Side:志緒
無事に時坂達と合流して、中間層のエルダーグリードを処理して今は残り半分を攻略中だ……此のメンバーなら、絶対に負ける事はねぇから、ぶ
っちゃけたことを言わせて貰うなら、此の程度は俺達の相手じゃねぇんだ!!
群れる雑魚に用はねぇってな感じで、進撃してきて、現在最深部前の大広間。
これまた大量のディルドーンが現れてくれやがったもんだが……そんなに現れちまったら、逆にお得意の回転攻撃が出来ねぇだろ、部屋のスペ
ース的にも。
「……如何やら、床だけじゃなくて壁面も使って回転するみたいですよ?」
「何でもありだなオイ……」
とは言え、こんな所でもたついてる訳にもいかねぇからな――フェイト、任せたぜ?
「よっしゃー!くらえー、ひっさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――シュン!……ズババババババババ!!
……姿が見えなくなるほどの高速移動からの連続斬りでディルドーン共を一網打尽とは、相変わらずトンでもねぇスピードとパワーをもってやがる
なアイツは?何にせよ、此れで先に進める訳だがな。
「フェイトちゃんの方が、大概なんでもアリじゃねぇか?」
「洸君、其れ私も思った。……てか、多分志緒先輩となのはちゃん以外の全員が思ったんじゃない?」
「「「「「思った。」」」」」
まぁ、良いじゃねぇか?
兎に角次が最深部だ……気を抜かずに、行くぞ!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE61
『最後の守護者?知るか、道を開けろ!』
――葬の柱・最深部
ほう?最深部は、此れまでの地獄みてぇな迷宮とは違い、まるで神殿の謁見の間みたいに煌びやかな空間になってやがるな?本当に、柱の内
部なのかと疑っちまう位にだだっ広いし……まぁ、此れ位の広さがねぇと、柱の守護者には狭いって事なんだろうがな。
さて、さっさと出てきたらどうなんだ?柱に侵入した連中が、此処まで辿り着いちまったぜ?このままじゃ、柱ぶっ壊されて終わりだぞ!!
速攻でぶっ倒してやるから、その姿を見せろや!!
――ピキ……ピキ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
『ギョォォォォォォアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
――葬の守護者:アズラ=ザナドゥ
「おいでなすったか……!コイツはトンでもねぇ相手みたいだぜ、皆!」
「なぁぁぁ!?何此れ、デカすぎでしょ!?」
「此れまでの柱の守護者とは、比べ物にならない力ね……」
出やがったな?
バカでかい図体と3つの顔は此れまでと同じだが、腕は6本もある上に下半身は4つ足の動物の胴体……おまけに身体にも目と口みてぇなモン
があると来ていやがる。
まるで、ケンタウロスをそのまま悪魔化させたみてぇじゃねえか――如何やらコイツは、疑い様もなく掛け値なしの化け物みてぇだな。
「確かに此れまでの守護者とは比べ物にはならないかもしれませんけど、誰が相手だろうと関係ありません!
立ち塞がるなら、撃って砕いて進むだけです!!」
「お~~!言うねぇ、なのはちゃん?それじゃあ、本番前の最後のリハを始めよっか!」
ハッ、つまりそう言うこった!なのはも玖我山も良く言ったぜ!
覚悟しやがれデカブツ野郎!俺達の魂の焔、精々食らわせてやる!!――速攻で、片付けんぞ!!
――――――
No Side
最後の柱の守護者、アズラ=ザナドゥとの決戦。
その戦いの火蓋を切ったのは、意外にも常に冷静に戦況を読んで行動するタイプの明日香と美月だった。夫々『スプラッシュアロー』と『イノセント
エッジ』を放って、アズラ=ザナドゥを攻撃したのだ。
当然攻撃を受けたアズラ=ザナドゥは2人に向かって突進してくる。
普段冷静な2人も、この強大な敵を前に、僅かばかりの本能的な恐怖心が冷静な判断を鈍らせて、らしくもない先制攻撃をしたのか――否、そう
ではない。この攻撃は、既に一行の作戦の内であるのだ。
「ディバインバスター!!」
「トルネードストライク!!」
突進して来たアズラ=ザナドゥに対して、なのはのディバインバスターと、璃音のトルネードストライク、2つの直射魔砲がカウンターで炸裂!!
明日香と美月の先制攻撃は囮――本命は、チーム屈指の魔力を有するなのはと璃音の破壊力抜群の砲撃を叩き込む事に在ったのだ。更に、こ
の一連の流れは、事前に打ち合わせた物でもなく、明日香と美月の先制攻撃を見て、なのはと璃音は言わずとも察したのだ。(付け加えるなら、
より魔力を高める為に、なのはも璃音もマスターコアを魔力特化の『メルクリウス』に変更済みだ。)
正に阿吽の呼吸。伊達にジュエルシード事件を共に戦って来た訳ではないのである。
そして真の先制攻撃が決まった此処からが本番と言えるだろう。
「アンカースライド!」
「くらえ~!だぶるすら~~っしゅ!!」
「轟雷撃!!」
「バリアブレイク!ぶっとべ!!」
なのはと璃音の攻撃を受けてグラついたアズラ=ザナドゥに、洸がアンカースライド、フェイトが光翼斬、空が轟雷撃、アルフがバリアブレイクで追
撃し、更にダメージを叩き込んでいく。
「それそれ!弾幕弾幕!!」
そして、反撃の糸口を与えまいと、祐騎が周囲を動き回りながらラムダショットを連発、乱発、高速連射!
1発1発の威力は低くても、秒間7発と言う高速連射ならば、手数で威力をカバーできる故に、決定打にならなくとも効果は決して小さくないのだ。
とは言え相手はランクで言うのならば3Sのグリムグリードに匹敵する守護者であるのだから只では済まない。
6本の腕で洸達を振り払うように暴れまわると(洸達に直撃はしないかったが、距離を開けさせられる事にはなった。)腹部の口が開き、そこから
強烈な光線を発射!
まるで怪獣映画さながらの攻撃であり、真面に喰らったらお陀仏だろう。お陀仏だろうが――
「切り裂く!!!」
――ズバァァァァァァァァ!!
志緒の存在を忘れてはいけない。
ゴジラの放射熱線さながらの光線を、有ろう事かヴォーパルウェポンを真一文字に一閃して切り裂いて霧散させてしまったのだ!!
剣で光線を切り裂くとかあり得ないとか言ってはいけない。本人は認めないだろうが、高幡志緒と言う人間は、こと攻撃力と言う点に於いては、間
違いなく人間を辞めていると言っても過言ではない故に、此れ位は普通に出来てしまうのである。
しかも其れだけではない。
「その口閉じとけ!!」
ジャンプから一気に突進すると、アズラ=ザナドゥの腹部の口に、ヴォーパルウェポンを突き立て、そしてそのまま切り裂いて使用不能にする。
口を閉じてろと言っておきながら、更に口を大きく広げさせたのだが、此れでもう腹部の口からの光線を放つ事は出来ないだろう。
それでも、巨体と6本腕の攻撃は、当たれば必殺なのだが、逆を言えば当たらなければ意味がないのだ。
例えは悪いかもしれないが、志緒達とアズラ=ザナドゥの関係は、人と蠅のような感じとでも言えば分かり易いだろうか?人が素手で、飛び回る
蠅を叩き落すのは殆ど不可能に近いのと似たようなモノなのだ。
守護者の中でもさらに巨大なアズラ=ザナドゥの攻撃は、例え小振りのジャブでも、志緒達からしたら、呼び動作丸分かりのテレフォンパンチに過
ぎない為に、避けるのに難は無いのである。
正に一方的な戦い。
此れは、完全に柱のシステムが、志緒達の力を計り違えていた事にあるだろう。
確かに絶の柱と滅の柱の守護者が倒された事を考慮して、葬の柱の守護者は、成程途轍もない攻撃力と耐久力を備えていたのは間違いないの
だが、攻撃力と耐久力を高める為にあまりに巨大にし過ぎてしまったのだ。
その結果、動きが重くなり、どんなに早く動いてもその動きは見え見えと言う致命的な欠陥を抱える存在となってしまったのだ。
更に柱の誤算は、なのはの力を滅の柱が沈黙した時を基準にしていた事だろう。
なのはの成長速度は、ハッキリ言って異常其の物であり、滅の柱を攻略した時から、葬の柱の最深部に到達するまでの間にまた成長していたの
だ……その成長がアズラ=ザナドゥの設定能力を上回ったのである。
『グガァァァァァァァァァァ!!!』
取るに足らない存在であった筈の侵入者に、良いように攻撃されたアズラ=ザナドゥは、6本の手夫々に異なる武器を展開し、其れを振り回して
攻撃するが、其れもまた無駄だった。
「んなヘタレ攻撃が当たると思ってんのか?喰らえや、ヴォルカノゲイザー!!」
「終わりよ!ライトニングボルテックス!!」
志緒が発生させた火柱と、璃音が発生させた落雷が、6本の腕を文字通り焼き斬り、消滅させる。
腹部の口に続いて、6本の腕まで失ってはアズラ=ザナドゥに攻撃の手段は殆ど残されてはいない。一応胸部の目玉から光線を放つ事は出来る
が、誘導性のないビームでは此のメンバー相手にクリーンヒットは望めない。
そして巨体を使った突進や、踏み付けもまた同様だ――決してヒットする事は無い。
「いい加減倒れろ、此のデカブツ!」
「砕け散れ!!」
それどころか、3つの顔の内側面の2つが、アルフと空の鉄拳で潰される始末――最強である筈の最後の守護者は、途轍もない力を秘めていな
がら、巨大過ぎた為に、其の力を発揮する事が出来なかった様だ。
「見た目は強そうでも、中身が雑魚じゃしょうがねぇな――一気に決めるぞ時坂ぁ!!」
「応!行くぜ志緒先輩!!」
「「クロスドライブ!!」」
そして駄目押しとばかりに、志緒と洸がクロスドライブを発動し――
「おぉぉ……エクステンドギア!!」
「どぉぉらぁぁぁ!!クリムゾン……レイド!!」
其処から、Xストライクのエクステンドギアとクリムゾンレイドをブチかます!
只でさえ強力なXストライクを、クロスドライブが発動した状態で、其れも2発同時にブチかまされては、如何に柱の守護者であっても堪ったモノで
はないだろう。
『ぐ……ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』
――ドガァァァァァァァァァァァァン!!
そして、此れを喰らったアズラ=ザナドゥは爆発四散!
「俺と志緒先輩に勝とうなんてな……一昨日来やがれってんだ!」
「糞力はあるみたいだが、其れだけじゃ俺達は倒せねぇよ。出直してきな!」
正に圧倒的大勝利。
最後の柱であるにも拘らず、一行はアッサリと葬の柱を攻略したのだった。
――――――
Side:なのは
もっと苦戦するかと思ったけど、そうでもなかったね?……って言うか、頑丈な相手ではあったけど、あんまり強いとは思わなかったかな?
明日香さんが言うには、物凄く強い相手だったんだろうけど、ドレだけ強くても攻撃が当たらないんじゃ脅威じゃないの見本だったよ此れはね。
此れで全ての柱を攻略したんですが――
「でも、これで終わりじゃない……アタシの中の天使が教えてくれる――匣の周囲に、天使型のエルダーグリード以上のグリードが現れたって。
栞の時と同じ、柱が全て攻略された時の為の二重防衛……」
「予想はしてたが矢張りか……間違いねぇんだな玖我山?」
「間違いないよ、志緒先輩――栞の時以上にハッキリと感じたから。」
「なら、疑い様はねぇな。」
攻略と同時に第2の防衛システムが起動しましたか……此れは、一度学校に戻って作戦を練った方が良いかもしれませんね?
このまま我武者羅に突入しても、璃音さんが感じ取った天使型のグリードに行く手を阻まれて、匣に到達する前に、力を使い果たしちゃうかも知れ
ないし。
「そいつが上策だな。
管理局からの増援も来てるかもしれねぇから、先ずは一旦聖祥小学校に戻るのが一番だ――此れから、如何動くかを決める意味でもな。」
「ですよね。」
其れじゃあ戻りましょう。休息も必要になりますからね♪
――――――
Side:???
此れは……よもやすべての柱を攻略してしまうとはな――だが、其れがトリガーとなって、匣の周辺には天使型のグリードが多数配置された。
果たしてこれを超えて匣の中に入って来れるのか……何れにしても残された時間は少ない。
この先に待つのは奇跡の救済か、それとも現実の滅びか――何れにしても、その何方か一方だろうな。
だが、その何方に成ろうとも、この優しき主の心だけは、最後の瞬間まで守り通さねばな……
To Be Continued… 
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