Side:志緒
「飛竜一閃!!」
「フレアスラッシュ・クロス!!」
――ドガァァァァァァァァァァァァァン!!
フレアスラッシュを2連続で繰り出せば単純に威力は倍になるだろうと思って、二連続で放ってみたんだが、コイツは思った以上の破壊力だったな?
シグナムの直射炎熱砲を、斬り裂いて、そして相殺しちまった訳だからよ……我ながら、恐ろしい破壊力だぜ。
「二連続の単発砲撃で、私の直射砲を相殺するとは……魔力は大した事はないとは言え、矢張り貴様は只者ではなさそうだな高幡?
いや、其れ以前に生身で私と渡り合った人間など記憶の何処を探しても出てこない……お前はどうやら、戦乱期のベルカの騎士すら凌駕する力を
持っているのかもしれないな。」
「褒め言葉と受け取っておくぜ。」
つっても、テメェ等を野放しには出来ねぇから……悪いが狩らせて貰うぜ?――何よりもこの間は、一方的にやられちまったから、そのリベンジの意
味も兼ねてな!!
――ガキィィィィン!!!
「ふふ、いっそ清々しいな貴様の闘気は!!
もしもこんな状況でなければ、もっと別な出会い方をしていたら、私はお前に惚れていたかもしれんぞ?――やはり男は、強くなくてはダメだしな。」
「嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか……だが、そうはならなかったんだ……なら、全力で戦うしかねぇだろ!!!」
「ふ、是非もない!!」
なら真っ向勝負と行こうじゃねぇか?――俺の焔と、お前の炎……どっちが熱いか燃え比べをしようじゃねぇか!!!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE49
『激闘!爆裂!!大喝采!!!』
No Side
志緒vsシグナム、なのはvsヴィータ、フェイトvs分身シグナム、X.R.Cvs各種グリードの様相を呈して来たこの戦いだが、少し離れた場所では別の戦
いが始まろうとしていた。
「よぉデカブツ、この間の借りを返しに来たよ。」
「お前は……良かろう、相手になってやる。」
その戦いはアルフvsザフィーラ。
以前の戦闘では、ザフィーラの強襲を受けた後にシャマルのバインドに捕らわれて不覚を取っただけに、アルフとしては何としてもリベンジを果たした
い相手なのだ目の前の人狼は。
また、アルフもザフィーラも狼をベースにした人狼であるが故に、非常に闘争本能が高く、戦場で対峙したその時に、戦いを回避するなどと言う思考
はそもそも存在しないのだ。
だからそこには手加減などは存在しない。
「どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
――ガキィィィィィィン!!!
始まった純粋な格闘戦は、パワーではザフィーラが、スピードではアルフが上回っていると言う、剛と速のぶつかり合い!
其れこそ、某龍玉的漫画の格闘戦を思い起こす位の凄まじい格闘の攻防なのだ!!
ザフィーラの剛拳を躱したアルフは、カウンターで超速の突きを繰り出すが、ザフィーラは其れを的確にガードして、決して急所を打たせはしない。
正に最強の攻防と言えるだろう。
そして、激しい攻防を繰り広げているのはこの2人だけではない。
「うおりゃぁぁぁぁぁあっぁぁ!!かくごしろブシドー!
ぶんしんでも、こんどはお前を倒す!!僕達の前にたちふさがる奴は、誰であろうとブッ飛ばす!斬り飛ばす!!細切れにする!!!」
「相変わらず威勢は良いが……果たして、その威勢通りに行くかどうかが問題だな?」
「いくかどうかじゃなくて、いくんだよ!そんな事も分からないのかブシドー?なんだ、意外とおバカさんなのか?
何だかしらないけど、僕にバカとかアホって言われたらおしまいだって、前にあるふが言ってから、お前はもうおしまいだ!さぁ、かかってこーい!」
「かかって来いと言いつつ、突撃してくる奴が何処の世界に居るのか、説明を願いたいぞ。」
会話からは想像もできないだろうが、フェイトと分身シグナムもまた、凄まじいクロスレンジでの戦闘を行っているのだ。マッタク持ってセリフが場違い
な感は否めないのだが、兎に角戦闘中なのだ。
青い雷光と紅蓮の焔が交錯し、しかし互いに決定打にならない激しい攻防。
分身シグナムの実力は本体とほぼ変わらずである事を考えると、其れと互角にやり合っているフェイトの実力もまた凄まじいのだが、驚くべきは自分
と変わらぬ分身を作り出す事が出来る、シグナムの実力だろう。
大抵の場合、分身は本体よりもかなり劣化した性能になるのだから。
「この~、ぶんしんのクセにやるなブシドー!
でも本番はここからだ~~~!パワー全開でいっくぞ~~~~!!ばるでぃっしゅ!!」
『Yes sir.』
――グオン!!
と、此処でフェイトが動いた。
バルディッシュのカートリッジを一発ロードすると、バルディッシュの斧の刃の部分が倍以上に巨大化し、目に見えて攻撃性能と言うか、攻撃力を上
昇させて来たのだ。
更に恐ろしいのが……
「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「んな…そのバカでかい武器を手にしながら、全くスピードが落ちていないだと!?」
武器が巨大化してもフェイトのスピードが全く落ちていないという事だが、此れはフェイトの己の鍛え方が大きく関わっている。
フェイトは基本的な考えに『躱せるなら防御は必要ないし、パワーが強ければ一撃で落とすから問題ない』と言う、可也偏ったモノがあり、しかし其れ
を徹底した結果、パワーとスピードに関しては誰にも負けない位に強くなったのだ。防御を鍛えない代わりに。
そんなフェイトならば、巨大な武器を持っての光速戦闘は何も難しい事ではない。――と言うか、このアホの子は理論とかそっちのけで『やったら出
来た』というタイプなのだから、彼是言う方が間違いなのだ。
兎に角、徹底的に鍛えたパワーとスピードの全力は、分身であるシグナムを圧倒し始めていた。
此れまでは互角に打ち合っていた戦いが、シグナムの防御の比率が高くなってきた――早い話が、攻撃の手を止めて防御しないと、フェイトの攻撃
に対処する事が出来なくなってきたのである。
シグナムの本体ならば如何にかしたのだろうが、此れが分身故の限界という事なのだろう。――フェイトの定石無視の攻撃のせいもあるだろうが。
「うりゃ!!」
「!?」
そんな分身シグナムに対し、何を思ったのかフェイトは頭突きを一発!!
いや、考えなどないのだろう……恐らくは『何となく効きそうだったから』程度の理由なのだろうが、その効果は実は途轍もなく抜群であったのだ。
防御の比率が大きくなっていた分身シグナムだが、その意識はフェイトのデバイスでの攻撃に向いていた故に、この直接攻撃は想定していなかった
訳で、モロに食らってしまい軽い脳震盪発生!
そして、そうなれば動きが一瞬止まってしまう訳で……
「隙ありぃ!!ランディ・バーーーーーース!!」
――カッキーン☆
其処にフェイトのバルディッシュのフルスイングが突き刺さり、其れを真面に喰らった分身シグナムは、結界外まで飛ばされての場外ホームラン!!
当時に、結界の外に放り出されては分身はその存在を保持できない為、分身シグナムは此処で退場。
分身相手とはいえ、フェイトはキッチリとリベンジを果たしたのだ。
「イエーイ!強くて凄くてカッコいい!うん、やっぱり僕最強!!――って、分身ブシドー倒しちゃったけど、僕どうしよう?
シオとなのはは、タイマン状態だから、そこにわりこむのは良くないと思うから……よし、コウ達を助太刀しよう!グリードもみすごせないモンね!」
そして、其のまま今度は洸達の加勢に向かう事を決断する当たり、アホの子でも空気と場の状況は読めている様である。
で、その洸達だが
「合わせて下さい、美月さん!」
「了解です、明日香さん。」
「援護は任せたぜ璃音!」
「OK、任されたよ洸君!」
「サポートをお願い、祐騎君!」
「仕方ないなぁ?……ま、全力でサポートしてあげるから、手加減なしでやっちゃっていいよ空。」
明日香と美月、洸と璃音、空と祐騎と言うツーマンセルで、見事にグリードを撃破していた。
其れこそ結界内に現れたグリードの中にはS・グリード級も存在していたのだが、世界を巻き込みかねない厄災を防いだX.R.Cの面子からしたら、此
の程度の敵は、ハッキリ言って敵ではない。ともすれば準備運動にすらならないのだ。
前衛である、洸・明日香・空が、クロスレンジで撃破すれば、璃音・美月・祐騎の後方支援組が討ち漏らされたグリードを即撃破し、グリードの大量展
開を許さない――正に、最強の布陣だろう。
その中でも特出しているのが空だ。
「轟雷撃!!!」
郁島流の必殺の拳が、一撃で複数のグリードを粉砕する!
志緒の『イグニスブレイク』とは違い、正面のみをカバーする空の『轟雷撃』だが、正面方向に対する攻撃力は、志緒のイグニスブレイクを上回る。
詰まる所、空の轟雷撃を喰らった相手は消滅しかないのだ。
「押忍!お待たせしました!!」
「やるじゃん、空。」
一撃滅殺!
志緒が認めた空のパワーは間違いなく本物!!――だからこそ、この結界内でX.R.Cのメンバーが戦闘不能に陥る事だけはないだろう。
何故ならば、最強クラスの格闘王が、仲間に居るのだから!――結果として、召喚されたグリードは全く無力であり、空達に自信を付けさせるだけに
なったのだった。
――――――
Side:アルフ
もう一度コイツとやり合うとは思ってなかったけど、流石に雄の人狼だけあってパワーがハンパ無いじゃんよ……アタシでも、打ち勝つ自信はない。
志緒なら、真正面からぶつかっても押し勝ちそうな気はするけどね。
尤も、アタシだって負ける気はないんだが……お前は何でそこまでするんだデカブツ?
「アンタも誰かの使い魔だろうが……御主人様が間違った事をしてるなら、止めてやらなきゃ駄目じゃんよ!!!」
「我等の主は、我等の所業について何ら知る事はない――全ては、我等の責だ!!」
つ~事は独断専行って事か――だったら尚の事ブッ飛ばす!!
アンタ達は、望みを捨てたアタシ其の物だって、そう思っちゃったんだろうね――だけど、だからこそ尚の事アンタを見過ごす事は出来ねぇんだ!!
悪いが、付き合って貰うぞデカブツ…やっぱりアンタ達は見過ごして良い相手じゃないみたいだからね?なら、トコトンまでやってやろうじゃないか!
そしてその末に絶対に潰す!!――その先駆けとして、先ずはアンタをぶっ倒すぞデカブツ!!
――――――
No Side
各所で繰り広げられる激しい戦闘だが、参謀のシャマルは、旗色が悪いという事を感じていた。
確かに騎士の基礎能力は抜群に高いが、相手もまた其れに匹敵するか、或は上回る程の力を有している――何よりも、結界内に召喚したグリード
が簡単に撃破されたというのも大きいだろう。
だからこそシャマルは決断する。
これ以上、この場での戦闘は得策ではないと判断したのだ。
『結界内部に閃光弾を放つわ、それに乗じて離脱して。』
「ふむ、心得た。」
「時間切れか……実に心残りだが、この勝負は預けるぞ高幡。」
「鉄槌の騎士、ヴィータだ。
話がしてぇなら、今度こっちから出向いてやるから、今は邪魔すんじゃねぇ!!」
三者三様の反応をしつつ――
「クラールゲホイル!!」
シャマルが展開した閃光弾に乗じてその場を離脱し、一気に管理局を振りきろうとして居る――其れは最高の一手であるかも知れないが……
「追撃を開始する!エイミィ!!」
『了解!逃がさないよ!!』
転移魔法を使用した直後に、現れたクロノ率いる部隊が相手であるのならば、守護騎士達とて簡単に転移する事は出来ない。
即座にクロノが率いるチームが足りない部分を補ってくれていたのだ
即座の追撃ともなれば、守護騎士達とて簡単に逃げ切る事は出来ないだろう――
――――――
Side:志緒
いよいよ燃えて来たって所で、閃光弾を展開しての離脱を選んだか――まぁ、悪い手じゃねぇと思うが、あんまり好きな手段じゃねえってのも本音の
所だな……正直、搦め手ってのは苦手だからな。
とは言え、此処からはそうも言ってられねぇかもしれねぇからな……先ずは、落ち着ける場所で情報交換をした方が良いかも知れないぜ……互いに
共有できる情報は、共有しといた方が良いからな。
そんな訳だから、悪いが聞かせて貰うぜリンディさん?――11年前、アンタと闇の書の間に一体何があったのかって言う事をな。
To Be Continued… 
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