Side:アルフ


『力のマテリアル』を名乗る、フェイトそっくりの金色のガキんちょが出て来た訳なんだが、マッタク持ってコイツの目的は物騒極まりないねぇ?
闇の書を復活させるなんて、冗談も大概にしろって言うんだ!



「お前のやぼーは、今ここで僕がとめてやる!
 かくごは良いなまてりある!さぁ、かかってこーい!!」

「かかって来いって言いつつ、自分から攻撃してくるって……だけど、君を倒せば私達の目的成就に一歩近づくからね……倒させて貰うよ。」



フェイトも同じ気持ちだったのか、全身に蒼雷のオーラを纏わせてやる気十分だね。
フェイトに言われたからアタシは手出ししないけど、幾らフェイトの容姿を真似たと言え、アンタ如きはフェイトの敵じゃないよ力のマテリアル?

『力のマテリアル』を名乗っている以上、アンタも自分の力には大層自信があるんだろうが、フェイトの力はアンタが考えてる以上にトンデモナ
イレベルだからね?

ぶっちゃけ、パワーとスピードに限定すれば、フェイトに勝てる奴は存在しないって、アタシはそう思ってるからね。

まぁ、精々その身に刻み込むと良いさ――フェイト・テスタロッサって言う魔導師が、如何に凄い奴なのかって言う事をね!!


やっちゃえフェイト!なのはじゃないけど、全力全壊だよ!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE81
『力と力の全面対決!~Powerfall~』









No Side


フェイトと力のマテリアルの勝負は、序盤から小細工無しの真っ向勝負と言う形になってた。
フェイトが己のパワーとスピードを最大限に発動して攻撃するのに対し、力のマテリアルは的確な動きでフェイトの攻撃を躱し、其処にカウンタ
ーを放って行く。

通常ならばカウンターは一撃必殺の技であり、喰らえばKO必死なのだが――


「いったーい!今のは効いたぞまてりある!!」

「可也本気で撃ち込んだのに無傷って……回復能力も凄いんだねオリジナルは。」


体力バカかつ元気があれば何でもできるを体現したフェイトだからこそ、必殺が必殺になり得ない。
序に言うと、フェイトは無意識的にカウンターを喰らう直前に僅かに点をずらしてダメージを逃がしていたのだ。此れでは必殺のカウンターであ
っても威力は半減どころではなく、本来のダメージは期待できないのだ。


「って言うか、ちからのまてりあるをじしょーするなら、かうんたーだけじゃなくて、お前も攻めてこいよまてりある!
 お前は僕をこぴーしてるんだろ?それなのに、攻めずにかうんたーを狙うだなんて僕にたいするぼーとくだぞー!とにかく攻めてこーい!」

「相手に攻撃して来いって言うのは如何かと思うけど、其れが望みならそうしてあげる。
 私は雷神、雷の早さに付いて来れるかな?」

「なにおー!スピードしょーぶなら負けないからな!!」


そこでマテリアルは、フェイトに言われたと言う事もあってカウンター狙いの『待ち』の戦いではなく、自分から攻撃する『攻め』の戦いへとシフ
トし、金の雷を巻き散らしながら攻撃開始。
対するフェイトも、マテリアルが攻勢に出て来た事に大喜びすると、此方は蒼雷を巻き散らしながらマテリアルに突撃!

其れは正に常人の目には映らない雷速のバトル。
人より五感が優れている狼がベースであるアルフですら、目で追う事が出来ず、音と嗅覚を使って如何にか戦いを負う事が出来ている状態
なのである。


「あ~~~~っはっは~~!やるじゃないかまてりある!
 さすがはだてに僕のことをまねてないな。スピードとパワーは、たしかに僕にひってきしてるみたいだ。さすがは僕、コピーされても強い!」

「それって、自信持つところなの?オリジナルは、良く分からないね。」

「はっはっは、それが僕だから!
 だけどなまてりある、お前じゃ僕にはかてないぞ~~?お前はたしかにのーりょくまで僕のをこぴーしてるみたいだけど、それってけっきょく
 は、ぼくのまねっこってことじゃん。」

「其れが如何したの?」

「にせものはほんものには勝てないってはなし。
 どれだけ完璧にまねたってにせものはにせものでほんものにはかてないんだぞ、しらないのか?
 そう、ドレだけせーこーにシリコンゴムでさいげんしたとしても、でぃすぷれいようのにせものシュークリームじゃ、モモコのさいきょーシューク
 リームをこえることはできない!」

「……食べ物とシリコンのサンプルを比較するのが間違ってると思うんだけど……」


にも拘らず、戦ってる本人達の会話内容は何ともあほくさいと言うか馬鹿らしいと言うか……
否、フェイトの言っている事自体は間違いではないのだが、例えが余りにも極端と言うか、比較の仕方が間違っているせいで何とも締まらな
いのである。


「でも、精巧に出来た偽物は、時に本物以上に美しく見える場合もあるんだよオリジナル。――私の本気を見せてあげる。」


そんな中で、マテリアルは手にしたデバイスを、此れまでの戦斧型から身の丈の倍はある大剣型へと変形させる。
其れは見間違う筈もなく、フェイトのバルディッシュのフルドライブ形態である『ザンバーフォーム』その物であり、違うのは魔力刃の色が金色
であると言う事だろう。
フェイトの力を存分に発揮できるようにとマリーが追加した形態をもコピーしていると言うのは脅威ではあるが……


「あ~~~!まてりある、なんでお前がザンバーを使えるんだよ!アレは僕だけのだぞ!僕のきょかなくかってにつかうんじゃなーい!!」


其れを見たフェイトは大激怒!
微妙に怒る所がおかしいような気はするのだが、自分の切り札であるザンバーを模されたと言う事は、フェイトにとっては業腹だったらしい。


「あったまきた!お前がそのきならやってやる!ばるでぃっしゅ!!」

『Yes sir.Zamber foam.』


すぐさまバルディッシュをザンバーフォームに変形させ、大剣の切っ先をマテリアルへと向ける。
その刀身には、バチバチと蒼銀の雷がスパークしており、大剣の迫力を更に増しているように見える。


「これが僕のザンバーだ!だからお前はそれしようきんし!」

「え?其れは、幾ら何でも理不尽なような気が……」

「りふじん?りふじんなら、ありさの家にあるぞ?」

「フェイト、そりゃ理不尽じゃなくてリムジンだよ……
 っていうか、別に良いじゃないか真似たって。所詮は真似事なんだから、フェイトのザンバーには敵わないって。」

「ダメなの!アレは僕のなの!!
 身のたけいじょーの剣をかれーにふりまわすのがカッコいいのに、マネされたら僕のカッコよさがはんげんしちゃうじゃないか!なによりも、
 なのはが『カッコいい』って言ってくれたのをまねされたのがめっちゃムカつく!!
 だからお前はぶったおす!」

「何か釈然としないんだけどなぁ……と言うか、君と戦ってるとペースが乱されるね如何にも。」

「とにかくかくごしろー!!」


ザンバーを展開してもアホの子はアホの子であり、マテリアルに理不尽な文句を吐いたかと思うと、再び突撃して戦闘再開。
フェイトもマテリアルも身の丈の倍以上ある大剣をぶん回しての大迫力バトルが新たに展開され、蒼銀の刃と黄金の刃がかち合うたびに激し
いスパークが発生し戦闘の激しさをうかがわせる。

先程の様に目にも映らない高速バトルではないが、此れだけの大型武器で目にも留まらぬ剣戟を展開しているフェイトとマテリアルの力量は
並大抵ではないだろう。
普通だったら振り下ろすか薙ぎ払うかの2択になる大型武器で、斬り下ろしと払い斬りだけでなく、袈裟斬りや逆袈裟斬りまで繰り出している
のだから。

力量は正に互角。
そうなると、後はスタミナ勝負と言う事になるのだが、フェイトと其れを模したマテリアルのスタミナは略無尽蔵であり、どちらかが先にへこたれ
ると言う事は期待できないだろう。

其れを考えると、この戦いは長丁場が予想されるのだが……


「いっくぞー!ぱわーぜんかーい!!」

「!?」


此処でフェイトが仕掛けた。
魔力を使っての瞬間加速でマテリアルの懐に飛び込むと、其処から袈裟斬り→払い斬り→大回転斬りのコンボを炸裂させる。
此れだけならマテリアルは懐に入り込まれても躱す事が出来るのだが、問題は其の後だった。


「これをかわせるかまてりある!くらえ~~!!
 お~~~りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ
 りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ
 りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ
 りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ
 りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ
 りゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁぁ!!」



なんとフェイトは、あろう事かザンバーフォームのバルディッシュで目にも留まらぬ連続突きを敢行!
志雄ですら、自らの身長を越えるヴォーパルウェポンでの突き攻撃は出来なかったと言うのに、身の丈の倍以上あるザンバーフォームで連
続突きを繰り出すとは、確かにフェイトのパワーは凄まじい様だ。

そしてこの連続突きを防ぐ手段がマテリアルにはない。
此れがもしも、なのはを模した『理のマテリアル』ならば、コピーした防御の高さでこらえる事が出来たかもしれないが、力のマテリアルはフェイト
を模している為、パワーとスピードに関しては最高レベルであっても、防御に関してはザルなのだ。
そもそもにして、フェイトのバリアジャケットは『攻撃が当たらないのなら装甲は必要ない』と言う極端な考え方から構成されているせいで、防御
能力は無いに等しいのだ。

そんな所にRUSH134HITの連続突きを繰り出されたら堪った物ではない。
たちまちマテリアルのバリアジャケットはズタズタに引き裂かれ、マントに至っては殆ど原型をとどめていない状況に――恐らく、本体に入ったダ
メージも甚大だろう。


「これでとどめだ~~!!せ~~の、ランディ・バース!!」

『Jet Zamber.』


だが、フェイトはトドメとばかりに、マテリアルを雷神滅殺極光斬で殴り飛ばしてホームラン!――なんでフェイトが、某関西の虎軍団の名外国人
選手を知っていたのかは謎だが、しかしこれは間違いなく決定打になっただろう。



「く……まさかこれ程だなんて……君は、強いんだねオリジナル。
 如何やら今回は私の負けみたいだけど、此れで終わりじゃない……私は何時の日か必ず蘇る。だから、その時は必ず君を倒しに行くよ。
 私が君を倒すその時まで、誰にも負けないでよオリジナル?」

「ごっめーん、相手がなのはやシオだと負けないやくそくは出来ない!!」

「其処は嘘でも、負けないって言う所じゃないかな?」

「あっはっは!自慢じゃないけど僕ってウソがつけないんだよね。ウソついても顔に出ちゃうからバレバレってことだからね。だから、不確定な事
 は言わないに限るんだよ!」

「だからって……言うだけ無駄だね此れは。」



決着がついてもフェイトとマテリアルは其のままである。
敗北したマテリアルの身体が光の粒になって消えていくのを見る限り、フェイトが勝ったのは間違いない様だが、勝ってもフェイトはフェイトだった
ようである。



「私は負けたけど、マテリアルは私だけじゃない。
 私達の悲願は、必ず残ったマテリアル達が成し遂げる――其れが成された時、君は一体如何するのか、楽しみだ。」

「へ?決まってんじゃん、まんがいちにお前達のもくてきがはたされても、僕は僕らのまえにあらわれたやつをうちぬいて、ぶったぎって、スラッシ
 ュするだけだ。
 お前達のもくてきがうまくいっても、このせかいに僕となのはとシオがいるかぎり、やみがはびこることはない!!」

「ふふ……流石はオリジナル、一切の迷いがないよ。――なら、再び現れるその時まで、地獄のふちで君の活躍を観察させて貰うよフェイト・テ
 スタロッサ。」

「いいぞ~~!思いっきりみてろ~~~!!」

「フフ……君と戦う事が出来て良かった――バイバイ、オリジナル。何時の日かまた会おう。」

「うん、ばいばーい!」



そして、マテリアルの姿は光の粒となって消えさった。
フェイトと力のマテリアルの戦いは能力値を攻撃力とスピードに全振りした最強のアホの子であるフェイトに軍配が上がったのだった。




残るマテリアル――あと1体。











 To Be Continued…