Side:志緒
作戦会議の前に、最深部付近はどうなってるのかと思って病院だった場所の近くまで来たんだが……コイツは、建物を含めて完全に異界化しち
まってやがるな?此処が病院だったと言われても、早々信じられねぇくらいだ。
偶然か、或はそう設定したのかは分からないが、此処からは3本の柱全てを見渡すことが出来る……3本のうち2本は、完全に沈黙してやがるか
ら問題ねぇだろう――一度沈黙した柱は、俺達が再挑戦しない限りは活性化しねぇからな。
まぁ、攻略した2つが活性化してねぇなら問題ねぇぜ……学校に戻って、作戦会議と行こうじゃねぇか!
「………」
「如何かしたか、なのは?」
「志緒さん……ちょっと力を感じたんです、凄い力を。
今は未だ実体化してないけど、3本目の柱を攻略したら、間違いなくとんでもない力が解き放たれます――まるで、パンドラの匣を開けた様に。」
パンドラの匣とは、また大きく出たじゃねぇか?
まぁ、普通なら戸惑う所だが、生憎と俺達にとっては今更なもんだ――世界を破滅させるほどの存在と事を構えて、そんでもって其れを超えた訳
だからな!
しかしまあ、パンドラの匣ってのは厄介だな?下手に開けたら、、世界にネガティブな思考をばら撒いちまうからな――なら、面倒な事を考えずに
正面から仕掛けた方が有利と言う見方もあるからな……相手が誰であろうともぶっ飛ばす!其れだけだぜ――
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE59
『The Last Tower High Quest』
つ~訳で学校に戻っての作戦会議なんだが、作戦会議と言うよりは最後の柱に挑む前の小休止って所だなコイツは?
よくよく考えりゃ、柱の攻略っつってもやる事は決まってんだから作戦も何もあったもんじゃねぇし、最深部突入の作戦てのも、全員が揃ってからじ
ゃねぇと、出来ねぇからな。
「いや、そうでもないよ志緒。良いタイミングで戻って来てくれた。」
「あん?如何言う事だクロノ?」
「2本目の柱が停止したのと略同じタイミングで、本局――より正確に言うならグレアム提督から連絡があったんだ。
今回の件を解決する為に、提督の一個師団を此方に応援に寄越してくれるそうだ。……更に、リンディ提督が『アースラ』の起動準備に入ったと
の連絡も受けた。
柱の攻略が全て終わったら、すぐにでも本丸に突入できる戦力が整いつつある。其れを伝えておきたかったからな。」
ソイツは何とも頼もしいじゃねぇか?其れを聞けただけでけでも、一度こっちに戻ってきた甲斐があったってモンだな。
しかしあの爺さんの一個師団となるとドレだけのモンなのか想像出来ねぇな?……可成りのお偉いさんのお抱え部隊となると、精鋭揃いなんだろ
うけどよ。
「お父様の一個師団の魔導師は、全員が私とロッテで鍛えた子達よ?
まぁ、クロノより優秀な子は早々居ないからアレだけど、所属魔導師全員の魔導師ランクはA+以上だから、可成り強力な部隊だって保証する。」
「そいつはマジでスゲェな?」
「まさしくエリート部隊って所だね。……そんなのが出て来るってのは、可成りヤバイ状況って事なんだろうけどね。」
「えぇ、危険な状況なのは間違いないわ……正直な事を言うと、栞さんの時以上の事態であるのは間違いない物。」
「気を引き締めて……ですね。」
マッタクだな郁島。
幾ら負ける気はねぇとは言っても、気の緩みがあったら思わぬところで足元を掬われちまうからな。――さて、そろそろ……
――PiPiPiPiPi……
っと、サイフォンが……もしもし?
『志緒君かい?』
「士郎さん?如何したんです?そっちで何かあったんスカ?」
『いや、さっき洸君が神社に来てね、御札をもって繁華街の方に行ったから連絡しておこうと思ってね?――繁華街の方は『柱』が存在してた筈
だったからね。』
ソイツは……連絡ありがとうございます士郎さん。
時坂……やっぱり動いていやがったかあの野郎!神社に札を取りに行ったって事は、最後の柱のある繁華街にも疑似結界を張る心算か……マ
ッタク良い判断じゃねぇか?それでこそ、俺が認めた漢だぜ!
『志緒君達も向かうんだろう?……止めはしないけれど、くれぐれも気を付けて。それと、なのはの事を宜しく頼む。』
了解だぜ士郎さん。
時坂達が行った以上、俺達が行かない道理はねぇし、こんな所でやられてやる心算も毛頭ねぇからな……なのはの事も任せて下さい。何があっ
ても必ず俺が守りますから。
『頼んだよ志緒君……君達に武運がある事を願っているよ。』
「ありがとうございます士郎さん……その思いだけで、充分です――そんじゃあ、行ってきます!!」
『あぁ、気を付けて!』
「ウス!」
さぁて、聞いたなお前等!
時坂達が、最後の柱に向かったらしいから、俺達も行くぞ!!――と言いたい所なんだが…フェイト、お前さっきの戦いで腹減ってんじゃねぇか?
「うん、お腹ペコペコ~~……こんなんじゃたたかえないよ~~~。」
「そう言うと思って……すでにこいつを用意しておいた!俺の一番の得意料理『カツ丼』をな!!」
「ちょっと待ってください高幡先輩、今どこからオカモチ出したんですか!?今までどこにもなかった筈なんですが……」
「……机の下に隠してたんだよ。」
「その間が微妙に気になりますね……」
細かい事は気にすんな。フェイトの事を考えて用意しといただけだからよ――さぁ、さっさと食っちまいな……って、言うまでもないみたいだな?
どうだ、美味かったか?
「おいしかったーーー!
このカツ丼のおかげで僕のぱわーは、じゅうてんりつ120%!3本めのはしらだって、そっこーでこうりゃくしてやるーー!!」
「なら良かったぜ……そんじゃまぁ、行くとするか!!」
「「「「「「おーーーー!!!」」」」」」
――――――
Side:なのは
最後の柱攻略に向かう為に昇降口まで来たんだけど、其処でアリサちゃんが何かやってるね?……アリサちゃん、何やってるの?
「なのは?……そっか、行くのね。」
「うん、最後の柱を止めに行ってくるよ……で、何してるの?此れって、クロスボウハンドガンだよね?」
「もしもの時の為の武器位は用意しとこうかと思ってね?
御札を張っただけで、あの化け物達は学校敷地内に入って来る事が出来ないんなら、クロスボウで破魔矢を加工した矢での攻撃は有効なんじ
ゃないかって思って、鮫島に用意させたのよ。
射程はピストルほどは無いけど、此れならアタシやすずかでも扱えるから、自己防衛の手段としては悪くないでしょ?」
えぇっと、其れは如何なんだろう?破魔矢を加工した矢って言うのは、グリードに対して効果があるんですか志緒さん?
「効果は抜群だろうな。
倉敷の時も、神社の霊木から切り出した木刀が化け物共に対しての有効手段になってたからな?破魔矢を加工した矢ってのは、間違いなく化
け物に対しての有効手段になる筈だ。」
「其れが、海鳴神社の物ならば更に効果は高いわね。
あそこは、時坂君の実家の九重神社に勝るとも劣らない神聖な力を秘めて居る場所だったから、あそこの破魔矢だったらグリードに対して相当
の威力を発揮する筈よ?」
効果あるどころか、効果抜群だったんだ……なら、大丈夫だね。
だけどアリサちゃん、無理はしちゃダメだよ?って言うか、御札の疑似結界があるんだから、滅多な事では学校の外に出ないで……幾らグリード
に有効な武器があるとは言え、結界の外が危険である事に変わりはないから!!
「大丈夫よ、此れはあくまでも結界が破られた場合を考慮しての物だから、使わないに越したことはないわ。
逆に、アンタの方こそ気を付けなさいよなのは?――アタシ達と違って、アンタは前線に出てる訳だから、危険も多いでしょ……だから約束しな
さい?……絶対に死ぬんじゃないわよ!!」
「うん、勿論!!」
命を投げ出して何て言う心算は毛頭ないから安心してアリサちゃん。
命を投げ出して何かを出来るのは1回だけだって、小さい頃に志緒さんがお教えてくれたから、絶対に生き延びてそしてこの事態を終わらせる事
を誓うよアリサちゃん。
アリサちゃんと、私の魂に誓ってね!!
「そう……なら行ってきなさい!そして、化け物共に思い知らせてやりなさいよ――高町なのはの力がどれ程の物だったのかって言う事をね!」
「うん!分かったよ、アリサちゃん!」
「……良いダチに恵まれてるじゃねぇか?……なら、そのダチを守るためにも、最後の柱を沈黙させて、匣への突入を可能にしねぇとな?」
はい!元よりその心算だったので問題なしです!!
最後の柱だって、先に洸さん達が突入してるって言うのなら、フルメンバーが揃う訳ですから、絶対に攻略出来る筈です!って言うか攻略出来な
い理由がありません!!
さぁ、行きましょう!!
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・・・
という訳でやって来ました繁華街!
入り口に御札が張られてた事で、此処もグリードが入り込めない『聖域』になってるのは確かですね――そして、洸さん達が最後の柱を攻略する
為に此処に来たのも間違いでしょう……そうじゃなかったら、繁華街に疑似結界が形成される筈はないからね。
それじゃあ、行きましょうか志緒さん?
「オウよ……最後の柱、攻略してやんぜ――俺達なら、造作もない事だろうがな!!」
「ラスボスに挑むための、最後の中ボス戦……まぁ、負ける事は出来ないよね?――其れ以前に、此のメンバーで負けるとかあり得ないけどさ。」
にゃはは……其れは確かにそうですね祐騎さん。
でも、だからこそ頼もしいんです!!――此のメンバーなら相手が誰であっても絶対に負けないって、そう言いきる事が出来るレベルですから!
「其れじゃあ行きましょう!!最後の柱の攻略に!!」
「了解です!」
「私の出番ね?」
「攻略開始だね?」
「やってやろうじゃないさ!」
「よっしゃー!さいごの柱でも大暴れしてやるぞーーーー!!僕達のまえにたちふさがるやつらなんて、まとめてうちぬいてすらっしゅしてやる!」
「さぁ行くぜ!――俺の焔、精々味わってもらおうじゃねぇか!!覚悟しな!!!」
私達は絶対に止まらないから――だから、最後の柱がドレだけのダンジョンであっても、絶対に攻略してやるの!!
この世界は絶対に壊させない……その為にも、此処で負ける訳には行かないからね――私達の力の全てを賭して、事態を終息させてみせる!
――――――
Side:???
此れは……如何やら、此れまでの御多分に漏れずに、この事態に対して抗う者が居るようだな――所詮は無駄な足掻きでしかないと言うのに。
これまでにも、書が暴走した後で何とかしようとした輩は居たが、そのいずれもが結局は何も出来ずに、闇の書が齎す滅びと運命を共にしたのだ
からな……私に救いなどは無いのだろう。
彼等ならば、此処に辿り着くことが出来るかも知れないが、恐らくは其処までだ――私が相手になるのならば、彼等であっても勝つ事は出来ない
だろうからね……マッタク持って、滅びを誘発する癖に、己は滅びる事が出来ないという事に怒りすら覚えるよ。
だが、待ち受けるのが滅びであるのならば、せめて主には優しい夢の中で一切の苦痛を感じることなく終わってほしいと思うのは、私のエゴなの
か、それとも諦めの境地なのか……それを確かめる術はないのだろうね。
「ん……此処は?」
「……此処は夢の世界です。もう暫しお休みを、我が主。」
「夢か……せやったら、もう少しだけな……」
はい、お休みください我が主――恐らく、もう二度と目覚める事はないでしょうけれどね……此れが闇の書の宿命だな。
最後の柱に突入してきた連中は、この事態を如何にか出来ると思っているみたいだが、1000年もの間、誰がどうしようもなかった事に対して有
効な手段があるとは思えない。
1000年に渡るこの呪いを解く事が出来たのならば、其れこそ正に奇跡に他ならない――まぁ、精々足掻いてみるがいいさ。
お前達が如何に足掻こうとも、滅びの運命を変える事は出来ないのだからね………
To Be Continued… 
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