Side:志雄


闇の欠片共をぶっ倒した直後に現れた、赤い髪を三つ編みにして青いジャケットに身を包んだ女……如何考えても、普通じゃねぇのは間違いな
いぜ……てか、如何考えてもコイツがクロノが言ってた『謎の魔力反応』の正体なのは間違いねぇだろうな。
そんで、一体何の用だオイ?



「すみません、この辺で、ピンクの髪でイエローのジャケットを身に纏った女の子を見ませんでしたか?」



なんだ、その目立ちまくる容姿の奴は?
俺は見てねぇが、なのはは如何だ?



「見てないです……って言うか、そんなに目立つ外見だったら、絶対に気付くと思いますから……と言うか、ピンクの髪に黄色のジャケットって、
 目に優しくないって言うか、見た目に痛いです。」

「まぁ、其の通りだな。」

んで、そいつが如何かしたのか?どうにも、そいつとは只ならぬ関係みたいだが……事と次第によっちゃ、俺達だって黙ってる事は出来ねぇ。
海鳴は、俺にとっては第2の故郷なんでな……其処が、危険に曝される可能性が有るってんなら黙ってる事は出来ねぇからな。
先ずは、テメェが何モンで、何が目的で俺達の前に現れたのか聞かせて貰うぜ赤毛三つ編み。











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE91
『正体不明の訪問者~Gears~』










「……其れは出来ません――私が、其れを話してしまったら、其れが原因で世界が壊れてしまうかもしれませんから。…だから、言えません…」



禁忌ってやつか……だが、テメェ等が如何考えてるかは知らねぇが、俺達は巻き込まれちまったんだ――巻き込んだ側の責任として最低限の
説明はすべきなんじゃねぇのかオイ?



「其れは其の通りですが、其れは出来ないんです!
 しないんじゃなくて出来ない!……其れで納得できませんか?」

「出来る筈ねぇだろ馬鹿野郎。」

「寧ろ、其れで納得するなら、ちょっと神経疑っちゃうレベルですよ。」



良く言ったぜなのは。
先ずはテメェが何モンで、何が目的で此処に現れたのか、其れを教えて貰おうじゃねぇか?――其れが分かれば、事と次第によっては、お前に
協力する事が出来るかも知れねぇからな。

「だから、再度問うぜ?……テメェは何モンだ?そして、何が目的だ?」

「……アミティエ。アミティエ・フローリアン。私の名前です。アミタと呼ばれています。」

「アミタさん、ですか?
 私は、時空管理局の嘱託魔導師、高町なのはです。皆は、なのはって呼んでくれます。」

「名乗られた以上は、こっちも名乗るのが礼儀か……同じく、時空管理局の嘱託魔導師、高幡志雄だ。まぁ、好きに呼べ。」

「なのはさんにシオさんですか?
 ……時空管理局とは、名前からして此方の司法組織か何かでしょうか?――其れに、シオさんは兎も角、なのはさんのような子供がもう御仕
 事をしているなんて……」



あくまで嘱託であって、正規局員じゃねぇ。能力が認められりゃ、余程の問題がない限り嘱託魔導師ってのは出来るらしいんでな。
だが、管理局の事を知らねぇとなると、コイツは、フローリアンは少なくとも管理世界の人間じゃねぇって事になるが、同時にコイツは地球の住人
でもねぇだろ?
なのはやはやて、更には俺達みてぇな『適格者』の事を考えれば、俺達の知らねぇ魔導師が居る可能性ってのもなくはねぇが、今の地球の技
術レベルで、魔法を使うデバイスを作るのは略不可能だからな。

よその管理外世界から来たか、或いは俺のような異世界人か……大穴で遠い未来から来た未来人てのもアリかもな。
まぁ、何処の出身か何てのは聞かねぇが、最低限の目的位は聞かせて貰うぜ?お前の話せる範囲って事になるがな……全く何一つ話せねぇ
って事でもねぇんだろ?



「其れは……いえ、矢張りお話しできません!
 すみません!一身上の都合により、逃走させていただきます!!」



――バビュン!!



んな!?この流れで逃走するか普通?……しかも妙に逃げ足が速いし――追うぞなのは!!



「はい!!あの~~、待ってくださーい!!」

「逃げんな、オラァ!!」

「いぃ、追って来た!?其れも速い!
 なのはさんは兎も角、シオさんのそのスピードは反則です!見た目はバリバリのパワーファイターなのに、素早さもあるって完全無欠の強キャ
 ラじゃないですか!!」



杜宮学園の100m走記録保持者を舐めんじゃねぇ。
空を飛ぶのと足の速さは関係ねぇが、飛ぶ速度だって可成りなもんだぜ?小回りは利かねぇが、直線のダッシュならフェイトとタメ張るからな!



「何と言う……ですが、此処は逃げます!バルカンレイド、ファイヤー!!

「誘導弾……なら!アクセルシューターバニシングシフト!!

『Lock on.』



――ドドドドドドドドドド……バガァァァァァァァン!!!




見事だなのは。
フローリアンの放った魔力弾に、アクセルシューターをぶつけて完璧に相殺するとはな――余程の動体視力と、空間認識能力がねぇと出来ねぇ
芸当だ。恐れ入るぜ。



「全弾撃ち落とすなんて……ならば、ファイネストカノン!!

「今度は直射砲か?
 中々の威力みてぇだが、なのはのディバインバスターに比べれば……フン!!」


――バキィ!……キラーン☆



全然温いな。
此の程度の砲撃だったら、100発位は如何にかなりそうだぜ。と言うよりも、如何にかなるな――って、なのはもフローリアンも、何で揃って顔
を引き攣らせてんだ?



「ま、まさか私のファインストカノンが弾き飛ばされるなんて……それも、その大剣でなら兎も角、素手でって……」

「高威力の直射砲を拳で殴り飛ばさないで下さい志雄さん!せめて、ヴォーパルウェポンでホームランして下さい!!」

「ん?あぁ……咄嗟だったんでな。自然と拳が出ちまったぜ。」

だが、此れでお前じゃ俺達を如何にか出来ねぇって事は分かっただろ?
自分より格下の奴に、まして女に手を上げるのは、俺の流儀に反するんでな……大人しく、俺等について来てくれねぇか?悪いようにしねぇって
約束するからよ?



「其れは非常に、有り難い申し出なのですが、事は一刻を争うのでそうは行かないのです!
 なので、当初の予定通り逃げさせていただきます!!アクセラレーター!!


――バシュン!!


んな、消えただと!?……一体どんな技を使いやがった!?
フェイトも『目にも映らない高速移動』が出来るが、アイツが今使ったのはそんなモンじゃねぇ……今のは、間違いなく『瞬間移動』か、其れに準
ずる何かだぜ。



「確かにあの速さはそうとしか言えません。
 レイジングハートにエリアサーチをかけて貰いましたけど、既に半径100メートルの範囲には居ないみたいです……まんまと逃げられました。」

「みてぇだな……」

だが、其れだけにアイツには、成さなきゃならねぇ事がるって事だ。
其れが何なのかは分からねぇが、X.R.Cでの経験が教えてくれてるぜ……今回の事は、簡単な事じゃねぇ。必ず、大事になるってな――そうな
る前に止めるのが最善なんだろうが、恐らくはそうは行かねぇんだろうな、経験則から言ってもな。








――――――








Side:はやて


さてと、クロノ君からの要請受けて、出撃したら闇の欠片がテンコ盛りで参ったで……まぁ、闇の欠片如きは、リインフォースの敵やなかったけど
な?……来る端から欠片を撃滅して、此れで全盛期よりも力が落ちてるって言うんやから驚きや。

尤も、リインフォースに任せきりやなくて、私も頑張っとるけどな!
此れで終いや、バルムンク!!



――ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!



シグナムの欠片を討つんは、戸惑ったけど、ナンボ家族の姿言うても、闇の欠片を野放しにする事は出来へんから堪忍したってや?本物の騎
士達は、闇の呪縛から解放されて、新たな人生を歩んどるからな。

「これで、この辺の欠片は粗方片付けたかなぁリインフォース?」

「えぇ、恐らくは――ですが、新たな客人が現れたようですが……隠れていないで出てこい、お前の存在は既に感知しているぞ。」





「あらぁ、バレバレだった訳ねぇん?……流石は闇の書の主に仕える騎士様って言う所かしらぁ?」





……ピンクの髪にイエローのジャケットを纏った女性……一体何モンや?
見た目だけで、只者やないって言うのは分かるけど、この人からは、何や只ならぬ執念みたいなモンを感じるで?……此れは、間違いなく並々
ならぬ覚悟を持った人なのは間違いない。
だとしたらやり辛い事この上ないで……覚悟や信念を持ってる人間以上に面倒なモンはないからな。

何にしてもまぁ、まずは話を聞かせて貰おうやないか……正体不明のお姉さん!








――――――








Side:???


うふふふ……みーつけた。
ちょ~~っと、カラーリングが異なるけど、適合率はバッチリね?――だから、悪いけれど、貴女の持っている闇の書に眠っている『砕け得ぬ闇』
は頂くわよ、闇統べる王さん?

其れが有れば、エルトリアを救う事が出来るかも知れないからね……なりふりなんて構ってられないわ。
だから、ドレだけ強引な手段を取る形になっても、アタシは其れを手に入れる。そして、エルトリアを救う一手を博士に示す!

そう言う訳だから、ちょっと覚悟して貰うわ――此れも、故郷の為だから、悪く思わないでね、闇統べる王様――













 To Be Continued…