Side:なのは


唐突ですが、只今翠屋の厨房では、志緒さん達が料理の真っ最中です。
と言うのも、志緒さん達が翠屋のお手伝いをするとなった時に、お母さんが『調理の補助をお願いする事も有るかも知れないから、皆の料理の腕前がどれ程か知って
おきたいわ』って言ったからで……現在進行形で、各々が翠屋のメニューの中から1レシピを選んで調理中な訳です。

果たしてどうなるのか……うん、出来たみたいなの。



「よっしゃ、上出来だぜ。」
洸さん:使用レシピ『海鮮アボカドサンド』   結果:成功


「はい、完成よ。」
明日香さん:使用レシピ『タコス風ピリ辛クレープ』   結果:成功


「うんうん、良い出来じゃない♪」
璃音さん:使用レシピ『完熟トマトのナポリタン』   結果:成功



取り敢えず、洸さんと明日香さん、璃音さんは料理の腕は悪くないみたいなの。お母さんの特製レシピを、ほぼ完璧に作り上げてくれたから、安心できる感じだね。

それで――



「……すみません、失敗しました。」
空さん:使用レシピ『カナッペ風オープンサンド』   結果:変異(鋼の霊石)


「オカシイでしょ此れ…」
祐騎さん:使用レシピ『彩りフルーツパフェ』    結果:失敗(甘酸っぱいなにか)


「えっと、此れは一体………」
美月さん:使用レシピ『濃厚キャラメルムース』    結果:失敗(ゲル状のなにか)



反対に、空さんと祐騎さんと美月さんは壊滅的ですね。
特に空さんは、何処を如何やったら食材がそんなモノに変異するんですか!?普通に考えてあり得ないですよ!?って言うか、有ってはいけない事だと思うの!!

兎に角これで、空さんと祐騎さんと美月さんが調理補助に回る事だけは無くなったね。

で、残るは志緒さんなんだけど、果たして志緒さんの料理の腕前はドレくらいなのかな?……4年前に作ってくれた炒飯は凄く美味しかったから、料理が苦手って言う
事はないと思うんだけど……どんな結果が出るかドキドキだね!













リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE5
『忍び寄る始まりの時』











で、そろそろ志緒さんの料理も出来上がる頃だけど、少し気になる事が有るな?
確か志緒さんが選んだのは、食事メニューでは一番人気の『旨辛ビーフカレー』だった筈なんだけど、カレーとは別に、志緒さんはオーブンで何か焼いてるんだよね?

一体何を作ってるのか気になるの。



「よし、出来たぜ。……ふん、悪くねぇ出来だな。」
志緒さん:使用レシピ『旨辛ビーフカレー』    結果:成功



取り敢えずカレーは完成したみたいだね。
香りも色も………そして、味だってお母さんが作った物と遜色ないの!!流石にお母さん以上とは言えないんだけど、此処までの完成度は、恐れ入ります志緒さん!



「まぁ、元のレシピが確りしてたからな。
 と言うか此れだけ細かく書かれてるなら、失敗のしようもねぇだろ?――此れを使って失敗する奴は、そもそも料理の才能がないのかも知れないぜ?」

「「「ぐはぁ!!」」」



志緒さん、其れは空さん、祐騎さん、美月さんの3人にはトドメです。クリティカルヒットです!!
まぁ、あんなものを作らせないと言う意味では問題ないのかもしれませんが……そ、其れよりも、志緒さんはカレーの他に何を作っていたんですか?何か、オーブンで
焼いてたみたいですけど……



「ん?あぁ、コイツか。
 よし……如何やら、良い感じに仕上がったみてぇだな?コイツは俺流のアレンジだ、喰ってみろ。」
志緒さん:使用レシピ『旨辛ビーフカレー』    結果2:独自レシピ開発(旨辛ビーフカレー→とろけるチーズの熱々カレードリア)



まさかのアレンジレシピ!?
でも此れは……良い感じに焦げ目がついて溶けたチーズと、焼かれて香りが際立ったカレーは、食欲中枢にダイレクトアタックを仕掛けて来るの!我慢できないの!

「いただきます!!」

「おう。感想を聞かせてくれや。」



はい!!………って、此れは!!
焦げ目の付いた溶けたチーズと、スパイシーなカレーが見事に調和して、カレーライス単体よりもより深い味わいを醸し出してる!!
しかも、カレーにチーズって言う組み合わせであるにもかかわらず、決してしつこくなくて、此れなら女性でもペロリと食べちゃうんじゃないかって言う美味しさなの!!

「御馳走様でした♪」

って言うか、私がペロリと行っちゃったからね……はぁ、美味しかった~~~♪
ちょっとしたアレンジで、お母さんのレシピを此処までグレードアップさせるとは、志緒さんは本気で料理も得意なんですね?



「まぁ、蕎麦屋に住み込みで働かせて貰ってるからな……蕎麦打ちは教わってなくても、丼物なんかは作る事も多いから料理が出来ねぇんじゃ話にならねぇだろ?
 其れに、やる以上はどんな事であっても、半端な真似は出来ねぇからな。」

「そう言えば、前に志緒先輩が奢ってくれたカツ丼も滅茶苦茶美味かったっけかな~~。」

「あぁ~~~、アレは本当に美味しかったですねぇ~~~~……」

「何て言うか、人は見かけによらないって感じだったかな?」



ほえ~~~、料理も得意だなんて、志緒さんて不得手なモノ成るんですか?



「如何でしょうか、確か1学期の成績は体育が5で、主要4教科+αが4でしたからねぇ?」

「おいコラ、何でそんな事知ってやがるんだ北都?」

「其処はほら、私は生徒会長ですから♪」

「「それは、其れで済ませて良い事じゃないです(ッス)美月さん(先輩)!!」」

「あ、洸君となのはちゃんがユニゾンした。」



いや、其れは仕方ないと思いますよ璃音さん!?
幾ら生徒会長だからって、普通は生徒の成績表の内容なんて把握してないと思いますよ!?って言うか、担当教科の先生と担任の先生位ですよね知ってるのは!



「高幡君だけでなく、全生徒の成績もバッチリ把握していますけれど?」

「学園の生徒が何百人居ると思ってるんすか美月先輩ーーーーー!!!」

「何百人どころか、寧ろ千人近いと思うわよ時坂君……」

「尚の事有り得ねぇだろ、明日香ーーーーー!!!」



……志緒さん、美月さんて何者なんですか?



「色々と得体が知れねぇって事だけは確かだな。
 実家の北都グループの現在の実質的経営者にして、杜宮学園の生徒会長、ゾディアックの白き巫女、X.R.C副部長……等々、肩書は挙げればキリがねぇんだよ。」

本気で何者なんですか!?

「その気持ち、よ~~~~~~~~~~~~~~く分かるぜなのはちゃん!!」



誇張抜きで、色々凄い人なんですねぇ……何て言うか、お母さんと美月さんが組んだら、誰も勝てない気がするの……うん、マッタク持って否定できない感じなの。

で、料理後のグダグダは兎も角として、お母さんは志緒さん達の料理結果を如何判定するの?



「空ちゃんと美月ちゃんは接客専門で、祐騎君はレジ打ち担当で確定ね♪
 志緒君と洸君と明日香ちゃんと璃音ちゃんは、場合によって接客と調理補助に適宜回って貰う事にしましょうか?それと、志緒君の独自レシピはメニューに追加♪」

「ちょっと待てや桃子さん。確かに俺流のアレンジをしてはみたが、ソイツをメニューに加えて良いのか?
 自分で言うのもなんだが、アレは『こうしても旨いだろうな』と思って作った即興だ……店のメニューに追加できる代物じゃねぇだろ?」

「あら、其れについては大丈夫よ?だって、なのはがあんなに美味しそうに食べて、そしてご飯を一粒残さずに完食したんですもの。店に出しても恥ずかしくないわ♪」

「如何言うこった……?」



え~とですね……何て言うか、私の味覚って物凄く鋭いみたいで、お母さん曰く『其の気になればお粥の中に入ってる一粒の塩をも感知できる』らしいんですよ?
それで、何時の頃からか、翠屋の新メニューが出来た時には、先ずは私が味見をするのが当たり前になっちゃって……多分そう言う事だと思います。



「お前の舌が決定打か……桃子さんの信頼も厚いみてぇだし、お前の舌が推した結果を断るってのは逆に無礼ってモンだぜ。
 マダマダ改良の余地のある逸品だろうが、アンタの眼鏡に適ったってのは、俺としても自信になるからな――良ければメニューに追加してくれや。」

「えぇ、勿論そうさせて貰うわ志緒君♪
 でもそうなるとメニュー名を考えないといけないわねぇ?なのはが暫定的に『とろけるチーズの熱々カレードリア』って言ってたけど、少し長いものねぇ?」



で、無事追加だけど、今度はメニュー名……確かに私が咄嗟に考えたメニュー名は長いかもしれないけど、それ以外の名前となると結構難しいんじゃないかと思うよ、
お母さん?実際に志緒さん達も真剣に考えてるし。



「えぇ、難しいでしょうね。――そんな状況に於いて、なのはだったら、どんなメニュー名を考えるのかしら?」

「其処で私に振るの!?」

えっと……志緒さんの独自メニューに名前を付けるとしたら……えぇいままよ、此れしかないの!!!


「「BLAZEカレードリア。」」



って、志緒さん?……お、思いっきりハモっちゃいましたね?



「だな。……だが、まさかお前が俺と同じ考えだった事に驚きだぜ――どうやら、俺が思ってた以上に、俺が教えてやったBLAZE魂を秘めてるみてぇじゃねぇか?」

「はい!そう言って貰えるように頑張りましたから!!」

「ふ……上出来だぜなのは。」



えへへ、そう言って貰えると嬉しいです♪



「なぁ、璃音、明日香……」

「大丈夫よ時坂君、私も見えてるから。」

「いっそなのはちゃんに、この『たれ耳わんこセット』を装備してみる?多分、物凄く効果を発揮してくれると思うんだけど?」

「……いや、其れは止めとこう――一歩間違ったら、俺等全員、志緒先輩に殺されちまうかも知れねぇからな。」

「「確かに。」」



洸さん達が、何か言ってるみたいだけどなんだろうね?――取り敢えず、志緒さんの独自レシピが翠屋に追加されるのは、もう間違いない事だと思うの♪



「はぁ、覚悟を決めるしかねぇみたいだな。」

「にゃはは……お母さんが『こうだ』って決めた時点で色々と抵抗する事自体が無駄ですからねぇ……」

でも、志緒さんのカレードリアは本当に美味しかったから、アレなら店に出しても問題ないと思うんだ?――何よりも志緒さんのレシピだからね?



「なんだそりゃ?」

「分からないなら分からなくても良いです♪」

今は未だね。――でも、何時かは、私の思いを伝えて、そして届かせてみせるの!!



――ピンポ~ン



って、宅急便屋さん?


あ……若しかしなくても、お母さんが注文してた、志緒さん達の『仕事着』が来たのかな?

流石に、公序良俗に反する物は注文してないと思いますけど、お母さんが注文した以上は、只の仕事着の筈がないの……って言うか、其れは絶対にあり得ないの!



お母さんは一体どんな衣装を注文したの!?

即刻そう突っ込みたかったけど、だけど、夫々の衣装に着替えて来た皆さんは、何て言うかとってもカッコ良かった……思わず見惚れちゃったの。



って、志緒さんは居ないんですか?



「いや、志緒先輩の衣装は俺等よりも凝ってたから、着替えに時間がかかるんじゃないのか?
 それに、4年ぶりのなのはちゃんとの邂逅なんだから、志緒先輩も色々気合い入れるんだと思うぜ多分――って言うか、そうじゃないとだからな。」

「待たせたな」


そしてその問いに応える形で登場したのは着替えた志緒さん――な、何て言うか物凄くカッコイイの!!寧ろ、カッコイイの極みだよ此れは!!


志緒さんの事は大好きだけど、此れは若しかしなくても惚れ直しちゃった……そう言われても、否定は出来ないの。――だって、本当にカッコ良かったからね。








―――――――









Side:志緒


料理の腕前は、取り敢えず認められたみてぇだが、まさかその判定の直後に桃子さんが頼んだ俺達の『仕事着』が到着するとは、思っても居なかったぜ……マッタク
もって精進が足りねぇな……もっと感覚的な部分が鋭くならねぇとだぜ。


まぁ、其れは其れとして、確かに桃子さんは『菓子界の絶対神』て言っても過言じゃねぇが、一体どんなセンスで選びやがったんだl此れは?
悪くねぇもんだが、俺にはこんなのは似合わねぇんじゃねぇか?ったく、何処の不良系ホストだってんだ……下手したら、客が蜘蛛の子を蹴散らす様に逃げるかもだ…

だが、選んでもらった以上は試着しねぇのは儀に反するからな……よし、出来たぜ。――おかしくねぇかな?



「カッコいいです志緒さん!!」

「これは、予想外の結果ではあったけれど、良い感じね♪」



下は濃紺のスラックスで、シャツはチェックの7分丈、そこに白のショートベスト(公式DLC、志緒のSウェア参照)……まぁ、物は悪くねぇし、機能的にも良い感じだぜ。
何よりも、コイツが俺の翠屋での仕事着なんだろう?……



「そうなります!!だけど、良く似合ってると思います志緒さん!!」



ありがとよ。
だが、こうして仕事着まで手配して貰った訳だから、中途半端な事は出来ねぇ……やるならトコトンやってやるぜ!!異論はねぇな、お前等!!



「おう、勿論だぜ志緒先輩!!」

「えぇ、やれるだけやってみましょう。」

「もてる力の全てをかけて!!」

「色々やるのも面白そうじゃん?――僕は賛成だね。」

「私も賛成だわ――アイドルの思いの強さを示す良い機会だって思うからね♪」



どうやら、少なくとも否定的な意見は無かったみてぇだな――マッタク持って大したモンだぜ。

ともあれ、仕事着が届いた以上は、明日から本格的な仕事が始まると言っても過言じゃねぇだろうな?……だが、其れもまた良いのかも知れないな……翠屋の手伝
いが出来る訳だからよ。


不束者だが、改めて世話になるぜ桃子さん。――其れから、なのはもな。



「はい!!頑張ります!!」

「お前は、本当に5年経っても変わらねぇな?――だが、前よりも良い感じだぜ?……そっちの方が、お前には似合ってるだろう。」


「それが、私ですから♪」



成程な。


ともあれ、今この瞬間から翠屋での仕事が始まった訳だから、半端な真似は出来ねぇからな――トコトンまでやってやる!!其れが俺の為すべき事の1つだからな!








――――――








Side:???


これは、予定通りにジュエルシードは海鳴とかいう都市に散らばったみたいね?……好都合だわ。
あとは、此れをすべて回収すれば私の願いはかなう……その願いを現実にする為にも、このジュエルシードは必要不可欠だから、何としても回収させなくてはね……

「このジュエルシードと言う物が、私には必要なの。
 数は全部で21個、其れを集めて来て頂戴。……出来るわよね××××?」

「はい……其れが母さんの望みであるのならば。」

「ふふ、良い応えよ。それじゃあ、宜しくお願いするわ××××。」

兎に角、此れで準簿は整ったわ。――残るはジュエルシードのみ……何としてもすべて回収しなくてはならない…私の望みを現実の物にする、その為にも絶対にね!














 To Be Continued…