Side:はやて


リインフォースを取り戻す為に鍵を集めて、そんでもって虹色のゲートを開いて進んだ先は次元の狭間に存在しとる聖域やった。
其れだけでも驚くべきことなんやけど、この場所には消えてしまったと思ってたリインフォースがおった……あの時消えてもうた姿そのままに!
正直な事を言わせてもらえば、このままリインを連れて行きたい所やけど、そうは問屋が卸さへんのが世の常や。



「テメェに力を示せば、そいつは解放される――そう言う事だなデカブツ野郎?」

「嘘は無いですよね?」

「無いと誓おう――私の様な神格の存在は嘘を吐く事が出来ないのだ……嘘を吐いたら、その瞬間にこの身は消滅してしまうからね。」



自分の命が掛かっとるなら確かに嘘はないやろな。
なのはちゃんと志雄さんに力の一端を与えたって事には納得やけど、その本来の力を持っとるアンタの実力はどないなモンか予想がつかへん
て。

せやけど、此処は全力で行かせて貰うで?
私の前から消えてもうた祝福の風を取り戻す一隅のチャンスやからね――悪いけど、此処は退いて貰うで神様!
私には、負けられない理由があるからなぁ!!



「ならば、其れを己が力に変えて挑んで来い――さぁ、力を示せ!!お前達が、彼女と共に歩むに相応しいか、其れを私に示して見せよ!!」



相手が相手だけに、簡単には終わらなそうやけどね。
だけど決して負けへんで!!――奇跡の片鱗を、その目に焼き付けろやぁ!!私達は勝って、絶対にリインフォースを取り戻す!!!
それが、最後の夜天の主の務めやからな。

聖域でのバトル、開幕や!!










リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE74
『試練を越えて絆を取り戻せ』










Side:志緒


ったく、何が現れるかと思ってたが、まさか海鳴でも神格の存在が現れるとは思ってなかったぜ……杜宮の時の事を考えれば、この可能性は
充分にあり得た事なんだけどよ。

だが、此処で俺達の前に現れたのは倉敷の時とは比べ物にならない程の存在――九尾の狐と、三つ首の龍じゃ存在の格が違うか……大し
たもんだが、生憎とこっちも仲間を取り戻す為に戦ってるんでなぁ?勝たせて貰うぜ!!

「喰らえや!ブラストエッジ!!

「オラァ、打っ飛べぇ!!」

『Raketenhammer.』



先ずは俺のブラストエッジと、ヴィータのラケーテンハンマーをブチかます!
俺は勿論だが、力だけに限定したらヴィータは守護騎士の中でも一番だからな……この小さい身体の何処に此れだけの力が詰まってるんの
か謎だが、この先制攻撃は相手が龍だろうとそこそこ聞く筈だが……



「うむ……悪くない。」

「大したダメージになってねぇ所か無傷ときたか……此奴はやっぱり一筋縄で行く相手じゃねぇか――だが、今のはホンの小手調べだぜ?
 なのは、郁島、フェイト、ブチかませ!!」

「任せて下さい!ディバインバスター!

『Divine Buster.』

「はい!轟雷撃!!

「くらえ~~!光翼斬!!

「む?」



追撃はなのはと郁島とフェイトの合体攻撃だ!
無傷なのは相変わらずだが、其れでも攻撃喰らって後退ったのを見る限りは無敵って訳じゃなさそうだから、何とか急所に一発叩き込む事が
出来りゃ勝機もある筈だぜ。



「私の力を受け継いだ者達の力は勿論だが、その仲間達も良い力を持って居る様だ。
 此れまで私が試練を与えた人間は何人か居たが、我が身を僅かでも揺るがせた者などどれ程居たか……お前達の力は見事な物だと賞賛
 しておこう……故に、私も手加減などはしない。」


――バサァ!!

――ゴォォォォ!!!




ぐぅ……!翼を羽ばたかせただけで此れだけの風……いや、衝撃波を巻き起こすとは、マジの攻撃はドンだけトンでもねぇ代物なんだオイ!
龍と言えばブレス攻撃だが、なのはと俺に力を与えたって事を考えると、威力は最低でもなのはのバスターと同等以上……其れが3つの頭か
ら同時に放たれたとなると……想像したくねぇな。



「まったくだね……異界迷宮やグリードの情報を見れるアプリで、その龍の詳細を見てみたんだけど、本気でトンでもないよ。
 レベルはマックスの99、攻撃と魔力は4500、防御と魔法防御は3800、HPに至っては120万――九尾の白獣なんて目じゃない強さだよ。
 この戦力を持ってしても、可成りの難易度かもね此れは。」

「でも、高難易度でも攻略は出来るんだよね祐騎君?」

「出来ると思うよ?
 相手は確かに隠しステージの隠しボスに相応しい強さだけど、こっちにだって志雄先輩となのはって言う限りなくバグに近い強さをもったのが
 居るから多分何とかなるって。
 其れに、夜天ファミリーはリインフォースを取り戻せるかもって言う事でやる気がマックスになって、守護騎士はステータスが倍、八神は3倍
 になってるから。」



……俺となのはをバグ扱いするのはこの際無視するが、夜天一家のステータス上昇は確かに頼りになるぜ。
歴戦の騎士とそれを束ねる夜天の主の力が底上げされたら頼もしい事この上ねぇし、クロノの話を聞く限り、はやての魔力はなのはを凌駕す
るレベルらしいからな。

準備運動は充分だ――此処から本番と行こうじゃねぇか!返してもらうぜ、俺達の仲間をな!!








――――――








No Side


聖域の守護者との戦いは、互いに力を尽くしての全力勝負となっていた。
守護者である白龍は、翼を羽ばたかせる事で発生するソニックブームや、咆哮によって発生する音波で攻撃し、対するX.R.Cと八神一家連合
軍は、夫々が得意分野で白龍を攻め立てる。

ザックリ分けるのならば、志雄、洸、空、フェイト、シグナム、ヴィータ、ザフィーラがクロスレンジ。
明日香、凛音、祐騎がミドルレンジで、美月がロングレンジ、なのはがアウトレンジを担当し、シャマルは直接的な戦闘行為は行わず、仲間達
の回復と補助を専門に行うバックスとなっている。

単純な力で言うのならば、龍神である白龍の方が上だろうが、志雄達は其れに対して仲間とのコンビネーションで真っ向から挑んでおり互角
と言って良い戦いが展開されている。

その要因は白龍の力を受け継いだ志雄となのはの存在が大きいのだが、其れを抜きにしてもフェイトとX.R.C、はやてと守護騎士達の強さが、
舌を巻くほどに素晴らしかったからだと言えるだろう。

特に強烈なのが、志雄、シグナム、フェイトのクロスレンジに、なのはのアウトレンジ砲撃が組み合わさった連携と、洸と空のクロスレンジに凛
音と祐騎のミドルレンジ射撃が組み合わさった連携だろう。

コンビネーションの見事さは言うまでもないが、此処に白龍の誤算があったのは否めない。
志雄となのはは白龍の力を受け継いだ存在だが、しかし他のメンバーは守護騎士達を除いて、力を持った人間だと認識していたのだが、もう
1人、人外の力を宿している存在の事を知らなかった。


ソニックウィング!!

「此れは……この力は――お前も神格の力を宿しているのか……!」


そう、凛音だ。
凛音はその身に熾天使型のグリムグリードの力を宿している、言うなれば『人でありながらグリードの力を宿した存在』なのだ。其れも最上級
と言える熾天使型グリードの力をだ。
更に凛音は、己に宿った力を制御できるようになる為に、日々鍛錬を行って来た――そのおかげで、魔力に関しては美月を余裕で追い越して
なのはと同等か、それ以上のレベルに達していたのだ。


「隙が出来たぜ!吹き飛びやがれ、イグニスブレイク!!

「切り裂く!紫電一閃!!

「吹き飛ばします!!ハイペリオンスマッシャー!!



――ザシュゥ!

――ズバァ!!

――ドッガァァァァァァァァン!!




そんな凛音のソニックウィングの追撃として襲って来たのは志雄のイグニスブレイクとシグナムの紫電一閃、そしてなのはのハイペリオンスマ
ッシャーによる物理&魔法の強烈な連携攻撃だ。

此れだけでも充分に強力なのだが、其れだけでは終わらず、畳み掛けるように洸のアンカースライド、明日香のブリザードピアス、空の轟雷撃
が炸裂すれば、美月のイノセントエッジが白龍の動きを制限し、その隙を突いてヴィータの強烈な鉄槌とザフィーラの鉄拳が突き刺さる。
加えて、移動しながら射撃を行って居る祐騎は持ち前の頭脳で戦況を瞬時に計算して念話でシャマルに伝え、其れを受け取ったシャマルは、
参謀として驚くべきスピードで作戦を組み上げて、バトルメンバーへと念話で伝えていく。

もしもこの場に管理局のスカウトが居たら、間違いなくスカウトしていたと言っても過言ではない見事なチームワークが、このチームには備わっ
ていたのだ。
本格的に力を合わせたたかうのは、闇の書の闇を滅した時以来2回目だが、それでもこの連携は可成りの練度を有した連携と遜色ない…命
懸けでの戦いを行った者同士だからこそ、此れだけの連携が出来ていたのかも知れない。

3S級のグリムグリードが相手でもこのチームならば瞬殺が出来るだろう。
其れだけに強いのだこのチームは――白き龍も、この猛攻には対処しきれずに押され気味にとなっているのだから、マッタク持ってドレだけの
戦力かと言いたくなるだろう。


「素晴らしい……だが、此れで勝ったと思うなよ?」


しかし相手は海鳴の守護神である白龍だ、そう簡単に行く筈がない。
翼を羽ばたかせて衝撃波を発生させて志雄達を間合い外に追いやると、次の瞬間には3つの頭のそれぞれの口にエネルギーが集束する。
其処に集束されたエネルギーはなのはのスターライトブレイカーに匹敵するか、或いはそれ以上だ。



「あれをくらったらやばいぞーーー!!よし、僕はみらーふぉーすをはつどーする!!」

「其れで防げるかなぁ?ミラフォを貫通しそうなんだけど……アレはやばいよ絶対に!!」

「大丈夫、全魔力をつぎ込めば私の結界で防ぐ事が出来る筈よ!!」



喰らったら間違いなく戦闘不能は免れないだろう。
だからと言って白龍の耐久力を考えれば、こっちから攻撃して攻撃を中断させるのも難しい――と言うか、略不可能だ。
ならば、最強バックスであるシャマルの結界で攻撃を防ぎ、防ぎきった所で反撃に出るのが最上策と言えるだろう。全能力を防御に振り分け
たシャマルの結界は、なのはのブレイカーを持ってしても貫く事は出来ても、完全に壊す事は出来なかったのだから、白龍の攻撃にだって耐
えられる筈なのだ。


「我が最強の一撃を耐えられるかな?喰らうが良い、マキシマム・アルティメット・バースト!!

「全力防御!クラールヴィント、私の魔力を全部持って行って構わないわ!!」

『Jawohl.(了解。)』


ぶつかる白龍のブレス攻撃とシャマルの全力結界。
単純な力関係で言えば白龍の方が圧倒的に上だろうが、シャマルはその差を気持ちで補っていた。――騎士服の袖が千切れ飛び、腕が血
飛沫を飛ばしてもシャマルは結界を解除しなかったのだ。



「しゃまるー!僕の力ももっていけーーー!!」

「この力、貴女に預けます!」

「フェイトちゃん、美月さん!!」


更に此処で、フェイトと美月が結界の強化に手を貸し、持てる魔力の全てを結界の強化に割り振る――その果てには、戦闘不能が待っている
のだが、そんな事は関係ないのだろう。

だが、此れでようやく互角だ。あとは、純粋なパワー勝負だろう


白龍もシャマル達も全く退かない――だからこそ衝突点には凄まじいエネルギーが集束し、今にも爆発せん勢いだ……いや、もう臨界点と見
て間違いないだろう。



――ドガァァァァッァァァァァァァン!!



そして攻撃と防御の両方が限界を迎えて、バリアと砲撃が共に炸裂して大爆発!!――其れこそ、海鳴でこのレベルの爆発が起こったら、間
違いなく全国レベルのニュースになる筈だ。

其れは兎も角して、最強の砲撃と最強の盾がぶつかって起きた爆炎と爆煙が晴れるのにはまだ時間がかかるだろう。

だが一つ言えるのは、この戦いは、ともすれば神話級の戦いであるのは間違いない――其れだけだ。

寧ろここまで生き残ったと言う事で、白龍の攻撃は更に苛烈になるだろう――そして其れを越えなければリインフォースの復活はあり得ない。
ならば、悩む事はない!



「彼是考えた様だが、俺達は負けないぜ!絶対にな!!!」

「私だって諦めません!!」



志雄となのはは、派手にバリアジャケットを損傷しながらも無傷で、他のメンバーも目立った傷は見当たらない――龍神との戦いは此処から
が本番だ。

第2ラウンドにしてファイナルラウンドのこの戦いは、更に過熱していくのだった――











 To Be Continued…