Side:なのは


柱の後半戦も、順調に進んではいるんだけど、流石は2本目の柱って言う所かな……最初に攻略した柱よりも、出てくるグリードの強さが違うね。
しかも、只強いだけじゃなくて魔法攻撃を無効にするバリアを張ってるグリードまで居るから、私だけだったら攻略は出来なかったも知れないんだ
けども……



「魔法は無効にされるって言うのなら……」

「普通に物理攻撃で打ん殴る分にゃあ、何の問題もねぇってこったな。」

「あ~~~っはっは~~!おまえ達なんて、僕達の前にはただのざこ!こまギレにして、カレーの具にしてやるーーー♪」

「カレーの具って……コイツ等喰えるのかい?」



生憎とこっちには、物理攻撃最強クラスの志緒さんと空さんとフェイトちゃんとアルフさんが居るから、魔法が効かなくても大した問題にならないよ。
逆に物理バリア張ってるグリードが出てきたら、私と明日香さんと祐騎さんの魔法攻撃で倒せば良いだけだから、其れもきっと大丈夫。

其れに、幾ら強くなってるとは言っても、Sグリード未満の相手なら大した脅威じゃない――ううん、どんな相手であっても脅威にはなり得ないよ!

何よりも、この街を取り戻すためにも、世界を救うためにも、こんな所で立ち止まる事なんてできないからね……作戦は『ガンガン行こうぜ』一択で
やるのが一番だよ!そっちの方が、このチームには合ってるしね!

そろそろゴールは近い筈……という事は、柱の守護者との戦いが待ってるんだろうけど、其れもサクッと勝ってバッチリ攻略して見せるの!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE58
『滅の柱の守護者:セベク=ザナドゥ』










No Side


「邪魔だっつってんだろうが……吹き飛びやがれ!!」

ディバインバスター!!


――ドッゴォォォォォォォォォォォォォン!


一行は順調に柱内部を進み、最深部直前の部屋に現れたSグリード『レゾナンスゴーレム』も、明日香が射撃で牽制し、フェイトとアルフが上と下
から、祐騎と空が左右からダメージを叩き込み、更に志緒がヴォーパルウェポンをバット代わりにして、フルスイングホームランをブチかました所に
なのはがバスターを叩き込み、『キタねぇ花火』に変えてゲームエンド。
フルメンバーが揃っていない状態で此れなのだから、洸と璃音と美月が合流してフルメンバーが揃ったら、マジでこの一行で世界征服できると言
っても過言ではないかもしれない。――そもそも、志緒となのはとフェイトが一緒な時点で色々戦闘力的にオカシクはあるのだが。

とは言え、次はいよいよ柱の最深部だ。


「異様にだだっ広い空間……この辺は、僕らの世界に現れた柱とあんまり変わらないかな?」

「だけど、私達の世界の柱と同じという事は……アレが居る筈だよ祐騎君!」

「柱の守護者でしょ?分かってるよ空――だけど、ぶっちゃけ此のメンバーなら負ける気がしないんだよねぇ?
 ゲーム的なステータスの評価をするなら、志緒先輩は物理攻撃が間違いなくSSで、なのはは魔法がSS、フェイトは魔法がAAAで物理がSって感
 じのバランスブレイカーが3人だからね?
 普通に負けないって。」

「何を言って居やがる四宮、俺達がそうだとしたら、お前等は全ての能力がB以上のバランスタイプだろうから、結構頼りにしてるんだぜ俺はな。」

「高幡先輩に頼りにされるのならば、光栄です。――でも、来たみたいね?」


最深部に到着しても、一向に緊張はない。
志緒、明日香、空、祐騎は杜宮で同じ体験をしているから兎も角として、なのは、フェイト、アルフの3人にも緊張が無いと言うのは、1本目の柱を
攻略した事を考えても大した度胸と言えるだろう。

だがしかし、一行が最深部に辿り着いたと言う事は、柱の守護者が現れる事を意味する。
外部からの侵入者が、最深部に辿り着いたその時に、侵入者を抹殺する為に柱の守護者は存在しているのだから。



『グゴアァァァァァァァァァァァ!!!』

――滅の守護者:セベク=ザナドゥ



現れたのは、最初に攻略した『絶の柱』の守護者であった『グレア・ザナドゥ』を上回る力をもった『滅の柱』の守護者:セベク=ザナドゥ。
仮面のような顔が3つあるのはグレア・ザナドゥと同じだが、腕は4本に増えて禍々しさが大きく増しているようだ。


「ハッ、出やがったな?図体だけの独活の大木が――態々倒されるために出て来るとは、ご苦労なこったな。」

「知ってますか?巨体の敵って言うのは、過程はどうアレ最終的には倒されると相場が決まってるんです――だから、私達に負けはないです!」

『Buster Cannon Mode.』


しかし、此のメンバーが今更この程度で怯むだろうか?……答えは否だ。
志緒がヴォーパルウェポンの切っ先を守護者に向ければ、なのはもレイジングハートを『バスターカノンモード』に変形させ(この形状は、既に杖で
は無く、最早巨大なランチャー砲だが、改造したマリー曰くこんな形でも『杖』らしい)其の砲身を向けて、啖呵を切る。

其れに呼応するように、他のメンバーの士気も一気に高まる。

志緒は嘗て、杜宮一の勢力を誇る不良グループ『BLAZE』のリーダーだったから兎も角として、なのはもまたリーダーとしての気質を備えてるのは
間違いないだろう。――わずか9歳で、志緒と共にチームの士気を高めることが出来るのだから。


「まぁ、精々祈んな――テメェ等みたいな化け物に味方してくれる神や仏が居るとは思えねぇがな!」


そして、志緒の此のセリフを合図に戦闘開始!

一行は、1本目の柱の時と同様に、空中を飛び回って相手に攻撃の的を絞らせない様にして、その上で攻撃の隙に一撃を叩き込む、ヒット&アウ
ェイの作戦で挑む。
相手が巨大であるだけ、此方は当てやすく、相手は当てにくくなるから、ヒット&アウェイは有効な戦法なのは間違いない。

間違いないが……


「コノヤロー……なんでうでが4ホンなんだよ!じゃまじゃないか!!」

「いや、其れ文句言っても無駄だから。って言うか、侵入者を倒す為に存在してるんだから、此れ位はある意味で当たり前でしょ?」

「だとしても、マジむかつく!!」


フェイトの言うように4本の腕が意外なほどに邪魔であった。
普通に肩から生えている2本は兎も角、背から生えている2本はあろう事か伸縮性を備えているために、見た目以上のリーチを誇り、其れを振り
回すだけで強烈な範囲攻撃となっているのだ。

更に、腕の範囲外からの飛び道具に関しても、自身が魔法軽減のバリアを纏っているために決定打は望めない。――なのはのディバインバスタ
ーを持ってしても、決定的なダメージを与えるのは難しい筈だ。

これぞ、正に『守護者』と言うべき力なのだろうが……それで、この一行と止めることが出来るだろうか?


「たく……ウザってぇんだよテメェは!喰らい……やがれ!!


――バガァァァァァァァン!!!


答は簡単。出来る筈がない。
この状況に業を煮やした志緒が、天性の打たれ強さとバリアジャケットの頑丈さに物を言わせてセベク=ザナドゥに近付くと、渾身のイグニスブレ
イクを打ちかまして、纏っていた魔法攻撃軽減のバリアを力任せに叩き壊す!

マッタク持って呆れる力技だが、此れで守護者の魔法防御力が大きく低下したのは間違いない――軽減する事が出来なくなったのだから。

だが……


『グガァァァァァァァァァァァァァァァァァ……!』


バリアが破壊された瞬間、セベク=ザナドゥの身体が血の様に赤く染まり、3つの顔の目が不気味に金色に光って、赤黒いオーラを纏った姿に変
わったのだ。
魔法攻撃軽減のバリアが破壊された事による防御力低下がトリガーとなり、下がった防御力の代わりに攻撃力が大幅にアップした――バリアは、
攻撃力制御のリミッターでも在ったという訳だ。

つまり此れは二段構え。
伸縮自在の腕で相手を近寄らせず、魔法攻撃軽減のバリアで遠距離攻撃の被ダメージを抑え、バリアが破壊されたら破壊されたで、一撃が致命
傷に成り兼ねないレベルの攻撃力が解放される……此れは何とも強力だろう。
其れ以前に、このリミッター解除状態の変化を見ただけで、戦意を大きく削がれる者だっている筈だ。


「それが何だってんだ?バカ力が解放されたみてぇだが、今更そんなモンで俺達が驚くと思ってんのか?」

「味方のへんしんはぱわーあっぷ、敵のへんしんはしぼうふらぐ!
 つまり、お前はしぼうふらぐをたてた!たてた以上は、ふらぐをかいしゅうしないとだから、おとなしく僕達にぶっ飛ばされてやっつけられろー!」


其れは逆に言うのならば、戦意が削がれない者も居るという訳で、この一行は削がれない連中の集まりだ。
志緒、なのは、明日香、空、祐騎、アルフは夫々ベクトルは違えど、相手が誰であろうとも決して退く事はないし、フェイトに至っては、そもそも恐怖
を感じる事など有るのかと言うレベルである。

だから、攻撃力が解放されたセベク=ザナドゥが相手であっても怯みはしない。



『グガァァァァァァァァァァァァァ!!!』


解放された攻撃力を全開にして、セベク=ザナドゥが志緒とフェイトに拳を振り下ろし、拳が振り下ろされた場所には直径1.5mほどのクレーター
が出来ているが……


「確かにトンでもねぇ力だが、リミッター外してこんなモンか……化け物になっちまった倉敷の力と比べりゃ、蚊に刺されたほども感じねぇな。」

「なのはのぶれいかーに比べたらこんなのぜんぜん大したことないぞ!」


拳を振り下ろされた2人はマッタク無傷!
ヴォーパルウェポンとバルディッシュ・アサルトで拳を防ぎつつ、1.5mのクレーターを作る衝撃を受けたにも拘らず体勢を崩すことなく直立不動!
果たしてどんな身体をしているのかと言うのは、今更突っ込みは不要だろうが、其れにしたって此れは凄すぎる。

セベク=ザナドゥも、(表情は変わらないが)此れには驚いたらしく、すぐさま残る2本の腕で追撃しようとする。
伸縮自在の腕を、鞭のようにしならせて振り下ろせば、如何に志緒とフェイトと言えども耐える事は出来ないと判断しての攻撃なのだろうが、其れ
は、未遂に終わる。


レストリクトロック!

チェーンバインド!



――ガキィィィィン!!


腕を振り下ろそうとした瞬間に、なのはとアルフが、夫々バインドを発動して腕の動きを封じ込めたのだ。
なのはのバインドはフェイトでも解けなかったほどに強固であり、アルフのバインドもまた、フェイトを相手にトレーニングしてきた中で極めて高い強
度を備えている故に、如何に巨体のセベク=ザナドゥであっても簡単に解く事は出来ないのだ。


「覇ぁぁぁ……砕け散れ!」

「喰らいなよ!」



そして、その好機を逃すことなく、明日香が『クリスタルソード』で右腕を斬り落とし、祐騎が『グラムインパクト』で左腕を肩口から砕き、伸縮自在の
腕を使えないようにする。


「フッ!ハッ!覇ぁぁぁぁぁぁ……轟雷撃!!


更に、空が飛び回し蹴り→前方回転踵落とし→轟雷撃のコンボを叩き込んでセベク=ザナドゥの巨体を揺るがせる。
150cmに満たない小柄な身体の、一体何処に此れだけのパワーが秘められているのかはほとほと謎ではあるが、此れだけの巨体が揺らいだと
言うのは絶対的な隙が出来たのと同義であり、此れを逃す手はない。


「行きます!天翔脚!

イデアルアタック!

ブリザードピアス!

バリアブレイク!!


先ずは、空と祐騎と明日香とアルフが、突進系の攻撃でセベク=ザナドゥが体勢を立て直そうとするのを阻止する。
何とか体勢を立て直そうとした所に追撃を喰らうと言うのは非常に嫌な物であり、総じて体勢の立て直しに失敗するモノであり、セベク=ザナドゥ
もまた、その例に漏れず、立て直しかけた体勢が再び大きく崩れる。


「行くよ、フェイトちゃん!」

「おっけー!いっくぞー、ぱわーきょくげ~~~ん!!」

「全力全壊!ガトリングスマッシャー!!

「喰らえ~~!超・爆光破!!


其処に追撃とばかりに、なのはの3連直射砲と、フェイトの極太魔力砲が炸裂し、10m以上はあるであろうセベク=ザナドゥの巨体を吹き飛ばす。
普通なら、此れで完全KOされているだろうが、これを喰らっても無事と言うのは、流石は柱の守護者と言った所だろう。


『ぐ……ガァァァァァァァァァ!!!』


「呆れた頑丈さだね……如何やら、反撃する気満々みたいだけど――何を勘違いしているの?」

「僕達のばとるふぇいずはまだ終わってない!!――やっちゃえシオ!!」

「覚悟を決めろや……ドラゴンインストール!!!


――轟!


しかしながら、此方には最強の志緒の攻撃がまだ残っている!
気合一発、爆炎の如き闘気を纏った志緒は、ヴォーパルウェポンでセベク=ザナドゥを流れるような動きで斬る。斬って斬って、斬りまくる!!!
志緒の怪力から繰り出される一撃は、それだけで凶器であり、セベク=ザナドゥの巨体を容赦なく切り裂いていく。


「柱の守護者だか何だか知らねぇが、調子こいてんじゃねぇぞオラァ!!」


その連撃のトドメは、ヴォーパルウェポンを地面に突き刺して発生させた火柱!
志緒の身長の3倍はあるであろう火柱を、散々ぱら斬られまくった身体に浴びせられては、柱の守護者であるセベク=ザナドゥとて堪ったモノで
はない……と言うか、完全にダメ押しの一撃だっただろう。


『ガァァァァァアッァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』


断末魔の叫びと共に、セベク=ザナドゥは爆発四散して消滅!


「ハッ、テメェ如きで俺達を止めらると思ったか?一昨日来やがれってんだ!」

「私達と貴方とじゃ、背負ってるものが違うんです!」


正に圧倒的としか言いようがない戦いの締めを飾るのは志緒となのはの決めポーズ。
ヴォーパルウェポンを肩に担いだ状態で左手の中指を立てる志緒と、レイジングハートを左脇に抱えた状態で右手をサムズダウンするなのはの
姿は、思わず見惚れてしまう程の迫力とダークヒーロー的な魅力に満ちていた。








――――――








Side:なのは


此れで2本目……残る柱は1本だから、より一層頑張って行かないとだね!!
2本目の柱も攻略した事だし、このまま一気に3本目の柱も攻略して、最終ダンジョンへの扉を開いてやるの!!って言うか、開くべきだよ絶対!



「その意見に関しちゃ同感だが、この先は勢いだけで如何にか出来る領域じゃねぇから、取り敢えずは一度学校に戻って、此れからの方針って
 奴を明確に決めとくべきだろ。」

「其れは……確かにそうですけど、そんな事をしてる時間は無いんじゃないんですか志緒さん?」

「かも知れねぇが、時坂達の事を忘れるなよ?
 俺達が彼是決めてる間に、アイツは3本目の柱の攻略に乗り出す筈だ……なら、俺等がアイツ等の後から最後の柱に入っても問題ねぇだろ?
 寧ろそっちの方が確実に合流できるし、戦力の強化にも繋がるんだからな。」



……言われてみれば確かに。
洸さんも璃音さんも美月さんも、簡単にやられる事は無いでしょうから、確かに最後の柱に今直ぐ向かう必要はないかもしれません―だからと言っ
て、余分な時間をかける事は出来ませんけれど。

まぁ、何にしても残る柱はあと一つだから、内部で何が待って居ようとも必ず攻略してやるの!そして、本丸も攻略して海鳴を救うだけだから!!

そして終わらせてみせる――1000年を超えて続けられてきた『闇の書の呪い』と言う物を!!――さて、ソロソロラストスパートかもだね!!
呪いを吹き飛ばして、はやてちゃんも救う……一見部無謀かもしれない目的だけど、此のメンバーだったら絶対に出来る!

だから此処で終わりにするんだ――闇の書の悲劇を、私達の手でね!!












 To Be Continued…