Side:クロノ
まさか、なのはとフェイト、其れに志緒までもが、最近頻発している『魔導師襲撃事件』の被害者になってしまうとは、思っても居なかったな。
尤も、なのはとフェイトは類稀な魔導師だから狙われる可能性は0ではなかったんだが、管理外世界の地球に居るから大丈夫だと思って油断してい
たな……此れは僕の落ち度だ。
だが、なのはとフェイトだけでなく、志緒までも打ち倒した相手は一体何者なんだ?
こんな事を言ったら志緒に失礼かもしれないが、志緒は魔力ランクはCランクにも拘らず、その身体の強靭さと純粋なパワーで、魔導師ランクはSラン
クに達するって言う、規格外の存在なんだぞ?
只の、魔導師襲撃者が志緒を倒せるとは思えない――それどころか、そんじょそこらの犯罪者では、志緒に傷を負わせる事すら困難だろうからな。
もしも志緒を倒す事の出来る存在が居るとすれば、其れは奴等以外には有り得ない――!!
第一級封印指定ロストロギア『闇の書』の守護騎士達――僕と母さんから家族を奪った怨敵以外には有り得ない!!
11年前のあの日から姿を晦ましたが、お前が今再び活動を開始し、今度は僕の仲間すら傷付けると言うのならば容赦はしない……11年前の清算
の意味でも、お前達を封印する!
何よりも、あんな思いをするのは僕と母さんで最後にしなくちゃならないんだ。
「と言う訳で、本日よりこのチームで、当事件の捜査に当たります!
一刻も早い解決を目指して一丸となって頑張りましょう!!」
「「「「「「「はい!!!」」」」」」」
だから終わらせる、僕の代で闇の書との全ての因縁を!!
リリカルなのは×東亰ザナドゥ 不屈の心と魂の焔 BLAZE45
『その名は守護騎士ヴォルケンリッター』
Side:なのは
はぁ~~……昨日は散々な目に遭っちゃったなぁ……いきなり襲われてボコボコにされるわ、リンカーコアは奪われるわで、正に踏んだり蹴ったりだ
ったよ――それでも、今日はこうして学校に行くことが出来るんだから、我ながら呆れた回復力だと思うけどね。
「なのは~~!」
「フェイトちゃん!」
「おはよー、なのは!ちょーしはどう?」
「身体の方は大丈夫、魔法の方はダメだけど。」
「そっか。うん、僕とあるふも同じ感じ。」
フェイトちゃんもなんだね。
それにしても、昨日の人達は一体何だったのかな?行き成り襲い掛かって来て、其れで私達の魔力を奪って行ったのに、怪我の治療はしてくれた
なんて、ちょっと訳が分からないの。
「ん~~~……其れは僕も分からないけど、くろの達が事件を担当してるみたいだから、きっと何とかなるんじゃないかな~~?てか、なるっしょ♪」
「にゃはは、其れはそうかも。
あ、そうだ。そう言えば、フェイトちゃんは私を助けてくれようとしてくれたんだよね?……ありがとう、フェイトちゃん。」
「ありがとうって……ダメだよ、けっきょく僕は何も出来なかったんだから。」
「ううん、それでも嬉しかったから。ありがとう、フェイトちゃん!」
「其処まで言われちゃ、駄目だなんて言えないな!てか、あのブシドーは、今度会ったら絶対泣かす!僕の友達に酷いことする奴はやっつける!」
にゃはは、それでこそフェイトちゃんだね♪
そうだ、フェイトちゃん、今日の放課後って空いてるかな?空いてたら、一緒に時空管理局の本局に行ってくれないかな?レイジングハートとバルデ
ィッシュ、其れと志緒さんのお見舞いに行きたいんだ。
「そう言う事なら全然OK!僕もお見舞いしたいと思ってたから♪」
「じゃあ、決まりだね♪」
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・・・
で、あっという間に放課後になって、転送ポートを通って、フェイトちゃんと一緒に管理局の本局にやってきました。
アースラの内部も可也未来的だったけど、管理局内は更にだね……此処でロケやったら、可也レベルの高いSF作品が作れるような気がするのは、
きっと気のせいじゃないと思うの。
そんな管理局を進んで辿り着いたのは、レイジングハートとバルディッシュが修理されてる場である、管理局の技術開発部。
――プシュ
「あ、いらっしゃい!フェイトちゃんと……なのはちゃん?」
「高町なのはです。」
「時空管理局技術開発部のマリエル・アテンザです。クロノ執務官と、エイミィ先輩の後輩です。マリーって呼んでください♪」
扉の先に居たのは、如何にも技術者って言う感じの、眼鏡のお姉さんのマリエルさんもといマリーさん。えと、レイジングハートとバルディッシュは?
「お見舞いだよね2人の。シスエムチェック中だから話す事は出来ないけど会ってあげて。
まぁ、フレームは破損したけど、コアは無事だから直すのは難しくないんだけど、圧倒的な性能を誇るこの2機を此処まで壊すなんて、相当な相手
だったんだね?」
不思議な魔法を使ってました。魔法陣の形も違ってましたし。
「アレは、べるか式。其れもしょうしんしょーめーの本物の。」
「エンシェントベルカ……太古に存在した、純粋な戦闘魔法形態で、熟練の使い手は『騎士』って呼ばれる。其れが、現実に存在してたなんてね。」
「騎士……其れじゃあ、デバイスの中で何か爆発させてたのは?」
「魔力カートリッジシステムね。
圧縮魔力の弾丸をデバイス内で炸裂させて、圧倒的な力を得る……頑丈なデバイスと一流の術者が揃わない限りは、自爆装置にしかならない、
危険で物騒なシステムなんだけど……」
それを使いこなしてる以上、相手は只者じゃないって言うですね。――何にしても、レイジングハートとバルディッシュの治療はお願いします。
それでですね、レイジングハートとバルディッシュの現状は分かったんですけど、志緒さんは如何なんでしょうか?私達よりも酷い怪我だったって言
う事でしたけど……
「あぁ、あの人は……さっき目覚めたんだけど、多分食堂だよ。てか、見て貰った方が早いかな?」
食堂って事は、目を覚ましてるんだよね?――てか、其れって目覚めて間もなく食堂に直行したって言う事ですか!?ドンだけですか志緒さん!!
で、食堂にやって来たんだけど……
――ガッ!ガッ!!ガッ!!!
「飯と回鍋肉と鯖の塩焼きと味噌汁おかわり。
可成り派手に血を流したから、血が足りねぇんだ、どんどん持って来てくれや。」
「こ、これでどんぶり飯10杯目で、おかずは焼肉に始まって、レバニラ、油淋鶏、青椒肉絲、麻婆豆腐、そして回鍋肉、更には焼き魚が秋刀魚、鯵、
鰯に鯖で、飲み物は牛乳をパックでだとぉ!?
正に、食って治すの見本だ此れは!!こうなったら何処までも行け!!」
「あ、其れとステーキも追加な。」
志緒さんが絶賛一人フードファイト状態なの!!
病み上がりだって言うのに、そんなに食べて大丈夫なんですか志緒さん!?って言うか、ちょっと食べ過ぎじゃないですか、幾ら何でも此れは!!
「なのはか……そう言うな、実際血が足りねぇし、魔力も奪われちまったから、もっと力をつけねぇとだろ?
なら、先ずは確り食って、身体を完全に治して、そんでもって今よりも強くならねぇとだからな――実際、此れだけ喰らった事で、大分回復して来た
訳だからよ。」
「おー!凄いぞシオー!」
間違ってはいないと思いますけど、足りない部分を食べて補って治すって、一体何処の野生生物なんですか……まぁ、志緒さんだと納得ですけど。
そう言えば、志緒さんの武器は、ソウルデバイスは大丈夫だったんですか!?レイジングハートとバルディッシュは、壊されちゃったんです………
「俺のヴォーパルウェポンなら大丈夫だ。大体にして俺の場合は、血を流し過ぎて失血状態になった事が負けた原因だからな。
其れにだ、ソウルデバイスってのは物理的に存在してるモンじゃなくて、電子データを適格者が現実で固着化してるモンだから、仮に砕かれたとし
ても、一度しまってから、もう一度呼び出せば元通りだ。
だから、武器を直す必要はねぇんだが――俺や時坂達には、お前達みたいな防護服ってのが必要になるかも知れねぇ。
今回の俺の負けも、相手の攻撃を軽減できずに負った傷が原因だからな?……戦う為の武器だけじゃなく、攻撃を防ぐ為の鎧ってのも必要だっ
て事を、身をもって味わっちまったからな。」
「防護服……バリアジャケットは、確かに必要かもしれませんね。」
「そう言う事なら、なのはちゃんとフェイトちゃんのデバイスを治す序に、バリアジャケットの基本データも作っておこうか?
ソウルデバイスって言うのは電子データって言う事だから、其れにインストールする形でのプログラムデータなら、そんなに難しくないし。」
「良いのか?」
「大丈夫、大丈夫。
デバイスはある程度まで治せば、後は自己修復してくれるから、バリアジャケットの基礎データを作る位なら全然OK。但し、あくまでも基礎データだ
から、ジャケットのデザインなんかは自分で考えて貰う事になるけれど。」
「其れでも充分だ、なら頼むぜ?」
「お任せアレ!」
お願いしますマリーさん。
あの人達とは、また会うような気がしますから――次は、負けないようにしたいので!!
――――――
Side:璃音
志緒先輩と、なのはちゃんと、フェイトちゃんが何者かに襲われて負傷した……うん、なのはちゃんとフェイトちゃんは兎も角、志緒先輩がやられたっ
て言う時点で、襲ってきた相手は間違いなく人間じゃないのは確実ね。
異界で、坂の上から転がって来た巨石を、回避できないと見るや否や、ソウルデバイスで一刀両断しちゃう位の志緒先輩を倒しちゃうなんて、そん
なのは、極限まで凶暴性が引き上げられたワニか熊くらいでしょうに!!
「ちょっと否定できないわねぇ其れは――だけど、相手はそう言った類じゃなくて、ちゃんと理性も知性もある相手よ。」
「じゃなかったら、倒した相手に、応急的とは言え治療なんざしてく筈がねぇからな。」
「言われてみれば、それもそっか。」
で、私達X.R.Cのメンバーは、リンディさんに呼び出されて、リンディさんとフェイトちゃんが住んでるマンションの1室に集合中。……此処って、可也良
い物件だったと思うんだけど、良く取れたわよね。
なんて事は、如何でも良いのよ。
理性も知性もあるって言うなら、相手は一体何者なのリンディさん?志緒先輩を倒す程の相手って言うのは、如何考えてもトンでもない奴だとしか
思えないんだけど?
「トンでもないと言うのは、間違っていないわ璃音さん。
取り敢えず此れを見てくれるかしら?クロノに頼んで送って貰った、レイジングハートとバルディッシュの記録映像なんだけれど、此処に映っている
のが、今回の襲撃の犯人。」
「「え?」」
アタシと明日香は、まぁ驚くわよね此れを見たら。
「嘘、1人は子供じゃん?しかも、もう1人の剣士も女の人って本当なのコレ?
空と僕の関係が有るから、女性が男性よりも弱いなんて言う心算はないけどさ、この2人で志緒先輩を倒すってのは、ちょっと無理があるでしょ?」
「そう思うかもしれないけど、生憎と彼女達は普通じゃないわ。――そもそも彼女達は、私達のような人間とは異なる存在ですもの。」
「私達とは異なる存在……ですか?」
「彼女達は、第一級封印指定ロストロギア『闇の書』のプログラムの一部。
自らの意思と姿を持った、無限再生プログラム……守護騎士『ヴォルケンリッター』――其れが、彼女達よ。」
ヴォルケンリッター……其れが、志緒先輩達を襲った相手。
だけど、その1人であるピンクのポニーテールの人は――間違いない、前に図書館で会った人だ。車椅子の女の子を『主』って呼んで居た人だわ!
あの時に、また会うような気がしていたけれど、まさかこんな形で会う事になるとは思ってもみなかったわよ。……明日香も、そう思うでしょ?
「(えぇ、まさかこんな事になるとは、予想もしていなかったわ。
でも、彼女達は、如何してこんな事をしているのかしら?『主』と呼ばれていた、車椅子の子が、こんな事を命じるようには思えないのだけれど…)」
「(だよね?……此処は、ちょっとこっちから仕掛けてみようか?)」
「(ネメシスのエージェントとしては承服しかねるのだけれど、私としては賛成ね。昼間の時間帯を狙えば、襲われる事もないだろうし。)」
「(なら、決定ね♪)」
「ん?何話してるんだ、璃音と明日香は?」
「え?何でもないわよ時坂君。」
「そーそー、女の子同士の秘密の会話だから、男子は聞いちゃダメだよ洸君。って言うか、女子の秘密の会話に入ってくるなんて…洸君のエッチ。」
「ちょと待てーーー!そりゃ言いすぎだろ璃音!!」
「と言う事は、洸先輩の部屋のベッドの下には、人には言えないアレや此れがいっぱい隠されてる可能性が………」
「さも、其れらしく言ってんじゃねぇ祐騎ーー!てか、栞が普通に来る部屋に、仮にあったとしてもそんなモン置けるか!普通に、自殺行為だろうが!
もしもそんなモンが栞に見つかった日にゃ、笑ってない笑顔の栞に一日中問いただされて、地獄の一丁目に直行確定だぜ!!」
なんか、相当恐れられてるね栞ってば?
逆に言うなら、栞が10年間吐き続けてきた『嘘』の中で、洸君の幼馴染である『栞』はこうある物だって設定してたせいもあるのかも知れないけど。
何れにしても、ヴォルケンリッターとは一度会っておいた方が良いのは間違いないわ――きっと、此れから長い付き合いになると思うからね。
――――――
Side:シグナム
この間の事で、闇の書のページも大分埋まった……大体半分と言う所か。
ペースとしては悪くないだろうが、逆に管理局も本格的動き始めるだろうから、此れまでの様に高い魔力を持った魔導師を襲って、魔力を蒐集する
と言う事は難しくなるだろう。
なれば、辺境の地で、適当な生物を狩って闇の書の足しにするしかあるまい――効率は落ちるが、確実に魔力を集める術は、他には存在していな
いのでな。
「ん?どないしたんシグナム?」
「あ、いえ……何でもありません。少しばかり物思いにふけって居ました。
私は此れまで、立場上戦場に立つ事が多かったので、此の平和な時代で覚醒したにも拘らず、如何しても戦術やら何やらを考えてしまって…一
種の職業病と言うやつですよ。」
「そうなん?せやけど、ホンマに疲れたら言わなあかんよ?」
「はい、心得ました。」
主はやてに、虚偽の申告をするのは心が痛むが、全ては主はやての為にだ。
主はやてが助かるのであれば、私は騎士の誇りなど要らぬ……たとえ、蛇蝎の如く忌み嫌われようと、後ろ指を指されようとも、主はやての為に全
て尽くすだけなのでな。
尤も、主はやてにそれを知られる訳には行かないがな。
――ピンポーン
「っと、お客さんや。は~~い、ちょっと待ってください~~!今開けます~~~」
来客か……ならば、私が対応しますので、主はやては此処でお待ちを。
果てさて、一体誰だ?宅急便か、其れとも―――
――ガチャ
「スマナイ、待たせた様だな?」
「大丈夫、そんなに待ってないから♪」
「寧ろ、アポなしで来た私達の方に非があると言える物ね。」
「な!?」
扉を開いた先に居たのは、何時ぞや図書館で出会った2人の少女達!!――近い内に会うのではないかと思って居が、こんな形で、今一度相見
える事になるとは、全く持って予想外だったな。
「少しだけ時間貰っても良いかな……?」
そして、此の邂逅は只では終わらんだろう――私の騎士としての勘がそう告げているからな。
……果たして出るのは鬼か蛇か、或は其れすら凌駕する『何か』なのか――其れは、今は未だ判別不能だが、少なくとも我等にとっては、あまり有
り難い存在でない事だけは、確かかも知れんな……
To Be Continued… 
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