Side:志緒


「よし、リンディ提督の魔力反応をキャッチしたよ!
 場所は海鳴市街の中心部……だけどこの場所には、物凄く強固な魔力結界が張られてる――多分リンディ提督は、その結界の中にいる筈。」



2分て事だったが、実際に掛かった時間は1分弱……大したモンだぜマリー。
流石のお前も、マリーにゃ頭が上がらねぇんじゃねぇのか四宮?マリーは、如何やら九重先生以上の情報処理能力を持ってんのは間違いねぇらな。



「意外と意地悪だね志緒先輩?
 あ~~もう、僕以上の天才が居るって言うのは身をもって思い知ったから良いでしょもう!!てか、九重先生の処理能力を見た時に、僕は全然及
 ばないって思ったから!!」

「……そう思ったなら良しだ四宮。
 テメェが更に上を目指すなら、自分以上の存在ってのを認識して認める事が絶対に大事になってくんだ……其れが出来て初めて『井の中の蛙』か
 ら抜け出す事が出来る訳だからな。」

そう言う意味では、お前はマダマダ伸びる事が出来るだろうから、怠らず日々精進しろや。

しかしだ……リンディさんの魔力反応を、結界が発生したのと同じ場所から感知したってのは、如何にも見過ごせる事態じゃなさそうだからな……俺
達も出撃の準備をしておいた方が良いかも知れねぇな?

相手が誰かは分からねぇが、この間の騎士が相手だったら僥倖だぜ……この間のリベンジを果たす事が出来る訳だからな!!

行くぜお前等!!!



「「「「「「「「おーーーーーー!!」」」」」」」」



さぁ、行くぜ!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE48
『The Sky Dancingーvs守護騎士』










No Side



ビルの屋上に立つリンディと、中空に浮くシグナム……両者の視線は交錯しながらも、しかし互いに相手の事を視線から外さない。
嘗て闇の書に最愛の存在を奪われたリンディと、永き時を生きて来て漸く巡り合えた愛する主との平穏を望むシグナム……その思いの強さは何方
が強いかなどの、優劣は付けられないだろう。

正に一触即発。
其れこそ、何方かが指を1本でも動かせば、即戦闘になりかねない緊張感!!――が、其れを先に破ったのは守護騎士達の方だった。


「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

『Schwalbefliegen Claymore.』



――ドゴォォォォォォォォォォン!!!



仕掛けたのはシグナムではない。
鉄槌の騎士ことヴィータが、上空から鉄球の一撃でリンディを強襲したのだ。


「シグナム、ボサッとしてんじゃねぇ!!」

「あ、あぁ、スマナイ。」


仲間に檄を飛ばすのは、よくある事だろうが……ヴィータの鉄球を真面に喰らった相手は堪ったモノではないだろう。
シュワルベフリーゲンの破壊力は、並の魔導師の障壁など紙にしかならない位の物であり、真面に受けたら戦闘不能は免れない一撃なのである!

だがしかし、リンディは並の魔導師ではない。
類を見ない若さで提督の地位まで上り詰めたその実力は伊達ではなく、シュワルベフリーゲンが着弾する刹那の瞬間に回避行動を取って隣のビル
の屋上に着地。
尤も、ノーダメージとは行かなかったらしく、攻撃の余波でシャツの肩口の辺りが消し飛んでいるが……そんな物はまるで問題にはならない。


「矢張り、闇の書……一筋縄で行く相手じゃないわね。」


――ギン!!


体勢を立て直すと同時に、グレアムから託された『デュランダル』を起動し、視線を上空に向ける。
だが、其処には守護騎士の将であるシグナム、鉄槌の騎士のヴィータ、そして守護獣のザフィーラの姿が!!――如何にリンディが管理局屈指の
魔導師であったとしても、此の3人の相手をするのは流石に無理がある。


「これは……ちょと拙いかしら?」

『No Pproblem.(問題ありません。)』


だが、デュランダルは問題ないと言うがどういう事なのか?
其れは、直ぐに明らかになるだろう――他ならない、守護騎士の参謀であるシャマルのお陰で。



「上空に転移反応……此れは、まさか!!!」


シャマルが転移反応をキャッチしたその瞬間、結界のはるか上空に閃光が走り、其処から9つの影が結界に向かって一直線に向かって行く。
その正体は言わずもがな、志緒となのは達だ。
マリーがリンディの魔力反応をキャッチするや否や、簡易転送ポートから現場上空にジャンプし、誰の邪魔にもならず、誰にも邪魔されない結界の真
上からのスカイダイビングと言う形でやって来たのだ。


「ゴメンねレイジングハート、行き成りの実戦で。」

『Please don't worry about it. Because they're we for it.(お気になさらずに。そのための私達なのですから。)』

「ばるでぃっしゅも。」

『No problem.』

『This is tha First much.Please new Acceleration call.(さぁ初の実戦です。新しい名で起動してください。)』


「うん!レイジングハートエクセリオン!!」

「バルディッシュアサルト!!」


「「セーットア~ップ!!!」」


そのスカイダイビングの中で、なのはとフェイトは生まれ変わった相棒を起動し、戦闘準備を完了!
レイジングハートとバルディッシュも、単純な強化だけにとどまらず、その強化に耐えられるようにフレームそのものが強化改修され、以前とは僅かな
がらその姿を変えている。マリーの苦労の賜物だろう。


「其れじゃあ俺達も行くとすっか!!吠えろ、ヴォーパルウェポン!!」

「来い、レイジングギア!!」

「貫け、エクセリオンハーツ!!」

「轟け、バリアントアーム!」

「ブート、カルバリーメイス!」

「輝け、ミスティックノード!」

「響け、セラフィムレイヤー!!」



それに続くように、志緒達もソウルデバイスを起動!同時に、マリーがソウルデバイスの追加機能として開発したバリアジャケットが展開される。

志緒は、黒いズボンとインナーに、赤のコートが映える何処か『和』のテイストが感じられるバリアジャケット。(イメージはFFⅩのアーロンの衣装。)
洸は、黒いズボンに、水色のGジャンと赤いスカーフ。(イメージはドラゴンボール超の未来トランクスの衣装。)
明日香は、蒼と白を基本にした和のテイストが感じられるモノ。(イメージは討鬼伝2の紅月の衣装。)
空は、黒のインナーと赤のミニスカートの上から、赤い胴着を纏って緑の帯で絞めたモノ。(イメージはドラゴンボールヒーローズのヒーローアバター、
サイヤ人・女・ヒーロータイプの衣装。)
祐騎は、白の5分丈ズボンに、白のシャツ、そして白の上着の組み合わせ。(イメージはキングダムハーツ2のソラ・ファイナルフォーム。)
美月は、純白のいかにも魔導師と言った感じの出で立ち。(イメージは遊戯王の沈黙の魔術師-サイレント・マジシャンの帽子無し。)
璃音は、如何にも動きやすそうな黒い軽装のバトルスーツ。(イメージは遊戯王の異次元の女戦士。)

恐らくは、マリーが己の感覚で設定したのだろうが、其れが実に良く似合っている当たり、マリーのセンスは素晴らしい物だと言えるだろう。
そして、一行は其のまま結界に突撃し……一気に中に突入し、リンディを囲む形で陣を形成する。
リンディの正面に志緒となのはとフェイト、両翼に洸と璃音、明日香と美月、後面に空と祐騎と言う布陣だ。


「よぉ、無事かリンディさん?」

「えぇ、何とか。」


取り敢えずリンディの無事を確認しつつ、しかし視線は相手から外さない――特に志緒の視線には、幾多もの修羅場を潜り抜けて来た者だけが宿す
事の出来る迫力が備わっていた。

同時に驚いたのは騎士達た。
極めて高い魔力を有する魔導師から魔力を蒐集しようとしたところで現れたのは、つい最近戦ったばかりの相手だったのだから。


「アイツ等……!!」

「白い魔導師と、蒼い魔導師はもう魔力が回復し、金髪の大男はあの大怪我からもう復活したと言うのか?……呆れた回復力だ。
 其れに魔導師2人のあのデバイスは強化されているし、金髪の大男とその仲間達は防護服を手に入れたか――今回は簡単に行きそうにない。」

「だから如何した……邪魔する奴は、誰であろうとブッ飛ばす!!」

「その意見には賛成だが、流石に数の差が凄まじいのでな……来い、闇の書の僕たちよ!!」


それでも流石に歴戦の騎士と言うべきか、即座に相手の事を見抜いたのは見事だろう――同時に、数の差で不利だという事も看破していたらしい。
だが、其処でシグナムが行ったのは、なんと多数のグリードの召喚!
この間の異界のゲート顕現と言い、如何やら闇の書が異界に関する何らかの力を持っているのは間違いない事だろう。

更に――


「金髪の男と、水色の魔導師は私が相手をする……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――ヴォン!


「此れで、何方も相手が出来るな。」

「分身だと?」


シグナムは、魔力を集中して『もう1人の自分』を作り出して来た。


「此れは只の分身ではない。闇の書、或は守護騎士が張った結界の中でのみ使える実体有る分身の召喚術だ。」

「結界の中限定だが、私は存在できる。
 だが、現れた私はコピーではなく、己の意思をもって居る……結界が消えるか、私の本体が消さない限りは私は存在し続ける……如何する?」


凄まじい力を秘めた剣士の分裂……其れは確かに脅威だろう。
だがしかし、世の中には脅威を脅威と感じない人下が居る!!と言うか、目の前の志緒となのは達が正にそうなのだ!!


「分身か……上等だぜ!!なのはとフェイトは、俺と一緒に、奴等をぶっ倒す!!
 時坂達は、アイツが呼び出したグリードを残さずぶっ倒せ!!――出来るな、時坂?」

「おう、任せてくれ志緒先輩!!」


退くと言う選択肢など、そもそも存在していないのかもしれない。
結界内部には、色々な種類の闘気やら魔力が満ち満ちていた。








――――――








Side:なのは


復活してすぐにこんな事になるとはね。
2人の剣騎士は志緒さんとフェイトちゃんが何とかしてくれるだろうし、現れたグリードは洸さん達が何とかしてくれる――だから私は私に出来る事を
全力全壊でやらないとだね!!



「く……堅ぇ……!!」

「簡単にやられちゃうわけにはいかないから!!」

で、只今ヴィータちゃんと本気の戦闘中!
と言うか、私達は戦いに来たんじゃないの。ただ話を聞いてほしい、其れだけなの。



「は、やる気の新作デバイス携えて言うセリフかよ!!」

「今日もこの前も、いきなり襲って来た子が其れを言う!?」

「るせぇ!!!」

スマッシャー!!!



――ドガァァァァァァァァァッァァァン!!!



「テンメェ……」



如何やら話は通じないみたいだから、悪いけど力尽くで行かせて貰うから覚悟してね?
何よりも、負けっぱなしって言うのは凄く嫌なんだ……私の中のBLAZE魂が『リベンジを果たせ』って言ってるから、悪いけど付き合って貰うから!!








――――――








Side:志緒


女剣士の分身はフェイトに任せて、俺の方は本体となんだが……矢張りコイツは並の相手じゃねぇな?其れこそ、S級エルダーグリードレベルだぜ。
だが、俺だって今度は負けねぇ!!

「オラァ!!」

「ぐ……相変わらず、凄まじいパワーだな貴様は。」

「ハッ、細かい事を彼是考えんのは苦手でな?ウダウダ考える暇があるなら、この手で道を切り開いた方が早いってモンだぜ。」

「成程、分かり易い。ふぅ……ヴォルケンリッターの将、シグナムだ。お前は?」



何だ、藪から棒に?
だが、己の名を名乗ってきた相手に対して、名乗らねぇのは礼を失するな?……志緒、高幡志緒だ。



「高幡か……お前は、私の記憶を探っても、最強クラスの使い手であるのは間違いない。
 否、記憶を探らずともこの間の事から私自身が認めよう、お前は途轍もない強者であるとな――だからこそ、少しばかり残念なのは否定出来ん。
 こんな状況でなければ、心躍る戦いが出来たのだろうが、生憎とそうは行かないらしい。
 お前は手加減をして勝てる相手ではない故に、殺さずに済む自信がない……この身の未熟を許してくれるか?」



如何やら、お前にはお前の事情があるみてぇだな?だからと言って、見過ごす事は出来ねぇがな。
だが、やり合うってんなら上等だぜシグナム!!
其れに殺さずに済ます自信がねぇだと?……ハッ、構わねぇよ――勝つのは俺だ!BLAZE魂は絶対に折れねぇ!!相手が強い程、その焔は力強
く燃えさかるからな!!



「ならば行かせて貰うぞ高幡!!紫電一閃!!

「どぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!イグニスブレイク!!



――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



さぁ、この間のリベンジマッチと行こうじゃねぇか?
生憎と負けっぱなしってのは好きじゃねぇし、テメェ等を見過ごす事は出来ねぇからな……悪いがトコトン付き合って貰うぜ、闇の書の守護騎士!!












 To Be Continued…