Side:なのは
バスに揺られる事30分、海鳴温泉に到着だね。
毎年恒例の、高町家、月村家、バニングス家の三家による温泉旅行以外で、此処に来たのは初めてかもしれない――シーズンが外れてるから
温泉旅行で来た時よりも人は少ない感じがするけどね。
でも、そう言う事なら、温泉は広々と使えるかも知れないね♪
リインフォースさんを復活させるための鍵集めだって言う事は分かってるんだけど、温泉に来たら、温泉を楽しまないとだから、先ずは温泉を堪
能して、最後の鍵集めは其れからにしませんか志雄さん?
「あ~~~……その意見に関しては私もなのはちゃんに同感や志雄さん。
先ずは、此処でたっぷり英気を養っとかんと、あの子が復活した後で、其れをちゃんと受け入れる事は出ないやろうからね?」
「尤もらしい事言ってるが、要は温泉を楽しみたいだけだろお前等は……」
にゃはは……流石にそれは否定できないけれどね。
でも、この温泉の効能は全国でもトップレベルだから、入るだけでも、きっと私達にはプラスになると思うんです!だから、行きましょう志雄さん!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE72
『To get the last key~リインフォース~』
Side:志緒
結局は、なのはに押し切られる形で温泉旅館に『温泉利用だけ』でエントリーする事に成ったんだが、中々どうしてどいつもこいつもエネルギー
が有り余ってるみたいじゃねぇか?
男湯は兎も角、女湯の方からは、姦しい会話が聞こえてくるからな……一体全体、何が起きてるのやらだ。北都と郁島が一緒なら、取り敢えず
大丈夫だと思うんだが――分かってると思うが覗くなよ時坂?
「覗かないっすよシオ先輩!
てか、遼太と一緒にしねぇで欲しいんすけどね……ってオイ、祐騎!お前何してんだ!?」
「何って……覗き?
将来の事を考えると、やっぱり事前に空の身体は見ておいた方が良いと思うんだよねぇ?ほら、予備知識って大事だしさぁ。」
「テメェ、ぶっ殺すぞ祐騎ーーーー!
つーか、覗き其の物もそうだが、何を想定してんだお前は!付き合ってるんだからとは思うが、せめて高校生の間くらいは節度を持てって!」
「堅いなぁ洸先輩は?良いじゃん、別に見たって減るもんじゃないし。
それに、先輩だって本音ではちょっと位見たいって思ってるんじゃない?――特に玖我山先輩とか。アイドルの入浴シーンなんて中々見れる
モンじゃないし?」
「其れは……俺も男だから、見たくないって言ったら嘘になるけど、其れでも見ちゃダメだろ人として!」
ヤレヤレ、時坂に注意した途端に四宮がか……てか、アイツは分かって言ってやがるな?
だがなぁ四宮、俺が時坂に『やるなよ』って言った直後に覗きを敢行しようとするなんざ、中々良い度胸してやがるじゃねぇかオイ?其れに、向こ
うに居るのは郁島だけじゃなく、なのはやフェイトも居るんだ……覗かせねぇぞ!
まぁ、向こうには柊やシグナムって言う武闘派女子が居るから、覗きがばれた時点で成敗されるのは確定だが――そうなる前に、俺が成敗して
やろうじゃねぇか!
「え?ちょっと成敗って……やだなぁ、ちょっとした冗談だって志雄先輩?
僕が本当に覗きなんてすると思ってるの?……ハハハ、する筈ないじゃないそんなの。ちょっと悪ふざけが過ぎたかもしれないけど…」(滝汗)
「テメェは、神山温泉で息吹に覗きを教唆した過去があるから『はい、そうですか』と済ます訳にも行かねぇんだ此れは。
そんな訳で、覚悟は良いなオイ?」
「祐騎、大人しく往生しとけ。てか、空を視姦しようとした罰だ――俺は志雄先輩で、祐騎にダイレクトアタックだ!!」
「洸先輩キャラが別になってる!?」
そいつは気にしたら負けだが……今は自分の身の心配をしろや!
行くぜぇ?握力×体重×スピード=……
「ちょ、志雄先輩!?その構えはヤバいから!下手したら、僕死んじゃうから!!」
「安心しとけや、少しばかり手加減しといてやるから、死にやしねぇよ――大体にして、テメェは殺して死ぬようなタマじゃねぇだろうが!!」
破壊力!!
ギャラクティカファントム!漢の、一発だ!オラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
「いってれぼあぁ!?」
「志雄先輩、お疲れ様っす。」
此れ位は大した事ねぇよ。其れに、四宮も少しすれば目を覚ますだろ?急所は外してやったし、全力の半分程度しか出してないからな流石に。
まぁ、其れでも我ながら見事な一撃だったとは思うけどよ。
「あれで半分て……本気でかましてたら、祐騎の奴ミンチになってたんじゃないっすかねぇ?」
「まさか、精々複雑骨折だろ?」
「其れでも超重傷っすけどね。」
覗きを敢行するなら、此れ位の痛い目に合う覚悟はしとけって所だな――まぁ、此奴に懲りて、四宮も二度と馬鹿な真似をする事はねぇだろ。
郁島との彼是は、流石に俺達が口を出す事でもねぇしな。
しかしまぁ、本当にこの温泉は最高だな?
良い感じに身体が解れるだけじゃなくて、細胞の一つ一つを活性化してくれてる感じがするぜ……此奴は、最後の鍵が有る異界も楽勝で攻略
出来るかも知れねぇな。
――――――
Side:なのは
何か男風呂の方から凄い音がしたんですけど、皆さん大丈夫ですかね?
「大丈夫でしょ?志雄先輩一緒だし。
てか、今の音だって、多分こっちを覗こうとした洸君かユウ君を、志雄先輩が成敗しただけだと思うしね~~♪」
「其れはまた何とも……不埒な行いをしようとしたとは言え、高幡の一撃を喰らった奴には同情してしまうな……あの剛腕の一撃は凄すぎる。」
にゃはは……志雄さんは、霊長類ヒト科最強の存在かも知れませんから。
「確かに、高幡先輩に限っては其れは否定できないわね――適格者として覚醒する前に、エルダーグリードと互角にやり合っただけあるわ。
でも、そんな高幡先輩だから、なのはちゃんは高幡先輩の事が好きなんでしょう?」
「ふえぇ!?あ、明日香さん!?」
「で、その高幡君と抜群のコンビネーションを発揮して、X.R.Cを持ち前の行動力で引っ張っていく時坂君の事が好きなんですよね凛音さんは♪」
「ちょ、美月先輩!?」
こ、此処で予想外の攻撃って言うか……美月さんは兎も角、明日香さんがそんな事言ってくるなんて意外と言うかなんて言うか予想外です!
明日香さんて、基本的にクールだと思ってたのに!
「あら、私だって年頃の女子高生だもの、こう言う話題に興味はあるわよなのはちゃん。
其れ以前に、なのはちゃんはとっても分かり易いモノ――尤も、其れは凛音さんも同じだけれど。」
「えぇ、其れってマジ明日香!?……此れでも隠してたつもりなんだけど……此れは、アイドルとしてもっと演技力を磨かないとダメね。
って言うか、ばれてたんなら開き直るしかないじゃない!!そうよ、アタシは洸君の事が好きよ!ライクじゃなくてラブの方向で!!何か、文句
ある!好きなんだから仕方ないじゃない!!
アタシが一般人だったらとっくに告白してるわよコンチクショウ!でも、アイドルって言う立場が其れを許さないのよ~~~!!!」
あ、爆発しましたね凛音さん。
可成りぶっちゃけたと言うか何と言うか、思いの丈を語っちゃってますねぇ……其れだけ洸さんへの思いが深いって事なんでしょうけど。
でも、思いの深さでは私も負けてないかな……4年間、ずっと思い続けてたからね――歳の差が物凄いから、志雄さんから恋愛対象としては見
て貰えないかもしれないけど、それでも私は志雄さんが好きです!
「なら、その思いは大切にしてください――何時か、その思いが実る時が来るかもしれませんから。
其れに、恋する女の子は無敵なんですよ凛音さん、なのはちゃん♪――なので、お二人の前に敵は居ないと言う事に成りますね。」
そう来ましたか美月さん……でも、其れを否定する事は出来ないかもしれません。
どんな敵が出てきた所で、志雄さんが一緒なら負ける気がしませんから!――最後の鍵だって、必ず余裕でゲットして見せます!!
「そうそう!洸君と一緒なら、アタシだって負ける気しないし!!
最後の異界も、余裕のSランククリアしてやるわ!!って言うか、此れだけの戦力が揃って負けるって言う事は普通にあり得ないしね!!」
「ですよね、凛音さん!!」
此れはもう、最後の鍵は入手したも同然だね!!
――ゴン!!
って、何今の凄い音は……フェイトちゃん?
「キュ~~~~~……」
若しかして、泳いでて頭ぶつけて伸びちゃったのかな?
でも、もしそうだとしたら、フェイトちゃんは一体何に頭をぶつけたんだろう?フェイトちゃんが伸びてるのは、お風呂のほぼ中央だから、ぶつかる
物なんてない筈なんだけど……微妙にミステリーなの。
でもまぁ、フェイトちゃんは頑丈だから、直ぐに目を覚ますだろうけどね♪
さてと、温泉を浴びてサッパリしたから、最後の鍵を手に入れに行くとしましょう!!リインフォースさんを復活させるためにも!!!
時に、結構カミングアウトしちゃったけど、私と凛音さんの声って、男風呂に聞こえてないよね?
『No problem Master.A soundproof barrier was spread.(問題ありませんマスター。防音障壁を張っておきました。)』
「ナイスだよ、レイジングハート。」
本当に、レイジングハートは頼りになるね♪
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――異界迷宮:祝福の洞窟
そんな訳で最後の鍵が眠る異界の攻略開始――まさか、本当に温泉旅館敷地内に異界のゲートが有るとは思わなかったけれどね。
凍った床で滑る地形だけど、そんな物は空を飛べる私達にはあんまり問題にはならない――って言うか、空を飛べるお陰で現れたグリードも上
空から一方的に攻撃して撃滅できるから苦戦なんてするはずが無いんだよねぇ?
『『『ガァァァァァァァァァァァ!!!』』』
其れでも、最後の鍵が有るだけあって、中ボスクラスが3体同時に現れたりしてくれてるけど、その程度じゃ私達は止まらないからね!!
吹き飛べ、ディバインバスター!!
「オラァ!大人しく寝てろ!!」
「あ~~~っはっは~~!お前なんて僕の敵じゃないぞーーー!!
特に志雄さんとフェイトちゃんはフロントアタッカーとして強過ぎるからね?……其処に、シグナムさんとヴィータちゃんが加わってるんだからクロ
スレンジでの負けは無いよ。
それに、ミドル~ロングレンジに関しても、戦力が揃ってるから正に隙なしって言う所だね。
そんな訳で、サクサク異界を攻略して、最深部に来た訳なんだけど……闇の書の闇を滅した私達にとって、今更エルダーグリード如きは敵じゃ
ない!――大人しく、塵に帰りやがれなのーーー!!
――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
『ギャァァァァァァァァァァ!!』
「エルダーグリードを一撃で……やるね、なのはちゃん♪」
「ネメシスの執行者としても、なのはちゃんの実力は凄まじいわ……ネメシス内でも、エルダーグリードを一撃で葬れる者は数える程しか居ない
って言うのにね……」
えへへ、一生懸命頑張りましたから♪
でも、此れで全ての鍵を揃える事が出来ました――あのゲートも開く筈です。
――ガシャン
その証拠に、何処かで鍵の開く音がしましたからね……多分、はやてちゃんの家の前だとは思うけれど。と言うか、其処以外の選択肢は無いか
らね――其れじゃあ、早速はやてちゃんの家に行こう!
そして始めましょう、真のエンディングに至る為の最終章を!――もう少しだけ待っていてくださいリインフォースさん!必ず、貴女を取り戻して見
せますから!!
――――――
Side:リインフォース
あの時、私は私を消したつもりだったんだが……如何やら、私は自分の意志で死ぬ事も出来ないらしい――まさか、この地の『神』に巫女として
選ばれて、共に生きる事を願われるとは思わなかったよ。
尤も、私に選択肢は無いのだが……我が主は、八神はやて只一人とは言え、今のこの身では何が出来ると言う訳でもないからね。
神の巫女と言うのも悪くないが、若しも叶うのならばもう一度我が主に会いたいモノだ……自分勝手かもしれないけれどな。
「ならば、良い事を教えてやろう……如何やら連中は此処に来るための鍵を集めた様だ――若しかしたらもう一度会えるかも知れないぞ、お前
の主様にね。」
何だって!?
まさか、次元の狭間に存在しているこの場所に到達する手段を手に入れたと言うのか!!――だとしたら、私はもう一度羽ばたく事ができるの
だろうか?あの心優しき主と共に!!
「可能性はあるだろうね……尤も、彼等が私に対して『力』を証明するのが大前提になるのだけれどね――」
其れでも、私は信じましょう――彼女達ならば、きっと私を救ってくれる――私は、そう信じているからな。
To Be Continued… 
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