Side:???


……マテリアルLの起動を確認。容姿に『フェイト・テスタロッサ』のデータを使用……イグニッション。

「顕現成功。
 ……現状確認――既に、王と理のマテリアルは目を覚まして活動を開始した。となると、力のマテリアルである私も、『力』の魔力を集めない
 とだね?其れが全て集ったその時に、闇の書は復活する訳だからね。
 行こう、バルニフィカス。」

『Yes sir.』



どれだけの魔力を集めれば良いのかは分からないけど、目についた魔導師や騎士達を倒して行けば、必要な魔力は自然と集める事が出来
る筈だから、ターゲットになりうる相手を見つけたら倒すだけだ。

そして闇の書を復活させ、永遠の闇を手に入れて、私は飛ぶんだ――死と殺戮の渦巻く、あの闇の中に。

その目的を達成するためにも、誰の邪魔もさせない。



「……フェイトちゃん?」

「邪魔だ、消えろ闇の欠片。」

其れが、例え闇の書が副産物として生み出した『闇の欠片』であってもだ。
フェイト・テスタロッサの友人である『彼女』の欠片をけしかければ、私を如何にか出来ると思ったんだろうけど甘いよ?――私は『力』のマテリ
アルだから、目の前に現れた障害は排除するだけなんだよ?……襲う相手を間違えたね。

でもまぁ、此の程度でも少しは復活の足しになるかもしれないね?……焦らずに頑張って行かないとだ。










リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE78
『対闇の欠片、海鳴絶対防衛線』









Side:志雄


つー訳でだ、リインフォースが復活した事が原因で、海鳴の各地に『闇の欠片』って言う、俺達の記憶に呼応して姿を変える奴等が現れてるら
しいんだ――強さは大した事はねぇみたいだがな。

だからと言って、野放しにできる連中でもねぇ。
闇の欠片を放っておいたら、その欠片が何をするか分からねぇからな?――例えば、なのはを模した欠片がスターライトを海鳴に撃ち込んだ
ら、トンデモねぇ大災害になるのは間違いねぇだろ?



「それは、確かにそうっすね……となると、速攻で闇の欠片を倒さないとダメじゃないっすか志雄先輩?」

「ま、欠片を倒す事が根本的な解決になるかどうかは分からないけど、態々自分から現れてくれたバグを駆除するって言うのは難しくないから
 ね?って言うか、幻影なら、見知った相手でも遠慮はいらないし。」

「ドライだね祐騎君?」

「そりゃあドライにもなるよ空?
 例えばX.R.Cのメンバーが操られて襲って来たって言うなら、攻撃するのを戸惑うだろうけど、相手は倒せば消える上に実力的にも劣化コピ
 ーって事だから躊躇も何もないって。
 其れに、バグってのは早い段階で取り除いた方が良いってモンだからね。」



今回は四宮が正しいな。
仲間が操られてるなら兎も角、今回出て来たのは俺達を模した劣化コピーだから遠慮はいらねぇ。見つけたらぶっ倒す、シンプルなモンだろ。



「ですけど高幡先輩、闇の欠片は本物と見分けがつかないんですよね?
 其れは少々厄介じゃないでしょうか?もしも、本物を偽物と間違えたりしたらとんでもない事になってしまいませんか?」

「そいつに関しては大丈夫だ。
 闇の欠片ってのは、『過去の俺達』を模してるから、言動やら何やらがオカシイな事になってやがってな……俺となのはの前に現れた守護
 騎士の欠片は、闇の書完成の為の魔力を集めてる時のモンだった。
 だから、見つけた奴の言動に注意してれば見極めるのは難しくねぇ――例えば、仲間を頼る事をしてなかった頃の俺や、お前が出て来たら
 流石に欠片だと分かるだろ柊?」

「そ、其の事は言わないで下さい!」

「ほ~~んと、あの頃と比べると性格が丸くなったよな明日香は……いや、今の方が素なのかも知れねぇが。」

「へ~~~……ちょっと、その頃の明日香を見てみたいわね?」

「時坂君!凛音さんも!!」



はは、まぁ、俺も柊もあの経験があったからこそ、仲間を頼る事を知ったんだから恥ずべきモンでもねぇだろ。
さてと、其れで闇の欠片だが、海鳴の何処に現れるか分からねぇから、俺達と夜天一家で海鳴中を見回るしかねぇんだ現状では。事の次第
は、リンディさんにも報告してあるから多分クロノも来てくれるとは思うけどな。

夜天一家の方は、夫々バラバラに動くらしいが、俺達の方はX.R.Cの基本であるツーマンセルのチームで動くとしようぜ?
闇の欠片が同じ場所に2体以上現れる可能性ってのは否定出来ねぇから、2人1組で動けばそう言った事態にも対処できるからな。別にそれ
で異論はねぇだろ?



「そっすね。『事に当たる時はツーマンセル』が基本すから。
 となるとチーム分けは……匣の攻略をやった時の分け方で、フェイトちゃんだけアルフと組んでもらえば良いんじゃないっすかね?
 志雄先輩となのはちゃんとは別チームになっちまうけど、其れでも良いかフェイトちゃん?」

「おっけ~~、だいじょーぶだよコウ!
 たしかにシオとなのはは強いからたよりになるけど、僕にとってアルフはながねんいっしょに居たしんらいできるあいぼーだから、むしろアルフ
 といっしょのほーが、僕はつよい!」

「おぉ、嬉しい事言ってくれるねぇフェイト!なら、アタシもハッスルしないとだ!!」



決まりだな。
俺となのは、時坂と玖我山、柊と北都、四宮と郁島、そんでフェイトとアルフのチームで行動開始と行こうぜ!
リインフォースの復活に水を注すような事してくれやがる闇の欠片は残らず全部ぶち砕いて、二度と現れねぇようにしてやらねぇとだからな!



「そうっすね!――行くぜ、皆!!」

「「「「「「「「「おぉっ!!」」」」」」」」」


俺達の記憶をベースにした複製品……退場して貰うぜ!テメェ等は、お呼びじゃねぇんでな!!








――――――








No Side


こうして本格的に始まった闇の欠片との戦いだが、闇の欠片は志雄の言ったようにオリジナルと比べると、戦闘能力は格段に落ちるので、戦
って負ける事はない相手ではあるが、如何せん現れる数が凄かった。
其れでも、この面子の前には大したモノではなかったのか、現れた端から撃破されていると言った状況だろう。


「又しても高幡の幻影か……闇の欠片が姿を模すほどにアイツが強いと言う事なのだろうが、私と互角に戦った重剣士を劣化複製されると言
 うのはあまりいい気分ではないな?
 1度目は兎も角として、2度目と3度目の戦いは、騎士の誇りと出来る戦いだったのでな……其れを穢す欠片は斬り捨てる!!」

「何をごちゃごちゃと……BLAZEの事を知ってるなら、吐いて貰うぜ!」


シグナムの前には再び志雄の幻影が現れたが、怯む事なくシグナムは其れに向かい、然る後に撃破。
如何に志雄を模したとは言え、仲間に頼る事をせずに、一匹狼を気取っていた頃の志雄の幻影では、歴戦の将であるシグナムの敵ではなか
った。



「ち……アタシ自身が現れるとはな……中々良い性格してやがるぜ、闇の欠片!!」

「テメェの魔力は貰う……大人しくしやがれ!!」

「誰が大人しくするか馬鹿野郎!!」


ヴィータの前にはヴィータの幻影が現れたが、此れが逆にヴィータの怒りをオーバードライブさせ、殆ど闇の欠片に何もさせずに完封しての大
粉滅!!
元々天邪鬼で気が長くないヴィータだが、其れでもガチでブチ切れた時の戦闘力はシグナム以上であったようだ。




「それじゃあ、覚悟して下さいね?」

『You can not escape from Death.(貴女は死から逃れる事は出来ない。)』

「なのはちゃんの欠片ーー!?
 な、なんで一番戦闘能力の低い私の所に最強クラスの子を模した欠片が現れるのよー!え、若しかしなくても、此れって死亡フラグ?」


シャマルの所には何故かなのはの幻影が出現。
如何に本物と比べれば戦闘能力が落ちるとは言っても、参謀でバックスのシャマルに対して『なのはとタイマン張って勝ってこい』などと言うの
は、無茶振りを通り越して只の虐め指令である。

それでも、何とか逃げ回りながらバインドでなのはの欠片を拘束したシャマルは、闇の欠片には即死技となる『コア抜き』をブチかましてKO!
まぁ、可成り必死に逃げ回ったせいで騎士服はボロボロだが、よく頑張ったと言えるだろう。



「犬人間て、此れはまた妙なモンが居たなぁ?」

「犬ではない、狼だ。」


ザフィーラの前に現れたのは洸を模した欠片だ。
洸は昔も今もあまり変わらないので真贋の見極めが難しいのだが、闇の欠片の洸はバリアジャケットではなく、杜宮学園の学ランの上から白
いパーカーを羽織った姿なので、見た目で容易に分かるのである。
そして、欠片の洸の稚拙な攻撃が盾の守護獣の名を冠するザフィーラに通じる筈がなく、全て的確に捌かれ、躱され、そして最終的には必殺
の鉄拳がボディに炸裂して闇の欠片は霧散!



「凛音さんの欠片か……悪いけど、本物の凛音さんには及ばへんで?消え去れ、クラウソラス!!



「お前は……将を模したか!――だが、其れで私を惑わす事が出来ると思ったら大間違いだ。
 将は、お前の様な濁った眼はしていない。将の目は、我等が主を護り、そして守護騎士を護ると言う意思が宿っている――そんな将の純粋
 な思いを穢すな、闇の欠片!!」



そして夜天の主であるはやてと、夜天に吹く祝福の風のリインフォースもまた、闇の欠片を的確に撃滅!
特にリインフォースは、ヴォルケンリッターの面々を模した欠片に対しては情け容赦がまるでない――夜天の魔導書の管制人格だった身とし
ては、年下の妹や弟の様に思っていた守護騎士を模されると言うのは許し難い事だったのだろう。
何にしても、夜天一家が闇の欠片に負ける事はないだろう。


だがしかし、X.R.Cだって負けてはいない。



「なのはちゃんの欠片って言う事で、トンでもない一撃を警戒したんだが……」

「本物のなのはちゃんとは全然レベルが違うよ!それじゃあ、アタシと洸君に勝つ事なんて出来ないって!」


洸と凛音のチームは、なのはの幻影を打ち破り、



「自分自身と戦うと言うのも、妙な気分ですね?」

「ですね……ですが逆に考えれば、相手が自分なら、弱点もすぐわかります――今すぐ闇に帰してあげましょう。」

「ふふ、そうですね♪」


明日香と美月のチームは、自分達の幻影と対峙しながらも、冷静に其れに対処して、然る後に撃破!ネメシスのエージェントと、ゾディアックの
白の巫女が力を合わせると、トンでもない強さになるようだ。



「サポートは任せて。思いきやっちゃっていいよ空!」

「押忍、全力で行きます!!」


祐騎と空の『男女逆転前衛後衛』チームもまた、息がバッチリ合ったコンビネーションで、闇の欠片を出てきた端から撃滅すると言う、大戦期
のナチスドイツがドン引きする位のサーチ&デストロイを敢行!
『武』の空と、『知』の祐騎の組み合わせは可成りな強さだろう。



「僕がもう1人?」

「よっしゃー、ぶんしんのじゅつだーーー!!」

「「フェイト……」」


フェイトとアルフの前に現れたのは、これまたフェイトとアルフ――を模した闇の欠片だ。
普通に考えれば警戒するところだが、此処でフェイトが自分が目の前に現れた事に驚いて声を上げ、あろう事かフェイトの欠片が其れに反応
して、何ともとんでもない事態になっていた。
アルフと幻影アルフが、思わず汗をかいたのも仕方ないだろう。
まぁ、結局この戦いはフェイトが『とりあえずめんどくさいから、お前等やっつける』と、バルディッシュをザンバーフォームにして、欠片フェイトと
欠片アルフを文字通り一刀両断してゲームエンド。

何にしても、この面子が負ける事はないだろう。


因みに………



「スティンガー!スティンガー!スティンガー!スティンガー!スティンガー!」

「いい加減にしろ!僕はそんなワンパターン戦法は使わないぞ!!!」


別の場所では、事の対処に当たっていたクロノが自分の欠片と対峙し、劣化コピーにしたって酷過ぎるワンパターン戦法に対して律義に突っ
込みを入れていたりしていた。
闇の欠片は、如何やら個体差が大きいようである。








――――――








Side:なのは


「此れで終わりです!ディバインバスター!!

「出直してきな!ヴォルカノゲイザー!!



――ドガァァァァァン!!!



「馬鹿な……俺が、負けるだと……!!」

「闇は闇に……此れもまた運命――私は、闇から逃れる事は出来ないらしい……」



私と志雄さんの前に現れたのは、ザフィーラ(前に通信で『さん』は要らないって言われたの。)とリインフォースさんの欠片だったけど、欠片如
きじゃ相手にならないよ?
本物のザフィーラだったら、私の砲撃も跳ね返してくるし、本物のリインフォースさんだったら志雄さんの攻撃を片手で止めてる所だけど、彼方
達は其れが出来なかったんだからね。

「彼方達じゃ相手になりません!」

「精々闇の深淵に消え失せな!!」



それで、消えゆく欠片に向かって志雄さんは首を掻っ切るポーズをして、私は親指を下に向けてのサムズダウン。
女の子としては、やっちゃいけないポーズなんだろうけど、BLAZEの一員としては此れ位は上等なの!4年前にも志雄さんが、『サムズダウン
は、粋がって挑んできた奴への餞別だ。』って言ってたから無問題だよ。

でも、此れなら闇の欠片相手に負ける事は無さそうですね志雄さん?



「まぁ、負ける事はねぇだろうな――相手が闇の欠片だけならよ。」

「ほえ?」

その言い方だと、闇の欠片以外に敵がいるって言うんですか!?
まさか、そんな事って……現れた闇の欠片を全部倒せば、其れで終わりだと思ってたんですけど、敵は闇の欠片だけじゃないって事ですか?



「間違いなくな。
 そもそもにして、リインフォースが復活したから闇の欠片が現れたってのだって、一見納得できるが穴が多い理屈だ。
 闇の欠片が現れた理由は兎も角として、一体闇の欠片ってのは何体倒せば現れなくなる?――答えは不明だが、一つだけ分かった事が有
 る。……闇の欠片以上の存在が居るってな。」

「闇の欠片以上の存在――!」

もしも、そんな物が本当に居たとしたら大変だよ!
って言うか、其れを倒さないと闇の欠片の出現は終わらない……?――一刻も早く、其れを見つけ出して倒さないと!!



「探す必要はねぇかもな?……相手の方からおいでなすったみたいだぜ?」

「へ?……えぇぇぇぇぇぇぇぇえっぇぇぇ!?」

「全く、悪い冗談としか思えない相手だけどな。――何モンだ、テメェ?」




「初めまして、闇の書の構成素体が一体『理のマテリアル』と言います。――以後お見知りおきを、高幡志雄、高町なのは。」



そう思った矢先に現れた相手を見て、私は思わず全身の機能が停止しちゃったような感覚に陥ったの。
だって、私と志雄さんの前に現れたのは、バリアジャケットの色も違うし、髪型も全然違うんだけど、私の欠片とは違う『私じゃない私』が居たん
だからね。

闇の欠片事件……どうやら、予想よりもずっとすさまじい物なのかも知れないね?――此れは、覚悟を決めて行くだけだよ!!

先ずは目の前に現れた貴女の正体を、教えてもらう――貴女の知っている事を、全部教えて貰います!!










 To Be Continued…