Side:リインフォース


ふぅ、マッタクもって闇の欠片と言うのは厄介なモノだな?
私達の過去を再現している上に、戦闘データも可成り高いレベルで再現されているから、そう簡単に倒せる相手でもない……私に全盛期の力
があったのならば、一撃で全てを吹き飛ばしてやれるのだがな。

しかし、復活した私には嘗ての力はない……其れでも並の魔導師よりは遥かに強いのだろうが、嘗ての力を知っている私としては、此の程度の
戦闘力では少し物足りない感じだな。

だが、それでも――

「穿ち貫け、ナイトメアハウル!

「いてまえ!バルムンク!!


――ズガァァァァァァァァァン!!!



我が主の足手纏いになる様な事はないけれどね。

それにしても、随分と腕を上げましたね我が主?あれ程の直射砲を発射する事が出来るとは驚きました……流石ですね、我が主。



「ま、此れ位は出来へんとな♪
 それに、闇の欠片なんて言うモノを見過ごす事は出来へんて……やから、もう少し頑張って、闇の欠片を処理して行かなあかん。気張るで!」

「はい、異論はありませんよ我が主。」

先ずは闇の欠片を全て討ち倒すのが先決ですからね。











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE82
『Ein Stuck dunkler Akolyth』










そして、今は主と別行動をとって闇の欠片を掃討していたのだが……まさか、私自身が現れるとは思っても居なかったよ。
見てくれは殆ど同じだが、顔や腕に入った紋様と、腕と足のベルトがある限り、此れは私自身ではなく『闇の書の意志』と言うのが正しいのだろ
うな……闇の書だった頃の私か。

「まさか、私自身がその姿と対峙する事になるとは思っていなかったよ。
 姿形は同じと言えど、紋様とベルトがあるだけで此処まで印象が変わるとは思っていなかったがね……何れにしても、排除させて貰うぞ?」

「出来るかな?
 嘗てのお前ならばいざ知らず、一度消滅して力が落ちたお前では私を倒すのは難しいのではないか?――私は、闇の書其の物と言っても過
 言ではないのだからな。」

「!?」

コイツ……ただ過去を再現した闇の欠片ではなく、明確な自我を持っているのか?
『夜天の魔導書の管制人格』である私をコピーしたのではなく、『闇の書の管制人格』を再現していると言う事か……だが、そうであるならば倒
す前に少しばかり情報を引き出しておいた方が得策だな。

「闇の書其の物か……確かに、お前から感じる『闇』の魔力は、闇の書であった頃の私と遜色ないと言えるだろう。
 闇の欠片だけでなく、お前の様な存在まで作り出してしまうとは、マッタク持って闇の書の業は深いモノだな……私の復活が全ての原因なの
 だろうが、お前達は一体何が目的なのだ?」

「闇の書の復活だ。
 闇の書の闇は吹き飛び、お前も一時消えてしまっていたが、お前が復活した事で闇の書の構成素体『マテリアル』もまた復活し、闇の書を再
 構築せんと活動を開始し、その影響で闇の欠片が現れたのだ。
 そして闇の欠片は私達にとっても都合のいい物だった――お前達と戦う尖兵としては機能するし、マテリアル達が倒した場合は其の力となる
 のだから。」



マテリアル……高幡やテスタロッサが戦ったと言う、高町やテスタロッサを模した存在の事か。
既に高町とテスタロッサを模した存在は、夫々のオリジナルに倒されたと言う事だから残るは1体……その最後の1体は、消去法で考えると恐ら
く我が主を模しているのだろうな。

まぁ、其れは良い、予想していた事だからね。
だが、闇の書の復活と言うのは見過ごせんな?――我が主達が文字通り命を懸けて砕いたアレを、もう一度この世に出現させるなど、認められ
る筈がないだろう?

私は復活したが、其れはあくまでも夜天の魔導書の管制人格としてだ……闇の書は、二度とこの世に存在してはならない物だ!
だから、此処でお前を倒し、最後のマテリアルも討って其れを止める!!



「出来るのか?今のお前に……私よりも魔力の少ないお前に。」

「戦いは魔力の多さや大きさで決まるモノではない――私と戦った者達が其れを教えてくれたからね。」

「下らないな……ならば早々に消えろ!穿て、ブラッディダガー!!



ブラッディダガーか。
自分自身の魔法だから良く分かるが、威力と精度は今の私よりも上か……上下左右の全方位から放たれる真紅の刃は避けようがないが、避
ける事が出来ないのであれば、強固なバリアで防ぐだけの事!


――ギュルン……ガキィィィィィン!!


「なに?……其れは!!なぜお前が其れを使っている……湖の騎士のペンデュラムを!!」

「何だ、忘れたのか?
 私は夜天の魔導書の管制人格だぞ?私自身はデバイスを持っていなくとも、守護騎士達のデバイスの複製品を使う事は可能だ。
 いや、複製品と言うのは語弊があるな?
 騎士達のデバイスは、元々管制人格である私が、騎士達の能力に合わせて設定した物だから、私が使う此れもまた本物と言えるか。」

それがどういう事か分かるか闇の書の意志()よ?
私は、本来の体術と魔法に加えて将の剣術、鉄槌の槌術、湖の防御術を全て100%の力で使う事が出来るのだ――行くぞ、レヴァンティン!


『Ja!』

「馬鹿な……此れは、この剣技は烈火の将と同じ?……いや、それ以上だと!?」

「もう一つ教えておいてやる。
 管制人格である私は、守護騎士達に何らかのバグが発生して書の主の制御が効かなくなった時の為のセキュリティが設定されていて、守護
 騎士達を上回る剣術、槌術、防護術に体術が設定されているんだ。
 故に、私の剣術は将の其れを上回る!!」

「ちぃ!!」


――ガキィィィン!!!



……私の袈裟切りに対して、咄嗟に左腕にナハトヴァールを展開して其れを止めたか――まったく、そんな物まで再現して来るとは予想外を通
り越して感心してしまうよ。
だが、アレが展開された以上はレヴァンティンで戦うのは得策ではないな……戦乱期のベルカでも滅多にお目にかかれない剛性を備えている
レヴァンティンだが、ナハトヴァール相手では不利か。――パイルバンカーと打ち合う事は出来ても、シールドを破る事は出来ないからな。

しかしやりようはある。
復活した際に無くなってしまったかと思ったが、闇の書の意志として取り込んだ魔導は当然として、一時吸収した者達の力もまた私の力として残
っているからね。

吼えろ、ヴォーパルウェポン!!



――ジャキィィィィン!!!



「其れは、あの剛腕の剣士の!!」

「ソウルデヴァイスだな。
 尤も、此れは本当にコピーなので、本来の形ではなく、私が使いやすい形(マスターコアを風属性に変えた際の形)で再現されたがね。」

だが、お前()の夢の世界を力で脱出した彼の剣の力は、将のレヴァンティンを凌駕する――攻撃力だけならば、間違いなく現存するアームド
デバイスと比べても圧倒的さ。
だからこそ、お前に勝ちはない。
如何に、闇の書の闇の再構成体とは言え、オリジナルには及ばないのだからね……吹き飛べ、イグニスブレイク!!



「ぐ……!!」

「未だだ!!喰らえ、ドラゴンインストール!!

高幡の必殺技だ。
吸収した際に得たデータを再現したものだが中々の物だろう?――マッタク、此れだけの重装武器を片手で軽々扱うとは恐れ入るな本気で。

だが、如何やら此れすら決定打にはならないみたいだなコイツには。
ナハトヴァールのシールドは半分の大きさにしてやったが、パイルバンカーはまだ健在だし、コイツ自体もダメージが即時回復しているみたいだ
から、倒すのは簡単ではない――其れこそ、一撃で全てを消し去る様な攻撃でないと無理か。
ならば、あの小さな勇者のアレを使わせてもらうしかないな。



「まさか此処までとは……如何やら侮っていたようだ。
 だが、私は限りなく不死に近い存在……私の回復力を上回る攻撃で私を完全に消さない限り、私は何度でも復活する。更に強くなってな!」

「その様だな……だが、其れはもう永遠に訪れない可能性の話だ。」

「なに?」

「お前は、既に詰んでいるんだよ。」



――ギュル……ガシィィィィ!!!



「!!……こ、此れは!!」

「高町のレストリクトロック、テスタロッサのライトニングバインド、そして湖の騎士の戒めの糸の三重バインドだ……夫々が単体で最強レベルの
 拘束魔法であるから、其れの三重掛けを解く術はない。
 貴様は今度こそチェックメイトとなったんだ!!」

だから、此れで終わりにする。
私を解放してくれた小さき勇者からコピーしたこの技で終わりにしてやる!!!



「そ、其れは……!!」

『Starlight Breaker.』

「咎人達に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け極光!スターライト……ブレイカァァァァァァァァァァァァ!!!

此れで終わりだ!完全に消えてしまえ、闇の書の残留思念よ!!



――ドガァァァァァァァァァン!!!



「ぐ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「お前はたしかに、今の私よりも力は強いだろう――だが其れだけだ。
 全盛期の力を失ったとは言え、今の私には守りたい物がある、守りたい世界がある!何よりも、守りたい人が居る!守るモノが有るからこそ、
 人は何処までも強くなる事が出来る!
 お前はたしかに強いが、その守るべき物がない!だから、お前は私には勝てないんだ!」

「守るべき物……其れがお前の強さの根幹か――完敗だな。
 だが、この先に待ち受ける最後のマテリアルはそれだけで勝つ事は出来ん――奴はマテリアルを統べる王であり、闇其の物だからな。
 真なる闇と相対して、お前が守るための戦いを貫けるか楽しみだ……」



ならば、地獄の淵で見て居るが良い。
私達が紡ぐ、新たな夜天の軌跡と言うものをな!!








――――――








Side:はやて


リインフォースと別行動になって、闇の欠片を適当に葬って来たんやけど、闇の書やった頃のリインフォースとやり合う事になるとは思わなかった
わ流石に。
まぁ、其処は此れまでの訓練とかで何とか凌ぎきったけど……ゴッツ辛かったわぁ。
劣化コピーとは言え、元がリインフォースやから戦闘力はトンでもなかったけど、なのはちゃんから教わったA.C.Sを駆使しての中距離戦とバインド
からの直射砲をブチかましてやったら大人しくなって消え腐ったわ…尤も、コイツは中ボスで、ラスボスは最後のマテリアルって事何やろうけど。

さてと、無事かリインフォース?



「我が主、大丈夫ですよ。
 過去の私と一戦交えましたが、勝ちましたので――其れよりも、貴女の方は大丈夫なのですか?」

「ちょ~~っと、騎士服の肩口が吹き飛ばされたけど大丈夫や。」

本物のリインフォースが相手やったらヤバかったけど、相手は所詮劣化コピーやったからな?
其れなりに苦戦はしたけど、本物のリインフォースには及ばへんから返り討ちにしてやったわ!!

でも、アイツは散り際に『闇統べる王が復活して、闇の書は蘇る』ってな事を言ってたら其れが気になってな……如何考えたって、嫌な予感しか
せんてモンやで。



「でしょうね……そして、如何やら現れたようです。」

「へ?」







「ふ……ふはははははは!!
 満ちる!満ちるぞ、この身体に圧倒的な力が!!我こそが闇統べる王!!闇の書の構成素体を取りまとめる絶対の王よ!!!
 平伏せ愚民ども!貴様等が王の顔を見ようなど図が高いにも程がある!頭を地面に擦り付け、我の威光に恐れ戦け、そして崇めよ!」





此れは……私の姿を模したマテリアルか?
なんちゅーか、此れは存在その物が私の黒歴史になりそうな存在やんか……てか、自らを『王』と名乗るとか、治療不可の重度の中二病や!

何とも強烈なんが現れてくれたけど、此れがマテリアルの王やって言うんなら打ち倒すだけやで。

この世界に、もう闇の書は必要あらへんからな――そんな不必要なモンを復活させようって言うなら、全力で打ち倒したるで!!

其れが、最後の夜天の魔導書の主たる、私の使命やろうからね!!――覚悟せいや、厨二王!!











 To Be Continued…