Side:???
本気で、そんな事を考えているんですかキリエ!
確かに、滅びを目前にしたこの世界を救う為には、其れは考え得る最上の手段なのかも知れません――ですが、その方法は、その世界に生き
る人達に多大な迷惑をかける事になるんです!
貴女は其れを分かっているんですかキリエ!!
「分かってるわよアミタ。――だけど、この世界を救うには、もうこれ以外の方法は無いの!
確かにアタシがやろうとしてる事は、この世界の規模からしたら、ほんの小さな一歩でしかないのかも知れない――だけど、ドレだけ小さくても
世界は確実に前に進んでるって言う事を、アタシはパパに示したい!!」
「だとしても、他の世界に影響が及ぶかもしれない方法で、其れを成して、お父さんが喜ぶと思ってるんですかキリエ!!」
「喜ぶとは思ってないわよ!
だけど、自分のして来た事が無駄じゃなかったって分かれば、パパはきっと立ち上がってくれる……だから、此れでバイバイよアミタ……」
キリエ?待ちなさいキリエ!!!
――バシュン!!!
――く……まさかキリエがお父さんが定めた禁忌を侵してまで過去に行くなんて。……其れだけ、この世界が大事なんだろうけど、其れを見過
ごす事は出来ない!
だって、キリエを放っておいたら、きっと色んな人達に迷惑が掛かるから……だから、私は行きます!キリエを止める為に!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE90
『新たな始まり~Gears Of Destiny~』
Side:志雄
3月も、もう後半……あと2週間ほどで4月になり、なのは達も進級か。
同時に、俺達がこっちに来てからそろそろ1年が経つわけだな?――なのに、何でか、もうずっと海鳴で暮らしていたような感覚に陥るのは、そ
れだけ、俺がこの街に馴染んでるって事か。
んで、本日はなのはとフェイトと、アリサとすずかが居間のテーブルを陣取ってる……まぁ、今日はお決まりの『友達の家でランチ』の日だから特
別文句はねぇが……メニューのリクエストは有るか?
「カレーーー!!」
「私はエビフライが良いです♪」
「ふんわり卵のオムライスが良いわ。」
「ハンバーグが良いです♪」
……見事にばらけたが、いっその事、全員の希望をワンプレートで応えるとすっか。
オムライスのソースをカレーにして、付け合わせにミニハンバーグとエビフライを2つずつ添えて、其処に翠屋特製のデミグラスソースを掛ける。
――トントントントントン……ジャッジャッジャ……ジュワァァァ!
――絢爛ワンプレート×4が出来た
此れが俺流のワンプレートランチだ、食ってみろ――まぁ、言っちまえば此れは『お子様ランチ』だろうがな。
「此れがお子様ランチだって言うなら、アタシはそんじょそこらのお子様ランチを否定するわ!
オムライスの卵の半熟具合に、外は香ばしくて中はジューシーなハンバーグ、からりと揚がったエビフライに、深い味わいのカレー……この味
なら、1500円で売っても文句はないわ!バニングス財閥のハンコだって圧しちゃうわよ!!」
「あふぅ……こんなに美味しいお子様ランチは初めてです。」
「うまい!うまい!!すぷーんがとまらない!ふぉーくがとまらない!だからお代わり!大盛りで!!」
「これは、お母さんに進言して、翠屋の新たなランチメニューにしても良いかも!」
あ~~~……思った以上に気に入って貰えて何よりだぜ。てか、それ程までかなのは……まぁ、良いけどな。
しかしまぁ、闇の書事件が終わって、其の後の闇の欠片事件も無事解決出来て、今は本当に平穏無事って感じだが……此れまでの経験から
すっと、そろそろ何か起きそうな気がするぜ。
ジュエルシードの半年後に闇の書、其の2週間後にはリインフォースの復活、でもって其の後すぐに闇の欠片事件だからな?何もない平和が3
ヶ月も続いたってのは、嵐の前の静けさのような気がしてならねぇ。
「おかわり!カレーおおもり!!」
「……もう2度目のおかわりか?大した食欲だぜフェイト。
まぁ、飯が美味く食えてる内は、何が有っても大丈夫だがな。折角だから、カレー大盛りと言わずに、エビフライとハンバーグも持ってけ。」
「わーい!!」
「見ていて気持ちよくなる位の食いっぷりね。
フェイトをレトルトカレーとかの宣伝に起用したら、その商品は飛ぶように売れんじゃないかって思うわ。」
「にゃはは……否定できないかも。」
「見てるこっちの方が笑顔になっちゃうからね、フェイトちゃんの食べっぷりは。」
マッタクだ。だが、其れでこそ作り甲斐が有るってモンだけどな。
さてと、俺も午後のシフトに備えて飯にするか――つっても、なのは達に作ったのと同じモンだがな。……うん、我ながら上出来だぜ此れは。
ごちそーさんと。
俺は仕事に戻るが、冷蔵庫にデザートの『フルーツ白玉』が入ってるから、食べといてくれ。
「は~い!で、此れで翠屋の新メニュー2品目が追加だね♪」
「色々マテやオイ……」
流石にそう簡単には行かねぇと思うんだが、桃子さんはなのはの舌に絶対の信頼を寄せてっから、なのはがGOサイン出したモンは、まず間違
いなく商品化されるから、なのはの言う事を否定も出来ねぇか。
――タラララタ~タタ~タララタ~ララ~タララタ~ラタッタタラタララ~ラ~ラ~ラララタラララ~タラ~ラ~ラララ(Soul to Barnサビ)
ん?コイツは俺のサイフォンの……クロノからの通信か。
マリーが、俺達のサイフォンを改造して、なのは達が使ってるデバイスの光学モニターみたいなのが使えるようになったんだが……クロノから通
信とは珍しいな?
アイツが俺と世間話とも思えねぇ……此れは、俺の予想が当たっちまったパターンかもな。
――ピ
「よう、闇の欠片ぶりだなクロノ?執務官として忙しそうだってフェイトから聞いたが、元気そうじゃねぇか?」
『多忙でも充実しているし、優秀な補佐官が居るからね。其れなりに元気にやっているよ志雄。――フェイトとなのはも一緒に居るかな?』
居るぜ、なのはとフェイトが1人ずつな。
「あれ~?どったのくろの?僕に会いたくなったのか~~?」
「それとも、何か事件でも起きたのかな?」
『まぁ、両方否定はしないな。闇の欠片事件から、ずっと管理局に缶詰め状態で家には帰ってないからね。
そしてなのは、君の言う通りだ――いや、まだ事件と決まった訳じゃないんだが、海鳴で奇妙な魔力パターンを捉えたんだ。』
やっぱり何か起きやがったか。
しかし、妙な魔力パターンだと?そいつは一体何なんだクロノ。
『ハッキリとした事は、今の段階では分からない。
だけど一つだけ言えるのは、この魔力パターンは、3ヵ月前のあの時に――闇の欠片事件の時に観測された物とよく似てるんだ。』
「「「!!!」」」
マジかオイ?
3体のマテリアルを倒し、闇の欠片は消滅した筈じゃなかったのか?其れが、なんで今また……
『分からない。
だが、厄介な事に、この魔力反応の他に、此れまで見た事もない魔力反応も2つ捉えているんだ――恐らく、この2つの魔力反応も、闇の欠
片に酷似した魔力反応と無関係じゃないと思うんだ。』
「更に正体不明の魔力反応とはな……となると、俺達はまた嘱託としてお前の指揮下に入って調査に当たれば良いのかクロノ?」
『形式上はそうなるが、君達を、僕の指揮系統下に入れるつもりはないから、君達は君達で独自に動いてくれていい。
そちらの方が互いにやり易いだろうし、僕としても気が楽だ――グレアム提督もリーゼ達に協力させると言っていたからな。』
グレアムの爺さんにも根回し済みか。
なら、俺達の返事は一つしかねぇ――任せときなクロノ。
俺にとって海鳴は、杜宮と同じ位大事な場所だ。其処に新たな脅威が迫ってる可能性が有るってんなら、其れを片っ端からぶっ潰してやるだけ
だぜ!!
「他者の領域は侵さずとも、己の領域に土足で入り込んで来た無法者は倒すのがBLAZEの流儀だから、私もやらせて貰うよクロノ君!!」
「なのはとシオがやるなら僕もやる!シオのとくせいらんちでぱわーをちゃーじしたいまの僕は、ごじらにだって勝つことができる!!」
「否定できないのが怖いわ此れ。」
「フェイトちゃんなら、素手でガンダ○倒せるかも。」
「たおす!だって僕はさいきょーだから!!」
ま、そう言うこったから、構わねぇだろクロノ?
『寧ろ頼りになる……頼んだ。』
任せな。
だが、そうなると時坂達も連れてかねぇとだから、恭也さんと美由希にシフト入って貰わねぇとな――恭也さんが入る場合は、月村家から忍とメ
イド2人が援軍で来るから、戦力的には問題ねぇしな。
そんじゃ、行くとすっか!!
「うん!だけど、デザートたべてからね~~♪」
「あ、此れは食べとかないと損だから♪」
フェイト、そしてお前もかなのは……ならさっさと食っちまえ。食ったら出撃すっからな!!
――――――
Side:なのは
志雄さん特製のランチとデザートを味わった上で出撃!
2人1組のチームで、チーム分けは何時もの様に、私と志雄さん、フェイトちゃんとアルフ、洸さんと凛音さん、明日香さんと美月さん、空さんと祐
騎さんで、はやてちゃんははやてちゃんでヴォルケンリッターの皆と動くみたい。
で、クロノ君から転送して貰った魔力反応のポイントに来たんだけど……居ましたね志雄さん――闇の欠片が。
「予想通りと言えば其れまでだが、まさか本当に現れてたとはな。
此奴らが現れたって事は、闇の欠片事件で現れたマテリアル達は、倒しきれてなかった可能性があるか――コイツ等がこんだけ現れたって
事を考えると、マテリアルがテメェの復活の為のエネルギーを集めるのに欠片を使ってるって考える事も出来るからな。」
「其れは言えてます。」
でも、仮にそうだとしても、そう簡単には行かないよ?
だって、海鳴には私達が居るから!大事なこの街で、好き勝手を許す訳には行かないの!私達の姿を模した闇の欠片だからって、怯む事なん
てないよ!
寧ろ、皆を真似されるのはちょっと頭に来るからね!!纏めてやっつけてやるの!!
「よく言ったぜなのは!
仲間を穢したクソっ垂れの事は許しちゃいけねぇ……BLAZE魂で一番大事なのは、仲間を大切にする事だからな!お前のBLAZE魂は本物だ
ぜなのは。」
「私だって、BLAZEの一員ですから♪」
「そうだったな……なら、BLAZEらしく派手にブチかますとすっか!!」
「了解です!!」
敵は無数の私とフェイトちゃんとシグナムさんだけど、劣化コピーに過ぎない闇の欠片じゃ、私と志雄さんに勝つ事は出来ない!全部纏めて倒
してあげるよ!!
――ただいま戦闘中だから、少し待ってね。
「フレアスラッシュ!!」
「アクセルシューターアラウンドシフト!!」
――戦ってるから待っててね?
「オォォラァ!ブラストエッジ!!」
「ディバインバスター!!」
――もう少しで終わるから待っててね♪
「喰らいやがれ!イグニスブレイク!!」
「ハイペリオンスマッシャー!!」
――ドゴォォォォォォォォォン!!
「はっ!出直してきな!!」
「私達を倒すには、役者不足です。」
志雄さんのイグニスブレイクが闇の欠片を切り裂いて、私のハイペリオンスマッシャーが闇の欠片を貫いて鎧袖一触!因みに、此処までの所要
時間は僅かに3分!カップ麺1個分の調理時間ですね志雄さん。
「インスタント麺は、調理目安時間マイナス1分が食べ頃だぜなのは。
特にノンフライタイプのインスタント麺は、時間通りに調理したら面が柔らかくなり過ぎっからな。」
「成程、良い事を聞きました。今度カップ麺を食べる機会が有ったら試してみます。」
「チキンラーメンに卵落とすときは、あらかじめ卵を常温に戻しとけよ?そうじゃないと、CMみたいに上手く固まらねぇからな。」
「了解です♪」
さてと、この場に現れた闇の欠片は掃討したけど、新たに現れたあの人は闇の欠片じゃないですよね?
真紅の髪を三つ編みにして青い服を着たお姉さんは……若しかして、この人がクロノ君が言ってた『見た事もない魔力反応』の1つなのかな?
だとしたら、見過ごす事は出来ないよ。
貴女が誰なのか、先ずは教えて貰います。正体不明のお姉さん!!
To Be Continued… 
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