Side:なのは


夏休み真っ盛りな今日この頃、宿題を速攻で終わらせたことで、後の憂いなく夏休みを堪能できる訳で……本日は海にやってきましたーーー!!
本音を言うなら、お父さんとお母さんも一緒が良かったんだけど、今日は雑誌取材が有るって言う事で残念ながら不参加――だけど、お兄ちゃんと
お姉ちゃん、其れにアリサちゃんとすずかちゃんと忍さんに、ノエルさんとファリンさん、そして何よりも……



「海鳴のビーチも、結構賑わってるみてぇだな?」

「マジで人がごった返してるっスね……泳げるのか此れ?」

「サーフィンとか、ウォータースキーで沖の方に出ないと泳ぐのは無理じゃない?
 ま、海水浴のお楽しみは泳ぐ事だけじゃないから、此れだけ人が居ても、楽しむ事は出来るかも知れないけどね。」



志緒さん達も一緒だから。
えっと、如何ですか志緒さん?私の水着……似合ってますか?



「ん?良いんじゃねぇか?
 桜色ってのは、なのはの色だからピッタリだと思うし、ワンポイントの胸のリボンと腰のパレオが良いアクセントになってるじゃねえか?それこそ、お
 世辞抜きで、子供モデルが出来る位のモンだぜ其れは。」

「えへへ、ありがとうございます♪」

此れは、水着を新調した甲斐もあったって言う感じだね♪
其れじゃあ、楽しい海水浴の始まりだね!!











リリカルなのは×東亰ザナドゥ  不屈の心と魂の焔 BLAZE40
『夏だ!海だ!新章の片鱗だ!!』










Side:洸


今日は今日とて、なのはちゃん達と一緒に海水浴だ。
夏と言えば海水浴。つーか、夏は海と言っても過言じゃないから、海水浴自体は別に良いんだけど……此れは幾ら何でも、やってくれたぜオイ!!



「如何かしら時坂君?」

「結構考えて選んだのですけれど……」

「似合ってる?」



俺の目の前には、水着姿の明日香と美月先輩と璃音!!いや、ある意味で眼福だけど、華が有り過ぎて直視できないって言うかな……
それでも、明日香は濃紺のセパレートで、美月先輩はパレオ付きの水色のビキニだから、似合ってるで済ます事が出来るんだが――純白のビキニ
は、幾ら何でも反則だろ璃音!!しかも下は、紐パン状態ってドンだけ気合入れてんだよオイ!!

「えっと、明日香と美月先輩は、良い感じっすね?」

「え~~?アタシは~~?」


ギュ……ムニュ



ってちょっと待てーーーー!!腕に抱き付くんじゃねぇ!!てか当たってる!!当たってるから!!



「空ーーー!あのその、当たってるから!」

「当たってるって……何が?」

「全然無意識で自覚がない!?ある意味でメッチャ厄介なんだけど!!」



そして向こうで祐騎が俺と同じ目に遭ってる!?
いや、空は天然でやってる分だけ、璃音以上に性質が悪いって言えるかもしれないけど――こうなったら、助けてくれ志緒先輩!!割とマジで!!



「悪いが、ソイツは無理だぜ時坂。
 俺は此れから、なのはとアリサとすずかとウォーターバイクで沖に繰り出すんでな……ま、此れも漢を磨く試練だと思って何とかしてみろや。」

「俺見捨てられた!?」

「見捨てたんじゃねぇ、試練を与えただけだから、精々頑張れよ?」



んな、適当な!!俺はマジで困ってるんすよーーーー!!って、聞いてねぇ!!
如何したもんだろうな此れは……



「ねぇ、洸君。」

「何だよ璃音?」

「サンオイル塗ってくれる?」

「はい!?」

此処で来やがったか、海での最強にして最大のトラップが!!頼まれたら無効に出来ないなんて、インチキ効果も大概にしやがれコンチクショウ!
リョウタだったら嬉々として飛びついたかも知れないが……俺は流石に緊張しちまうっての。

現役女子高生アイドルグループのセンターを務める璃音は、トップアイドルの一角なんだろうが、俺からしたらX.R.Cの仲間って言う、より近い存在だ
から、其れが逆に緊張するんだよ!!
加えて璃音は……その、容姿もプロポーションも抜群だから、緊張すんなってのが無理だろオイ!!



「現役アイドルにサンオイル塗る機会なんて、普通は有り得ないんだからもっと喜びなさいよ?
 普通の男子高校生だったら、飛びあがって喜ぶ所であり、我先にと名乗りを上げるもんでしょう此れは♪」

「かも知れねぇが、杜宮に戻ってから、俺が璃音にそんな事したってのが知られたら、学園中の男子に半殺しにされんだろマジで!!
 こう言っちゃなんだがなぁ、前にお前が『また遊ぼうね』発言してくれた時にはマジで大変だったんだからな!?学園中逃げ回ったんだぞオイ!」

「あ~~~~……うん、アレは悪かったと思ってるわ。
 大丈夫、今度は絶対に言わないから!それにホラ、向こうじゃ本気でこう言う事って出来ないじゃない?だからね……ダメ?」



そう言う風に言われたら、断る事なんて出来る筈ねぇじゃねぇか。
仕方ねぇ、俺も男だから覚悟を決めるか――それに、よくよく考えりゃ、同級生の男子にオイル塗ってくれなんてのは、結構勇気要る事だろうしな。

分かったよ、塗ってやるからシートの上にうつ伏せになれよ璃音。



「ありがと洸君♪あ、水着の紐解こうか?」

「いや、其れはしなくて良い。つーかしないでくれマジで!俺の理性がヤバいから!!」

「冗談よ♪」

「冗談は冗談らしいテンションで言ってくれーーーー!!」

マッタク本気でよぉ……まぁ、貴重な体験である事は間違いねぇし、此れもこの夏の良い思い出ってやつになるんだろうなきっと。
そう言えば、空と祐騎は何処行ったんだ?




「成敗完了です!」

「此れが現役女子高生をナンパしようとして返り討ちにされた浜辺の大バカ者達っと、はいコメント付き画像アップ完了、終わったねこの人達。
 ま、僕が喧嘩弱そうだと思って来たんだろうけど、生憎と僕は喧嘩が弱くても、空はアンタ達如きにやられる奴じゃないし、アンタ等の事を社会の奈
 落に突き落とす位は、僕にとっては雑作も無いからね?
 カップルの男の方が弱そうだって思ってると、今回みたいに彼女の方が武闘派で、男の方が頭脳派って場合もあるから注意しなよ。」




「……洸君、アタシなんか凄いモノを見た気がする。」

「あぁ、俺もだぜ璃音。」

まぁ、その辺のナンパ大学生じゃ、空の足元にも及ばねぇよ。何たって空は、志緒先輩をして『あの小さい身体の何処に、アレだけの力があるんだ?
』って言う位だからな。
加えて祐騎は、ネットを使ったえげつない方法で彼是できるからなぁ……武闘派の彼女と、頭脳派の彼氏ってカップルも、ある意味最強かもだぜ。








――――――








Side:志緒


ゴムボートを膨らまして、そんでロープでウォーターバイクと繋いで準備は完了だ。行くぜお前等!!



「「「おー!!!」」」

「沖を目指して出発進行だ!!」




――バオォォオォオォォオォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!



「うわ!速い速い~~~!!あっと言う間に砂浜に居る人が豆粒になっちゃったわ!!」

「其れに速いだけじゃなくて、泳いでる人達にぶつからないように、見事な操縦で此処まで来た志緒さんの運転技術も凄いと思うの!!
 やっぱり、バイクに乗ってるからその辺も得意なんですか志緒さん?」



まぁ、陸上と水上の違いはあるが、操作性は其処まで変わらねぇから、バイクと同じ感覚でな。
流石に、お前等の乗ったボートを牽引してるから、ドリフトみたいなトリック走行は出来ないが、それでも砂浜から此処まで、泳いでる連中を避けて
来る事位は雑作もねぇってモンだ。



「本当に志緒さんて何でも出来るんですね?凄いと思います。
 私のお姉ちゃんは機械弄りが得意だけど、何でも出来る訳じゃないですから。」

「俺だって何でもできる訳じゃねぇと思うんだが……」

「腕っ節は最強クラスで勉強も出来て、家事スキル――特に料理の腕は、桃子さんが翠屋の新メニューの案を任せるレベルで、アタシ達みたいな子
 供の相手をする事も出来る……寧ろできない事って何って感じじゃない!!」



そう言われると何も言えねぇんだが、幾ら俺でも北都や桃子さんには、勝てる気がしねぇぞ?腕力云々じゃなくて、それ以外の事で色々とな。



「美月さんと桃子さんは別格でしょ?
 まぁ、其れは其れとしておいて……貴方も中々に凄い格好してるわよね?トランクスタイプの水着は良いとして、黒の半袖シャツを、ボタンを全部外
 して羽織って、更にグラサン装備って、ぶっちゃけ海に遊びに来たヤクザにしか見えないわ!」

「え?私はカッコいいと思うんだけど……」

「なのはちゃんは、フィルター掛かってるからね……」



ヤクザ……確かに言われてみりゃそうかもな?
妙に人が俺の事を避けてた気がするし……ビビって近寄ってこなかったって事か。まぁ、煩くなくて結構な事だと思えば、其れも悪くはねぇだろうよ。
何よりも、其れでなのは達に魔の手が伸びて来ねぇなら、俺が如何思われたって大した問題じゃねぇさ。

さて、大分沖の方に来たんだが……何だありゃ?潜水艦のハッチか?
こんな場所に潜水艦がいる筈はねぇと思うんだが――



『ガオォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!』
要塞クジラ:ATK2350



正体は重武装したクジラだと!?何モンだコイツは!!



「要塞クジラ……現実に存在してたんだ!!」

「あれって、遊戯王のモンスターじゃなくて、実在の生物だったの!?」

「写真撮って、ムーの編集部に送ったら採用されるかな?」



『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!』
ウォーター・ドラゴンATK2800


『キョアァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
スパイラルドラゴン:ATK2900




なんて呑気な事を言ってる場合じゃねぇだろ此れは?
更に新たに2体のトンでも生物が現れて、真夏の海の怪獣大決戦の様相を呈して来たからな?……コイツは、此処から離れた方が良いだろうな絶
対に、間違いなく。
幾ら俺でも、あの3体を一撃で纏めて処理する事は出来ねぇからな。

しかし、あんなモンが住み着いてるとは、海鳴の海は人外魔境なのかもしれねぇ……生物学者が知ったら、嬉々として調査に来るかもだぜ。

それ以上に、沖でこんだけの大怪獣バトルが行われてるってのに、浜の方では無反応ってのを見ると、海鳴の夏ではお決まりの光景なのかも知れ
ねぇな……俺達みたいに、近距離まで近寄った奴が居なかっただけだったのかも知れないぜ。



「かも知れませんね?」

「てか、こんなのが居るって、海鳴の海は大丈夫なのかしらね?」

「大丈夫じゃないかな?毎年の海鳴港の水揚げ量は安定してる訳だし。」



逆に言うなら、アンだけのモンがいるから、余計なモンが海鳴の湾内には入ってこなくて、漁獲量が安定してるとも言えるって事か……海鳴は、杜
宮以上に、不思議な場所なのかもしれねぇな。

だが、此処で浜に戻るのも面白くねぇから、大怪獣決戦を避けて、沖の方を探索してみるか。
結構浜から離れてるから、若しかしたらイルカの群れと遭遇する事だって出来るかも知れねぇからな。



「イルカの群れ?見たい、それ凄く見たいです志緒さん!!」

「野生のイルカを見る機会なんてそうそうないモノ!」

「行きましょう、志緒さん!」



お前等ならそう言うと思ったぜ。
それじゃあ、次のポイント目指して飛ばしていくぜ!!!



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んで、海上アドベンチャーを思い切り楽しんで砂浜に帰還だ。
イルカの群れに出会えたのは勿論だが、まさかマンタのジャンプを生で見る事が出来るとは思っても居なかったし、ウミガメの群れと一緒に海上を
散歩するなんて事が出来るとは……貴重な経験だったぜ。

そんで、時坂と恭也さんは、何だってそんなに疲れてんだ?



「「幸福な地獄ってのを体感した。」」

「?」

何の事かは分からねぇが、玖我山と忍がやたらと満足そうな顔をしてるのを考えると、間違いなくあの2人が何かやらかしたんだろうな……気休め
にもならないだろうが、お疲れさんだぜ、恭也さん、時坂。

其れと忍と玖我山も、あんまりこの2人を弄ってやるなよ?恭也さんも時坂も、ある意味で物凄く純粋だから、お前等の悪戯で被るダメージは半端な
モンじゃないからな?



「「はーい♪」」

「……絶対に分かってねぇだろお前等。」

兎に角やり過ぎねぇようにな。
さて、マダマダ遊ぶのは良いとして、小腹も空いて来たから何か食うか?海の家のメニューになるが、何が良い?



「「「カレーライスとかき氷!」」」

「ま、海の家の定番だな。俺も其れにするか。」

辛さよりも塩味が際立つ海の家のカレーだが、コイツもある意味では夏の風物詩だし、海の家に来たら此れを喰わないと来た気がしねぇからな?
ま、頼むなら大盛りで頼んどけや?喰ったら、一休み入れて、また遊びまくる心算だからな!



「「「了解です!!」」」

「良い返事だ。」

其れと海の家のおやっさん、俺のカレーは超特盛で頼むぜ?並盛なんかじゃ全く足りねぇからな。―――ん?



「如何かしましたか志緒さん?」

「いや……今一瞬だけ、強い力を感じた気がしたんだが……気のせいだったみたいだな。」

一瞬……本当に一瞬だけ、3S級のグリムグリードに匹敵する力を感じた気がしたが、今は何も感じねぇからな……多分気のせいだったんだろうよ。
其れよりも、海水浴を全力で楽しむとしようじゃねぇか!!








――――――








Side:???


なんだ、今の感覚は?



「シグナム、どないした?」

「あ、いえ、何でもありません主はやて。
 ただ、余りの人の多さに少しばかり圧倒されてしまっただけです――これほど多くの人が集まる場所と言うモノは、此れまで経験が無かったので。」

「そうなんか?やったら尚の事、海水浴を楽しまなあかんて。」

「その通りですね、主はやて。」

強大な力を感じたのは気になるが、今は主との日常を楽しまなくてはな。
それに、如何に強大な力であろうとも、我等に牙を剥く事がなければ放置して構わん――主はやては、蒐集を望んではおられないのだから、無理に
書を完成させる必要もない。

人生此れ闘いの日々を送って来た我等守護騎士からしてみれば、トンでもなく温い日常だが、其れが何よりも幸福に思えるのだから不思議だな。
この幸福な日々がずっと続いてくれることを、私も願っているからな。


だからこそ、この時の私は……私達守護騎士は、思っても居なかったのだろうな――その幸福に終わりが来るなどと言う事には、な…………












 To Be Continued…