知れへんけど……



「ぜやぁ!!」

「ぶべら!?」



リインフォースが一緒やったらその限りやないんやで?
復活したリインフォースは、魔力や魔導師ランクに限って言えばダウンしとるけど、最大魔力が少し弱くなる代わりに、騎士達の武装と、取り込ん
だ志雄さんの能力も使えるから、並の魔導師じゃ話にならんて。

現に今も、コピーレヴァンティンで足払いを仕掛けたら、体勢を立て直そうとしたところに、目にも留まらぬシャイニングウィザードを叩き込んでく
れたさかいな。――この鮮やかさには、シャイニングウィザードの本家本物の武藤敬司さんも真っ青やで。

せやけど、此れで実力差は分かったやろピンクのお姉さん?



「これで、どうだぁぁぁ!!!」

「ギブ!ギブギブ、ギブアップ!!極まってる!完全に極まってるから此れ!これ以上はヤバいから、ここらで解放して~~!!」

「だが断る!!」


――メキィ!!


「ぺぎゃらっぱぁ!?」



……せやけど、此処でリインフォースが、魔法陣を展開した上でピンクのお姉さんを組み伏せてSTFで絞め上げてKOしてしもたから。此れは目
を覚ますまで、見守るしかないな?
てかリインフォース、普通に女子プロレスラーとしてデビュー出来るんとちゃうやろか……











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE92
『A's portable~復活のマテリアル~』










そんで、30分後……無事に目を覚ました訳やけど、まだやる気かいなピンクのお姉さんは?私1人ならいざ知らず、リインフォースが出張ったら
最後、多分志雄さん位じゃないと真面な戦いにならへんよ?
先ずは、ちょっとお話ししませんか?何や、お姉さん、ちょ~~~~~~っと、勘違いしとるみたいやからね?
まぁ、駄目やって言うなら、今度はリインフォースがドラゴンスクリューからの足四の字極めちゃうんやけど♪



「そ、其れは御遠慮願いたいわね~~ん?って言うか、何でプロレス技なの!?」

「そんなん、作者がプロレス大好きやからに決まってるやろ。」

「……少々メタすぎます、我が主……」



ま、ちょっと悪ふざけが過ぎたけど、本来の目的果たさなアカンね。
まずピンクのお姉さん……やと、ちょお呼び難いんで、名前教えて貰えませんか?本名名乗りたくない言うなら、その場凌の偽名でもなんでも
えぇんで。
どうしても名乗らない場合は、勝手に『ピンクさん』って呼ばせて貰いますけど♪



「其れは勘弁。……キリエよ。キリエ・フローリアン。」

「えぇ、名前ですね。私は、八神はやて言います。そんでもって、一緒に居るのがリインフォースです。」

「リインフォースだ。」

「へ?八神はやて?……貴女、闇統べる王じゃないの!?持ってる其れって闇の書じゃないの!?」



え~とですね、此れは闇の書やなくて『夜天の魔導書』って言って、闇の書の真の姿なんですわ。
そんでですね、キリエさんの探しとる子は、確かに私とそっくりなんやけど、私とは別人やで?……まぁ、其の子の事は私も良く知ってますけど。



「本当!?何処、何処にいるの!?」

「その子はですね~~……」

「うんうん!!」

「3ヶ月ほど前に、私達で倒してまいました♪」










「はい?」









せやから、私とリインフォースと、それから皆で倒してもうたんですよ、闇統べる王様は。
闇の書の構成素体を統べる者って言っとったけど、リバースユニゾンしたリインフォースの猛攻喰らった挙げ句に、志雄さんとシグナムの一撃喰
らって消えてまいましたから。



「うそん?」

「いや、本当の事だ。中々に手強い相手だったがな……」

「マジンコで?」

「マジンコで!」

「うっそーーーーー!?其れじゃあ私、何の為に此処に来たか分からないじゃない!!
 って言うか、何で倒しちゃったのよ!!私の計画は、始める前から終わってたようなもんじゃないのよ~~~!!如何してくれるのよ一体!」



いや、そないな事言われましても、アレをあのままにしといたら、この世界がとんでもない事になってまいましたので、倒す以外の選択肢が無か
ったと言うか、何と言うか……てか、アレに用が有るって、何が目的なんやろか?……何や嫌な予感が――



――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!



的中したみたいやな此れは!
こんだけ濃密な闇の気配は、闇の欠片が現れたなんて生温いモンと違う……もっとトンでもないモンが現れた時のモンや!此れだけの凄まじ
い闇の力の持ち主となると恐らく……!



「ふふ…ふははは!!溢れるぞ魔力!漲るぞパワー!奮えるほど、闇黒ぅぅぅぅぅぅ!!
 黒天に座す闇総べる王、ふっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!!」



うっわ~~、予想通りかい!
面倒な事が起こってくれた時に、面倒な奴が復活してきたモンやなぁ?――久しぶりやなぁ王様?まさか、厨二病全開で復活して来るとは、仏
様でも思わんかったんとちゃうかな?



「む……夜天の小鴉と融合騎か。久しいな。」

「3ヶ月ぶりって所や。――どうやって復活したか知らんけど、王様は何しに現れたん?」

「知れた事!何の因果か分からんが、復活したのならば、今度こそ『砕け得ぬ闇』をこの手に収めるだけの事よ!
 我は、其の力を手にし、今度こそこの世界を暗黒の闇で染め上げてくれる!――手始めに、復活して手に入れた、王たるこの身の力、早速披
 露してやるとしようぞ!!」



――ガキィィィン!!



な、此れは高速バインドやと!?
前に出て来た時は、こんな力持ってなかった筈……本当に私のコピーに過ぎなかった筈なのに、今度は私の技じゃない物まで……此れが、ホ
ンマの王様の力って言う事なんか!?

せやけどなぁ王様、私は兎も角、リインフォースをバインドで拘束するのは無理とちゃうか?
リインフォースは、なのはちゃんのバインドですら力技で強引に引き剥がしてしまうんやで?並大抵のバインドでリインフォースの動きを封じる事
は出来へんで?



「案ずるな小鴉。そう思って、融合騎の方には、5倍掛けにしてやったわ!」

「あら、意外と準備えぇんやね王様。」

「感心している場合ではないと思いますが我が主……」



そやね。此のままやったら、私等王様にフルボッコにされてまうからな。
せやけど、こんな絶体絶命のピンチには、決まってヒーローが現れるって相場が決まってるんやで?加えて、私等の側には、そんなヒーローに
なれる人達が沢山居るからね。



「させるかよ!アンカースライド!!

「やらせないよ!ソニックウィング!!

「やらせません!!」



――ガキィィィン!!



「此れは……助かったぞ、コウ、リオン!!」



今回のヒーローは洸さんと璃音さんやったか……リインフォースも、最近ようやくなのはちゃん達の事名前で呼ぶようになって来たんよね。
しかしや、洸さんと璃音さんが来てくれたんは有難いけど、一緒に現れた赤毛のお姉さんは何モンや?……キリエさんと似たような服着取るし、
若しかしたら、関係者なんやろか?








――――――








Side:洸


ふぅ、璃音が『ちょっとやな予感がする』って言うから、そのやな予感がする方向に向かってたんだが、到着したらビンゴだったぜ。
はやてちゃんと、リインフォースが、どうやって復活したか知らないが、闇統べる王にバインド喰らって、此れから攻撃される寸前だったからな。
だけど、俺達と一緒に現れたこの人は一体誰なんだ?



「アミタ!?」



なんだ?はやてちゃん達と一緒に居たピンク髪の女の人の知り合いなのか?……取り敢えず、只ならぬ関係なのは間違いなさそうだぜ。



「黒羽のお嬢さんと銀髪の方、不肖のピンクの妹がご迷惑をおかけしました!」

「ちょっ!アミタ、貴女ウィルスは!?」

「そんなものは気合で!!」

「嘘でしょ!?」



ウィルスって、なんかヤバそうな単語が聞こえたが、其れって気合で如何にか出来るモンか璃音?俺は、絶対に出来ねぇと思うんだけどよ?



「軽い風邪位なら気合で抑えてライブに立つ事もあるけど、そうじゃない重いウィルスだったら無理じゃない?……志雄先輩だったら、どんなウィ
 ルスでも、気合で何とかしそうだけど。」

「あぁ、そりゃあ否定できねぇな。」

てか、志雄先輩だったら闇の欠片と千人組手やっても、ライフ1ポイント削られた位でクリアしそうだからな……って、そんな事言ってる間に事態
が動いてるみたいだ。
赤毛の奴が、闇統べる王を拘束して、砲撃!……あの砲撃、なのはちゃんのバスターに匹敵するんじゃないか?
アレを真面に喰らったら、幾ら闇統べる王と言っても只じゃ済まねぇだろうな……此れは、若しかして今回の一件は謎の女の人の活躍で一件落
着って事になるか?



「なると思う洸君?」

「いや、思わねぇ。そう簡単に解決したら、誰も苦労はしねぇからな。」



――ガキィィィン!!



其れを示すように、赤毛(面倒だからこう呼ばせて貰うぜ。)が放った一撃を誰かが防ぎやがったからな。
赤毛の攻撃を防いだのは、なのはちゃんとフェイトちゃんのそっくりさん――闇の欠片事件の時に現れたって言う星光の殲滅者と雷刃の殲滅者
か!



「王様だけ蘇って、私達が蘇らない道理はない。」

「ロード・ディアーチェ、この姿でお目にかかるのは初めてですね……」

「貴様等、まさかシュテルとレヴィか!?」

「……そう言えば、私達、そんな名前でしたね?」

「自分の名前を忘れないでよシュテル……まぁ、前に現れた時は暫定的な名前を名乗ってたから仕方ないかも知れないけど……」





「ねぇ、洸君、此れってちょっと拙くない?
 あの赤毛さんは味方みたいだからちょっと有利かもしれないけど、ピンクさんはどっちに付くか分からないから安心は出来ないよね此れ?
 って言うか、なのはちゃん達のそっくりさんのマテリアルも、結構な力持ってるみたい――少なくともS級エルダーグリード位はあるよねアレ…」

「間違いなく其れ位はあるだろうな……」

其れだけの力を持ったマテリアルが3体……心の底から『インチキ能力も大概しろ!』って言いたい所だが、そんな事を言っても如何にもならな
いからな……如何やら覚悟を決めるしかなさそうだぜ璃音!
アイツ等を放っておいたら、間違いなく大事になるだろうからな……そうなる前に叩くぞ!!



「OK洸君!アイドルと熾天使の力、見せてあげるわ!!」

「期待してるぜ璃音!」

復活して早々で悪いが、お前達には此処で退場して貰うぜマテリアル!!――お前達が存在してたら、間違いなくトンデモねぇ事になるだろう
からな!!










 To Be Continued…